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インタビュー

【Bellator】陽性反応も「偶発的」な薬物摂取で王座剥奪無しのウスマン「僕たちは悪者にされた」×挑戦者シャブリー「真の王者として喝采を受けるためにここに来た」=9.7 ライト級王座戦

2024/08/30 12:08
 2024年9月7日(日本時間8日)米国カリフォルニア州サンディエゴのペチャンガ アリーナにて開催される『Bellator Champions Series: San Diego』。日本の菊入正行も出場する同大会のメインイベントでは、「Bellator世界ライト級選手権試合」(5分5R)として、王者ウスマン・ヌルマゴメドフと、挑戦者アレクサンドル・シャブリーがロシア対決に臨む。両者はメディア向けに、同時ZOOMインタビューを行った。 幻のライト級GP決勝  “幻のBellatorライト級GP決勝”ともいうべきライト級王座戦。  ウスマンは、17勝0敗1NC。2023年10月のブレント・プリムス戦後に禁止薬物の陽性反応が出て6カ月の出場停止処分を受けて以来の復帰戦。プリムス戦の判定勝ちの結果はノーコンテストとなっているが、禁止薬物の摂取が「偶発的」であったため、ヌルマゴメドフのタイトルは剥奪されなかった(※ウスマンは、医師からの処方薬に由来するものだとする証拠をコミッションに提出も、試合前に治療使用免除をカリフォルニア州アスレチックコミッションに申請していなかったため、事後申請は却下されていた)。  対するアレクサンドル・シャブリーはMMA24勝3敗で、この8年間は無敗。GP1回戦でトフィク・ムサエフをボディへの前蹴りで3R KOに下し、2023年11月の準決勝では元ライト級王者のパトリッキー・“ピットブル”・フレイレに判定勝ちで、決勝進出を決めていた。  ライト級の王座を賭けた戦い。シャブリーは、ACB、Fight Nights Global等、ロシア主戦場時代から強い圧力と破壊力ある打撃を誇り、ムサエフをTKOした右の前蹴りだけでなくスイッチしての左フック、左ヒザも対戦相手に脅威を与えている。  対するヌルマゴメドフも ダゲスタン出身ながら、レスリングのみならず足技も得意とし、ベンソン・ヘンダーソンを縦蹴りで下すなど180cmの長身を活かした左右の蹴りを大きな武器としている。兄ウマルの影響で幼少期からフリースタイルレスリング、ムエタイを始め、マハチカラへ移住後は、叔父のアブドゥルマナプ・ヌルマゴメドフのもとで、従兄弟のハビブ・ヌルマゴメドフらとともにMMAを磨いてきた。  サウスポー構えからの右の自在な蹴りのヌルマゴメドフに、オーソから左の打撃も持つシャブリー。ヌルマゴメドフは8KO・TKO、6一本勝ちで、シャブリーは12KO・TKOで7一本勝ちと、両者ともに打撃も組みも穴が無く、無敗のヌルマゴメドフに対し、シャブリーの3敗も2つのスプリット判定と一本負けが11年前に1回という難攻不落ぶりだ。均衡した戦いを崩す瞬間が見逃せないライト級王座戦となる。ZOOMインタビューで5Rの王座戦に向かう両者は何を語ったか。 ウスマン「アレクサンダーの弱点は心の中にある」 ──いよいよ9月7日に王座戦です。チャンピオンはこの試合をどうなると考えていますか。 ウスマン この試合は私のものだ。彼の弱点は心の中にあると思う。いつその時間が来るか、いつケージが閉まるか、2ラウンド、3ラウンドを終えたら彼は疲れてしまうか、諦めるだろう。私はこう思う。まあ見てみよう。 ──お二人はほぼ同じ期間、同じ年数をBellatorで戦ってきました。アレクサンダーは、ウスマンと比べて、Bellatorでのキャリアでどのように成長したと感じていますか? シャブリー 僕はこの団体で5試合を戦ってきた。このベルトを獲るという野望を持っている。ベルトを獲ること、それが今の僕のメインゴールだ。 ──ウスマン、あなたにとってアレクサンダーのような9連勝中の選手と戦うことはどういう意味を持ちますか。 ウスマン これまでと同じことだよ。何か違うという感じではない。前と同じ相手はアンダードッグで、何もない。名前だけだ。