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レポート

【DEEP】20歳の杉山空がキックからMMA転向3戦目で越智晴雄を破りストロー級新王者に「歴史を変えた」=『DEEP TOKYO IMPACT 2025 6th ROUND』

2025/12/16 14:12
 2025年12月14日(日)、東京・ニューピアホールにて昼大会『DEEP TOKYO IMPACT 2025 6th ROUND』が行われた(※夜大会『DEEP129』リポートはこちら)。 ▼DEEP ストロー級タイトルマッチ 5分3R×越智晴雄(Little Giant Gym)王者 27勝12敗2分 52.20k[判定0-5] ※27-30×3, 26-30×2 〇杉山 空(THE BLACK BELT JAPAN)挑戦者 3勝0敗 52.05kg※杉山が新王者に  越智は、2022年12月の中村真人戦でギロチンチョークで一本勝ちして以降、6連勝中。23年12月に佑勢乃花をスラムで1R KOし、ストロー級暫定王座につくと、23年5月のDEEPストロー級王座統一戦で、川原波輝に1Rギロチンチョークで一本勝ちで統一王者に。続く12月には多湖力翔に判定勝ち。25年3月のRIZIN香川大会では中務修良に3R、得意のギロチンチョークで一本勝ちしている。41歳。  対する杉山は、キックボクシングのNKBの元フライ級(50.8kg)王者。5歳からHEATジムで学び、レスリング歴6年。静岡県立裾野高校時代にキックプロデビュー。2024年6月に則武知宏に判定勝ちで初防衛に成功。キック戦績6勝1敗2分。MMA挑戦にあたりTHE BLACK BELT JAPANに移籍し、全日本アマパンクラスストロー級優勝を経て、25年4月のDEEPでプロMMAデビュー。多胡力翔に1R TKO勝ちすると、9月の2戦目では中務修良に1R 右フックからのパウンドでTKO勝ち。  越智の直近2試合の対戦相手2人を、越智よりも早いタイムでフィニッシュしており、中務戦後のマイクでは「もうやる相手は1人しかいない。自分がストロー級最強になるので、越智選手とタイトルマッチを」と、MMAデビューから3戦目でのタイトル挑戦を要求していた。  20歳。杉山は越智より21歳若いが、40戦の越智は38戦杉山より多く戦っている。王者がキャリアの差を見せるか、若き挑戦者が一気に頂点で駆け上がるか。  計量後、越智は「杉山選手はすごく若くて強くていい選手なんで、杉山選手を倒して、自分がDEEPストロー級で一番強いということを証明します」と王座防衛に向けてコメント。  対する杉山は「越智選手がすごい強いのは分かってるんですけど、自分が超えないといけないと思ってるんで、明日は自分が持っているすべてを出して勝ちたいと思います。盛り上がる試合になるので、皆さん応援よろしくお願いします。自分が勝ちます」と王座奪取に意気込みを語った。  1R、ともにオーソドックス構え。杉山の右ローに右ストレート、左フックを合わせた越智。杉山は尻餅を着くもすぐに立ち上がり。そこにダブルレッグでケージに押し込む越智。杉山は差し上げて右ヒザ、突き放して左ハイも足を滑らせる。  かわした越智が前に詰めて左フックも、そこに右のショートを合わせた杉山! 一瞬膠着した後方に倒れた越智。亀になると杉山がサイドバックから左で腰を抱えて右のパウンドを連打。越智は立ち上がり正対。  首相撲の杉山に胸に頭をつけて押し込み、体勢を入れ替える越智はそのままダブルレッグに移行。差し上げる杉山と四つになるが、ここで左小外を仕掛ける越智に、杉山は右手で越智の左腿を抱え、に差した左を差し上げて逆にテイクダウン! 越智は身体にまだ力が入っていないか。  しかし、ハーフから頭に腕を巻いてギロチンの動きに頭を上げた杉山の動きに合わせて立ち上がる越智。そこに首相撲ヒザの杉山にダーティーボクシングから右フックの越智に離れる杉山。  左を伸ばす越智に、右ローの杉山。いったん両者離れてから、ガード上に右フックの杉山。越智も左フックを見せる。右カーフを当てる杉山。左から右で入る杉山に、越智は右。しかし杉山の左ジャブに後退。杉山の右ローにはカウンターの左フックで飛び込む。  バックステップでかわす杉山。