Krush.1712025年2月24日(月・祝)東京・後楽園ホール
▼メインイベント(第11試合)Krushライト級トーナメント決勝戦 3分3R延長1R〇西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)KO 1R 2分29秒 ※左フック×古宮 晴(昇龍會)※西京がトーナメント優勝。 8人で争われたワンデートーナメントの決勝戦は、1回戦・準決勝ともタフなファイトを勝ち抜いてきた優勝候補・西京と古宮で争われた。 セミファイナルが2RでKO決着だったため、短い休憩で始まった。
1R、距離を探り合う両者。古宮はボディへのワンツー、西京は左インローと前蹴り。古宮が飛び込んでくるとワンツーを合わせていく西京。古宮の左ミドルに左フックを合わせにいくが空振り。西京は右カーフから右ハイ。両者とも相手の攻撃をステップでかわしていく展開が続く。右をフェイントにして西京はいきなりの左フックで最初のダウンを奪うと、立ち上がった古宮にワンツー・スリーでの左フック。古宮がダウンし、西京のKO勝ちとなった。
コーナーに登り、勝利をアピールする西京。古宮はコーナーに座って号泣。勝者と敗者のコントラストは鮮やかだった。 優勝トロフィーと賞金を手にした西京はマイクを持ち「ありがとうございました。むちゃむちゃ疲れましたね。1回戦で足を痛めて正直準決勝も決勝もメンタル的にきつかったんですが、何とか気合いで優勝できました。最後はKOでいい感じで締められたと思うので、次はK-1のチャンピオンを目指していくので注目お願いします」と話した。 試合後のインタビューには車椅子で現れ、「過酷すぎました。1試合終わって回復する時間が全然なくて疲れ切った状態で準決勝、決勝でした。足は準決勝も厳しいなって感じで。足で倒れなくない、その気持ちで戦いましたが、準決勝で狙われて1R危なかったです」と振り返り、優勝できた要因は「気持ちですかね。準決勝、決勝は気持ちでした」と強い気持ちで乗り切ったと語った。
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▼セミファイナル(第10試合)Krushスーパー・バンタム級 3分3R延長1R〇岩尾 力(POWER OF DREAM)KO 2R 2分29秒 ※右ストレート×河野直次郎(CLIMB GYM)
1R、岩尾は左フックを狙い撃ちにして何度も叩き続けると、中盤からは左ボディブローを連発。何度も力強い左ボディを叩き、右ストレートがヒットするとすかさずもう一度右ストレートを打ってダウンを奪う。
2Rも左右ボディで攻める岩尾。強烈な左ボディを決め、右フックでダウンを奪う。最後は矢のようなワンツーで右ストレートをさく裂させ、強烈なダウンを奪ってKO勝ち。
岩尾はマイクを持つと「気合いが入っていい練習が出来ました。前回、試合負けてしまって僕の可愛い家族に悲しい思いをさせてしまって。いつも負けると子供が次は誰とやるの、勝ってきてよと言われてそれが励みになって練習が頑張れています」と語った。
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▼第9試合 Krushライト級トーナメント 準決勝第2試合×天野颯大(キング・ムエ)判定0-2 ※30-30、29-30×2〇古宮 晴(昇龍會)※古宮が決勝戦へ進出。
1R、この試合もアグレッシブにコンビネーションを出していく天野。最後にローを蹴る。古宮は右カーフを狙い撃ちにし、伸びのあるワンツー。天野は飛び込んでの左フックをヒットさせるが、天野も右を打ち返す。
2R、伸びのある右ストレートをしっかり当てていく古宮は、左ボディもヒットさせる。天野は前へ出て負けじと左ボディ。それでも手数やヒット数が多いのは古宮。終盤には得意の顔面前蹴りを2発見舞い、均衡を破った。天野はハイキックを放つ。
3R、天野が距離を詰めていき、逆に顔面前蹴り。左右フックを打って行く天野に古宮は至近距離からでも高い蹴りを打ってくる。ガムシャラに攻める天野は身体で押していき、最後は左右フックを振り回す。古宮も譲らず打ち返し、意地の張り合いとなった。
判定は2-0での僅差で古宮が勝利。大善戦の天野を振り切った。
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▼第8試合 Krushライト級トーナメント 準決勝第1試合×昇也(士魂村上塾)判定0-3 ※27-30、28-30×2〇西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)※西京が決勝戦へ進出。
