1986年10月に創刊され、30年以上の歴史を誇る格闘技雑誌『ゴング格闘技』が、秘蔵写真と共に過去4月にあった歴史的な試合や出来事を振り返る。21回目は1996年4月5日に東京・駒沢公園総合体育館で開催された『ユニバーサル・バーリトゥード・ファイティング』。この大会には前田日明率いるリングスからイリューヒン・ミーシャ(ロシア)が送り込まれた。
(写真)テイクダウンに成功したミーシャだったがバヘットのクロスガードに攻め手を失う リングスはこの大会にイリューヒン・ミーシャ(リングス・ロシア)、トッド・メディーナ(リングス・オレゴン)、マイケル・スタン(リングス・オレゴン)の3名を送り込んだ。リングスの人気選手であったミーシャは第6試合に出場。
(写真)素手の顔面パンチを見舞うミーシャ ミーシャは前年にロシアで行われたバーリトゥードの大会アブソリュート・ファイティング・チャンピオンシップに参戦。バーリトゥードに初挑戦したがヒカルド・モラレス(ブラジル)に敗れていた。今回は後にUFCやPRIDEに参戦するカーロス・バヘット(カーウソン・グレイシー柔術)と対戦。
場内にミーシャが姿を現すと、場内からは「ミーシャ、お前を見に来たんだ」「リングス魂を見せてくれ」といった声援が飛び、女性からの歓声も起こるなどこの日一番の盛り上がり。セコンドには高阪剛と山本宜久が就いた。
1R、長いリーチのバヘットのパンチをかいくぐってミーシャはダブルレッグ。しかしバヘットは簡単には倒れず、足を絡みつけてミーシャにぶら下がるようにして首を狙う。寝技になるとミーシャが上になるが、バヘットはフルガードでミーシャに攻撃を許さず、ミーシャはバヘットを抱き上げるようにして起き上がろうとしたが、途中で崩れた。
残り1分で身体を起き上がらせたミーシャがパウンドから一気にアキレス腱固めを仕掛けたが、バヘットは全く焦ることなく右足でミーシャのロックした腕を蹴って脱出。会場からはため息がもれた。
2R、バヘットのパンチにダブルレッグを合わせるミーシャだが、バヘットがバックを奪ってそのまま寝技へ。バックマウントを整えるとミーシャにパンチ、ヒジを見舞う。バヘットを背負ったまま起き上がろうとするミーシャにバヘットは待っていましたとばかりに首を取りに行く。ミーシャの後頭部に頭突きを入れ、さらにパンチとヒジを追撃。そしてついにミーシャの首に腕が回り、リアネイキドチョークが極まってミーシャはタップした。2R3分15秒だった。
ミーシャはリングス新潟大会に出場した後、日本に残ってリングス前田道場でこの試合へ向けての調整を行っていたが、風邪をひいてしまい「調子は最悪だった」と試合後に打ち明けた。