2026年7月17日(金)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Friday Fights 162&The Inner Circle 22』(U-NEXT配信)にて、ONEバンタム級(-65.8kg)キックボクシング3分3Rでベン・ウーリス(英国)と対戦する与座優貴(team VASILEUS)が公式インタビューで現在の心境を語った。
第6代K-1 WORLD GPライト級王者の与座は2026年4月、満を持してONEバンタム級王者ジョナサン・ハガティーに挑戦したが、判定で敗れ王座獲得ならず。ONEでの初黒星を喫し、今回が再起戦となる。
「自分が負ける世界線があるんだ」
――試合を控えた現在のコンディションはいかがですか?
「前回の試合が終わって、少し休もうかなとも思ったんですけど、休んでいても負けたことが頭から離れないし、やり返さないと先に進めないと思いました。短いスパンではありましたが、試合のオファーを受けて追い込みが始まり、『やっぱり休めばよかったな』と思うぐらいきつい練習が待っていました。ただ、本当に日々充実しています。やっと悔しさを晴らす試合ができるので、待ち遠しいです」
――ファンや世間からは、次戦を与座選手の再起戦として捉えられていると思います。ご自身は次の試合をどのように捉えていますか?
「世界のトップ戦線にもう一度食い込むための試合です。自分の中では世界のトップから少し後れを取ったと思っているので、そこを巻き返すためにも、勝つことはもちろん、前回から進化した姿を見せないといけない。そういった、いろいろなものとの勝負という感じです」
――次の試合について伺う前に、前戦のハガティ戦について聞かせてください。試合全体を通して、対策されている感覚はありましたか?
「対策してくるとは思っていましたが、あそこまでうまく、プライドを捨てて自分への対策に徹してきたところが、チャンピオンとしてのうまさや強さだと思いました。もっと打ち合う展開も想定していましたが、そこをうまくやられて、焦って空回りしました。普段なら一つが通用しなくても、その先の展開に持っていけるんですけど、それをさせてもらえなかった。チャンピオンとしてうまかったと思います」
――第1Rでは前蹴りでハガティ選手を転ばせる場面もありました。第1Rを終えた時点で「いける」という感覚はありましたか?
「逆に『やばいな』と思いました。前蹴りで転ばせた辺りまでは順調でしたが、やっぱりうまかった。表現が難しいんですけど、ルールの中のギリギリのラインというか、第1Rで組み際のヒザなどを受けて腹が効いていました。5R制で、第1Rは絶対に取りたかったので、そこで全部崩れてしまった感覚があります。良い悪いではなく、本当にうまくて、いろいろな面で学んだ試合でした」
――ハガティ選手は試合後、「足がボロボロだった」「カーフが効いていた」と話していました。試合中、効かせている手応えはありましたか?
「足も腹も手応えはありました。いつものハガティ選手だったら、そこから崩れたと思います。ただ、前回はそういう素振りを見せなかったし、本当に自分との試合に懸けていた。強かったですね」
――ハガティ選手は普段とスタンスも変え、完全に与座選手への対策に徹していたように見えました。やりづらさはありましたか?
「やりづらさというより、歯がゆいというか、かみ合わない感覚でした。そこが相手のうまさです。前回はうまくやられましたが、逆に言えば、それだけ自分のさまざまなテクニックが相手にとって脅威だったということでもあると思います。前回の負けを修正してきたので、次の試合で一度答え合わせをしたい。ベルトを獲るために、試合をして修正するという繰り返しを続けていきたいです」
――判定がコールされた瞬間は、どのような気持ちでしたか?
「『自分が負ける世界線があるんだ』と思いました。調子に乗っていたということではありません。今もまだ消化しきれていませんが、負けを受け入れるまでには時間がかかりました」
――リングを降りて、ファンの目に見えている間は気丈に振る舞っていましたが、バックステージではかなり落ち込んでいる場面もありました。負けを受け入れるのに時間がかかっていたのでしょうか?
「負けたというより、大げさではなく、本当に『人生が終わった』と思いました。それぐらい懸けていました」
――ハガティ戦を一言で表すとしたら、どのような試合でしたか?
