SukWanchai MuayThai Super Fight vol.102024年6月30日(日)愛知・名古屋国際会議場イベントホール
▼メインイベント 65kg契約 3分5R〇ゲーウガンワン・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ)判定3-0 ※49-47×2、49-46×大和哲也(大和ジム/元K-1スーパー・ライト級王者)
ヒジ打ち有りのルールで試合を行うのはおよそ3年ぶりとなる大和は、過去サゲッダーオ・ペットパヤタイ (タイ)を下しWBCムエタイスーパーライト級の世界タイトルを獲得、またセーンチャイやゴーンサック、パコーンなどタイでも“ヨード・ムエ”と呼ばれる超一流選手と拳を交え、今年3月には保持していたK-1スーパー・ライト級の王座を返上し、その後の去就が注目されていた。
伝家の宝刀・ヒジ打ちありのルールとしてのその実力はK-1ルール以上に卓越しており、大和本人も「ヒジ打ちを解禁してストレスフリーで戦う大和哲也を見届けに来てください!」とコメントしており、相当な自信をのぞかせている。
対するゲーウガンワンはナコンラーチャシーマー出身の大ベテラン、29歳。2015年12月のルンピニースタジアム生誕記念興行で、スーパーレック・ギャットムー9を下しルンピニースタジアム&プロムエタイ協会のスーパーフェザー級王座を獲得した。また2016年8月にはランシットスタジアムにてオンバック・ジットムアンノンを破り「True4U」スーパーフェザー級王座も獲得。
その後もスーパーフェザー~スーパーライト級で常にトップ戦線で活躍を続けるベテラン選手である。昨年は元ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級王者ペットルンルアンと怒涛の4連戦を2勝1敗1分けで勝ち越し、今年に入ってトンノイ・ウォーサンプラパイと激闘を繰り広げている。サウスポースタイルのテクニシャンで、全ての攻撃が高いレベルで備えられている。3年ぶりのムエタイルール復活の大和哲也にしてはいきなり超強豪が立ちはだかることになった。
両者がワイクルーを舞っての試合スタート。大和の方が長く踊った。
1R、大和が左ローと右インローで先制。サウスポーのゲーウガンワンはゆったりとしたリムを刻みながら左ミドルを時折蹴るが様子を見る。大和のローは警戒したか、すぐにスネでブロックし始める。大和もローを蹴りつつ、様子を見るような左フック。右ボディストレートを伸ばそうとするとゲーウガンワンは前蹴りで拳を届かせない。
2R、右インカーフを多用する大和にゲーウガンワンは左ストレートを放つ。左ミドルと左インローを蹴り分け、確実に当てるゲーウガンワン。大和はローを蹴って左右に動いての左フック、右ストレートを狙うが、ゲーウガンワンはジャブ、前蹴り、左ミドルでなかなか大和を近寄らせない。
3R、右インローから攻め込もうとする大和にゲーウガンワンはヒザ、左ストレート。大和がバックステップでかわそうとすると左ミドル。大和は右ロングフック、左フックを繰り出すが威力のあるものではない。大和が近付くとゲーウガンワンは首相撲に持ち込む。大和はだいぶ左ミドルを蹴られた印象。
4R、前に出た大和が距離を詰めてパンチを打とうとすると、ゲーウガンワンは前蹴りか左インローで大和のバランスを崩してしまう。大和がロープ際に詰めてパンチを打つと歓声が沸き起こるが、ゲーウガンワンはバランスを崩させるか、首相撲に持ち込んで大和にパンチを打たせない。
5R、さらにローから距離を詰めてパンチを打とうとする大和だが、その前に組まれてしまう。右ボディストレートを打つとゲーウガンワンが左ストレートを返す。ジャブ、左ミドル、前蹴りで距離を支配し、危険な距離になると組んでしまうゲーウガンワン。大和に左ボディを打たれるとジャブを顔に2発当て返す。大和は走るように近付いて行って右ストレート、左フックを当てるがゲーウガンワンはすでに逃げ切り態勢。
判定は3-0でゲーウガンワンが勝利。全く自分の試合をやらせてもらえなかった大和は、すぐにリングを降りて足早に去っていった。
[nextpage]
▼セミファイナル IMSA世界フェザー級王座決定戦 3分5R×ヨードクンスック・ムーバーンチョンブーン(タイ)TKO 4R 2分09秒 ※ヒジによる3箇所カット〇カイト・ルーククロンタン(キング・ムエ)
『ONE』や『RWS』などの新興イベントではなく、5R制のいわゆる“トラディショナルムエタイ”においては福田海斗の右に出る者はいないであろう。戦績は既に90戦に届き、そのほとんどがタイでの試合という、まさにタイのギャンブラーに認められたナック・ムエである。