左フックから右ストレートの越智もまだ遠い。右ストレートで飛び込む杉山にブロッキングで左を返す越智。  しかし圧力をかける杉山は左ジャブから左ハイ。バックステップでさばく越智は左から右で押し戻すが、すぐに圧力をかける杉山は、右で飛び込み首相撲から、左を振った越智の脇を潜り、バックから左脇差し、右肩上でクラッチする首相撲で細かいヒザ。スタンドの肩固めも狙える形に。  杉山がヒザを打った瞬間に左腕を回して正対した越智。頭をアゴ下に押して右脇差し左肩口クラッチから右小外がけで崩すもも、ここも左小手の杉山が右に回して崩して右のパウンド。片ヒザ立ちから立ち上がる越智に右ヒザを突く杉山は左を伸ばすと、越智は離れる。  右カーフの杉山。その打ち終わりに左フックを狙う越智。さらに互いの左フックが交錯。近くなりダーティーボクシングの右は杉山が攻勢。圧力をかける越智に左フックを突く杉山は左ミドルもガード上に蹴る。なおも詰める越智に左前蹴りの杉山。下がりながら左ミドルハイをまたも越智の右腕に当てる。  2R、先に越智がワンツー左フックで前に。左に回ってさばいた杉山。さらにワンツー。バックステップでかわす杉山は右、左の逆ワンツーから歩いて左ハイに繋げる。バックステップでかわす越智は圧力をかけ直す。  左ヒザから組んだ杉山に対し、越智は右を差して組み。クラッチはさせなかった杉山は左小手にケージ背に。ブレイク。左フックで入る越智。左回りの杉山は右ロー、そこに左フックを狙い越智は空振り。左ジャブから左ローを当てる杉山。圧力をかける越智は杉山の左ジャブをかわして、両差し。ボディロックで組んだ越智がケージまでドライブ。  この試合3度目の右の小外刈り、さらに4度目の小外から右を差し上げて前に振ってからバックドロップの要領で後方にリフトする越智だが、ここも着地し、左小手で潰した杉山!  がぶる杉山に越智は立ち上がるもそこにヒザを突く杉山。ここで引き込みスイープを狙う越智だが下に。左枕で脇下に頭を入れる杉山に、首を狙う越智。  杉山は自陣コーナー前で指示を聞き、頭を抜いてインサイドガードからヒジ狙い。越智の立ち際にサッカーキック、首相撲ヒザの3連打! 越智の押し込みにがぶり。立ち上がった越智のバックに回り、右足をかけるが、正対する越智。ブレイク。  スタンド再開。左インローを打って、着地してすぐに左ハイをミット打ちのように打つ杉山、越智は右手でガードもダメージはいかに。ゴング。  3R、中央を獲る越智。越智のワンツーに右回りのサークリングで避ける杉山は、右から左の連打でケージに詰めてヒザに繋ぐ。クリンチの越智をケージに押し込む杉山は左ヒザ。越智は右に回って離れる。  左で飛び込む越智に、杉山は右手のグローブを挙げてアイポークか不具合をアピールすると越智も動きを止めるが、レフェリーは続行。左右で飛び込む越智に、左ハイを打つ杉山から右で差して組み。しかし、ケージに押し込んだ越智が、ボディロックからリフトして崩しも、着地する杉山は左小手で倒れず。越智のクラッチは切れる。ケージ背にしながら両差しの越智だが押し込まれたまま膠着ブレイク。  左ジャブで詰める越智。右に回る杉山は細かいステップを踏み続ける。杉山は左ハイ。ブロッキングの越智の懐に入ると四つに。体を入れ替える杉山はヒザを突いて押し込み、両腕を差し上げてケージに押し込みヒザから腰を下げて崩しに入るが越智も動かずブレイク。  越智の左ジャブを潜って自ら組む杉山。越智のバック狙いを右を振って剥がす。越智のプレッシャーに下がりながらの左ミドルを当てる杉山は、さらに越智の入りをダックでかわしてそのままボディロックでテイクダウン! そこに越智がギロチンを狙うが、「頭上げろ」という声に杉山はハーフから立ち上がり。その際でギロチンを狙った越智だがとらえられず。  スタンド。右バックフィストの杉山を潜った越智が前に出てバックヒジ。これをかわした杉山は右脇を潜る首相撲に組んでスタンド肩固めでクリンチに。腕を戻した越智と右四つに。レフェリーのブレイク。  残り24秒、越智は右、さらに左でなぎ倒して上に。パウンドで飛び込む越智に杉山はフルガード。パウンドから右に回ってサッカーキックを狙う越智に、カウンターの蹴り上げで尻餅を着かせた杉山はトップを狙うと、越智もシングルレッグに入るが、杉山は左小手で潰して右のパンチ。