【写真】2019年6月のUFCでアレクサンダー・グスタフソンに4R チョークで一本勝ちしているスミス(左)。この試合後のオクタゴンのなかでグスタフソンは引退を表明している(C)Zuffa LLC/UFC
UFC世界ライトヘビー級3位のアンソニー・スミス(米国)が4月4日早朝に自宅に不法侵入した強盗と遭遇。激闘の末、警察に引き渡したことを5日、動画で発表した。
スミスが「ほんとうにこれまでの人生で最も厳しい戦いの一つだった。まともなヤツはあんな風に戦えやしない」と振り返った侵入者は、元アマチュアレスリングの猛者だった。
スミスは4日の午前4時、妻の「誰か家にいる。奥で男の叫び声が聞こえた」との声で目を覚ました。ベッドルームを出ると、コンピュータルームにルーク・ハーバーマンがいて、スミスを威嚇してきた。
「武器を持っているかもしれない。ヤツを制する必要がある」と考えたスミスはハーバーマンをテイクダウンしにいったが、ライトヘビー級のスミスは、ウェルター級程度の素手の彼を抑え込むのに5分以上もかかったという。
警察に引き渡すまでの激闘で、コンピュータルームは血まみれで、侵入者の顔もパンパンになっていた。
「ヤツは俺のすべてのパンチ、ヒザ蹴りもヒジ打ちも、何もかも受け止めたんだ。あらゆる打撃を食らって、俺と戦い続けた。まともなヤツはあんな風に戦えやしない」とスミスはハーバーマンのタフさに驚きを隠さない。
それもそのはず、ルーク・ハーバーマンは、米国ネブラスカ州の高校時代にレスリングで32勝11敗の戦績を持つ元レスラーだった。しかし、侵入時に叫び声を挙げるなど不審な点も多く、違法薬物等の使用や精神的に混乱していたことなども疑われている。
「間違いなく、俺の人生の中で最もタフな戦いの一つだった。撃たれたり刺されたりするかと思った。だからって、その瞬間いきなり戦う準備なんてできてない。(プロファイターだから)たいてい自分はイケてるって思ってるもんだけど、そういう風には感じられないというか、あの恐怖に立ち向かえていたかといえば、不十分だった」とスミスは、その瞬間の恐怖を吐露する。
「3人の子供、妻、義母が襲われるかもしれないと思ったし、他の世帯に比べれば(プロファイターの)自分の身に起きただけよかった。義理の母はキッチンナイフを持ってきてくれたんだけどね(苦笑)」と安堵の表情を浮かべるスミスだが、次戦には暗雲がたちこめた。
スミスは4月25日のUFCネブラスカ大会のメインイベントで、グローバー・テイシェイラ(ブラジル)と対戦予定だったが、4月9日にUFCが4月18日の『UFC249』を含む今後の大会の延期を発表しており、スミスの試合もキャンセルされている。
病院送りとなったハーバーマンだが、不法侵入するも何も盗まなかったため警察は拘留せず。後日法廷に出頭する予定だという。