2022年の同大会ではクマンドーイ・ペッティンディーアカデミーからダウンを奪っての判定勝ち、昨年大会はペッティンディーアカデミー所属のガイパー・ポーヴィセットジムとIMSA(国際ムエタイスポーツ協会)フェザー級(126ポンド)王座を争ったが判定負け。しかし今年は1月25日(木)のラジャダムナンスタジアム『スックペッティンディー』メインイベントで過去惜敗している強豪センソン・エラワンを下しリベンジ成功。強豪ひしめくタイのトップ戦線で長く活躍を続けている。
ヨードクンスックはタイ東北部スリン県出身の29歳、2016年にオムノーイスタジアム認定スーパーバンタム級王座を獲得、その後2017年のラジャダムナンスタジアム創立記念年興行でメーティー・ソージョートイペッドリュウを3RKOで下してラジャダムナンスタジアム認定スーパーバンタム級王座も獲得した。長くスーパーバンタム級のトップ選手として活躍し、サミンダムやゴントラニー、ラムナムムーンレックといったトップ選手達と鎬を削ってきている。
パンチよし、蹴りよし、ヒジ・ヒザにも隙が無い、超一流のテクニックを持つコンプリートファイター。ベテラン選手とはいえ、2021年にはオートーコースタジアム認定フェザー級のタイトルも奪取、また今年1月には『THAI FIGHT』にも出場しブラジル人選手に完勝しており、業界では“過去の選手”といった認識ではなく、いまだトップの実力を持つヨード・ムエ(超一流選手)。
1R、互いにジャブ、ロー、前蹴りで探りを入れる両者。ヨードクンスックが早くも左フックを強打してくると、カイトは強い右ローを蹴る。ヨードクンスックが左ミドルを蹴れば、カイトも蹴り返す。しつこく右ローを蹴っていくカイトは左ミドルもヨードクンスックの右フックに合わせて蹴る。じりじりと前に出るカイトが右ストレートを3発当てて初回終了。
2Rはいきなりロープを背にするヨードクンスックが左ミドルハイ、顔面前蹴りを蹴る。カイトは左ミドルをキャッチすると左の縦ヒジ。右ローを蹴りつつ、右ボディストレートも打つカイト。左ヒザから左右フック、さらに右ボディストレートを打つカイト。前蹴りでもボディを攻める。左ミドルを蹴るヨードクンスックだが、パンチの打ち合いではカイトに分があるようだ。
3Rが始まると同時に首相撲の展開となり、カイトがヒジを打つ。その後もヒジとパンチで攻めていくカイトにヨードクンスックは足払いもカイトは崩れない。前に出てヒザを突き刺すカイトはヨードクンスックの左右ミドルをブロックして左ミドルを当てる。パンチで前に出るカイトにヨードクンスックは前蹴りと左ミドルで応戦も、カイトの左右フックをもらう。
4Rも前に出てヒジとヒザでロープを背負うヨードクンスックを攻めるカイト。左右の縦ヒジの乱れ打ちでヨードクンスックが流血し、ドクターチェックとなる。再開後、ヨードクンスックは左ミドルと左右フックで勝負を賭けるが、カイトもパンチとヒジ、ヒザで前へ出る。ヒザで入ってヒジにつなげるカイト。ここで2度目のドクターチェックに。ストップがかかり、カイトのTKO勝ちとなった。
カイトの腰には昨年の王座決定戦で逃したIMSA世界フェザー級王座のベルトが巻かれた。「今日はもうちょっとカッコよく勝つ予定だったんですけれど、もっと練習が必要だということに気づかされました。またタイでしばらくは活動することになると思いますけれど、年に一度はこうして名古屋で試合もします。ぜひ僕のことを覚えてくださってタイの方でも応援してくださると幸いです」とカイトはマイクで語った。
[nextpage]
▼第8試合 46kg契約 2分5R〇モンクットペット・ペットプラオファー(タイ国ペッティンディーアカデミー)判定3-0 ※49-48×3×MISAKI(TEAM FOREST/SBアトム級王者)
モンクットペットはタイ南部ソンクラー県出身の19歳、長い手足からのミドルキックを武器に主にプーケットなどで活躍。2022年には中東ドゥバイで開催された世界アマチュアムエタイ世界選手権45kg級で金メダルを獲得、その後プーケット・パトーンスタジアム105ポンド王座を獲得し、同年10月にはラジャダムナンスタジアム『RWS』に大抜擢、いきなりドゥワンダーウノーイ(元WPMF世界女子ミニフライ級王者)と激突。判定で敗れたものの大きなインパクトを残した。
2023年3月にはプーケット・シンビーボクシングスタジアム105ポンド王座も獲得、その活躍が目に留まりムエタイ最大手のプロモーション・ペッティンディーに所属することになり、今後タイ本国の女子ムエタイ界を背負って立つことが期待されている。
対日本人では2023年12月の『RISE』で宮﨑小雪(TRY HARD GYM)に敗れているものの、ムエタイルールでは2022年10月にKAREN、2023年5月の『ムエローク』では藤原乃愛、9月の『RWS』では伊藤紗弥に勝利している強豪だ。
