2024年6月23日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催されるKNOCK OUTのビッグマッチ『KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT“BLAZE”』(U-NEXT配信)。
スーパーファイトのKNOCK OUT-BLACKスーパーライト級3分3R延長1Rで対戦する、KNOCK OUT-REDスーパーライト級王者バズーカ巧樹(菅原道場)と元プロボクシング日本スーパーウェルター級暫定王者・中島玲(フリー)のインタビューが主催者を通じて届いた。
バズーカは2020年2月のKNOCK OUT無法島GPの決勝戦で西岡蓮太に判定負けを喫するも大きなインパクトを残して“覚醒”。8月大会でKNOCK OUT-BLACKライト級王座を奪取。2021年10月にはWMAF世界スーパーライト級王座決定戦で勝利し、二冠王となった。2022年からは精彩を欠いたが、2023年6月の『鉄拳』で豪快KO勝ちを飾り復活。9月には良太郎との王座決定戦を延長戦の末に制して二階級制覇を達成した。12月にはマルコス・リオスを迎え撃ったがTKO負け、2024年3月の『ONE Friday Fights 54』ではノンタキットに判定負けで連敗中。戦績は29勝(11KO)12敗3分。
中島は、高校時代にボクシングを始めてアマチュアで実績を残すも、2016年に交通事故で首の骨を折る重傷を負ってしまう。そこから3年のリハビリを経て奇跡の復活を果たし、2019年にボクシングプロデビュー戦で判定勝利を収めた。2020年10月にプロ4戦目にして前OPBF東洋太平洋ミドル級王者細川チャーリー忍を判定に破る大金星をあげて注目を浴びる。2023年4月には日本スーパーウェルター級暫定王者決定戦でTKO勝ち、日本暫定王者に。アマチュア戦績は26勝13敗、プロ戦績は6勝(1KO)2敗。2024年1月9日にボクシングで最後の試合、3月20日の『K-1 WORLD MAX』でK-1デビューを果たしたが、「-70㎏世界最強決定トーナメント」の1回戦でヴィクトル・アキモフにKO負けを喫した。
バズーカ「別にパンチでも負ける気はしない」
──5月16日のカード発表会見では、中島選手とのやりとりもありましたが、どう思いましたか?
「どうも思わないですね。特にこれを思ったとかはないです。いろいろ言ってましたけど、口では何とでも言えるんで、当日結果で分からせようかなと思ってます」
──『KNOCK OUT』への出場は昨年12月のマルコス・リオス戦と、少し間が空きました。そこに代々木第二大会での中島戦のオファーが来て、聞いた時にはどう思いましたか?
「正直、全然知らないし、試合映像を見てもちょっと自分とはレベル的にも全然違うとは思ったんですけど、自分は今2連敗してるんで、しょうがないというか。満足な相手ではないですけど、今はこういう負けという結果があるんで、これでもしょうがないって感じですね」
──その連敗なんですが、マルコス・リオス戦は今振り返ると?
「最近、本来の自分の戦い方をしてなかったんで、あの試合もそれが敗因になったなという感じですね」
──具体的には?
「ただ勝つだけじゃなくて、勝ち方にこだわろうと思って、それを意識しすぎたっていう部分があります」
──相手のマルコス選手がものすごい勢いで出てきたじゃないですか。それに押された?
「自分の中では押されたというのはないし、その前の鈴木千裕戦で速攻でやられたりもしてたので、ああ来ると思ってたので。いきなり突っ込んでくるということも、頭の中には入れてたら実際そう来て、いつもの自分の戦い方をせずに、付き合っちゃったという感じですね」
──次がタイ、ONEでの試合でした。そちらは?
「それも最初にダウンを取って、ちょっと気の緩みがあって、本当、油断しましたね。1回目のダウンは。初めてのオープンフィンガーグローブ(OFG)……そこは理由にならないんですけど、勝てる相手に負けてしまったって感じです。普通に勝てるはずだったのに、もったいないことしたという感じです」
──以前、OFGやUNLIMITEDルールの試合をやりたいと言っていましたが、実際にOFGでやってみて、いかがでしたか?
「実際1回やってみて、OFGはけっこう自分に合ってるなと思いましたね。『KNOCK OUT』でも機会があったらやってみたいです」
──さて、今回対戦する中島選手は、ボクシングでチャンピオンにまでなった選手です。本人もパンチで倒すと宣言していましたが、プロボクサーのパンチをどう見ていますか?
「彼と僕がボクシングでやったら、それは彼の方が競技としてうまいとかはあるかもしれないですけど、実際キックボクシングでのパンチで負ける気は全くしないですね。だから蹴りで勝つとかじゃなくて、別にパンチでも負ける気はしないですし、キックボクシングの中でのパンチじゃないですか。競技が違うので、その厳しさを分かればいいかなと思いますね、試合で」
──3月に中島選手がK-1のトーナメントに出た試合は見ましたか?
「いや、出たっていうのはちょっと聞いたんですけど、見てないですね。失神負けだか何だか、それだけ知ってるって感じです。キャリアとしては、キックボクシングでは1戦だけですよね。そのレベルでは通用しないよということを、口で言っても分かんないと思うんで、当日分からせるというだけですね」
──代々木第二体育館大会へは、昨年に続く出場になりますが、そこは?
「去年は結果としてダメだったので、あの時も自分のダメな部分が出ての負けでしたからね。勝てる試合を負けてしまった。その自分を修正したいですね。会場が大きいからどうこうというのは、正直あんまりないです」
──単純に、リングから見える景色が広かったり、花道とか演出が違ったりするじゃないですか。そういうのも影響はしない?
