2024年6月29日(日本時間30日)、米国ネバダ州ラスベガスのT-Mobileアリーナにて『UFC 303: Pereira vs. Prochazka 2』が開催された。
メインイベントは、「UFCライトヘビー級選手権試合」として、王者アレックス・ペレイラ(ブラジル)vs.挑戦者イリー・プロハースカ(チェコ)の再戦が組まれている。
前日計量では、先に挑戦者プロハースカが登場。右手で胸を叩いて体重計に乗ると、204.5ポンド(92.76kg)とコールされ、両手を広げてから右手を挙げて正中で手を立てた。
対する王者は、自身のルーツであるブラジル先住民の羽根飾りとペイントを顔に施し登壇。プロハースカと同じ、204.5ポンド(92.76kg)でパスすると、体重計の上で力強くガッツポーズを作った。
フェイスオフでは、赤くペイントした顔で両手を前にプロハースカと向き合い、視線を合わせるペレイラ。そのペイントの色は動物や自然から採り入れたもので、その力を自身に取り込むのだという。
インタビューでは「フィジカルもメンタルも準備は出来ている。マジックはない」と言い切り、最後はポルトガル語で「炎」を意味する「シャーマ」と語った。
退場時にプロハースカは公式カメラに、フェイスオフの印象を聞かれ、「彼は何か念を送ってきた。彼の目にそれが見えた。何らかの術をかけようとしていた。でも関係ない。私は真っ新だ。気にしない。私はただピュアなパフォーマンスを見せて、誰がベストかを証明する。それは私だ」と語っている。
ブラジリアンマジックパワーとサムライスピリットの戦いの様相も呈してきたライトヘビー級戦は、5分5Rの王座戦で行われる。
鶴屋怜は中邑真輔の「イヤァオ!」ポーズ
また、フライ級でUFCデビュー戦に臨む鶴屋怜(22=THE BLACKBELT JAPAN)が125.5ポンド(56.93kg)でパス。対戦相手のカルロス・ヘルナンデス(米国)も125ポンド(56.70kg)でパスした。
(C)UFC JAPAN
計量パスした鶴屋は、両腕をクロスする中邑真輔の「イヤァオ!」ポーズを披露。UFCと親会社が同じWWEに所属する中邑は、鶴屋のセコンド入りが決まっている。
またフェイスオフでは、デイナ・ホワイト代表が見守るなか、いつもの両足を広げて腰を落とした半身の構えで、左手を前にヘルナンデスと対峙。ファンから熱い視線を浴びた。
同大会は、日本時間30日(日)朝7時にスタート予定のアーリープレリム4試合、9時開始のプレリム4試合、11時に始まるメインカード5試合を含む全試合が『UFC FIGHT PASS』ならびに『U-NEXT』でライブ配信された。
[nextpage]
『UFC 303: Pereira vs. Prochazka 2』速報
現地時間2024年6月29日(土)、日本時間30日(日)米国ネバダ州ラスベガス/T-Mobileアリーナ
【メインカード】
▼UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ 5分5R〇アレックス・ペレイラ(ブラジル)11勝2敗(UFC8勝1敗)※UFC4連勝 204.5lbs/92.76kg[2R 0分13秒 TKO] ※左ハイ→パウンド×イリー・プロハースカ(チェコ)30勝5敗(UFC4勝2敗)204.5lbs/92.76kg
メインイベントにスクランブル参戦を決めたペレイラは、「この試合は非常に接戦で、準備期間に困難があるかもしれないことは理解しているが、もしこれを実現できる人間がいるとすれば、それは私だ!“ポアタン!”私は他の誰も引き受けようとしないようなリスクを負うが、私には先祖が共にあることを知っている。魂は私と共にあり、私はすべての準備が整っています」とコメント。
対するプロハースカも“完全な嵐”とつけながら「ミスは許されない。ただ、今ここで勝つ」と意気込みを記している。
