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【PANCRASE】大晦日の10日前、シェイドゥラエフの練習パートナーのカリベクが王座決定戦「キルギスにベルトを持ち帰る」×栁川唯人「覚悟はできている」

2025/12/19 12:12
 2025年12月21日(日)東京・立川ステージガーデンで開催される『PANCRASE 360』(U-NEXT配信)に来日参戦する海外選手の公開練習が18日、都内にて行われた。  大晦日のRIZINで朝倉未来の挑戦を受けるラジャブアリ・シェイドゥラエフの10日前に、同じキルギスでトレーニングパートナーのカリベク・アルジクル ウールがPANCRASEフェザー級王座決定戦に臨む。 ▼キング・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ・フェザー級(王座決定戦)5分5R栁川唯人(K-PLACE/1位、2023年ネオブラッドトーナメント同級優勝)7勝1敗カリベク・アルジクル ウール(キルギス/Olymp Gym Bishkek/2位)13勝1敗  第11代王者・三宅輝砂の王座返上に伴い、新たな王者を決める刺激的なチャンピオンシップ。1位の栁川は、6月大会で公務員(消防官)という安定を捨て、格闘技に人生の舵を切り挑み、難敵・平田直樹を撃破、チャンピオンシップの舞台に駆け上がってきた。  対するカリベクは、キルギスのフェザー級で「五将」に挙げられる強豪。RIZINで活躍中で練習仲間のシェイドゥラエフを筆頭に、ONE無敗のアクバル・アブデュラエフ、DWCSからUFCと契約を果たしたムルタザリ・マゴメドフ、ROAD FCで原口伸を破り、13戦無敗でフェザー級王者となったエルデュカルディ・ドゥイシェフと並び、キルギスに3本目のベルトを持ち帰るつもりだ。  7月大会で元王者・ISAOを107秒、右フックで沈め、11月大会ではレッグロックで平田直樹の足を破壊した。格闘技界を席巻する中央アジアの雄の一角・カリベクが、勢いのままにベルトを強奪するか。それとも現在のPANCRASEを代表する選手の一角・栁川がその進撃にストップをかけるのか。  公開練習後、正座で囲み取材に応じたカリベクは、11月9日の平田直樹との前戦を「いい試合だったと思います。自分にとってはトラウマ無しで終わって良かった。見てる方もみんな気に入ってたのではないかと期待したいです」と、2R一本勝ちを振り返った。  平田戦では、あえて打撃を封印し、柔道家に対し、組み技で対抗するような試合運びだったが、「ファイトのなかでこういうグラップリングもできるということを見せたかったから。やはり平田選手はグラップリングが強い選手なので、どちらのグラップリングの方が上なのか、試合の中で試してみたかったんです」という。  圧巻はバックから前転するように足を掴み、スロエフストレッチでもカーフスライサーでもなく、踵を捻っての一本勝ちだった。 (C)PANCRASE  いつも練習で使っているのか、と問われ、「はい。この技は“サメ”と言います。どうしてかというと、サメ(シャーク)が私で、これが私の作った技です。それは柔術を作ってる人すら知らないと思いますし。他にも自分が作った技があります」と、練習のなかで試して使っている技だとした。  その平田戦からわずか1カ月間隔での連戦となるが、「コンディションはバッチリです。すごくいいように感じています。私は1年間ぐらい休んだように感じてます。どうしてかというと、こういうチャンピオンベルトをかけて戦うのはモチベーションが全然違うから。今は全力で戦います」と、念願のベルトを賭けた戦いに向けて、疲労も感じていないという。  2024年9月にPANCRASEに初参戦。井村塁、ISAO、平田直樹と、強豪ばかりを撃破し、当初から「ベルトを狙っている」と明言してきた。 「思いが違います。やはりチャンピオンベルトがかかる試合ですし、それは全然違うモチベーション、違う準備でアプローチしています。こういう試合量を超えて、回復ができているから、日本のファンの皆さんのためにも、21日にもう1回すごくいい試合を見せたいと思います。そしてPANCRASEにも大変ありがとうございます。2025年が終わらないうちにチャンピオンシップを戦わせてもらい、本当に感謝をいたします」と、年内に戴冠の目標を成し遂げるために、これまで以上のモチベーションを持ってタイトルマッチに向けてアプローチしてきたという。  それが、シェイドゥラエフとの連続キャンプだ。  本誌の取材時にシェイドゥラエフは、カリベクが11月大会後も年末決戦に向けて再び合流することを心待ちにしていた。それほど両者にとってお互いがいいトレーニングパートナーであることを物語っている。 「一緒に練習をしましたね。どんな練習? 難しくない練習はしない。難しい練習しかしないので、すごく苦労する練習でした」と、2度にわたるシェイドゥラエフとのファイトキャンプの過酷さを語る。  12月に2人でベルトをキルギスに持ち帰る。「神がそう願ったら、持ち帰りたいと思います」と、人事を尽くして天命を待つ。  自身と同じく平田直樹に勝利している対戦相手の柳川については、「いい印象ですし、いい選手だと思います」と評価。