いま日本格闘技界で注目の“バンタム級”で注目の1戦が決定した。現在、修斗でも“最激戦区”と言われ、各大会の主要対戦カードとしてラインナップされるバンタム級戦線において、ベルトを狙う2人の対戦が、3月29日(日)後楽園ホール大会で実現する。
2019年6月の修斗初登場から3連勝で一気にランキング5位まで駆け上った“流浪のグラップラー”手塚基伸(総合格闘技道場コブラ会)が、1月の開幕戦に続き連続出場が決定。
その開幕戦で行われた魚井フルスイングとの一戦では、手塚が相手の打撃を封じ込める執拗なテイクダウン狙いから、抜群のグラウンドコントロールで魚井をドミネート。2Rにそのテイクダウンからリカバリーを図ろうとした魚井が咄嗟に手をマットに着いてヒジを脱臼。手塚がTKO勝利をモノにした。
Yahoo!ニュースでもトップページに掲載され、AbemaTVの視聴数でも上位を飾る程話題となった衝撃の結末に、手塚の注目度が高まったのも事実だ。2月25日に大阪市鶴見区に自身のジム「SECRET BASE DOMINATE」をオープンさせたばかりの手塚にとっては、是が非でも白星を手にしてベルト挑戦に近づきたいところだ。
MMA34勝13敗7分の手塚は、PANCRASEで連勝後、2012年11月にUFCに参戦し2敗と苦杯をなめたが、GRACHAN、HEATで勝ち星を重ね、2019年6月の修斗参戦から奇天烈、小野島恒太、魚井フルスイング相手に3連勝を飾っている。タイトルを射程距離に迎えつつある、その手塚の前に立ち塞がるのが“怪物”安藤達也(無所属)だ。
MMA10勝2敗1分の安藤は、2019年9月に岡田遼が保持する環太平洋タイトルに挑戦し、一進一退の攻防を繰り広げたが、判定は三者三様の1-1ドロー(29-27, 27-29, 28-28)に。試合後、「肋骨を痛めていて出場出来るかギリギリだったから、走りしかしてなかったのが3R目に出た。不甲斐なし。負けたら辞めようと思ってたけど、納得いかない引き分けが悔しいからもうちょい頑張ります」と、負傷を明かしながらも再起を誓っていた。奪取目前でその手をすり抜けていったベルトを巡り、今回ランクアップするチャンスが巡ってきた。
もともとレスリングエリートの安藤は、全日本レスリング選手権2位などの実績を残し、米国修業を経て2014年にプロデビュー。2015年にUFCとの契約を懸けた『Road to UFC JAPAN』トーナメントでは石原夜叉坊と判定2-0の接戦を繰り広げるなど“モンスタールーキー”と呼ばれた。
公式戦の黒星は、2015年9月の佐藤将光戦のスプリット判定と2016年7月の石橋圭太戦の一本負けの2敗のみ。2016年11月のケビン・クルーム戦以降は、土屋大喜、金物屋の秀、南出剛、平川智也相手に5連勝を飾っている。レスリング仕込みの類稀なる身体能力を持ち、近年はゲームメイクにも長けてスタミナ切れの難点も克服しつつある安藤はベルト奪取に向けて再始動となる。
テイクダウンからのグラップリング、特に様々なセットアップからの肩固めを武器とする手塚は、果たして安藤を寝かせることが出来るか。強いテイクダウン、そしてテイクダウンデフェンスにも長けた安藤は、その組みの圧力が打撃にも活きている。下になることはほぼタブーとされる現代MMAで、レスラー安藤相手に手塚が下になった場合、得意のスイープを仕掛けるチャンスは訪れるか。
ONE Championship参戦で世界王者・佐藤将光が不在のなか、修斗コミッションから発表された「暫定王者制定」のアナウンスでバンタム級はどう動いていくのか。“流浪のグラップラー”手塚が修斗で最終の地を見つけるのか? それとも“怪物”安藤達也が再びタイトル戦線に浮上するのか? 誰がタイトル戦線に絡んでもおかしくない程、実力が拮抗しているバンタム級戦線で生き残るのは果たしてどっちだ。
【新たに決定したカード】
▼バンタム級 5分3R
手塚基伸(同級世界5位/総合格闘技道場コブラ会&SBD)
安藤達也(同級世界8位/無所属)
【既報カード】
▼世界フェザー級チャンピオンシップ 5分5R
斎藤 裕(王者/パラエストラ小岩)
デュアン・ヴァン・ヘルフォート(挑戦者・同級3位/グレイシーバッハ・ネーデルランド)
▼ストロー級 5分3R
木内“SKINNY ZONBIE”崇雅(同級世界6位/和術慧舟會GODS)
黒澤亮平(同級世界7位/パラエストラ松戸)
▼THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント準決勝第2試合 5分2R(延長1R)
黒部三奈(マスタージャパン)
大島沙緒里(AACC)
▼THINKS INTERNATIONAL Presents 修斗女子初代スーパーアトム級王座決定トーナメント準決勝第1試合 5分2R(延長1R)
イ・イェジ(韓国/TEAM J)
杉本 恵(日本/AACC)※インフィニティリーグ2019王者