2024年8月25日(日)東京・ニューピアホールにて、『Fighting NEXUS vol.36』が開催され、網膜剥離で長期欠場していたNEXUSフェザー級王者の横山武司(Swells柔術ジム)が復帰。
ライト級王者の岸野“JUSTICE”紘樹(トイカツ道場)の挑戦を受け、1R 1分25秒、三角絞めで一本勝ち。横山は相手を失神させるフィニッシュで、3度目の防衛に成功した。
柔術で全日本を制した横山は、2022年11月に当時のNEXUSフェザー級王者・山本空良に判定勝ちで王座獲得。
その後、RIZINに参戦し、2023年5月に山本琢也に腕十字で一本勝ち。2023年9月の前戦では摩嶋一整に跳びヒザからボトムになり、下からの仕掛けを潰され、判定負けした。
その後、練習でのアイポークで「目が見えなくなった」ことから入院し、網膜剥離や白内障、硝子体の手術で1カ月後に退院。目に人工レンズを入れて、半年後に身体を動かすことが可能となり、今回の復帰に至る。
横山は試合前「去年の9月、RIZINで初の負けを味わい、その1カ月後、網膜剥離で失明しましたが、復活しました。僕にとっては復帰戦でもあります。今はたくさん練習してます。シン横山武司をお楽しみください」とコメントしていた。
試合は1R、ともにサウスポー構えから横山が左ローを当てて、右前蹴りで岸野を金網に詰めて右ミドルで相手の上体を上げさせてダブルレッグへ。
腕を差し上げた岸野に横山は腕と首後ろを掴んで引き込んで、フックガードで跳ね上げ。岸野が後方に身体を戻したところで横山は右手首を掴んで左足を内側から抜いて、首にかけて四角から三角にセット。
ずらそうとする岸野の左腕を三角十字に極めに行くが、戻した岸野に三角は組んだまま今度は右腕をストレートアームバーにとらえながら足を絞めると岸野が失神。横山は「落ちた」とレフェリーに告げ、レフェリーが間に入った。
足を解いて、すぐに両足を持ち上げ蘇生術に入ろうとした横山。
勝者コールを受けて、ケージの中でマイクを握った横山は、「去年9月に総合で初めて負けた後 網膜剥離の手術して、どん底に落ちましたが……復帰しました! Swells柔術ジムのみんな、FIGHT BASEの佐藤将光先生、みんなの支えで復帰することができました。特に、嫁。2カ月前に子供が生まれて肉体的にも精神的にも大変なときに、これまで以上のサポートをしてくれて感謝しています。今日、100人近く応援に来てくれたみんなに勝ち姿を見せたいと思っていました。格闘技最高! NEXUS最高! ありがとうございました」と感謝の言葉でメインを締めた。
11カ月ぶりの復帰戦を一本勝ちで飾った横山に、今後のMMAについて聞いた。
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摩嶋選手とはちょっと早かったかもしれないけど、今後は──
──見事な1R 一本勝ちでした。あれだけ警戒されているなかで、蹴りから組んでの引き込みで三角絞めを極めた。最初はフックガードでした。いったいどうやって?
「結構、際だったんで、引き込み三角はもうずっとやってきて得意なんで。腕を越えて足をかけるのもテクニックでも無いけど、僕にしか出来ない動きで、ほんと一瞬の引き込み三角ですね」
──いい形で引き込めたと。足を組んでからも三角の中の腕、外の腕と切り替えて極めにいきましたね。
「はい。出来れば投げて総合的な展開もやりたかったですけど、やっぱり試合だと得意な必殺技を出しちゃいますね。引き込んだ方が早かったから引き込んだ結果、上手くいきました」
──とはいえ、前回の試合では摩嶋選手に跳びヒザにいったところにパンチ合わされて、ガードを取ったところから「15分くらい記憶がない」と言っていました。そして、手術した目の状況もあるなかで、引き込むことに勇気が必要だったのではないですか。
「目は全然、大丈夫。もちろん入院したときは大変でしたけど……朝起きたら目が見えなくて、手術後は振動を与えるのもダメだったんで、6カ月くらい身体を動かせなくて何も出来なかったし、6カ月休んで2月~3月ぐらいから練習に復帰してようやく動き始めても、いろいろとしんどいことがあったので……まあ、今日うまくいったから100点!(笑)」
──復帰戦を一本勝ち、これからもMMAを続けるのでしょうか。
「RIZINで第2のクレベルになれるように、クレベルを目標に頑張ります。柔術でああやって勝つ、クレベルを尊敬しています。クレベルみたいにRIZINで、RIZINファイターを一本で極めて行くっていうのが今後の目標です」
──RIZINファイターを極める、フェザー級でその相手はどんな選手がいいですか。
「摩嶋選手とはちょっと早かったかなと思っていて、でも、RIZINで何戦かしている選手を倒さないと、自分をRIZINファイターとは言えない。一瞬でちゃんと動けるようなコンディションを作れる練習をしっかりしていけば、そこら辺も倒せる自信はあるので、同じくらいのキャリア、戦績の選手だったら、ストライカーでもグラップラーでもオールランダーでも誰でもいいです」