1R、のしのしと前へ出る昇也が西京の1回戦でダメージを負った左足を狙い撃ち。西京はローを蹴ってくる昇也のワンツーを打って行く。これにローを蹴りにくくなったか、昇也がパンチに切り替え、西京が右フックでダウン気味に昇也をスリップさせた。
2Rも前へ出ていく昇也だが、そこに西京がパンチを出していく。左右フックにアッパー、昇也はもらう場面が増える。なかなかローを蹴ることが出来ず、左フックで西京のバランスを崩す場面もあったが、西京の手数が優った。
3R、西京のショートのフック&アッパー、離れてんの右ストレートがヒットしていく中、昇也はインローを蹴り、左フックを打つ。全体的に西京の手数が多く、右フックと右アッパーの印象も強く西京が判定勝ち。決勝進出を決めた。
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▼第7試合 Krushフェザー級 3分3R延長1R〇橋本雷汰(ALONZA ABLAZE)判定2-1 ※10-9×2、9-10×大脇 武(BOND GYM)※30-29、29-30、29-29
1R、サウスポー同士。圧をかけていくのは橋本で、大脇はロープ伝いに動いていく。互いにカーフを蹴り合い、終盤には橋本が大脇をコーナーへ詰めたが有効打はなくラウンドを終えた。
2Rも圧をかけるのは橋本。コーナーへ大脇を詰めるが、ここで大脇が反撃。両者が交互にパンチのコンビネーションを繰り出す攻防が続き、互いにフックを当て合う。
3Rも橋本がコーナーへ詰めての打ち合うが続く。橋本の左ストレート、右フックがヒットして優勢かと思えば大脇はバックハンドブロー。
優劣つけがたい攻防で本戦の判定は三者三様のドロー。延長戦へ。細かく手を出す大脇に橋本は強い右ボディ。両者とも前へ出て接近戦でのフック、橋本は右ボディ。両者胸を合わせての押し合いが多くなる。その中で強いボディを打って行ったのは橋本。
判定はまたも割れたが、判定2-1で橋本が接戦を制した。
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▼第6試合 Krushスーパー・バンタム級 3分3R延長1R×内田 晶(チーム・タイガーホーク)判定0-3 ※28-30×3〇齊藤龍之介(ドージョー☆シャカリキ)
1Rはスピードを活かしたジャブ、右カーフで齊藤が先手をとっていった。内田も前へ出てカーフを蹴るが、ジャブに阻まれる。
2Rもスピードで先手をとっていった齊藤が左ヒザを突き上げ、チャンスをつかむ。ここで齊藤がパンチをまとめるも、内田も左ミドルからの右ストレートで逆襲。カーフを蹴っていく。
3Rは内田が一気に前へ出て勝負を仕掛けていく。荒々しくパンチを打つ内田に、齊藤はジャブ、右ミドル、右アッパーと攻撃を当てていく。ガムシャラな内田に比べて確実に当てていく齊藤が判定3-0で勝利を得た。
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▼第5試合 Krushライト級トーナメント 1回戦第4試合〇古宮 晴(昇龍會)判定3-0 ※30-27、30-27×3×永澤サムエル聖光(林商店)※古宮が準決勝へ進出。
古宮は聴覚障害のハンディを持ちながらもABEMAの『格闘代理戦争』で史上初の3人抜きに成功するなど大活躍。2020年4月にプロデビューし、2021年8月にはK-1甲子園 -65kgで優勝を飾った。プロでは2戦目で初黒星を喫するも、その後は5連勝と波に乗った。2024年はDEEP☆KICKに参戦し、6月には第6代DEEP☆KICK-63kg王座を奪取。10月のK-1では篠原悠人をKOしたが、12月のKrushで西京佑馬に敗れた。戦績は10勝(3KO)3敗。
永澤は新日本キックボクシング協会で日本ライト級1位まで昇りつめ、トップランカーとして活躍。ジャパンキック旗揚げ後は2020年1月大会で興之介を右フックでマットに沈めて第2代ライト級王座に就き、9月にはNJKFで鈴木翔也からダウンを奪っての判定勝ちでWBCムエタイ日本統一バンタム級王座も獲得。2022年7月にWMOインターナショナル王座決定戦をコンデートと争い、判定勝ちで三冠王となった。2024年8月、Krushに初参戦も里見柚己に初回KO負けを喫した。11月、第6代Krushライト級王者の瓦田脩二に判定勝ちで初勝利。戦績は29勝(12KO)12敗4分。
1R、得意の蹴り技で先制した古宮は、スピードと伸びのあるワンツーもヒットさせ、これに永澤がグラつく。スリップで倒れて起き上がった永澤は動きもスローで足元がふらついていたが、徐々に立て直して左ボディ、左ローも蹴る。