「フェザー級ランキングで1位についているし、それは空しいものではないと思います。いい選手ですね」と、1位に相応しい実力者だという。  その柳川は、カリベクの変則のレッグロックも投げ技も「自分にはかからない」と自信を見せている。 「あの足関節は僕も練習でやったりもする、もともと知っていた技なので、別に驚きもしてないです。カリベクはバックコントロールが上手い。技術的な話になっちゃいそうなんで言えないけど、そこは注意してやっていこうかなと。もう秘策があるんで。試合になったら出そうと思うので、楽しみにしていてください」(柳川)  カリベクは平田の左ボディロックに対し、右でオーバーフック、左で引き手を掴んで払い腰で投げた。ボディロックの平田は腰を切って後方に回らずにテイクダウンを狙っていたため、巻き込み投げられる形に。そのカリベクの投げに対しても柔道ベースの柳川は、「なんかバネというか、粘り強さみたいなのはすごく感じるんですけど、あれも対策というか対応の仕方があるんですよ。柔道やってる人には分かったりするものがあるんですけど、僕はそれを知ってるし、出来るんで、驚いたりとかはあんまりしてないです」と語り、平田がカリベクの組みを引き出したことで「やりあえる、というのはあります、全然。むしろ、面白い試合、盛り上がる試合が出来るので、やったぜって感じです」と、対応策の手応えを語る。  その平田の言葉にカリベクは、「そう言ってるんですね。まあ、『投げられない』と言うのなら、私たちは投げようとします。そういう瞬間があったらやってみたいと思いますが、まあ試合なので“これからどうなるのか”っていう感じです」と余裕の笑みで答えて見せた。  PANCARSEフェザー級戦線には、9月大会からタジキスタンのオタベク・ラジャボフ(タジキスタン。12月大会でRyoと対戦)もバンタム級から上げて、存在感を示している。  カリベクは、「そんなに知り合いではなかったんですけど、PANCRASEで会って知り合いになって、私たちの民族(キルギス)も、タジキスタン選手とやはり兄弟民族だと思いますからともに戦えて嬉しいです。でも私たちはやはり試合が仕事だし、組織が示したら、お互いに戦います」と、隣国同士でも試合が決まれば戦うという。 「21日には見て楽しい試合を見せたいし、前の試合に劣らないぐらい、いい試合を見せたいと思います。できればラウンドが終わるまでに勝ちたいですけど、それができなかったら5Rを戦う覚悟もあります。今は調子がバッチリなので勝ちたいと思います」と、短期決戦、長期戦のどちらでも戦う自信を語った。 [nextpage] 柳川「自分から作って主導権を握り続ける」  一方、5日の会見で柳川は、「カリベクが平田(直樹)選手と試合した直後のタイミングでオファーをもらったんですけど、試合期間も短い中、カリベクが受けてくれて、『試合いっぱいしたい、毎月できる』とか言ってたんで、“じゃあ、やっちゃおうかな”と思った」と、連戦を承諾したカリベクとの王座決定戦の経緯を語る。  13勝1敗の戦績を持つカリベクについては、「寝技も打撃もすごいできるオールラウンダーなんだなと思って。今までストライカーだと思ってたら、平田選手にあんな勝ち方してゲームコントロールしてたんで、すごいなと」と、井村、ISAOを下した打撃のみならず、組み技も寝技も高く評価した。  今回の試合に向けては、「特に強化したところはなくて、全体的にもっと自分のファイトスタイルと相手のファイトスタイルが噛み合うようなイメージ作りをしてきたので、自然とメンタル面とかも鍛えられたりしてるのかなという感じです」と、タフな試合を勝ち切る心と身体を作ってきたという。  さらに「最近、よく自然に行くので、マイナスイオンエネルギーを結構蓄えてるので、なんかキルギスも高い標高らしいんで、マイナスイオン対決みたいな感じでいいんじゃないかなと(笑)」と自然派同士の戦いになると笑顔を見せた。  前述の通り、カリベクの組み技は自分にはかからないと自信。「本当に全部やってやろうと、寝技でも組みでも打撃でも、あとは自分から試合を作ろうと思っています。最近、僕の試合は判定がちょくちょくあったりして自分でもちょっと面白くないなって思ってるんで、自分から作って、面白い試合して、主導権を握り続けるような感じにしようと思ってます」と、受けに回らず、自ら仕掛けることでペースを握りたいとした。  カリベク戦決定直後のXでは「死ぬ覚悟はできている」とつぶやいた。 「相手はすごくフィニッシュ力の高い選手で、“無事では帰れない”と自分でも思ってるんで、その死ぬ覚悟ももちろんできてるんですけど、そればっかり考えすぎちゃうと、空回りしたり固くなったりしちゃうんで、何より僕は、試合も試合前も楽しんでるんで、その気持ちを忘れないようにして戦えば、パフォーマンス的にも練習通りできると思いますし。まあ、なにせ強いんで、全然覚悟を持っていればいい試合ができるし面白い試合もできると思ってます」と、覚悟を持った上で、タフファイトを楽しんで戦いたいとした。  獰猛なサメのごとく、PANCRASEを食い尽くそうとするカリベクは、21日の試合でも新たな引き出しを開けてみせるか。それとも柳川が、キルギス五将の一角を崩すか。
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