被弾しながら越智が立ち上がりゴング。  王座戦の5ジャッジの判定は、初回にダウンを奪った杉山が越智の組みに倒れず、首相撲で対抗。ギロチン対策も徹底して、5-0(30-27×3, 30-26×2)で勝利。DEEPストロー級の新王者となった。  キックからMMAに転向してわずか8カ月で3戦目にして、越智を破りベルトを巻いた20歳の杉山は「ちょっとしょっぱい試合してすみません。もう越智選手がすごい強くて。越智選手もチャンピオンとして4年間ずっとスロー級で無敗って言ってたんですけど、自分、歴史変えたんで。ストロー級でまだまだ世間からはあんまり評価されてないですけど、こうやって自分が歴史変えてるんで、ストロー級がもっと注目できるようにします。大きい舞台で戦うにはみんなの声が必要なので、みんなよろしくお願いします。  いつも応援に来てくれてくださる皆さんや、チームの仲間や鶴屋代表。あと一番感謝しなきゃいけないのは家族で、自分いつもわがままで迷惑かけてばっかりなんですけど、こうやって少しでも恩返しができたらいいと思います。これからもっとおおきな舞台で戦えるように。もっと自分自身強くなるんで、杉山空という選手を覚えてもらえたらいいなって思ってます。たくさん言いたいことあるんですけど、もっと自分、みんなに認められるように強くなるんで、これからも応援よろしくお願いします。やっぱ、格闘技最高です」と語った。 [nextpage] (※以降、試合詳報・写真追加します) ▼DEEP バンタム級 5分3R×小崎 連(リバーサルジム久喜WINGS)8勝2敗2分 61.55kg[2R 0分24秒 リアネイキドチョーク] ※左のダブルノックダウンから先に立った中務がRNC〇中務太陽(BLOWS)5勝0敗 61.40kg  小崎連は、中村倫也や芦田崇宏、ボクシング世界王者の内山高志を排出した花咲徳栄高校に進学し、名門の野球部に所属。チームは甲子園制覇もベンチ入りは果たせず、甲子園の地を自ら踏むことは出来なかった。DEEPフューチャーキングトーナメント2021で優勝。プロデビュー後はKROSS×OVERとDEEPで8戦して6勝0敗2分と負け無し。24年3月のDEEPで力也に1RKO勝ち。  5月のROAD TO UFCで中国のダーエミィスウ・ザウパースーと対戦し、1Rに右ストレートでダウンを奪うも、2R以降に組み負けて判定負け。9戦目でプロ初黒星を喫した。12月のDEEPでは魚井フルスイングに判定勝ち。25年9月の大阪大会では前園渓に判定勝ちしている。23歳。  中務太陽は、柔道ベースで全日本修斗フェザー級優勝、DEEPフューチャーキングトーナメント2023優勝。23年5月のプロデビュー戦で鷹辰を1R 腕十字に極めると、上田祐起、諏訪部哲平に判定勝ち。1年半のブランクを経て、25年4月のDEEP大阪大会で切嶋龍輝に2Rツイスターで一本勝ち。プロ戦績を4戦全勝としている。22歳。  20代前半対決は打撃の小崎と組みの中務の構図も、MMAでそれを活かすのはどちらか。  中務「久々の試合なんで、バシッと一本・KOなって、夜のメインの青井君につなげたいと思います」  小崎「明日はしっかり毎試合ごとに進化している自分を見せたいと思います」 [nextpage] ▼DEEP フライ級 5分2R×安谷屋智弘(氷ヲ刻メ/池田道場)19勝20敗3分 57.15kg[1R 2分32秒 TKO] ※左ストレート→スラム、パウンド〇力也(FIGHT FARM)14勝12敗 57.05kg  フライ級の実力者・安谷屋は、22年から白星と黒星を交互に繰り返して、MMA19勝18敗3分。22年に福田龍彌、23年にKENTAにスプリット判定で惜敗も、ヒロヤには判定勝ち。24年6月に濱口奏琉に判定勝ちしたが、25年6月の前戦で、平本丈をKOしている飴山聖也のボトムからのヒジ打ちで1R、ドクターストップによるTKO負け。38歳。  力也は、24年3月にバンタム級で小崎連に敗れるも、5月に山本有人に判定勝ち。9月に鹿志村仁之介に一本負けしたが、11月に吉田陸を肩固めに極め、25年3月に58kg契約で原虎徹をサウスポー構えからの右フックで1R KO。25年8月にフライ級で本田良介と対戦。左右連打から首相撲ヒザで追い込むも、テイクダウンからバックを取られてRNCで一本負け。  