GLORY史上初の二階級同時王者で、現UFC世界ライトヘビー級王者&元UFC世界ミドル級王者のアレックス・ペレイラ(36)は、UFCライトヘビー級転向後3勝0敗。
2023年11月のイリー・プロハースカ(31)との「UFC世界ライトヘビー級王座決定戦」で2R KO勝ちで王座につくと、2024年4月の前戦でジャマール・ヒルを1R、左フックでKOに下し、初防衛に成功している。
対するプロハースカは、元RIZINライトヘビー級王者で、2022年6月にペレイラの師匠グローバー・テイシェイラを5R リアネイキドチョークで下してUFC同級王者に。負傷による王座返上後、ペレイラと王座決定戦でKO負け。2024年4月の前戦でアレクサンダル・ラキッチを2R TKOに下し、再起を果たしていた。
先に入場の挑戦者プロハースカ。王者ペレイラはマット上のプロハースカに花道からいつものように矢を放つ。そのペレイラをマット上で待ち構えるプロハースカ。
1R、オーソのペレイラにサウスポー構えから入るプロハースカ。そこに左カーフを蹴るペレイラ。オーソになるプロハースカに右カーフも打つペレイラ。
サウスポー構えになるプロハースカはオーソに戻して左ハイ。左から右。ペレイラの右の打ち返しはかわす。左ジャブを突くペレイラは右ミドル! レベルチェンジのフェイントから後ろ手のノーモーシヨンのストレートを狙う。
ペレイラの左をかわして組んだプロハースカ。金網まで押し込むとペレイラはボディにパンチ。右で差し上げクラッチを組むが、ペレイラは右手で顔にパンチ。ともにヒザを突き、ペレイラが突き放す。
左ジャブで前に出るペレイラは右ストレートもかわすプロハースカだが、右カーフを2つもらう。さらにペレイラは左フック! プロハースカの左の前進に合わせて下がりながらダウン奪うもホーン。
2R、プロハースカのダメージはいかに。オーソからペレイラは細かくスイッチして左ハイ! ミドルの蹴りをすくいに行ったプロハースカだが、その上を左足がテンプルをとらえ、プロハースカが後方にダウン! パウンドでレフェリーが間に入った。無意識に立ち上がろうとするプロハースカだが、試合は決着。2R 0分13秒 TKO勝ちでペレイラが王座防衛に成功した。
試合後、ペレイラは「(短期間だったが?)勝つと言っていた。どう勝つかは分からなかったが予定通りだった。(今後について)今回のようなこともあるから機会を掴んでいくだけ。(ヘビー級は?)将来そうなるかもしれない。UFCが望むなら。ファンが望むように。ファンがお金を払ってくれるから。シャーマ(炎)はポジティブにもネガティブにも使える」と語った。
[nextpage]
▼フェザー級→ライト級→165ポンド(74.8kg)5分3R〇ディエゴ・ロペス(ブラジル)25勝6敗(UFC4勝1敗)※UFC4連勝 155lbs/70.31kg[判定3-0] ※29-28×3×ダン・イゲ(米国)18勝8敗(UFC10勝7敗)※2月にフィリに1R KO勝ち※ブライアン・オルテガ(155lbs/70.31kg)は熱で欠場。ダン・イゲが代わりに出場
1R、緊急出場のイゲは7月20日大会出場に向けてコンディションを整えていたという。ともにオーソドックス構え。ロペスは右ローから。イゲはワンツーで飛び込み。そこに右ヒザを突くロペス。右のイゲの飛び込みで崩れたところに左右、ヒザとラッシュするロペス。離れるイゲ。左右フックからボディ打ちはロペス。
ガードを固めて左で入るイゲに左フックを合わせるロペス。イゲの組みに首相撲ヒザと嵐のような連打。イゲがダブルレッグダイブ。そこにダースチョークを狙うロペス、足を賭けに行くがそれを両手で阻止して仰向けで離れるイゲ。
2R、右ローを当てるロペス、イゲの蹴り返しには頭に左右を連打する。イゲの左ハイをキャッチして倒したロペスはイゲの立ち際に背中に乗って引き込み! ボディトライアングルに足を組んでリアネイキドチョークを狙う。左手で左手首をコントロールするロペス。首を守るイゲに残り10秒で腕十字へ移行もイゲは防ぎホーン。
