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【柔術】ヒクソンの茶帯・髙田延彦、63歳の優勝を語る「柔術に出会えて良かった」

2025/09/22 12:09

髙田延彦の柔術を探し続ける

 試合から一夜明けた髙田は、今回の挑戦を「8月の怪我から思考も運動もすべてをストップして何もやれてない状況を考えたら、直前に出ると決めてあの場所に立てた事だけでオールOKだね! 相手の選手も強かったので勉強にもなりましたし、次へ向けた良い経験になりました」と振り返った。

 UWFインター時代は105kgあった体重を、10kg以上落として柔術に取り組んできた。試合は道衣込みで-94.1kgとなるが、怪我からの復帰でもあり、今回は初めて減量らしい減量をすることになったという。

「今まで減量をした事がなくて、今回リミットオーバーで会場入りしてから最終計量まで汗をかいたり、トイレで絞り出したり、膝のテーピングを減らしたり、ラッシュガードを脱いで、最後の最後には道衣の下は短パン無しのブリーフのみで計量をジャストクリアしたんですが、ホントのギリです。今は笑い話ですが、笑っちゃうよね! 私自身、最後は(そもそも試合は)無かったようなもんだから、まあ体重落ちなきゃいいか! くらい気楽な感じでしたが、周りが、仲間たちが必死でしたよ。皆んなありがとう」と笑顔で語った。

 63歳になり、8月28日の米国ラスベガスでの『IBJJFワールドマスター柔術選手権 2025』にエントリーしたものの、直前に負傷し、試合を断念していた。

「8月にラスベガスのワールドマスターに向けた稽古で二度の右脹脛肉離れをやらかしたんだけど、マジで二度目は精神的に効いちゃった。ベガス出発2日前だもの、荷造りも始めていよいよって日にブチっとやらかした! さすがに、しばらく気持ちが立ち直れなかった。すべての運動をストップしました。悔しさと情けなさと悲しさで何もやりたくなくてね、数カ月前から、いや、イメージの中では1年前から、その日を意識をしながら柔術に取り組んできたから、凹みレベルはMAXでした。前回、前々回は心臓疾患で諦めた。“まさか今年もかよ”って3年越しの目標が潰えた」と、1年間かけてイメージトレーニングから作ってきた機会が潰えて、一時は落ち込んだと明かす。

「実はベガスの後に、この大会に出るプランもありました。それも一度は怪我で飛びましたが、R柔術のシゲ(山田重孝代表)とやり取りしながら、彼がソフトに背中を押してくれてね。“今はそんな気分になれないが、時間治療で前向きになれるかも”と、あくまでも“かも”でした。身体もなまりきってるしね。ところが入ったんだよね、スイッチが、カチッと」と、今回は直前にスイッチが入ったという。

「要するに俺には時間がないんだよね! あちこち古傷だし、来年なんてどうなってるか誰にも分かりはしないのよ。だから今を無駄に流してはならない。多分そんな気分になってきてさ、直前にひっくり返ったんだろうね! 嘘みたいなホントの話が」と、試合出場を決めた経緯を語る。

 今回の勝利で『SJJIFワールド』では紫帯と茶帯で2連覇を達成したことになる。昨年から髙田は米国のマイアミにある、ヒクソン・グレイシーの道場を再三訪れ、プライベートレッスンを受けてきた。PRIDE時代に2度戦ったヒクソンから、いまは茶帯を授かっている

「力を使わない梃子の原理、相手に合わせて返す柔術の原理」などを、パーキンソン病とも闘うヒクソンから指導を受けてきた。今年も髙田はマイアミに向かうという。

「11月にシゲとヒクソン先生の教えを乞いにマイアミに行ってきます。何よりいまから楽しみでなりません! 俺が言うのも変だけどさ、とにかく柔術は奥行きが凄く深いからね。冗談ではなく俺にはリハビリだったり、脳トレだったりもする(笑)」と、ヒクソンの柔術のさらなる奥に入って学びたいとした。

 今後の目標は、自らの柔術の探求にあるという。

「これからも目を凝らしてコツコツやっていくだけです。それが大切なの、楽しみながらね。人生なんだから。

 もう一つ、元には戻らぬ古傷と仲良くしながらいきたいね。新たな怪我と出会わないように注意を払いながら、自分に合う、髙田延彦の柔術を探し続けます。怪我してやれなくなるのは絶対に嫌だからね! それにさ、器用に色んな事やれないからね! 自分のストロングポイントを探しながら磨き続けながら“髙田型”を形成していきたい。

 改めて柔術に出会えて良かった、明らかに生き方が変わりました。人生の時間の感じ方も変わりました。合わせていつもフォローしてくれる仲間たちに感謝、エジソンさん始め、今大会の運営にも感謝です」──髙田型の柔術の探求はまだまだ続きそうだ。

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