2025年2月8日(土)日本時間朝10時からタイ・バンコクで開催される『ONE Fight Night 28』(U-NEXT配信)のストロー級MMAで、現在3連勝中のリト・アディワン(フィリピン)と対戦する山北渓人(リバーサルジム新宿Me,We)が試合前のONE公式インタビューに応じた。
▼ONEストロー級(※56.7kg)5分3Rリト・アディワン(フィリピン)16勝5敗山北渓人(日本)4位・10勝1敗
山北は、2024年1月の東京大会でボカン・マスンヤネに判定負けするまで8戦無敗。3月のカタール大会でジェレミー・ミアドを相手に1R ブルドッグチョークで一本勝ちし、早々に再起を遂げると、8月に猿田洋祐と日本人対決に臨み、ノンストップアクションの激闘の末、スプリット判定勝ち。ONEストロー級4位につけている。
対するアディワンは3連勝中。2021年にジャレッド・ブルックスに肩固めで敗れ、2022年にジェレミー・ミドにアクシデントによる負傷TKO負けで連敗したものの、2023年9月にエイドリアン・マティスに1R TKO勝ちすると、11月にミアドにカーフを効かせて判定勝ちでリベンジ。2024年2月にダニエル・ウィリアムスからダウンを奪う判定勝ちで3連勝をマークした。対日本人では2勝1敗、2019年に仙三に負傷TKO勝ち、2020年に箕輪ひろばにスプリット判定負け、2021年に川原波輝を2R TKOに下している。
右の強打を持つ危険なストライカーで極めも持つアディワンを相手に、打撃向上が著しい山北はいかに立ち合い、組み勝つか。
2025年1月11日の『ONE Fight Night 27』ではフライ級からストロー級転向の和田竜光が、MMA12戦無敗サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)に判定負けしており、ストロー級は日本人選手でも苛烈なトップ争いが続く。
アディワンは組んでも油断できない
──コンディション含めハイドレーション対策などはいかがですか?
「ハイドレーションは最初やった時はすごい慎重にやっていたんですけど、最近はやり方もわかってきて、ちゃんと良い具合いに食べて動けて前の試合から減量がだいぶ楽になっています」
──2024年8月の前戦(猿田洋祐戦)をどのようにとらえていますか。
「猿田選手は僕が格闘技をやる前から観ていた選手ですし、ONEでもチャンピオンになっていて、自分のキャリアで目標にしていた選手でした。その猿田選手と戦えて、一つの区切りができた感じです。勝つことで、そこもしっかり超えられたし。ただ、それでも猿田選手は強かったし、自分が負けている部分も全然あったし。だからこそ勝てたということが自信に繋がりました。その上でどこを強化すべきか、というのが見えた試合でもありました」
──強化すべき点が見えたとおっしゃっていましたが、練習を行う中で、今どの部分に手応えを感じてますか?
「猿田選手は柔術的な動きが凄くて、試合でもスイープされて上を取られることが結構あって。だからトップキープを安定させるため、普段の柔術の練習でも簡単に下にならないことを意識するようになって。やっぱりMMAをやるには、下より上を取れた方が良いと思うので。自分はレスリング出身ですが、やっぱり上の方が強いのを再確認できました。その上で柔術とレスリングを融合させる動きを意識して練習してきました」
──今後はファイトスタイルも少し変わっていく感じですか? これまでは下からも攻める感じの動きがありましたが。
「もし極めることができるのであれば、やっぱり下から極めたい。それが一番理想なのですが、下から攻め続けて試合負けてしまった事があったし。下から攻めるのは自分的には良い事だと思うので、上からの攻めの動きを混ぜながら。基本はトップキープから一本を狙いたくて、下になった場合はスクランブルを仕掛けながら極めを狙っていくスタイルがONEの判定基準にもあっていると思います。下になるのを怖がらず、すぐにリカバリーするイメージの動きを意識しています」
──対戦相手のアディワンの印象は? 警戒点などあったら教えて下さい。
「ストライカーで、凄いパンチを振ってくるので、結構当たると危ない選手だと思っています。組みの力も凄く強い印象があります。ストライカーだと“組んだらいけるんじゃないか”と思ってしまうのですが、彼の場合は組んでも油断できない。彼は極めでも勝っていますから。組みの展開でもしっかり丁寧に対処します」
──逆に自分からスタンド勝負に行く選択肢もあるのですか?
「打ち合うというより、しっかり打撃を出していくつもりです。組みだけでいくとタックルを切られ易くなるので。こちらからも積極的に打撃を出していく動きを見せないと。だから、しっかり打撃でも勝負する姿勢を見せて、メインはやっぱり組みで一本を狙っていきたいと思っています」
──そういう意味で言うと、今回は互いの距離の勝負にもなるかと思いますが、その点はいかがですか?
「相手は自分の距離感でやると言うか、近づいたら振り回すみたいなそんなイメージ。だから、こっちが結構動いて、良い所を取りに行くっていう展開になるかと思っています」
──では、勝ち筋は山北選手が終始動きながら自分の主導権を握っていくようなイメージでしょうか?
「そうですね。やっぱり相手は打ち合いが強い選手だと思うので、足を止めていると向こうのやりたい展開になってしまうと思うので、こっちは動き続けて、的を絞らせないようにしてテイクダウンを狙っていきたいです」
──戦略を考える上で、ラディワンの攻略方法は何パターンほどイメージしたのでしょうか?
「パターンというより意識しているのはスタンドで的を絞らせないこと。あと、試合を見ているとクローズドガードからのキムラロックが得意そうなので、クローズドに入りたくない。1回パスを入れるとか。その辺りは意識しています」
──連戦になってしまいますが、3月の日本大会に連戦するアピールも意識していますか?
「そうですね。特に日本人に注目される大会なので日本大会にはやっぱり出たいと思います。今回しっかり完勝して、日本大会でもう1試合したいです」
──日本大会の話も出ましたが、今年はどのような展望を持っていますか?
「去年にONEのランキングに入れたので今年はタイトルマッチを。今回まで相手はノーランカーですが、次の試合ではランカーとやって、その後にタイトルに挑戦したいと思っています」
──そのタイトル挑戦前に戦ってみたいランカーは?「結構レスリング系ばかりなのですが、マンスール・マラチエフとか。結構あっち系(ロシア・ダゲスタン系)の選手がどれ位なのか戦ってみたいところではあります」
──マラチエフ選手の攻略は既にイメージできていますか?「マラチエフは結構レスリングが強い選手ですが、レスリング強い相手には僕は下になってしまうので、さっき言ったよう レスリングで妥協せずに上を取りに行く動き。そこは結構柔術的な動きで、勝っていけると思っています」
──因みにボカン選手へのリベンジも頭のなかにありますか?
「ボカン選手は強かったのですが、自分の中ではちょっと作戦的なところでの結果と思っていて。その上で、もう1回、自分の強い部分をちゃんと出して戦ってみたいと思います」
──最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
「今回がONEのランカーとしての最初の試合。 次タイトルマッチに絡んでいけるように、しっかり良い勝ち方したいと思うので、応援よろしくお願いします」