3R、右で出入りのイゲ。ロペスも左右フックを振るがイゲがプレッシャーをかけていく。金網を背にさせたイゲは右アッパー。イゲの足の触りを切ってロペスも組みも切るイゲ。
右フックをガード上に叩くと左ボディ! 回るロペスを追うがロペスはシングルレッグからバック狙い。それを落としたイゲが上に。クローズドガードのロペスにイゲがインサイドガードからパウンド! 蹴り上げをさばいて飛び込んだところでホーン。ロペスはイゲの手を挙げ、イゲもロペスの手を挙げて2人でデイナ代表の前でアピールした。
判定は1Rと2Rを取ったロペスが勝利した。
[nextpage]
▼ライトヘビー級 5分3R〇ロマン・ドリーゼ(ジョージア)13勝3敗(UFC7勝3敗)205lbs/92.99kg[判定3-0] ※30-27, 29-28×2×アンソニー・スミス(米国)38勝20敗(UFC13勝10敗)206lbs/93.44kg
1R、サウスポー構えのドリーゼは右カーフ、左ハイ。オーソのスミスはハイはかわす。スイッチするドリーゼにスミスは右カーフ。ドリーゼは右フック、互いに右ローを突く。スミスの右をかわして後ろ蹴りを腹に突くドリーゼ。互いに右ロー。
圧力をかけるスミスは右カーフ。ドリーゼの蹴り返しは左足を上げてチェックする。左右で飛び込むスミスをさばき右フックでバランスを崩させるドリーゼ。
2R、右ローの蹴り合いから左右で一気に前に出たドリーゼ! バランスを崩したスミスに左右パウンドラッシュ! 亀になりながらドリーゼの両手を巻き込んで凌ぐスミス。スタンドに戻してホーン。
[nextpage]
▼女子バンタム級 5分3R〇メイシー・チアソン(米国)10勝3敗(UFC8勝3敗)135.5lbs/61.46kg[2R 1分58秒 TKO] ※左ヒジ×マイラ・ブエノ・シウバ(ブラジル)10勝4敗(UFC5勝4敗)136lbs/61.69kg 136lbs/61.69kg
1R、オーソのシウバに長身のチアソンはサウスポー構えで右スーパーマンパンチから右ハイも。ブロックするシウバは右ローも遠い。右に回るチアソン。シウバは右から左ハイをガード上に当てて組みに。チアソンは首相撲ヒジで迎え撃つ。
前蹴りから後ろ廻し蹴りに繋ぐシウバ。近い距離で首相撲ヒザ、テイクダウンも狙うが、首相撲ヒザのチアソン。腕取りに行くチアソンにヒザを突くシウバ。
離れて左右を突くチアソンに左を返すシウバ。チアソンは首相撲ヒザ! しかしシウバも回転速い左右で組みに。キムラ狙うチアソンが体入れ替えホーン。
2R、ワンツーから首相撲に組むチアソンに左右で剥がすシウバだが、詰めるチアソンは小外でテイクダウン! クローズドガードのシウバにチアソンの左ヒジでシウバの右額が割れて出血。
下から腕十字を狙うシウバに手首を抜くチアソンは立ち上がり上から足に蹴り。シウバにドクターチェック。右眉の上が横にぱっくりとカットで試合はストップ。シウバは試合続行を訴えたが、出血が目に入るとのことで、チアソンのTKO勝ちとなった。
[nextpage]
▼ウェルター級 5分3R〇イアン・ギャリー(アイルランド)15勝0敗(UFC8勝0敗)※UFC8連勝 170lbs/77.11kg[判定3-0] ※29-28×3×マイケル・“ヴェノム”・ペイジ(米国)22勝3敗(UFC1勝1敗)171lbs/77.56kg
ギャリーはアイルランドで“ネクストマクレガー”候補の一人。MMA14連勝でUFC7連勝中。“MVP”ことペイジは、Bellatorから移籍し、3月の前戦でケビン・ホランドに判定勝ち。コールにコブラの右手を掲げる。
1R、ともに長身オーソドックス構え。半身構えのペイジは右ローもかわすギャリー。スイッチするペイジ。高い右前蹴りで牽制。ギャリーの蹴りに右ストレートを狙う。ハイキックを掴んでテイクダウンはギャリー!