柴田“MONKEY”有哉の欠場で緊急参戦となった25年9月の前戦は、58.5kg契約で濱口奏琉を左右連打で1R TKOに下している。32歳。 安谷屋「明日の試合楽しみにしててください、今年最後の試合、しっかり仕上げます」 力也「しっかり準備してきたんで、熱い試合してバッチシ勝つんで応援よろしくお願いします」 [nextpage] ▼DEEP フライ級 5分2R ×松岡疾人(NEX SPORTS)57.10kg[2R 3分51秒 リアネイキドチョーク]〇松井優磨(KATANA GYM)57.10kg※シングルレッグテイクダウンから松岡の立ち際にRNC 松井「今回、戦う松岡選手、何度か試合見ていて、戦えたらすごい楽しみだなと思ってたんで、明日すごい戦えるのを楽しみにしてます。あと、めっちゃ貧乏なんで、スポンサーさん募集してるんで、応援よろしくお願いします」松岡「すみません、ちょっと計量遅れちゃって。まずはこのような舞台に呼んでいただきありがとうございます。負けて始まった今年ですが、一年の主体性しっかりですねええ、明日バッチリかって、ええ、今年終わります」 [nextpage] ▼DEEP フェザー級 5分2R 〇鈴木大晟(パラエストラ八王子)66.10kg[2R 1分13秒 リアネイキドチョーク]×藤井 連(FIGHTER'S FLOW)66.25kg※藤井の右の蹴りを掴んでTD、パウンド→RNC [nextpage] ▼DEEP 68kg 以下 5分2R ×今村 豊(POLAR GYM OSAKA)67.95kg[1R 3分07秒 TKO]〇カンジ(和術慧舟會HEARTS)67.95kg※がぶりヒザ→パウンド [nextpage] ▼DEEP ライト級 5分2R 〇井上竜旗(剛毅會)70.95kg[判定3-0] ※20-18×2, 20-17×野尻大輔(パラエストラ八王子)70.75kg [nextpage] ▼DEEP 60kg 以下 5分2R〇仁井田右楽(JAPAN TOP TEAM)59.95kg[1R 2分55秒 リアネイキドチョーク]×左京(レンジャージム)60.00kg  1R、仁井田の左に右をかぶせてダウンを奪う左京だが、サイドバックからパウンド時に足をすくわれ下に。左京の立ち際に仁井田がバックに回り、4の字でリアネイキドチョーク。 [nextpage] ▼DEEP フェザー級 5分2R ×菊川イサム(KATANA GYM)66.10kg[判定0-3] ※18-20×2, 19-19マスト権藤〇権藤大剛(KNOCKOUTクロスポイント・パラエストラ吉祥寺)66.10kg [nextpage] ▼DEEP JEWELS ストロー級 5分2R ×横瀬友愛(BELVA)52.55kg[判定0-3] ※19-19マスト堀内×3〇堀内美沙紀(FIGHT BASE都立大)53.00kg→52.65kg [nextpage] ▼DEEP バンタム級 5分2R 〇柴田修杜(FIGHTER'S FLOW)61.60kg[1R 3分44秒 肩固め]×ハイメ(フリー)61.70kg    バレーボールで活躍した柴田。いきなりダブルレッグテイクダウンを決めると、ハーフから右で脇差しパスガード。サイドからクルスフィックス。ニーインからマウント、肩固めでサイドに出て絞り、ハイメを失神させた。 [nextpage] ▼DEEP フライ級 3分2R アマチュアSルール ×秋元優志(フリー)57.10kg[判定1-2] ※19-19マスト国分×2, 19-19マスト秋元〇国分獅斗 (THE BLACK BELT JAPAN)57.00kg [nextpage] ▼DEEP バンタム級 3分2R アマチュアSルール 〇高尾凌生(JAPAN TOP TEAM)61.65kg[1R 1分50秒 TKO]×菊池佳歩(IRIE BASE)61.60kg※菊池の左に高尾が左フック合わせてダウン奪い、パウンド [nextpage] ▼DEEP バンタム級 3分2R アマチュアSルール 〇佐藤聖優(JAPAN TOP TEAM)61.40kg[2R 4分46秒 反則] ※グラウンド状態での頭部への蹴り×佐藤 凛(KATANA GYM)61.05kg
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