ONEでの4戦目にして初黒星が付いた三浦。復活へ向けて準備を整えている (C)ONE Championship
2020年2月29日にシンガポール・インドアスタジアムにて無観客で開催されたONE Championship『ONE:KING OF THE JUNGLE』。2019年2月のシンガポール大会でONEに初参戦して以来、3連勝の波に乗っていた三浦彩佳(TRIBE TOKYO M.M.A.)は、強豪ティファニー・テオ(シンガポール)と対戦した。
勝てば、同じストロー級の世界王者ション・ジンナン(中国)とのタイトルマッチにたどり着けると言われていたが、結果は3R4分45秒、無念のTKO負け。ONEで初めての黒星にして、パウンドによるTKOと2箇所の骨折(眼窩底と眼窩壁)だったが、現在、怪我は殆ど完治しているという。コロナ禍の中で再び動き始めた三浦に電話取材をした。
テオとの再戦に向けて、既に準備はしています
既に練習は始めているという三浦は「さすがにガチガチの打撃スパーはできません。でも、その分ハードなミットをやったり、寝技やレスリングの練習をしています。寝技のサブミッションについては、打ち込みを中心にやって体に染み込ませている段階。若手の子とのスパーでは技を試し、練習方法、作戦、全てを堀江コーチと決めています。特に今はテイクダウンの入り方のバリエーションを増やしています」と話した。
TRIBE TOKYO M.M.A.の堀江コーチのコーチング方法は、その日の選手の動きを見て、「ここまでの動きができるようになったから、次はここまでを目指そう」と指示し、進歩した動きに対してミットなどで、常に最終調整をする。また、三浦曰く「試合の前など不安な気持ちの時、何気ない時にLINEでメッセージが来るんです。なんでわかるんだろう。本当にすごい人です。いつもほど良い距離にいてくれるんです」と、選手のメンタルサポートも万全だ。
プロデビュー時、メンタル面での不安定さが見られた三浦だったが、ONE参戦から心身ともに飛躍的な“成長”が見られたのも、本人の意識はもとより周囲のサポートがあることが伺える。
三浦に最近始めた新しい練習について尋ねると、高校時代からの友人で柔道の元日本代表の高木海帆(たかぎ・かいはん ※国籍を変更し、カイハン・オズチチェク=タカギ名でオーストラリア代表にもなっている)から勧められた、神奈川県にある神社での階段ダッシュをやっているという。
「本当にエグい階段なんです。辛いけど、気持ちが引き締まる。そこでは沢山のオリンピック選手が足腰を鍛えるトレーニングをやっていて、良い刺激になります。世界を目指す人たちを見ながら、私も負けずに頑張ろうって気持ちにさせてくれます」と、世界の頂きにその目は向かっている。
ONE参戦から2年目を迎える三浦は先日発表の公式ランキングで、ストロー級4位にランクイン。その結果には納得している様子で、自分に勝ったテオと王者のション・ジンナンがタイトル戦を行なった場合の予想を尋ねると、ジンナンがKOか5R判定で勝つと予想。その理由は、ジンナンのMMAは完成されていて、さらに気持ちが強く、テオが得意な打撃もジンナンのレベルの方が上だと分析した。
自身の対戦に話を向けると、「テオとの再戦に向けて、既に準備はしています。勝ちパターンのイメージは既にあって、あとはその通りに動けるかが鍵。同じ動きができるのであれば、それはジンナンにも通用するはずです」と自信を見せた。
ファン待望のジンナンとのタイトル戦の時期については、「できれば、年末か年明けにやりたい。やるなら早くやりたいです。私自身、格闘技の人生がどれほど長いかわからないから。やるのであれば、集中して全てを賭けて挑みます」と、強い口調でタイトル挑戦へ意気込んだ。