金網で立とうとするペイジをボディロックしてバック狙い。左足をかけてバックテイクでテディベア、ボディトライアングルで4の字ロック、おたつロックでリアネイキドチョークへ。後ろ手を剥がすペイジ。ギャリーは背後からパウンドに切り替え。ペイジは右手首を掴んで絞めの防御。ギャリーは片手でパウンドする。
2R、間合いを保ち右の飛び込みのペイジ。右前蹴りからスイッチ。左から右オーバーハンドをギャリーはかわす。さらにワンツーで前に出るペイジ。ギャリーの左ハイをかわして左ロー。そこにギャリーは右を狙う。
右を振って両脇差して組んだギャリーは引き出そうとするが、金網背に戻す。押し込むギャリーは細かいヒザ蹴り。左小手のペイジ。一転ギャリーは引き込み左足に足関節! 草刈からヒールフック狙いも互いに立ち上がり。スタンドに戻すペイジは右の跳びヒザ。さらにワンツーの右オーバーハンド。かわしたギャリーが左を振ってホーン。
3R、詰めるペイジにギャリーは引き込み気味に下になるとガードからボディトライアングル。インサイドガードから中央で押さえ込むページだがいったん離れてスタンド勝負。右オーバーハンドのペイジをかわすギャリー。ペイジの右にシングルレッグからバックテイク! ペイジの背中にシングルバックで乗ってリアネイキドチョークへ。中腰のペイジは首を守り、引き込まれず。残り30秒もそのままで試合終了。
判定は3-0(29-28×3)でギャリーが勝利。MMA15勝無敗でUFC8連勝としたギャリーは、タイトル挑戦をアピールした。
[nextpage]
【プレリミナリー】
▼ミドル級 5分3R〇ジョー・パイファー(米国)13勝3敗(UFC4勝1敗)185.5lbs/84.14kg[1R 1分25秒 KO]×マルク・アンドレ・バリオー(カナダ)16勝8敗(UFC5勝7敗)185lbs/83.91kg
1R、じりじりと詰めるパイファーは、右ストレートを耳後ろに当てると、バリオーは後退。金網に詰めて左ボディから狙いすました右の打ち下ろしでバリオーが前のめりに倒れた。
[nextpage]
▼フェザー級 5分3R〇アンドレ・フィリ(米国)24勝11敗(UFC12勝10敗)145.5lbs/66.00kg[判定2-1] ※29-28×2, 28-29×カブ・スワンソン(米国)29勝14敗(UFC14勝10敗)146lbs/66.22kg
1R、サウスポー構えにスイッチするフィリ。右カーフ、左ミドル。追うスワンソンは左ジャブ。フィリに関節蹴りから右を打ち込むがまだ単発。フィリは左ハイもブロックして前に出るスワンソンは右ストレートもかわしたフィリは左ミドルから組みに。差し上げたスワンソンにヒザを突いて離れるフィリ。自身の左フックでバランスを崩したスワンソンだがすぐに詰める。間合いを保つフィリ。
2R、先に詰めるスワンソン。左右にサークリングすると右で踏み込んだスワンソンにダブルレッグテイクダウンはフィリ。スワンソンは右で差して立ち上がる。
右ストレートで前に出るスワンソンにワンツーを返すフィリ。詰めるスワンソンは右ストレートで府込み込むがそこに組んだフィリ。右で差すと金網に押し込み。両差しにしたスワンソンはヒザを突き、ダブルアンダーでクラッチして体を入れ替え、小外も崩せず。
離れたフィリに左を当てたスワンソン! フィリはシングルレッグに入るが金網で耐えたスワンソンが体を入れ替えボディロックも切るフィリ。詰めるスワンソンに回るフィリ。左が当たるようになったスワンソンに左を返すフィリ。シングルレッグでスワンソンを金網までドライブ。スワンソンは両脇を差して脇を潜りバッククリンチでホーン。
3R、左ハイを繰り出すフィリに間合いを詰めるスワンソン。そこにワンツーのフィリ。組むが差し上げるスワンソンが突き放し右ストレート、相打ちに。右ストレートから左ハイで詰める。ダブルレッグテイクダウンのフィリにすぐに立つスワンソン。バッククリンチのフィリに正対するスワンソンは右ヒザを突いて突き放し、左フック!