「難しいですね。どん底ですかね」
――試合後、ハガティ選手は与座選手のカーフキックについて「足を上げればいいだけ」と話していました。与座キックが封じられたことは今までの格闘技人生でほぼないと思いますが、そのあたりはどうでしたか?
「カーフキック自体には、そこまでこだわっていません。相手の対策というより、自分が少し雑だったと思います。相手の作戦によって空振りさせられ、焦らされましたが、その中でももっと工夫できた。普段できることができなかったのは、自分の弱さです。ただ、カーフキックが通用しなかったということは、そこまで気にしていません。前回は相手の作戦やプランが本当にうまかったと思います」
――あの試合から得た、最も大きな学びは何ですか?
「ONEのベルトは、ファイターではなくアスリートにならないと取れないと思いました。自分はずっとファイターとしてやってきましたが、ここからはアスリートにならないといけない。その気づきを得た試合でした」
――アスリートとファイターの違いを、もう少し詳しく教えてください。
「ファイターは、強ければいいというか、何でも食べて、それでも強いという極真のような感覚でやってきました。でも、ここからは睡眠を含め、練習以外のすべてのことも格闘技のためにやらないといけない。格闘技のために生きて、世界で一番考えて取り組まないと、あのベルトは獲れないと思いました」
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ウーリスは「SNSファイター」
――今回は国内の『ONE SAMURAI』ではなく、タイの『ONE Friday Fights』での復帰戦です。再び『ONE Friday Fights』に出場することを、どのように感じていますか?
「久しぶりにタイで試合ができることは、すごくうれしいです。ただ、自分が負けたことで、思い描いていたビジョンから大きく離れてしまいました。そこには自分自身への怒りもあるし、悔しさもあります。そういった不甲斐なさを、次の試合でしっかり見せたいと思います」
――対戦相手のベン・ウーリス選手には、どのような印象を持っていますか?
「表現が難しいですけど、SNSファイターっぽいというか」
――「SNSファイター」とは、どういう意味ですか?
「数字を第一にやっている選手なのかなと思います」
――与座選手もウーリス選手もローキックを得意としています。蹴り対蹴りの展開が想像されますが、どのような試合になると思いますか?
「前回の試合を踏まえて、相手は対策を練ってくると思います。ただ、自分とハガティのレベルだったから、あの展開になった。ベン選手が同じことをまねしても、あの時の自分ではないし、そこはレベルが違うと思っています。それを見せます」
――ウーリス選手の弱点は、どこにあると思いますか?
「前回、ペッタノンに負けています。三段論法は通用しませんが、自分はペッタノンに勝っているので、そういうところを少し気にする選手なのかなと、見た印象では思います」
――過去にウーリス選手のチームメイト、アーロン・クラーク選手と対戦したことはありますか?
「あります。少し前には、たまに挑発されていました」
――アーロン・クラーク選手について、どのような印象がありますか?
「昔、試合をしたことはありますが、特に印象には残っていません」
――今回、復活をアピールするために、どのような勝ち方をイメージしていますか?
「前回負けたことで、自分が思っていた以上に多くの人から応援されていたことに気づきました。同時に、その人たちを落ち込ませてしまったことが、すごく悔しかった。次は、仮に苦戦しても、どのような展開になっても、絶対に勝ちを届けたいです」
――今回の試合に向けたトレーニングで、最も手応えを感じている部分はどこですか?
「ONEのルールや、ONEにいる選手のさまざまなスタイルを研究してきました。ONEで負けない自分のスタイルを作れたと思います」
――4月29日の『ONE SAMURAI』では、武尊選手の現役最後の大会で、同じ日に同じチームとしてリングに上がりました。どのように感じていますか?
「武尊さんの最後の試合に一緒に出るというのは、本当にすごい確率だと思います。だから絶対に一緒に勝ちたかったし、今もつなげたかったという悔しさがあります。ただ、今思うと少し気負いすぎていました。次の試合は武尊さんも来てくれるので、勝って喜ばせたいです」
――武尊選手が現役を退いた今、チームを引っ張っていくという気持ちはありますか?
