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【UFC】“ライオンハート”アンソニー・スミスが引退。「試合を始めたとき、僕はホームレスだった。ブルーシャツのみんなにもありがとう」

2025/05/01 12:05
【UFC】“ライオンハート”アンソニー・スミスが引退。「試合を始めたとき、僕はホームレスだった。ブルーシャツのみんなにもありがとう」

(C)Zuffa LLC/UFV

 2025年4月26日(日本時間27日)、米国ミズーリ州カンザスシティのTモバイルセンターにて、『UFC Fight Night: Machado Garry vs. Prates』(U-NEXT配信)が開催された。

 コメインのライトヘビー級戦では、UFCベテランの“ライオンハート”アンソニー・スミスがラストマッチに臨んだ。

▼第13試合 ライトヘビー級 5分3R
〇ジャン・ミンヤン(中国)19勝6敗(UFC3勝0敗)※UFC3連勝
[1R 4分03秒 TKO]※パウンド、ヒジ
×アンソニー・スミス(米国)38勝22敗(UFC13勝12敗)

 試合は、18勝中12のKO・TKO勝ちを誇るストライカーのミンヤンに打ち合いで勝負したスミスだが、ミンヤンのヒジで頭をカット。テイクダウン狙いも切られ、引き込み下に。ミンヤンがハーフからヒジを連打。打たれ続けるるスミスを見てレフェリーが間に入った。スミスはオープンフィンガーグローブを外して引退を表明した。

 母親と祖父によって育てられたスミスは、高校を中退し、その後は道路舗装業の仕事をしながら格闘技のトレーニングを始め、2008年に19歳でプロMMAデビューし、中西部のローカル団体を主戦場に戦ってきた。2012年8月のStrikeforceでメジャーデビュー。2013年6月にUFC参戦も、アントニオ・ブラガ・ネトに一本負けで1試合でUFCからリリース。その後、Bellator、CFFC、RFA、VFCを経て、2016年にUFCと再契約。UFC戦績13勝12敗。ミドル級からライトヘビー級にジャンプアップした後、2019年3月にはライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズに挑戦も反則のヒザ蹴りを受けるなか判定負けで戴冠ならず。2020年には、自宅に不法侵入した強盗と遭遇。激闘の末、警察に引き渡したことで話題となったが、近年は黒星が先行していた。2024年11月に長年のコーチだったスコット・モートンが心臓発作で他界したことも引退のきっかけとなっていた。

 試合後、マイクを向けられた36歳のスミスは、「大丈夫だと思ったんだけど、一度だけヒジで切りつけられたときに、目から出血したんだ。ジャン・ミンヤンはクリンチで素晴らしい仕事をする。聞いてくれ、5年前は勝てる相手だった。俺は歳をとった。それが現実だ。彼は素晴らしい選手になるだろうし、彼のキャリアが成長するのを楽しみにしている」と、UFC3連勝の26歳のミンヤンの将来に期待した。

 続けてテキサス州出身のスミスは、「まずはじめにあなた方一人ひとりに感謝したい。僕のキャリア全体を通して、特に中西部は僕の背中を押してくれた。僕はここカンザスシティのファイトで家を作った。みんなのことが大好きだ。ストライクフォースから引き抜かれた時、何もないところから引っ張ってきてくれたダナ、ハンター、ショーン・シェルビーにも感謝したい。

 そして“ブルーシャツ”(UFCセキュリティ担当者)の皆さん、警備の皆さん、メイクの女性に至るまで、すべてのスタッフの皆さんが僕の人生に影響を与えてくれた。この試合を始めたとき、僕はホームレスで何もなかった。そして今、このプラットフォームのおかげで、家族、4人の可愛い娘たちを育てることができ、かつての僕が手に入れることのできなかった生活を子供達に与えることができた。心から感謝しています」と、地元のファン、そしてUFCの裏方を含む関係者たちに感謝の言葉を述べた。

 そのままオクタゴンを去ろうとすると、インタビュアーのポール・フェルダーから、「ビッグアンソニーが行く前に、UFCは君のために何か特別なことをして、君のキャリアと君がもたらしてくれた素晴らしいファイトとパフォーマンスにハイライトを当てたようだ。ビッグスクリーンを見てください」と、特別に編集されたハイライトビデオが流された。

 ビデオを見ながら涙を流すスミスに、フェルダーは、「アンソニー、おめでとう。この場にいるすべてのファン、UFC、そしてあなたと仕事をした人、あなたのキャリアの一部となったすべての人たちから、あなたがここに足を踏み入れるたびにハートを見せたことで、絶対的に伝説的なキャリアになりました。あなたは一秒たりとも無駄にすることなく、美しい家族と一緒に引退生活を楽しんでください。最後にもう一度、すべてを受け止めて、何か言いたいことがあればマイクをどうぞ」と言葉をかけた。

 スミスは「何を話せばいいのかわからない……あれは俺がやったのか(苦笑)。君たちには感謝している。来週は悲しむことができるけど、今夜は感謝の気持ちを持つことにするよ。ありがとう、カンザスシティ」と答え、オープンフィンガーグローブをマットに置いて、ケージを後にした。

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