ともに相打ちのタイミングのなか、左フックで飛び込むスワンソン。攻めるスワンソンに長い右を返すフィリ。左ジャブも。飛び込んでの右を放つスワンソンは左フックをかわして前に。組むフィりをはがして、ローを受けながらも右! フィリはシングルレッグで詰めて右を打ち込む。離れるスワンソンの前進に左を突くフィリ。追うスワンソンが右から左の連打で詰めてホーン。
判定は2-1に割れ、29-28×2, 28-29でカウンターを当てたフィリが勝利。笑顔でフィリと握手をかわした。
[nextpage]
▼フェザー級 5分3R〇ジェアン・シウバ(ブラジル)13勝2敗(UFC2勝0敗)147.5lbs/66.90kg ※体重超過[2R 1分22秒 KO]×シャルル・ジョーデイン(カナダ)15勝8敗(UFC6勝7敗)146lbs/66.22kg※シウバが規定体重をオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のジョーデインに報奨金の20%を支払う
ジョーデインの左右に左フックでダウンを奪った体重超過のシウバは、ジョーデインの組み際に右アッパーも。2Rにジョーデインのシングルレッグで頭が下がったところに、シウバが右ヒジを背中に突き、右アッパーでKO。
[nextpage]
▼バンタム級 5分3R〇ペイトン・タルボット(米国)9勝0敗(UFC3勝0敗)135.5lbs/61.46kg[1R 0分19秒 KO] ※右クロス→パウンド×ヤニス・ゲムーリ(フランス)12勝3敗(UFC0勝2敗)136lbs/61.69kg
1R、ともにオーソドックス構え。いきなり右後ろ廻し蹴りのゲムーリ。左にかわしたタルボットが左ジャブ、右ローで詰めてワンツーを入れるとゲムーリが後方にダウン。一瞬追撃せずに見ていたタルボットだがパウンドに入り連打。打レフェリーが間に入った。
[nextpage]
【アーリープレリム】
▼女子ストロー級 5分3R〇ジリアン・ロバートソン(カナダ)14勝8敗(UFC11勝6敗)116lbs/52.62kg[判定3-0] ※30-27×2, 30-26×ミシェル・ウォーターソン(米国)18勝13敗(UFC6勝9敗)115lbs/52.16kg
1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るロバートソン。サウスポー構えにスイッチするウォーターソンだが、圧力をかけるロバートソンが前に。ウォーターソンは左回り。左右前蹴り、サイドキックも距離が足りない。
右の蹴り終わりに組んだロバートソンはボディロックテイクダウン! サイドを奪いニーオン。腕十字狙いからマウントを奪い、クルスフィックスでパウンド。腕を抜いたウォーターソンにサイドから頭つきのアームロック狙い。マウントに移行してパウンド連打! 腕十字へ。うつ伏せなり極めに行くが、ウォーターソンはまたいで凌ぐ。
2R、ウォーターソンの右の蹴りを掴んでシングルレッグから回してテイクダウンはロバートソン。サイドを奪い押さえ込んで細かいパウンド。ハーフに足をからめるウォーターソンに再び足を抜き、マウントに脇を開けさせて腕十字狙いもウォーターソンはリバースクローズドガード狙い。その足を外してサイドで押さえ込んだロバートソンは残り20秒で腕十字に。両腕をクラッチして防ぐウォーターソン。
3R、先にシングルレッグに入るウォーターソンをギロチン狙うロバートソン。首抜くウォーターソンを寝かせて1、2R同様にサイド、マウント。シザーズ狙いのウォーターソンはブリッジで亀に。背後からパウンドするロバートソンにウォーターソンも正対してフルガードに戻す。下からのウォーターソンの腕十字をかわしたロバートソンがサイド鉄槌でホーン。ウォーターソンは右目を腫らす。
5連敗となったウォーターソンは試合後、引退を表明した。
[nextpage]