「あります。それは昔からあります。バシレウスは『みんながチャンピオン』というコンセプトのチームです。バシレウスとして戦う意味を、自分はすごく大事にしています。前回負けたことは本当にあり得ないと思っていますが、ここからまた試合を重ねて、世界と戦って勝てるのは今でも自分だと思っているので、それを見せたいです」
――与座選手にとって、バシレウスはどのような存在ですか?
「仲間です。同じ志を持った仲間という感じです」
――日本人キックボクサーのトップとして、格闘技界をけん引することを期待するファンも多いと思います。その期待をどう受け止めていますか?
「前回の試合まで5年間勝ち続けてきたからこその期待値だったと思います。それをあのチャンスで落としてしまい、『少しやらかしたな」と思っています。それでも変わらず期待してくれる方はたくさんいるので、その人たちに向けて、しっかり『やっぱり与座だな』と思わせたい。それは強いモチベーションの一つです」
――ご自身が「証明できた」と感じる目標は、やはりベルトですか?
「ベルトは今の時点では目標ですが、最終的に見れば通過点です。一つずつクリアしていきたい。ベルトを取れば見えるものも、できることも変わると思います。まずは来週に全集中して、しっかり勝ちます」
――武尊選手の存在は、ハガティ選手へのリベンジを果たす上で、どのような力になっていますか?
「武尊さんのキャリアが体現してくれたように、『やられたらやり返す』ということを直接見せてもらい、直接伝えてもらいました。そこで『やり返します』と言えない選手は駄目だと思います。絶対にベルトを取ります」
――ご自身のタイトルマッチ直後、すぐに武尊選手の応援に回り、武尊選手がタイトルを取った瞬間は、自分のことのように喜んでいました。あの時は、どのような気持ちでしたか?
「自分の試合は自分の試合、武尊さんの試合は武尊さんの試合で、別のものです。一度自分のことは忘れて、本当に最後の試合を全力で応援しようと思いました。それに、『優貴の分まで勝つから』と言ってくれていたので、最後までしっかり見届けようと思って応援しました」
――野杁選手についても聞かせてください。今回、野杁選手にとっても再起戦となります。現在のコンディションはどう見えますか?
「ものすごく気合いが入っています。一緒に追い込みの時期が重なっているので、自分が暗い顔で行っても、正明さんが気合いを入れているのを見て、『よし』と自分も気合いが入る。本当に良い刺激をもらっています」
――野杁選手にとって非常に重要な再起戦になります。どのような試合になると思いますか
「リウ・メンヤン選手のスタイル的にも、楽な試合にはならないと思います。ただ、正明さんなら大丈夫です。正明さんが一番強いと思っています。前回の試合後、負けて控室へ戻る時に寄り添ってくれて、『一緒にやり返そう』と言ってくれたので、やり返します」
――ONE SAMURAIの旗揚げ大会で武尊選手が有終の美を飾りました。今後、日本格闘技界を引っ張っていく存在として、ご自身がその役割を担う意識はありますか?
「その意識しかありません。その意識を持って前回の試合に臨みました。そこで負けて、最後の試合を見て、改めて武尊さんのすごさを感じました。道は険しいですが、自分が絶対にその役を担えるようになります」
――日本格闘技界を引っ張っていく存在として、意識していますか?
「本当に、自分がこれからの日本格闘技界を引っ張っていくという意識しかありません。そういう試合を、次の試合で見せたいと思っています」
――SNSでも「来年必ずONEのベルトを取る」と力強く宣言していました。今回のウーリス戦に向けて、意気込みをお願いします。
「前回の試合から、考え方も生活も一新して、この試合に向けて取り組んできました。本当に気合いが入っていますし、もうこれ以上負けは許されないと思っています。練習で地獄を見てきたので、それをぶつけて、最高の日にしたいです」
――ナビル・アナン選手とは、お互いに対戦したいと話していました。その気持ちは今も変わりませんか?
「自分もナビル・アナンと戦いたいと思っています。機運が高まったところでやりたいので、自分も相手もしっかり勝って、最高のタイミングで実現できればと思います」