現在RISEバンタム級とフェザー級の両階級で1位にランキングされている大森
2026年10月17日(土)東京・後楽園ホール『RISE 201』にて、第7代RISEフェザー級(-57.5kg)王座決定戦3分5R延長1Rで、同級2位・中嶋愛樹斗(OISHI GYM)と王座を争う同級1位・大森隆之介(EX ARES)のインタビューが主催者を通じて届いた。
大森は2020年1月のプロデビュー後、2021年7月に有井渚海に負け連勝がストップするもその後は格上を次々と撃破。2024年3月、13戦全勝の山田虎矢太をバックハンドブローでKOする大番狂わせを起こした。8月にはRISEバンタム級王者・大﨑孔稀に挑戦したが判定で敗れ王座戴冠ならず。2025年4月、鈴木真彦からダウンを奪っての判定勝ちで名を挙げた。2026年7月にはONE Friday Fightsに初出場、アリ・アル=キナニの反則連発に苦しみながらもダウンを奪って判定勝ち。現在5連勝中。戦績は13勝(6KO)3敗。
元々背負っているものが全然違うぜ

――大森選手はお仕事もされているみたいですが、そちらは忙しいんですか?
「めちゃくちゃ忙しいです」
――ご自分で会社をやられているんですか?
「来月に法人になる予定です」
――なるほど。ではその準備に向けて忙しいわけですね。
「そうですね。普通に仕事を任せてもらっているものもあるので、それをこなすだけで結構精いっぱいって感じです」
――じゃあ仕事をして練習をしてという生活がずっと続いている感じですか?
「そうなんですよ。そうするとどうしても仕事で練習時間に間に合わない時とかもあるので、そういう時はジムの子にお願いして、昼間にミットを持ってもらったり、空いた時間を使いながらなんとかやっています」
――結構ハードな日々を過ごしているんですね。
「試合が近づいてくると焦る気持ちが出てくるので、焦ると『結構忙しかったんだな』って再認識します」
――大森選手の性格的には、仕事もして競技もやるっていう方が合っていますか?
「どうですかね。でも僕のビジョンとしては、元々格闘技をやり出した理由がチャンピオンになりたいというところではなかったので、自己表現の場所として選んでいたっていうのがあったんですよね。しかも見てくれている人に何か感じてもらえるのが良いっていう想いの方が大きかったんですよ。それがちょっとずつ変わっていって“業界を変えたい”って思うようになったんですけど、起業するきっかけになったのは業界の変わるスピードを現実的に考えたら、僕が救いたかった子たちが現役の間に変えることはまだ難しいかなと思ったんですよ。次の世代、その次の世代ぐらいでやっと金銭面的にもファイターとして生きていける未来はあるかもしれないけど、現状は厳しいなと思って。なのでまずは目に届く子たちを何とかしてあげようという想いから始めて、忙しいですけど自分の中では気持ちよくやらせてもらっています」
――そんな忙しい中、今回やっとタイトルマッチが決まりましたけど、そこへの気持ちやモチベーションの部分はどうですか?
「モチベーションに関しては、正直なことを言ったら応援してくれる人が減るかもしれないですけど下がっていますよね。元々は安本晴翔を目指してやっていたので、中嶋選手が強いとか弱いとかじゃなくて、(安本に比べて)遜色ないくらい強いとは思うんですけど、自分が思い描いていた道と違うなっていうのでモチベーションが下がったというのはありますね。でも最近は後輩に引っ張られて、モチベーションもだいぶ取り戻してきてます」

――後輩というワードも出ましたけど、身近な人でいうと門口選手がONEで勝って、先日は伊藤琉之助選手もBigbangでタイトルを獲得して、同門の選手からも刺激を受けていますか?