▼ヘビー級 5分3R〇マルティン・ブダイ(スロバキア)14勝2敗(UFC5勝1敗)264.5lbs/119.98kg[判定2-1] ※29-28, 28-29, 30-27×アンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)34勝24敗(UFC23勝18敗)245lbs/111.13kg
[nextpage]
▼フライ級 5分3R〇鶴屋 怜(日本)10勝0敗(UFC1勝0敗)125.5lbs/56.93kg[判定3-0] ※29-28×3×カルロス・ヘルナンデス(米国)9勝4敗(UFC2勝3敗)125lbs/56.70kg
元修斗でTHE BLACKBELT JAPAN代表の鶴屋浩氏を父に持つ鶴屋怜は、MMA9戦無敗。レスリングベースで、2023年から2024年にかけて行われた『ROAD TO UFC Season 2』で3試合を勝ち抜き、UFCとの契約を決めていた。
鶴屋が初戦で対するヘルナンデスは、MMA9勝3敗でUFC2勝2敗。元HFC王者で、2023年12月の前戦では鶴屋と同門の平良達郎と対戦し、平良が右ストレートからのパウンドで2R、TKO勝ちしている。
キックボクシングのパンアメリカン準優勝・TBAムエタイ王者の肩書きも持つストライカーのヘルナンデスは、UFC初戦で元LFA王者のビクトル・アルタミラノを相手にコンテンダーシリーズ同様に1Rを奪われたが、競り合いで動きが落ちず、終盤盛り返してのスプリット判定勝ち。
2戦目はRIZINで60kg契約で元谷友貴にスプリット判定で敗れたアラン・ナシメントにスタンドのままリアネイキドチョークを極められ一本負け。連勝が「8」でストップした。
2023年6月には、ローカル14勝すべてがフィニッシュ勝利というウクライナのデニス・ボンダーと対戦。3Rに投げた際のヘッドバッドによりボンダーが失神、テクニカル判定で30-27×2、29-28の3-0で打撃の手数で勝ったヘルナンデスが勝利している。
そして、2023年12月の前戦で平良にTKO負け。その試合で平良は、1Rに寝技で圧倒。バック・マウントを奪取すると、続く2Rに右ストレートを効かせて右から左フックでダウンを奪い、パウンドアウトでUFC5連勝をマーク。6月15日のアレックス・ペレス戦に繋げていた。
沖縄の平良と千葉の鶴屋は同グループながら、同階級のライバルでもある。グラップラーの平良が立ち技の進化を見せるなか、鶴屋はUFCデビュー戦で、同じく強い組み技を軸にヘルナンデスを相手にどんな試合を見せるか。
そしてその会場は、アレックス・ペレイラvs.イリー・プロハースカのライトヘビー級王座戦がメインのラスベガスのTモバイルアリーナでのナンバーシリーズ大会となる。いきなり大観客のビッグマッチ抜擢に、UFCから鶴屋への期待も感じられるヘルナンデス戦となる。
鶴屋は米国フロリダのアメリカントップチームで堀口恭司、元谷友貴らとトレーニングを積み、国内では所属のTHE BLACKBELT JAPANに加え、グラップラーの猛者が集う、ロータス世田谷にも出稽古を行ってきた。
さらにセコンドには、かつてプロレスラーも目指していた父・鶴屋浩も敬意を抱く中邑真輔がセコンド入り。UFCとWWEを運営するTKOグループ・ホールディングスの関係もあり、日本人ファイターの共演となったようだ。22歳の鶴屋は現時点でUFCで2番目に若いファイターだ。
鶴屋のセコンドには中邑真輔。中邑のWWEの入場曲で花道を進む。鶴屋浩BBJ代表、岡田遼がセコンド。
1R、サウスポー構えの鶴屋に、ヘルナンデスはオーソドックス構え。右前手のフックを見せる鶴屋。ワンツーもまだ遠い。左カーフはヘルナンデス。シングルレッグの鶴屋だがヒザは抜けている。足を抜いたヘルナンデスはバックを奪い、持ち上げテイクダウン。背後のヘルナンデスのヒザをヒザ十字も両足が入っている。ストレートフットロックにしぼる鶴屋は足を抜くヘルナンデスに立ち上がる。
