ちょうど昨日開催された『Super Bigbang』でも全22試合の中でカーフキックは多く見られた
ルーマニアを拠点とするキックボクシング団体で最近ではK-1との協力体制でも知られる『Dynamite Fighting Show』と、ポルトガル・リスボンを拠点にキックボクシングやムエタイのイベントを開催している『Fighting Championship Events』の2団体が、カーフキック(下腿部へのローキック)を禁止する動きやルール改定を行った。
公式のプレスリリースやSNSで発表されたアナウンスが、インターネット上の格闘技コミュニティでその一部が引用され、ファンの間で議論が巻き起こっている。

DFSこと『Dynamite Fighting Show』は、スーパーファイトなどにおけるカーフキックの禁止(または制限)を導入することを発表している。試合の攻防や戦術に大きな影響を与えるカーフキックに対し、プロモーションのルールとしてメスを入れる形となった。
FCEこと『Fighting Championship Events』でも、同様にカーフキックを禁止するルール改定が行われ、試合のテンポや早期決着を防ぐ目的、あるいはファイターのキャリアや安全性への配慮といった議論を背景に、禁止に踏み切るヨーロッパの興行が現れている。
元々は2025年5月頃に、オランダの公的統括機関であるオランダ格闘スポーツ当局(NVB / Dutch Combat Sports Authority)が国内のプロ公認キックボクシングの試合でのカーフキック禁止を発表。オランダ国内でNVBの管轄下にあるプロの試合やイベントにおいて順次適用されることになり、世界中の格闘技ファンの間で大きな波紋を呼んだ。

【写真】3日の『Super Bigbang』では文字通りカーフキック一発、1分18秒でKO決着の試合も
しかし、実際には『GLORY』などの主要プロモーションが受けている公認・制裁(サンクション)の仕組みや、管轄するコミッション・組織の違い(オランダ以外でも開催されるため)により、GLORYのグローバルルール自体が強制的に一律変更される事態は回避されている。ただし、国内の小規模・中規模のプロ興行やアマチュア・セミプロの試合においては、この規程が適用されることになった。
今回の両団体がカーフキック中止に踏み切った主な理由は以下の通り。
1. 試合展開の停滞を防ぐため(エンターテインメント性の重視)
早期の機動力喪失:カーフキックが深く入ると、受傷した側は一瞬で足の自由やステップワークを奪われる。これにより、競技のスピード感が失われ、一方的な展開や「試合が塩試合(消極的な展開)になりやすい」と考えられる。
ファイトスタイルの偏り:「互いにカーフキックの蹴り合いや削り合いに終始してしまい、立ち技本来のダイナミックなパンチやハイキック、コンビネーションが減ってしまう」という懸念。
2. ファイターの安全性と深刻なダメージへの懸念
構造上のリスク:太もも(大腿部)に比べてふくらはぎ周辺は筋肉や脂肪のクッションが少なく、神経や腱、骨(脛骨・腓骨)に直接強い衝撃が加わりやすいため、競技人生を左右するような深刻なダメージや骨折につながるリスクが指摘されている。
カット(すねブロック)による負傷:カーフキックを強烈にカット(防御)した際、蹴った側の足にも甚大なダメージや骨折のリスクが生じるため、リスク管理の観点から問題視する声がある。
特にFCE側の声明の一部や要旨については、大きな物議を醸した。それは、単に「ダメージが大きいから危険である」という安全性への配慮だけでなく、「戦術的・競技的な幅を狭める単調で原始的な技術である」という独自の定義や解釈を添えて、制限・禁止を打ち出したことが、海外のファンや関係者の間で賛否両論の激しい議論を巻き起こす要因となった。カーフキックはそんな技ではない、という主張とその通りだという意見の真っ二つに別れて議論は行われている。
ローカルなプロモーションや欧州の一部コミッションによるこうしたルール改定の動きは、各団体の独自色や方針が強く反映されたものとなっているが、メジャー団体にも今後影響が出てくるのか、注目される。