2Rは永澤がペースを上げて打ち合いに行ったが、古宮が左ボディからの左フックでダウンを奪取。しかし、立ち上がった永澤が左右フックとアッパーで逆襲。しばらく古宮を追いまわす展開となったが、息を吹き返した永澤が前蹴りとハイキック、ワンツー、左ボディで優勢に。
3R、スピードで優る古宮がワンツーをヒットさせ、蹴りも放つ。そのスピードに永澤は追いかけていきパンチを出し続ける。左ローはヒット。古宮がステップで永澤の攻撃をかわし、当てるを繰り返し、判定3-0で準決勝へ進出した。
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▼第4試合 Krushライト級トーナメント 1回戦第3試合〇天野颯大(キング・ムエ)延長R 判定3-0 ※10-9×3×児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)※本戦の判定は29-30、30-30×2。
天野はK-1甲子園2021で-60kg優勝を飾り、2021年11月にプロデビュー。2023年7月、12月と連続KO勝利を収め2024年7月に友尊にもKO勝利してK-1グループで4連勝中。6月にはムエタイスーパーファイトにも出場し、TKO勝ち。11月のKrushではかつて王座挑戦経験がある西元也史をも初回TKOするなど波に乗っている。戦績は8勝(6KO)2敗。
児玉は2020年11月からKrushに参戦し、2戦目で提髪和希に判定で敗れるもその後は3連勝。2023年6月にKNOCK OUTの大谷翔司に判定で敗れ連勝はストップしたが、2024年1月には第6代Krushライト級王者・瓦田脩二からKO勝利、12月に第9代Krushライト級王者・伊藤健人に判定勝ち。戦績は7勝(2KO)2敗。
1R,ジャブを多用する児玉に天野は右カーフ、左奥足ロー、左インローと様々なローキック。さらにプッシュを織り交ぜてからの攻撃。中盤までは天野の手数が目立つ。児玉はジャブ、右ストレート、ハイキックと終盤は攻めに回った。
2R、児玉は顔面前蹴りと右ボディ。天野はローへとつなぐコンビネーションを回転させていくが、やはり児玉のパワーが目立つ。児玉の左右ボディ、右ボディからの右フック。天野も奥足ローを対抗するが、終盤に児玉が右フックを連続ヒットさせて山場を作った。
3R、児玉のジャブ、左右ボディからのフックに天野も負けじと打ち合うが、一発の重さに違いを感じさせる。それでも天野はコンビネーションを回転させ手数で対抗。児玉の右フック、右ストレートをもらっても怯まず打ち返し、ラスト10秒では児玉にロープを背負わせての打ち合い。児玉も応じて打ち合ったが、判定はドローに。
延長R、児玉が左右ボディ、天野も右ボディストレートを返す。天野はダッキングで児玉のパンチを避けて前へ出るがなかなか手が出ない。それでも前へ出て児玉を押していき、パンチを打つ。前へ出続け、ダッキングから攻撃の姿勢を見せる天野。児玉はこのダッキングに右ストレートを合わせに行くが、判定は3-0で前へ出た天野を支持。
優勝候補の児玉を破る番狂わせを起こし、児玉はリング上で号泣。勝った天野もダメージが心配される接戦だった。
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▼第3試合 Krushライト級トーナメント 1回戦第2試合〇西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)判定3-0 ※30-29×2、30-28×弘輝(WORLD TREE GYM)※西京が準決勝へ進出。
西京はK-1甲子園2016 -60kgで優勝し、2017年4月にプロデビュー。2019年3月にわずか7戦目にして島野浩太朗を破り、18歳で第8代Krushスーパー・フェザー級王座に就いた。しかし、同年9月の初防衛戦でレオナ・ペタスに敗れて王座を失い、ライト級に階級を上げると2021年3月のK-1で篠原悠人に勝利。12月にはゴンナパーに判定2-0で惜敗。2022年8月の試合を最後にリングから遠ざかったが、2024年8月に復帰。加藤港をKOすると12月には古宮晴に判定勝ちと連勝。戦績は11勝(4KO)5敗。
弘輝は2020年6月にKrush初参戦を果たしたサウスポー。当初は黒星が続き、2022年6月の明戸仁志戦でKO勝ちすると9月の伊藤健人戦で判定勝ちとK-1 GROUPで初の連勝。12月のK-1では篠原悠人に判定で敗れるが、2023年9月にKNOCK OUTから参戦したREITO BRAVELYをダウン応酬の末にKOした。2024年2月、大岩龍矢との試合で計量をパス出来ず、判定で敗れている。9月には“狂拳”竹内裕二にTKO勝ち。戦績は11勝(8KO)8敗1分。
