2019年12月8日(日)東京・後楽園ホールで開催される新日本キックボクシング協会『SOUL IN THE RING CLIMAX』の全対戦カード&試合順が発表された。
▼スペシャルメインイベント(第12試合)WKBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R緑川 創(藤本ジム/王者) ガムライペット・アヨタヤーファイトジム(タイ/挑戦者/フランス2018コンフォータブル・フォー王者)
藤本会長(藤本ジム)が体調を崩すピンチにメインを任されたのは、藤本ジムのエース格となる緑川創だ。今年6月にはムエタイの本場タイのラジャダムナンスタジアムでタイトルマッチを行ない、悲願達成はできなかった。しばらく迷い落ち込むこともあったようだが、覚悟を決めて残りの現役生活を打倒ムエタイにかけるようだ。今回、WKBA世界タイトルマッチで対戦するのは、ムエタイの強豪・ガムライペット。緑川が試合や練習の映像を見て、「かなりの強豪」と警戒するほどの選手で、苦戦する可能性も出てきた。大切な大会で、しかも大事なタイトルがかかった一戦だけに、ここは絶対に負けられないところだ。直前に岡山で勝利を上げて勢いに乗っているだけに、緑川の奮闘に期待がかかる。
▼メインイベント(第11試合)団体対決 63kg契約 ※ヒジ打ちなし 3分3R勝次(藤本ジム/WKBA世界スーパーライト級王者) 丹羽圭介(TEAMニワールド/REBELS63kg級初代王者)
新日本キックとREBELSの王者対決が実現した。勝次は前回の試合で、悲願となっていたWKBA世界スーパーライト級王座を獲得。今回がタイトル獲得後、初めての試合となる。対する丹羽圭介はREBELS63kg級初代王者で、Knockout8月大会では大月晴明からダウンを奪い、あらためて強さを証明することとなった。彼が繰り出す無双ビートは音楽と格闘技を融合させた独特の動き。勝次に対して絶対の自信があるようで、激闘に発展する可能性は高い。一方の勝次は、藤本会長への思いが人一倍強く、ホームで負けられないことだろう。ヒジ打ちなしの63kg契約が、どこまで勝負に影響があるのか気になるところ。あえて相手の条件に乗った印象の強い勝次の男気に、注目が集まる。
▼第10試合 エキシビションマッチ 3分2R江幡 睦(伊原道場本部/WKBA世界バンタム級王者)江幡 塁(伊原道場本部/WKBA世界スーパーバンタム級王者、KING OF KNOCK OUT初代スーパーバンタム級王者)
エキシビションながら、緊張感のある顔合わせとなった。最強ツインズの江幡睦と塁は、所属の伊原ジムでも本番さながらに熱いスパーリングをすることで有名。伊原代表が「本気になり過ぎるな」と止めるに入る時もあると言う。べつに不仲ではないが、勝負ごとになると互いに譲れなくなる性格のようだ。睦は前回の大会で王者サオトーとラジャダムナンスタジアムのベルトをかけて対戦し、KO寸前まで追い込んだ。塁はKNOCK OUTの初代スーパーバンタム級王者となり、さらに注目を集めるようになった。トップランナー同士の魂の対決は、闘病生活を続ける藤本会長に向けた復帰のエールだけではなく、未来のチャンピオンたちへの熱いメッセージになるはずだ。
▼第9試合 セミファイナル団体対決 54kg契約 3分3RHIROYUKI(藤本ジム/日本バンタム級王者)MASAKING(岡山ジム/J-NETWORKスーパーバンタム級1位)
藤本ジム所属の選手で一番手の出場となるHIROYUKIは、負けられない一戦が組まれた。団体対抗戦でホームリング、しかも藤本会長が体調を崩してのスクランブル起用となれば、気合いが入るのは当然のことだろう。前回はKNOCK OUTのリングで壱・センチャイジムに判定負けを喫してしまったが、そこまで大きな差はなかった。仕切り直しの今回で、真価が問われることとなる。対するMASAKINGはJ-NETWORKスーパーバンタム級1位の実力者。キャリアは少ないが、期待値の高い19歳の新鋭だ。2018年度フライ級新人王を獲得し、INNOVATIONスーパーバンタム級8位にもランクインしている。
▼第8試合 1部メインイベント REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級タイトルマッチ 3分5R老沼隆斗(STRUGGLE/王者)濱田 巧(team AKATSUKI/挑戦者)
REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級タイトルマッチが、新日本キックのリングで行なわれることとなった。当初このタイトルマッチはREBELSの12月大会で行なわれる予定だったが流れた経緯があり、藤本興行のピンチを救う形で実施される。ふたりの対戦は、今回で3回目となり、過去2戦はすべて老沼が勝っている。戦績だけを見れば、老沼に死角はないように感じるが、タイトルがかかった今回はそう簡単に行かないことだろう。とくに濱田は、前回の大﨑孔稀戦まで5連勝をする勢いがあり、以前とは別人のようになっている。加えて老沼は、泰史にKO負けを喫しての復帰戦。これらの状況を踏まえると、何かが起こっても不思議ではない。
▼第7試合 団体対決 58kg契約 3分3R瀬戸口勝也(横須賀太賀ジム/日本フェザー級2位)NOWAY(ネクストレベル渋谷/初代MuayThaiOpenフェザー級王者)