「そうですね。特に佳くん(門口佳佑)と琉之助と最近デビューした王希っていう子に関しては、ずば抜けた野心を感じるというか、本当に目的のために頑張っている『いいアホ』なんですよ。僕がよく昔から、チャンピオンになるって言ってブレずにその道に向かっていけるやつのことを『いいアホ』って呼んでいるんですけど、そういう人たちを見ていると“俺はこうはなれないな”って思っていたんですけど、大﨑孔稀とタイトルマッチをやった時ぐらいから俺もこうなるんやと思って、ずっと頑張って踏ん張ってやってきた感覚があって、その気持ちを皆んなの活躍を見て、取り戻せているなっていう感じがありますね」
――僕からしたらそのチームの中で引っ張っていってる大森選手も「いいアホ」だと思います(笑)。
「自分ではそうは思わないんですよね(笑)。金銭面的に見たら、会社をして大きくなっていく方が格闘技をやっているよりもいいし、自分の本当の目的を見失いそうになる瞬間がいっぱいあるんですけど、普通の人ってそうじゃないですか。好きで始めた仕事がそうじゃなくなっていく瞬間があって、でも何かのタイミングでやっぱり好きだなと思うタイミングもあって。僕はそんな感じなので、いいアホになるというよりは目的を見失わないように頑張ろうと思ってずっと踏ん張っているタイプですね(笑)」
――なかなかタイトルマッチが決まらない期間が長く続き、そこを経て中嶋選手との対戦が決まりましたけど、改めてタイトルマッチが決まった今の心境はいかがですか?
「タイトルマッチが組まれたことでいうと、以前の大﨑戦は山田虎矢太をバックブローで倒して飛び級でタイトルマッチをさせてもらえて、『俺がタイトルマッチ?!』みたいな感じだったんですよ。けど今となってはタイトルマッチが組まれて当たり前だよと思うようになっているし、逆に俺以外誰がいるんだよって思ってずっと待っていたし、そこで自分自身の成長を感じるなっていうのがあって、それは自分の中で嬉しい所でした。今回のタイトルマッチについては中嶋選手が19歳じゃないですか。練習量で言ったらもしかしたら僕はあの時より減っているかもしれなくて、色々なことを考えて雑念があって迷う時も多いですけど、19歳のクソガキに負けるわけないだろって思って毎日生きてます(笑)」
――それは以前にも言っていた『大人の強さを見せたい』っていう所にも繋がってきますか?
「やっぱり大人の強さというか、対戦相手のSNSをよく見るんですけど『僕にも背負っているものがある』みたいな、すごい根性が入っている感じの書き方をされてますけど、僕はファイターとしてずっと歩んできたキャリアの中で全然そのレベルが違うと正直思っています。僕の方が試合数は少ないですけど、それ以上にこの業界を良くしたいっていう思いとか、業界に携わる人たちをなんとかしたいという思いももちろんあるし、元々背負っているものが全然違うぜって思いますね」
――なるほど。それだけの思いを受け止めて、背負っているものも背負っているよと。
「そこで言うと、SNSを見ていると彼もめっちゃ走っていてスタミナもあるっぽいし、めっちゃ仕上げてくると思うんですけど、僕の気持ちが折れることはないだろうなという気がします」
――どちらかと言うと、中嶋選手は「いいアホ」の部類の選手だと思うんですよ。17歳で高校を辞めて、単身で家を出て愛知まで行ってOISHI GYMでバイトをしながらやっていくと決めているタイプなので。その辺はどういう風に中嶋選手のことを見ていますか?
「19歳でそういう生き方を決めていて、めっちゃ良いなと思います。僕もそういう風に生きれたら良かったなという思いもあるんですけど、バイトだけじゃ無理だと思うので、スポンサーを集めてほとんど食っていけている状態じゃないですか。じゃあそのスポンサーに何をしてあげられているのかって思うところがあって、自分の試合で感動させることが恩返しなのかってなるとそうじゃないだろうし、お金をもらっているだけに近いじゃないかなと思うんですよね。僕はいまスポンサーからはあまりお金をいただいていないんですけど、お金を貰う時に『すいません』って言って受け取ってしまう性格だったので、自分は向いていないなと思って仕事を始めたんですけど、そういう責任感もそうだし、僕とは全然違う考えだなっていうのは思いますよね」
――そういう部分を含めて「大人の強さを見せる」ということですね。
「そうですね」