名前だけ。 ──ウスマン、あなたはキャリアで17戦無敗を維持しています。Bellatorでの時間をどのように比較しますか? ウスマン 僕は最高の気分だよ。僕はこの団体で早すぎるくらいに成長した。いま僕はタイトルに相応しいと思う。僕は再びタイトルを獲得し、防衛する。失うつもりはない。それにタイトルとは異なり、自分自身のこととして“誰にも負けない”と思っている。絶対にね。これが僕の信念だ。そして、9月7日を見届けよう。ケージが閉まれば、我々は(ファイトで)話し合うことになる。その時に話そう。 ──アレックス、いまそこはATTですか? シャブリー ロシアからマイアミに来た。今、僕たちは非常に多くのことを行っている。とてもいい気分だよ。マイアミに来てもう1週間になる。キャンプはほとんどロシアに帰ってやっていた。そこですべてが終わった。そして今、僕は喝采のためにここに来た。最高の気分で準備万端だ。 ──ウスマン、あなたは練習仲間のイスラム・マカチェフ(現UFC世界ライト級王者)がいるからUFCには上がらない? もしイスラムがライト級から脱けた場合、あなたのプランはUFCに上がることが入るでしょうか。 ウスマン いまはタイトルを守ること。その後、どうなるかはこれからだ。まずはタイトルを防衛しなければならない。日時も対戦相手も決まっている。全てそこに集中している。 ──あなたと従兄弟のハビブ・ヌルマゴメドフ、家族として無敗の記録を維持することは、あなたにとってどれほど重要なことですか。 ウスマン あのね、僕は違うんだ。僕は無敗記録のために集中してるわけじゃない。違うんだ。自分のことは分かっている。誰にも負けない。絶対にね。これが僕の信念。これが自分なんだ。それでいいんだ。 ──どうやってそのマインドセットを保つのか。 ウスマン 神がすべてを与えてくれる。自分が一番で、誰にも負けないというような。26歳で僕はとても頑張っている。僕は信じている。神様はすべてを与えてくれると。 ──あなたの考える世界最高のライト級選手は誰ですか? ウスマン 今? それとも今まで? 今現在なら1位がイスラム、2位が僕。オールタイムならハビブ だよ。 ──同じ質問をアレックスにも。 シャブリー 今は自分とイスラム、オールタイムで階級無しならヒョードルだ。 ──アレクサンダーに聞きます。ウスマンの蹴りにはどう対処しますか? シャブリー 毎日チームで世界王者クラスのベストストライカーと練習しているから問題ないよ。 ──ウスマン、この1年があなたにとってどのようなものだったか、教えていただけますか? [nextpage] シャブリー「ウスマンのドーピング疑惑で僕は動揺した。真のチャンピオンと呼ばれるために、ウスマンとは本当に戦いたかった」 ウスマン 僕たちは悪者にされた。正直言って、ハードな1年だったよ。今年はより強くなれたし、26歳で肉体的にも成長できたし、いつも何も変わらないように動いているし、何も失ってないし、最高の気分だよ。 ──ハビブがセコンドについてサポートしていることは、あなたにとってどれほど重要ですか? ウスマン ハビブみたいな人はどこにもいないんだ。ハビブみたいな人を見つけるのはとても難しい。彼は僕らをすごくサポートしてくれる。助けてくれる。それに彼は、MMAのことなら誰にも負けないくらい何でも知っている。そして彼がキャンプに参加すると、何もかもが違うんだ。 ──アレックスにとっては、5月の試合がいったん流れたことの影響は? シャブリー 僕は完全に準備ができていると感じていたのに、ウスマンはまだ準備ができていなかったのかもしれないと感じた。だから僕にとっては、すでに小さな勝利があったようなもので、今はより大きな勝利に向けて万全の準備ができているという感じだ。 ──マイアミに戻ったと。パンデミック前も、あなたはそこフロリダのATTで4カ月を過ごしましたが、結局パンデミックのために離れなければなりませんでした。フルタイムでアメリカに戻ってトレーニングすることは可能ですか? シャブリー パンデミックがあったときからずっとここにいて、基本的には半年間ここでトレーニングして、Bellatorと契約を結んだんでから、僕の5試合はここで練習してきた。