キックマニアが喜びそうな対決となった。新日本キックを代表する瀬戸口勝也は、公務員キックボクサーとして有名なだけではなく、タフさと無尽蔵のスタミナを誇る。打ち合いになった時の一歩も引かない姿勢は、心の強さもあるのだろう。対するNOWAYは、2018年7月に開催された「MuayThaiOpen42」で翔貴をヒジ打ちでKOし、MuayThaiOpenフェザー級王座を獲得。今年7月には千羽裕樹の挑戦を受けたが、初防衛に成功した。アグレッシブに前へ出て勝負する瀬戸口と、ミドルキックで腕を潰しヒジ打ちで相手を切り裂くNOWAYの試合は、会場が盛り上がること必至の好カード。団体のプライドをかけた一戦。
▼第6試合 女子国際戦 46kg契約 3分3Rぱんちゃん璃奈(STRUGGLE/Knockout女子48kg級)ペットチョンプー・モー.クルンテープトンブリー(タイ)
新日本キックに初参戦するぱんちゃん璃奈は、今年2月にプロデビューしたばかりの新鋭で現在まで5連勝と無敗記録を更新中。抜群のルックスだけではなく、アマチュア時代から築き上げてきた実力は本物で、試合で盛り上げる才能も持っている。今回、ぱんちゃんが対戦するタイのペットチョンプーは、ボクシングとムエタイの試合をする二刀流で、こちらも本格派。パンチ主体に闘うスタイルと見られているが、「リーチを活かした前蹴りがうまい」とぱんちゃんが警戒する蹴り技のテクニシャンの一面を持っているようだ。男子の試合の中に入るとどうしても比較されがちな女子マッチだが、彼女たちの闘いは別格。他の試合を食ってしまうほどのベストファイトになるかもしれない。
▼第5試合 国際戦ヘビー級 3分3R楠ジャイロ(チーム・ジャイロ楠/元J-NETWORKヘビー級王者)サイード・ホセイン(イラン大誠塾/2013WKF&IKF世界王者)※選手都合により中止。
▼第4試合 ライト級 3分3Rジョニー・オリベイラ(トーエルジム) 津橋雅祥(エスジム/蹴拳ムエタイ初代スーパーフェザー級王者)
新日本キックの鉄人と言えば、ジョニー・オリベイラのことだ。40歳を超えても定期的に大会へ参戦し続ける折れない心は、勝敗に関係なくリスペクトされるもの。パンチのラッシュから繰り出される得意のハイキックに磨きがかかっており、まともに当たれば立っていることはできないことだろう。オリベイラと対戦する津橋雅祥は2017年9月6日にREBELSのリングでピラオ・サンタナと対戦したが、1RKO負けを喫し、しばらく戦線から離れていた。今年4月にJ-NETWORKで復帰して、左ハイキックでKO勝ち。10月には大谷翔司に判定で不覚を取り、今回が出直しの一戦となる。ここから再浮上していきたい津橋と鉄人オリベイラの試合は、後半まで勝負がもつれそうだ。
左がバズーカ巧樹(右は第4試合に出場するジョニー・オリベイラ)▼第3試合 団体対決 64kg契約 3分3Rバズーカ巧樹(菅原道場/MA日本キックボクシング連盟スーパーライト級王者)イ・ボムギュ(韓国/2019年KTK64kg級王者)
第3試合から、注目のバズーカ巧樹が登場する。今年2月に第10代MAキック日本スーパーライト級王者となったバズーカは、パンチの強打だけではなくローキックやハイキックの破壊力が抜群で、これまでK-1のリングも含めて数多くのKOを奪ってきた。今年9月には般若RASHIMOTOを判定で下し、その勢いはさらに増している。2020年はKNOCK OUT64kgGPに参戦が決定し、ますます大暴れしそうだ。対する韓国のイ・ボムギュはDEEP KICKで成尾拓輝をKOで下すなど、強烈なカウンターのヒザ蹴りを持っている。バズーカとの蹴り合いは激しくなりそうだ。
▼第2試合 団体対決スーパーバンタム級 3分3R炎出丸(クロスポイント吉祥寺/J-NETWORKスーパーバンタム級王者)MITSURU(WSRフェアテックス三ノ輪)
J-NETWORKスーパーバンタム級王者の炎出丸は、KNOCK OUTの8月大会で壱・センチャイジムに判定負けを喫し、今回が巻き返しの一戦となる。最近は、REBELSの6月大会でダイナマイト柿崎を判定で下したものの、あまり勝ち星に恵まれていない。ここで勝利を収めて、もうひと花咲かせたいところだ。じつはMITSURUとの試合は、今年6月のREBELSの大会で一度、組まれた因縁がある。この時はMITSURUがケガをしてしまい、残念ながら対戦が流れている。気持ちを立て直して臨む炎出丸と、ケガを克服してリングに向かうMITSURU。両者の思いが、リングでぶつかり合うことだろう。
▼第1試合 REBELS64kg契約 3分3R与座優貴(橋本道場/第6回世界ウエイト制軽量級優勝)稲石竜弥(team OJ/第2代Bigbangライト級王者、第19代MA日本ライト級王者、第13代APKFスーパーフェザー級王者)
オープニングから豪華なカードが組まれた。与座優貴は元極真カラテ世界軽量級チャンピオンの肩書きを持ち、6戦無敗の快進撃を続けている。KNOCK OUTの8月大会ではジョニー・オリベイラを破り、REBELS.63でもテレカを圧倒した。超一流の蹴り技で、キック界でも頂上を狙う。稲石竜弥はバズーカ巧樹にこそ敗北を喫しているものの、石田勝希や高橋佑太から勝利を収めているベテランで、変則的な攻撃を持ち味にしている。9月のRISE WORLD SERIES 2019 Final Roundでは秀樹と対戦して惜しくも判定負けとなったが、激しい蹴り合いで会場を大いに沸かせたばかりだ。
EDIT☆松井孝夫(ライトハウス)Photo☆堀田春樹、むらかみしゅういちろう、長谷川拓司