「風邪で熱があった」という川口は1R速攻勝負をかけてフロントチョークで奥田を降した
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去5月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。14回目は1994年5月6日、東京・後楽園ホールで開催された『第29回日本プロシューティング公式戦』より、オープン化で外敵を迎えた2人のエースの戦い。
(写真)打撃主体となったこの試合は、桜田(右)がパンチで圧倒していた
修斗は1992年9月にシューター以外の選手を招聘してのオープントーナメントを開催。これを機に大会もオープン化し、1993年3月には新格闘プロレスのプロレスラーたちとの対抗戦も行われた。
5月大会でも当初のメインイベントは、修斗日本ライトヘビー級王者・川口健次(スーパータイガージム横浜)vs同ミドル級王者・桜田直樹(総合格闘技木口道場)の修斗最強対決のはずだったが、「他流派の挑戦が増えたため」(佐山聡)急遽、桜田は橋口有二(慧舟会)、川口は奥田康則(合気道SA)との対戦となった。
まずは桜田が柔道二段の橋口と対戦。桜田は相手の前蹴りに合わせてタックル、足を極めにいくが逆にアキレス腱固めでキャッチされ、エプロン際で何とかブレイク。グラウンドでは引けを取らない相手に、桜田は打撃へ戦法を切り替えてミドル、右ストレートを連打する。狙いすました右ストレート一発で橋口を倒し、さらに左、右のストレートを放って2度目のダウンを奪った。桜田の一方的なラッシュに拍手が沸き起こる。
(写真)勝利の雄叫びをあげる桜田
2Rもパンチで桜田が優勢に進め、3Rは全くの独壇場に。ほとんど無防備な橋口に、桜田はストレート、フックを叩き込み続ける。左、右とストレートをヒットし、ついに力尽きた橋口からカウントアウトを奪うと桜田は勝利の雄叫び。
「本間聡や平直行さん、エリック(・パーソン)などとも質の高い試合をしたい」と、リングスで注目を集めていた平と本間との対戦をアピールした。
(写真)奥田も前蹴りをヒットさせる
川口は、3月大会で新格闘プロレスのプロレスラーをわずか25秒で倒した奥田を迎えた。ロー、左右フックからグラウンドに入り、川口は不意に奥田の左足を伸ばした。膝十字に奥田は2~3転し、悲鳴をあげたが何とかブレイク。大きな拍手が沸いた。
(写真)“修斗最強”の川口が合気道SAからの刺客を撃破
首、肩へ狙いを定めて川口がアームロック、これを解かれると逃げる相手へ前からガップリ組み付いてロープ際でフロントチョークを極めた。1R2分56秒だの圧勝劇だった。
川口は会場に来ていた平直行に「ぜひ平さんと戦いたい」とアピール。だが、平本人は「状況次第です」と言葉少なだった。