空手
コラム

【1991年の格闘技】“浪速の闘将”角田信朗が大逆転の飛び膝蹴り、正道会館に初勝利をもたらす

2020/06/05 06:06
 1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去6月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。第9回目は1991年6月4日、東京・国立競技場第2体育館にて開催された『LAST CHANCE USA大山vs正道会館5vs5全面対抗戦』より、中堅戦の角田信朗(正道会館)vsギャリー・クルゼビッツ(USA大山)の熱闘。  空手界初の試みである流派全面対抗ワンマッチ対決は、先鋒戦の後川聡之(正道会館)vsホゼ・コットン(USA大山)、次鋒戦の川地雅樹(正道会館)vsジェリー・ハリス(USA大山)が2分3Rフルに戦って引き分けとなり、中堅戦まで両陣営0-0の状態だった。  中堅戦に登場したのは、“浪速の闘将”角田と1979年の『第2回極真全世界空手道選手権大会』でウィリー・ウィリアムスと共に日本を脅かしたギャリー・クルゼビッツ。  1Rから左下段廻し蹴りを小気味よく当てていく角田に対し、ギャリーは2R以降露骨に掴みを多用。角田の襟や袖を掴んで下段廻し蹴り、膝蹴り。この攻撃に角田は完全にペースを狂わされ、表情に焦りの色が見え始める。  3Rになってもギャリーは接近戦。反則の顔面へのヒジ打ちまで繰り出した。試合終了直前、角田は起死回生を狙って上段飛び後ろ廻し蹴りを放ったが、時すでに遅し。判定はギャリーに旗が3本上がった。  が、ここでハプニングが起こる。場内から「延長コール」が巻き起こり、添野義三主審、大山泰彦最高審判長の協議の結果、異例の延長戦となったのだ。  すでに目を潤ませていた角田だったが、延長戦になると左飛び膝蹴りをギャリーのアゴにさく裂させ、さらに右の飛び膝。これで技ありを奪い、判定は逆転した。劇的な逆転に場内は興奮と感動の坩堝と化した。 「ギャリーに“僕の負けです”と言ったんです。そうしたら“僕らの戦いに勝ち負けはない”と言われまして…こんなコンディションで出てきた自分が恥ずかしい」と角田は一気に語った。  副将戦には『第2回極真全世界空手道選手権大会』で日本勢を脅かし、ベスト16に食い込んだチャック・チズム(USA大山)が登場。佐竹のライバルだった柳澤聡行(正道会館)と42歳とは思えないスピードで対抗し、ベテランの試合巧者ぶりを発揮。ドローに持ち込んだ。(写真)現役の柳澤(右)と互角以上の試合を展開して空手ファンを喜ばせたチズム
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