1R、サウスポーの弘輝はいきなりの左ストレートと左インカーフ。この左ストレートは西京に読まれた感があったが、左インカーフでは西京の足を跳ね上げる。西京はスピードのある左から右のコンビネーションを繰り出していくが、1Rは慎重だった。
2R、弘輝の左インカーフに何度も足が流れrう西京。スピードのあるワンツー、左フックからの右ストレートを放つが決定打にはならず、ガードを固めて前へ出る弘輝に下がる展開が続く。
3R、弘輝の左インカーフと左ストレートに苦しむ西京だったが、弘輝にロープを背負わせるとワンツーを左右フックを連打して弘輝を釘付けに。弘輝も左ストレートの連打で西京を下がらせるが、すぐに西京がワンツーでペースを取り戻す。
判定3-0で西京が勝ちをもぎ取ったが、左足のダメージに不安を残した。
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▼第2試合 Krushライト級トーナメント 1回戦第1試合〇昇也(士魂村上塾)KO 2R 2分40秒 ※右フック×伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ)※昇也が準決勝へ進出。
昇也は2019年12月のBigbangで行われた王座決定戦を制して第4代Bigbangスーパーライト級王者となった。2021年4月にKrush初参戦。瓦田脩二、児玉兼慎には敗れたが、2022年10月に瓦田脩二から延長戦の末に判定勝ちでリベンジ成功。2023年8月に古宮晴から延長戦で勝利を奪うとKrushでは3連勝している。サウスポーから多彩な蹴り技を繰り出し、左フックを強打するタイプ。戦績は22勝(8KO)11敗3分。
伊藤は3連敗を喫した後、2022年6月に階級をライト級に上げて初戦で南雲大輝に2RKO勝ち。9月は弘輝に判定で敗れるも12月は鈴木翔也に判定勝ち。2023年2月には堀井翼から得意の右フックでダウンを奪って判定勝ちした。7月にはK-1でティントーンからも判定勝ち。2023年9月のK-1横浜大会で里見柚己をKOし、2024年2月に里見が保持するKrushライト級王座を懸けての再戦でもKO勝ちして王座に就いた。しかし、7月の初防衛戦で大岩龍矢に敗れて王座を失い、12月は児玉兼慎に判定で敗れた。戦績は15勝(5KO)14敗4分。
1R、伊藤はサウスポーの昇也に右ミドルと右インカーフ、昇也も左インローを蹴っていく。打って、蹴って左へ回り込んでいく伊藤。ワンツーをもらった昇也は打ち合いに行くが、伊藤はこれに突き合わずテンカオを突き刺す。
2R、蹴りから右ストレートを当てていく伊藤だが、昇也の左フックをもらってガクッと腰を落とす。このチャンスに一気にパンチで畳みかける昇也。伊藤も打ち返しながら左へ回り込んでいき、昇也に詰めさせない。逆に右フックを連続ヒットさせ、流れを完全に斗ぢ戻したかに見えたその時、コーナーを背負った伊藤に昇也の右フックが爆発。
崩れ落ちる伊藤。立ち上がるも足元がフラつき、昇也の見事なKO勝ちとなった。しかし、右目下が大きく腫れあがり、準決勝への影響が懸念される。
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▼第1試合 Krushライト級GP 2025・リザーブファイト 3分3R延長1R×友尊(TEAM K/BLUE DOG GYM)延長R 判定0-3 ※9-10×3〇SEIYA(POWER OF DREAM)※本戦の判定は28-29、29-29×2。
1R、友尊が強い左インローからさっそくインファイトでボディから顔面へのラッシュ。SEIYAはインファイトで体勢を低くする友尊にヒザを突き上げる。右ハイをヒットさせたSEIYAがラッシュに出るが、友尊が体を入れ替えて逆にラッシュ。SEIYAは右インローでそのラッシュを止める。
2R、右インローを中心に蹴り主体のSEIYA。蹴りを上中下と散らしていく。踏み込みのスピードが鈍ってきた友尊を前蹴り、ミドルで止め、入ってくれたテンカオを突き刺すSEIYA。さらに左ハイもヒットさせた。
3R、序盤にラッシュを仕掛けてSEIYAに鼻血を出させた友尊だが、SEIYAの右インローに大きくバランスを崩す。さらに右ストレートもヒットさせる。友尊も左右フックと左右ボディで応戦し、SEIYA有利かと思われたが判定はドロー。
延長R、最初に仕掛けたのは友尊もその後は失速。SEIYAが左インローとワンツーで攻撃を仕掛けていき、両者消耗してホールディングが多くなるがSEIYAが手を出し続けて判定勝ち。リザーバーの権利を手にした。 大会終了後、宮田充K-1プロデューサーは第1試合のリザーブファイトで勝利したSEIYAが、眼窩底骨折の疑いで病院へ運ばれ、リザーバーがいない状態でトーナメントが進められていたことを明かした。