対するMISAKIは地元愛知県のみならず、シュートボクシング女子部門の期待を一身に背負う看板選手。最初から最後までガムシャラに攻め続ける驚異のスタミナを武器に、4月にもホームリングで一階級上のタイ人選手ホンカンラヤーを2RKOで下し、このところタイ人選手との対戦では3戦3勝3KOとパーフェクトのレコードを持つ。ただしムエタイルールでの試合はプロキャリア10年で初めてだという。
1R、前に出るMISAKIが左ボディを打つとモンクットペットは首相撲に捕えてヒザ。MISAKIもヒザを蹴り返すが、身長差がありモンクットペットが優勢。ならばと投げを見舞うMISAKIだが、これは反則注意を受ける。モンクットペットはすぐに首相撲に捕まえてのヒザ蹴り。MISAKIはフック&アッパーで対抗する。
2R、モンクットペットの前蹴りをキャッチしたMISAKIが右フックを命中させるが、すぐに首相撲に捕まってヒザを蹴られる。ワンツーの連打と左ボディのMISAKIにモンクットペットが押しヒザを連打。前蹴りと右ミドルを蹴るモンクットペットだが、MISAKIはお構いなしに入り込んでボディを打つが首相撲からのヒザを蹴られる。
3R、コーナーを背にしてMISAKIの突進を前蹴りで迎え撃つモンクットペット。MISAKIはそれでも右ストレートをヒットさせるが、近付くと首相撲捕まってしまう。首相撲離れ際にはモンクットペットが右ストレート。終盤にも首相撲に捕まって押しヒザをもらうMISAKI。
4R、MISAKIがローを空振りすると、モンクットペットは左ミドルを当てる。ダイナミックな前蹴りでMISAKIを突き放すモンクットペット。首相撲に捕まると押しヒザをもらい、振りほどくように左右フックを打つMISAKI。蹴りをキャッチしての左ボディを叩き込むが、モンクットペットの首相撲で動きを封じられる。
5R、モンクットペットはステップを踏みながらジャブと前蹴りで逃げ切り態勢に。MISAKIは突進して左ボディも首相撲捕まる。MISAKIの突進にヒザを合わせるモンクットペット。大きく下がって流すモンクットペットにMISAKIは追い込めず、試合終了。
判定3-0でモンクットペットが勝利。モンクットペットはMISAKIの手を挙げてリングを1周し、MISAKIを称えた。
[nextpage]
▼第7試合 フェザー級 3分5R〇ノラシン・スペチアーレジム(OISHI GYM/元ラジャダムナン&ルンピニーライトフライ級王者)判定2-0×TAKERU(GETOVER)
▼第6試合 113lb(51.3kg)契約 3分5R〇ヨードシラパー・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ)KO 3R×アイト・ルーククロンタン(HIDEGYM)
▼第5試合 65kg契約 3分5R〇コムキョウ・シットポージョーウォー(タイ/ノーナクシンムエタイジム)TKO 3R ※ヒジによるレフェリーストップ梅田勇一(BLITZ/INNOVATIONウエルター級王者)
▼第4試合 スーパーフライ級 3分5R×リティグライ・ゲオサムリット(タイ/納屋橋キック/元WPMF世界フライ級&スーパーフライ級王者)判定0-3〇エイル・ルーククロンタン(HIDEGYM)
▼第3試合 フェザー級 3分5R〇オートー・ノーナクシン(タイ/元ラジャダムナンスタジアムバンタム級6位)KO 3R×一仁(真樹ジムAICHI/元MA日本&J-NETWORK王者)
▼第2試合 フライ級契約 IMSA女子日本フライ級王座決定戦 2分5Rユウリ・ルーククロンタン(TEAM SRK/前DBSスーパーフライ級王者)判定0-3秋田芭菜(キング・ムエ)
▼第1試合 60kg契約 3分3R豪(GRATINESS)TKO 2R ※パンチ連打→レフェリーストップ天野颯大(キング・ムエ/K-1甲子園2021優勝)
▼OP第4試合 50kg契約 2分5R×ペットウボン・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ)KO 3R〇片山 魁(TEAM FOREST)48.85kg
▼OP第3試合 32kg契約 2分5R×ロットレック・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ)判定0-3〇ダイキ・ルーククロンタン(キング・ムエ)
▼OP第2試合 40kg契約 2分5R〇ロットケン・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ) 判定2-0×浜田優雅(LEGENDGYM)
▼OP第1試合 女子32kg契約 2分5R×ヨーディーチャー・ロットスワイジャッジェーンサイプリゥ(タイ)判定0-3〇水野夢々(カナロアジム)※5Rに1ダウン奪取