2024年6月24日(月)、タイ・プーケットのパトン・ボクシング・スタジアムで開催された『MONDAY NIGHT』に西川大和が出場。タイのエラワン・チャンムエタイと69kg契約で対戦し、右ローキックを効かせての2R KO勝利で、同スタジアムのベルトを巻いた。
幼少時から父に自然のなかで育てられた“野生児”西川大和。2021年9月に修斗史上最年少となる18歳での世界王座(ライト級)獲得に成功した西川は、立ち技経験も持ち、2019年9月のシュートボクシングで坂本優起に判定勝ち。2020年4月の『Road to ONE』では、オープンフィンガーグローブムエタイで緑川創に判定負けも、最終ラウンドまでもつれ込んでいる。
MMA14連勝後、UFC参戦も噂されるも実現せず。2023年のPFLレギュラーシーズンにライト級で参戦し、4月の初戦でクレイ・コラードと熱戦も判定負け。6月の2戦目でシェーン・ブルゴスに判定負けでプレーオフ進出ならず。
今回は、ムエタイではあるが、1年ぶりの試合復帰となる西川は現在、タイに拠点を移し、MMファイター出稽古の御用達プーケットで海外修行を続けている。
今回対戦したエラワン・チャンムエタイはオーソドックス構えで、どちらかというとフィームー寄りのテクニシャンだが、蹴りよりもパンチから入るムエマッドの側面も持ち、長身を活かした首相撲ヒジ・ヒザにも長けている好選手だ。
朝から晩まで格闘技漬けの日々を過ごしてきた西川は、果たして純ムエタイの試合でどんな動きを見せるか。
試合前にパトン・ボクシング・スタジアムのベルトがかかったチャンピオンシップになることがアナウンスされた同試合。ムエタイのスポンサーベストとモンコンをつけて入場した西川。エラワンのワイクルーに、西川もコーナーを歩いて祈りを捧げる。
左右にスイッチし、前足を破壊
1R、ともにオーソドックス構え。しっかりムエタイのリズムとアップライトの構えで後ろ足重心の西川は、先に軽く右ローから。チェックするエラワン。西川は左ボディストレートも。
エラワンの左ハイをブロックし、右前蹴りを突く西川。右ミドルを当てる。右ローはエラワンがチェック。ワンツーをブロックした西川は返しのワンツーでエラワンをコーナーまで後退させるとさらに右ロー。
エラワンは左手でその蹴り足を掴もうとするがすぐに足を戻している西川。右ローを返すエラワン。西川は左に身体をずらして右ロー。互いに右ローはチェックし、西川は左足を踏み込んで左ボディストレートをヒット。
さらに左ジャブから右ローを対角に当てると、エラワンは左ミドル。ワンツーから右テンカオで前に出るが、さばいた西川は左インローを2発当て、エラワンの右の打ち返しを避ける。
そのままサウスポー構えになる西川。エラワンは右ミドル。ブロッキングの西川は左インロー。さらに詰めてワンツーから左ボディへと繋ぐ。押し戻すエラワンに右ローも当てる西川。
エラワンのワンツーからの右ヒジをかわして組んでボディロックから右小外がけでこかす。レフェリーから足をかけないよう注意される西川。
エラワンの左前手のフックをダックしてかわして右ローを当てる。そして今度はワンツーの右をボディストレート。エラワンが前に出て来ると左前蹴りで突き放す。さらに右前蹴りも、エラワンはそれを掴んで上げて左ローを軸足に打ち込むが西川は倒れず。
すぐに体勢を戻して右カーフを当てる西川。今度は右ローをヒザ横に。さらに左インローを当てて前足を削る。ゴングにエラワンはイラついたようにマウスピースを吐き出す。
2R、右ローからワンツーで入る西川に、右ヒジを狙うエラワンはリズムを上げる。右ヒジをガードさせて右ローを突く西川。離れても右ロー。エラワンは右足を上げて近づき右ヒジ、さらに左縦ヒジはヒットか。西川は左のダブルで押し戻し、右ローをこつこつと突く。
エラワンの踏み込んでの右ヒジを左にかわす西川。エラワンはサウスポー構えになって前足を変える。すると西川もサウスポー構えになって左ローのダブル! さらにエラワンの上げた右足を超えて左奥足にローを当てる。
ワンツーの飛び込みはかわすエラワンのカウンターの右をかわす西川。サウスポー構えで左ミドルを当てて左ロー。ここはチェックしたエラワンがヒジ狙いで詰めるとすかさずクリンチの西川。頭横に頭をつけてダブルアンダーで密着し、ブレーク。
ともにオーソとなり、前に出て来たエラワンに下がりながらも右ローを当てる西川。右回りでエラワンをかわし右ローを当てると、エラワンの身体がブレるように。
すぐに詰めて来たエラワンに右のショートも当てる西川。詰めるエラワンはついに首相撲で組むと左右ヒジ。ブロキングの西川は剥がして右ローをダブルで返す。サウスポー構えに変えるエラワンは左前足を効かされている。
今度は右前足に左ローは西川。それはチェックしたエラワンだが、続く西川の右ローのダブルについにエラワンが崩れてダウン! そのまま立ち上がれず。西川が2R KO勝ち。
ローカルながら、しっかりとした立ち技の技術でパトン・ボクシング・スタジアムのベルトを巻いた。
試合後、西川は自身のSNSで「お陰様で1年1ヶ月ぶりの試合、無事に2ラウンドローキックでKO勝利する事が出来ました。試合を持ってきて下さった方々本当にありがとうございました。改めて私は本当に生まれてからこの21年間色々な方々に支えられ、心の底より幸せ者だと思いました」と周囲に感謝。
そして、69kgとアナウンスされた体重について、「今回のムエタイの試合は何キロ〜何キロと言う大雑把な体重契約で、この事を知ったのは2日前でした…。頼んだ当初に私が66キロと行ったのですが、もう体重が落ちなく脱水状態になりました。そのため68キロでと階級変更の連絡をしたところ、なんとタイ人コーチから今回はウェイトチェックはないから全然構わないよ…と言われました。対戦相手の事を尋ねても分からない、とだけ言われて正直物凄く不安でした!! 当日になり相手を見た時も、私よりも一回り大きいですし明らかにムエタイ慣れをしてるタイ人だと思いました…」と驚愕の事実を明かしている。
それでも、「しかし、日本から海外へ移住する際に、必ず人間的な部分で心と体を成長させて何でも良いから成功してやると思いこちらに出て来ました!! 今回はその第一歩を踏み出せたのではないかと思っております。皆様本当にありがとうございました」「今日はほんとうに良い日でした。毎日ジムで一緒に練習してくれているみんな、ほんとうにありがとう。良い国と良い練習環境に感謝します。ありがとうタイ」と、再起を遂げたことを綴っている。
磨きをかけたムエタイが、西川の格闘技のなかでいかに融合されるか。MMAの次戦も期待される西川のKO勝ちだった。