右前手で飛び込む鶴屋。シングルレッグから金網に押し込むとボディロックから後方にそり投げ! サイドを奪う鶴屋に足をからめディープハーフのヘルナンデスにトラックポジションからツイスター狙いの鶴屋もホーン。
2R、低いシングルレッグから脇に頭を出してテイクダウンの鶴屋。ハーフネルソンのヘルナンデスに正対する鶴屋。足を手繰るヘルナンデスに門脇狙いからクルスフィックスにとらえる鶴屋。抜いて立ち上がるヘルナンデスにバック狙いも腰をずらすヘルナンデスにシングルバックから回して脇に頭を入れてツイスター狙いも組めず。サイドに移行する鶴屋。
ハーフのヘルナンデスはフルガードに戻して下からヒジ。足を効かせて胸に蹴り上げもついていく鶴屋は頭を抱えてエビ固め。潜るヘルナンデスに鶴屋は後ろ三角でヒジを突く。
3R、鶴屋の早々のダブルレッグにがぶるヘルナンデス。鶴屋はそり投げも捨て身になり上を取るヘルナンデス! しかしその際でバッティングかヘルナンデスは出血。背中を着かされる鶴屋。ハーフで抱き着き二重がらみで凌ぐと上体を潜らせるとシングルレッグから立ち上がり。金網に押し込むが、体を入れ替えるヘルナンデス。鶴屋のシングルレッグにバックを取りに行くヘルナンデスに、鶴屋はずらして立ち上がり。
互いに疲労も金網背にする鶴屋。左で脇差すヘルナンデス。いったん体を入れ替えるも戻すヘルナンデスがシングルレッグ。片足立ちでホーン。鶴屋は首を振ってケージに手をかける。3Rはトップを取ったヘルナンデスのラウンドに。判定は3-0(29-28×3)で鶴屋がデビュー戦で勝利した。
[nextpage]
▼バンタム級 5分3R〇ヴィニシウス・オリベイラ(ブラジル)21勝3敗(UFC2勝0敗)136lbs/61.69kg[判定3-0] ※30-27×2, 29-28×リッキー・シモン(米国)20勝6敗(UFC8勝5敗)136lbs/61.69kg
1R、オーソドックス構えのシモン、オリベイラはサウスポー構えにスイッチする。右オーバーハンドのシモンに右フックを返すオリベイラ。歩きながら左右前蹴りも。
左ジャブを突き、右ストレート。シモンは右ローから組んで崩すが深追いせず。右フックを当てるシモンにノーガードで近づき右カーフのオリベイラ。手を下に下げて出所の分かりにくい右ストレート、ワンツースリーから右ハイに繋ぐ。ブロッキングのシモン。遠間からダブルレッグも切るオリベイラ。シモンは右ストレートを打ち込む。
2R、つかつかと中央に歩み出るオリベイラ。そこにシモンがダブルレッグも切る。右カーフ、左インローのオリベイラ。いいタイミングでシモンは組むが崩せず。続く左右フックにシモンはダブルレッグテイクダウン! しかし押さえ込めず。
なおもオリベイラの左右の前進にダブルレッグテイクダウンのシモン。今度はバックを狙うが乗り切れず。着地し、正対したオリベイラとスタンドに。
ワンツーからハイキックに繋ぐオリベイラに組ませず、中足蹴りから左右連打で詰める。シモンの打ち返しをかわすオリベイラ。右カーフも外受けでチェックしたシモンにオリベイラは右足を傷め、後退! 前に出たシモン。ホーン後もオリベイラは何かシモンに突っかかる。左足をアイシングする陣営。
3R、サウスポー構えになるオリベイラ。シモンは左右で詰めに。オリベイラの左右は手打ちに。蹴りは左に。シモンの左右前進にカウンターを合わせに行くオリベイラ。シモンはダブルレッグに入るがここも切るオリベイラ。
ワンツーの右も足が前に出ないオリベイラ。それでも長いリーチでガード上に届かせる。右カーフを打つシモン。足を触りに行くが切るオリベイラは右ハイを見せた。
間合いを保ち、ムエタイの5R目のごとくアウトMMAを見せながら、シモンが前がかりになるとダブルレッグテイクダウン。押さえ込みに固執せず立ち上がり、両手を挙げる。左右で打ち合いを見せホーン。
判定は3-0(30-27×2, 29-28)で2Rに右足を痛めたオリベイラだが、元ランカーのシモンに勝利した。