“弁髪男”マイヤー(左)の蹴りをものともせず前へ出てパンチを打ち込むバンナ
1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や様々な出来事を振り返る。50回目は2001年4月29日に開催された『K-1 WORLD GP in 大阪』のヘビー級トーナメント。
(写真)1回戦のマイヤー戦
『K-1グランプリ』以外はトーナメントではなくワンマッチ大会を開催していたK-1が、2000年より『K-1 WORLD GP』シリーズとして各大会で予選トーナメントを開催。その勝者が決勝トーナメントへ進出できるシステムに変更となった。
2000年に名古屋で行われた予選トーナメントで、マーク・ハント、ニラコス・ペタス、アーネスト・ホーストに勝利を収めて決勝トーナメントへ進出したジェロム・レ・バンナ(フランス)だったが、病気により欠場。仕切り直しとなった2001年4月、大阪城ホールで開催されたトーナメントはバンナの独壇場となった。
1回戦は弁髪がトレードマークのパヴェル・マイヤー(チェコ共和国)と対戦。初来日のマイヤーは舞台のデカさとパンチの威圧感に押されてか、試合前から表情が固く、バンナにプレッシャーをかけられ、ジリジリ後退しながら蹴りで応戦しようとするも、その迫力を前にしてみるみる消耗。集中力が3分続かず、ヘロヘロになったところに左ハイからの左フックをもらって1R2分15秒、バンナのKO勝ち。
(写真)準決勝でブラガに必殺の左をぶち込むバンナ
準決勝の相手はUFCにも出場したMMAファイターで、桜庭和志や船木誠勝と対戦したエベンゼール・フォンテス・ブラガ(ブラジル)。これがK-1初参戦だったが、1回戦では野性味あふれる暴れっぷりでグレート草津(正道会館)を2RでKOしていた。
しかし、バンナのプレッシャーには後退。得意の組みヒザにいこうと首を取りに行こうとした瞬間、バンナの左ストレートで吹っ飛びダウン。亀の状態になって防戦一方のブラガをバンナはガードの上からいたぶり、最後ははぶん回しの右フックで1R1分3秒、大の字にした。
(写真)決勝戦、ワットにいきなり襲い掛かって仕留めるバンナ
決勝戦はK-1創成期に活躍したアダム・ワット(オーストラリア)との対戦に。ワット渾身の右ハイキックも、26kgも体重が重いバンナは左手一本で防御。右ローを受けるやそのままコーナーへワットを詰めに行き、左右フックで1度目のダウン奪取。そしてガードの上からでも容赦なく右フックを打ち下ろして1R52秒でフィニッシュした。
全試合1RでのKOでトーナメントを制覇したバンナは、大阪の正道会館でアンディ・フグと1996年に一緒に練習した思い出を語り、「練習で正道会館に行って、いろいろなことを思い出した。アンディは真の友人だし、毎日彼のことを思い出す。この勝利をアンディに捧げたい」とした。