ここの気候が好きだし、パートナーも好きだ。ATTは素晴らしいチームでコンディションも気に入っている。今後もトレーニングのためにここに来るつもりだ。  ただ、ここに住みたいとは思わないんだ。まだホームという感じじゃない。完全移籍してここで練習する機会があったのにね。まだ家に帰りたい気分なんだ。家族と一緒に住んだこともあるし、家族無しで住んだこともある。自分が生まれた場所が好きだから、勝つたびに帰国するのが原則で、これからも同じだ。でもATTは素晴らしいチームだし、彼らにはとても感謝している。 ──一度は流れながら、ウスマンとの対戦が決まったとき、どんな気持ちでしたか。 シャブリー 僕はグランプリで決勝に行けると確信していた。もう一方のグリッドから見たらウスマンと決勝で会う可能性があることも理解していた。精神的にも、決勝は彼との戦いで集中していた。でも、ウスマンがドーピング疑惑でGPを欠場したという知らせを受けたとき、僕は動揺したんだ。その状況に納得がいかなかった。それではチャンピオンになっても正規のチャンピオンとは言えない。ウスマンとは本当に戦いたかったし、今こうして対戦することになったから、この試合にとても興奮しているよ。 ──ウスマン、イスラム・マカチェフはあなたには世界最高の選手になる可能性があると言っています。 ウスマン それを聞けて嬉しいが、僕たちは知っている。チャンピオンになるためには、集中力と規律が必要だと。イスラムが僕のことを褒めてくれるなんて。チームメイトではなく、弟のようだね。 ──新たに“ヌルマゴメドフ”の名を背負い、兄ウマルが今持っている成功(18戦無敗でUFC世界バンタム級2位)、そしてハビブも背負ってきた、そのレガシーに応えるプレッシャーを感じることはありますか? ウスマン 最高の気分だよ。ウマルは前回の試合(コーリー・サンドヘイゲンに判定勝ち)で勝ったんだ。彼はUFCバンタム級タイトルのために戦わなければならない。そして、僕は自分のタイトルを防衛するつもりだ。インシャッラー。プレッシャーはないし、ここにいることを誇りに思うよ。 ──ウマルのコーナーにはハビブがいました。そしてあなたの陣営にはハビブとマゴメド・バガンドフ・コーチがいます。彼はキャンプ中、どんな指導を? ウスマン ハビブは今回もコーナーマンとしてつくよ。モハメドはロシアの学校のコーチなんだけど、今回のキャンプでは彼はロシアに帰っていなかったから、イスラムと練習していたんだ。 ──ウマルはコリー・サンドハーゲンに勝ちました。9月14日に対戦するショーン・オマリーとメラブ・ドバリシビリのどちらが彼にとって良い対戦相手だと思いますか? ウスマン 決して簡単にはいかないだろうね。言えることは、メラブとオマリーの試合は素晴らしい試合になると思う。ビッグファイトだ。 ──アレックス、ウスマンによる「あなたはこの試合の準備ができていない」という言葉に何か言うことは? シャブリー なぜそう思われるのか分からない。僕はタフな試合をしてきたし、異なる試合もしてきた。精神的に、今すぐできることはもう無いないだろう。精神的に準備ができていない──それは今の僕とは呼べない。僕は31歳で、前にも負けたことがある。この試合で恐れることは何もない。ベルトのために戦うし、失うものは何もない。 ──ところで、ウスマンはアハメド・タジュディノフ(パリ五輪フリースタイルレスリング97kg級金メダル/バーレーン・ロシア出身)を祝福していましたね。 ウスマン タジュディノは、他の選手と同じように、すべてを手に入れようとする21歳の若い男だ。彼はオリンピックチャンピオンであり、世界チャンピオンだ。彼のことをとても嬉しく思っているし、あらためて祝福したい。彼の置かれている状況については政治的なことだから、あまり言いたくないんだ。 ──イスラム・カチョフがオリンピックの開会式について語った議論(『最後の晩餐』を彷彿させるパフォーマンス)については、どう思いましたか。 ウスマン イスラムに賛成です。すべてにおいて言われていることで、私もそう思います。
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