「そうですね、影響はしないです。ただ、すごくいいとは思いますけど、それでどうこう変わる話はないです」
──では今回、代々木第二での中島戦、バズーカ選手にとってのテーマは何ですか?
「自分の気持ちとしては、レベルが違うだろって思ってるんですけど、結果が全てで、今自分も負け続けてるので、『王者として負けられない戦い』ですかね」
──最後はどう勝ちたいですか?
「正直、パンチでも蹴りでもどっちでも倒せるんですけど、別にどっちとも決めてないんで。その時の流れで、どちらかで倒します」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「殺気ですね。今回は本当に負けられないという殺気、いつもと違った殺気を見てほしいです」
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中島「パンチでしっかり沈めてやりたい」
──5月16日のカード発表会見ではバズーカ選手とのやり取りもありましたが、いかがでしたか?
「ボクシングって、あんまり記者会見でワチャワチャなったりしないので、初めてガンつけられたんですけど、気合入りましたね。燃えました」
──相手があんな感じで来ると思ってましたか?
「そういう感じで来そうやなっていうのは思ってたんですけど、逆に楽しいですね、そっちの方が」
──3月にK-1 MAXのトーナメントに出場したのが、キックボクシング転向第1戦になりました。あの試合を今振り返ると?
「いつもの後楽園から久しぶりに代々木第一で試合させてもらって、今までデカい会場で試合をやったことが1回しかなかったので、すごくガチガチに固まってしまって自分の動きができなくて。そこで負けて次の復帰戦が今回なんですけど、そこで全然誰か分からんような選手と組まれるより、バズーカ選手、『KNOCK OUT』のチャンピオンなのですごくやる気になりましたし、相手に不足なしですね」
──実際、キックへの順応度合いはいかがですか?
「デビュー戦の時は準備期間が1ヵ月しかなかったので、自分がやれることはパンチでいくしかないと思ってたんですけど、先月からタイの方に1ヵ月、修行で行ってきたんですよ。蹴りにもアジャストできてきたし、一番問題だったのは距離感やったんですけど、そこもけっこうアジャストできて、もう問題はないですね」
──そこはボクシングからの転向組がみんな苦労するところですよね。
「もともと、空手とキックボクシングを経験してボクシングに行ったので、感覚が戻ってきたというか『あー、こんな感じやったな』みたいな。ゼロから始めたわけではないので、次はもう、バッチリ相手の攻撃もカマします」
──改めて、バズーカ選手とはどういう試合をしたいですか?
「やっぱりみんなが望んでるのは『蹴りvs.パンチ』やと思います。まあ僕も、別に蹴りが一切できないってわけではないので、ここはしっかり自分のパンチで、KOで終わらせたいですね」
──ボクシングで培ったパンチをぶち込むと。
「そうですね僕はバックボーンがボクシングということで来ていて、ボクシングに泥は塗れないので、ボクシングで培ったパンチで、しっかり沈めてやりたいですね」
──階級についてなんですが、ボクシングではスーパーウェルター級(69.853kgリミット)で、K-1でも70kgで出場されていましたが、今回はスーパーライト級(65kg)なので、2階級下げるわけですね。
「キックに転向するなら65kgが適正階級じゃないかというのは、僕はずっと言ってたんですけど、70kgでトーナメントの話をいただいたので、断ることはもう絶対ないので、それで出ました。キックでは、65kgが適正かなと、僕の中では思ってます」
──失礼かもしれませんが、体格的にも70kgというのはちょっと大きいのかないう印象があります。ボクシングでは平気だったんですか?
「ボクシングは蹴りがないのでというところもあって。正直、もちろん身長が高い方が有利は有利なんですけど、ボクシングで接近戦になると、身長が低い方が有利な場合もあるんですよ。ただキックとなると、近い距離だとヒザ蹴りが飛んでくるので、やっぱり70kgは適正じゃないなと、自分でも思ってました」
──今回も8cmほど身長差がありますが。
「問題ないですね。中に入って、瞬発力というか、爆発力を生かせる相手じゃないかなと思ってます」
──今回は『KNOCK OUT』に初参戦となりますが、今後、主戦場についてはどう考えていますか?
「今、僕自身としては、どこでと決まったものはなくて、どこのリングでもどんどん試合をしていきたいという思いが強いですね。今回は相手が現役チャンピオンですけど、別にベルトがほしいとかもないので、勝ったら勝ったでいいかなという感じですね。次、もしタイトルマッチを組んでもらえるんやったらやらせてほしいですけど、今はREDのチャンピオンですからね」
──まずはとにかくチャンピオンをぶっ倒したいというところですね。ご自身から見て、自分のパンチの優れているところとは?
「パワーもありますけど、やっぱりスピードですね。それはもうボクシング時代から、70kgの階級の中では僕はちょっと頭抜けてたと思うので、そこを出していきたいなと思います」
──その視点で、キックボクサーのパンチというのはどう見えていますか?
「なんか変なタイミングというか、ボクシングのパンチとはまたちょっと違うので、「お?」ってなる時もたまにはありますね。ちょっと読みづらい部分も逆にあったりはします。でも時間が経つにつれて、すぐ対応はできるし、キックの選手のパンチで倒れることはないですね。だからその分、自信を持って出ることができると思います」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこですか?
「山本KID徳郁さんの再来と思ってもらえたら嬉しいですね。僕の試合を見て、『あ、KIDさんや!』って思ってもらえたら最高です」