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【PFL MENA】サウジアラビア初女子PFL契約選手のアルセイフが鮮烈左ハイKO! バンタム級準決勝はタレブvs.アルダジャ、ハズvs.ブデグズダム。フェザー級はアルカタニvs.アリヤサット、レダvs.ベラグーイットに

2024/05/11 13:05
 2024年5月10日(日本時間金曜24時15分~)、サウジアラビア・リヤドのザ・グリーンホールズにて、『PFL MENA 1: Riyadh』(U-NEXT配信)が開催された。PFLの地域リーグ戦は、3月の欧州『PFL Europe 1』に続き、中東&北アフリカ地域のMENA(Middle East & North Africa)が開幕する。  メインは、サウジアラビアのアブドゥラ・アルカタニと、ヨルダンのヤジード・ハサネインのフェザー級戦。 ▼フェザー級 5分3R〇アブドゥラ・アルカタニ(サウジアラビア)9勝1敗 145.6lbs[2R 4分59秒 Verbal Submission]×ヤジード・ハサネイン(ヨルダン)146.6lbs 3勝1敗 ※体重超過  3連勝中のアルカタニは、2月の「PFLvs.Bellator」でインドのエドゥコンダラ・ラオに3R TKO勝ち。  今大会でモロッコの3勝無敗のタハ・ベンダウドと対戦予定だったが、ベンダウドが計量失敗で試合キャンセル。代わって対戦のハサネインも146.6ポンドの体重超過となっている。  試合は、序盤から常に左右で圧力をかけてハサネインにケージを背負わせたアルカタニが、2R、左を効かせて左右ラッシュ。  ハサネインもアルカタニもレフェリーを見るなか、アルカタニのラッシュに、ハサネイン自ら両手を広げてバーバルタップ。レフェリーが間に入った。  アルカタニは、PFL MENAフェザー級セミファイナルへの出場権を獲得した。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇アリ・タレブ(スウェーデン)11勝1敗[判定3-0] ※30-27, 30-27, 29-28×ナウラス・アブザク(ヨルダン)12勝6敗  コ・メインのバンタム級戦では、アリ・タレブとナウラス・アブザクが2021年3月以来、3年2カ月ぶりの再戦。当時はタレブが2R TKO勝ちしている。  MMA9勝1敗、26歳のタリブは、現UFCファイターのヴィニシウス・オリヴェイラにも3R TKO勝ち(2022年7月)している強豪。そのオリヴェイラは『UAE Warriors』で吉野光に初回TKO勝ちし、3月のオクタゴン初戦でも跳びヒザKO勝ちしていることから、単純比較はできないものの、タリブもそのクラスにいるのは間違いない。  しかし、2023年9月の前戦では、PFL欧州でクルシェド・カコロフの右カーフ、左ハイなどの蹴り技を受けて判定負けしており、アブザクとの再戦で勝利し、再起したいところ。  対するMMA12勝5敗、32歳のアブザクは、タレブ戦の敗戦後は5勝1敗。2023年10月にヴィクター・ヌネスに初回TKO負けを喫するも、2024年1月の前戦ではアゾウズ・アンウァーに1R リアネイキドチョークで一本勝ちで再起を遂げている。  1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るアブザクにタレブは右アッパーから左フックの飛び込み。アブザクはシングルレッグに切るタレブは右アッパー。しかし足を手繰るアブザクがドライブ。そこにギロチンチョークを合わせるタレブだが、首を抜くアブザクが上に。  タレブは足を効かせて下から打撃。その立ち際にバックを狙うが、タレブは正対して離れる。  タレブは右アッパー、ストレートが強打。そこにヒザを突くアブザク。右アッパーの入りが独特のタレブ。さらに右フック、ストレート。アブザクは右ロー。タレブの左フックはかわす。  右ボディを突くタレブ。右から左のアブザクをかわすタレブは左ボディ! さらに詰めて右アッパー、アブザクは左フックを返す。  2R、アブザクが先に中央へ。ワンツーも右回りのタレブの右ローに右を合わせる。タレブは右の強打。アブザクはシングルレッグで尻を着かせるも、すぐに金網に這い立ち上がるタレブはチョークも狙いながら離れる。  右アッパーさらにサウスポー構えにスイッチもするタレブ。オーソに戻して左フック。さらに詰めて右ボディ! 左フック、右の連打を当てるが、アブザクは右で押し戻す。  アブザクのアイポークに、タレブはすぐに再開。右カーフを当てると、左フックをガード上に。さらに右ボディストレート。左ジャブで詰めると、アブザクも左を突くが手数が足りない。タレブはニータップのフェイントから左右で前に。さらに右ボディを突いて金網に詰めるが、アブザクは左にサークリング。詰めるタレブが右バックフィストを打ち込みゴング。  3R、中央に出るアブザクに、右に回るタレブ。アブザクのワンツーをステップバックでかわすタレブは前に出て右ストレート! そこでシングルレッグのアブザクにバックを狙うタレブ。しかし片足持ち上げてテイクダウンのアブザクに、タレブはギロチンチョーク! 頭を抜くアブザクに、下からタレブはクローズドガードで鉄槌。  顔面から出血するアブザクに、タレブは下からこつこつ鉄槌。上のアブザクのパウンドが空振り。互いに上下で細かい打撃を打ち合い。上からヒジ打ちは禁止のPFLでアブザクはパウンド。金網まで押し込むもゴング。すぐに立ち上がるタレブが両手を挙げた。  判定3-0(30-27, 30-27, 29-28)で勝利したタレブはバンタム級準決勝進出。アルダジャと対戦する。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇ラシッド・ハズ(スペイン)14勝3敗[2R 2分55秒 リアネイキドチョーク]×ハビエル・アラウイ(カナダ)14勝6敗 ※元UAEWバンタム級王者   ともにオーソドックス構え。アラウイの右に右を返したハズ。互いに右をかわして左の返しのフックを当てたアラウイ。腰を落としたハズに跳びヒザを狙うが、そこにハズがダブルレッグテイクダウン! そこにギロチンチョークのアラウイだが、首を抜いたハズが右で脇差し、右足を跳ね上げてスイープ。  ハーフからニアマウント、バックへ。両足をかけてアラウイがうつ伏せになったところにパームトゥパームでリアネイキドチョークでタップを奪った。  エル・ハズがエリアス・ブグズダムとのバンタム級準決勝に進出。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇ジャラル・アルダジャ(ヨルダン)11勝7敗1分 135.6 lbs[判定1-0] ※29-27, 28-28, 28-28×タリク・イスマイル(カナダ)7勝1敗1分 136.4 lbs ※体重超過により  マジョリティ・ドローのアルダジャが、体重超過のイスマイルに勝ち上がり。PFL MENAプレーオフへの切符を手にした。 [nextpage] ▼バンタム級 5分3R〇エリアス・ブデグズダム(フランス)19勝8敗 ※元AFCバンタム級コンテンダー[2R 0分53秒 ギロチンチョーク]×ハッサン・モンドール(エジプト)9勝6敗  1Rからモンドールの蹴り足を掴んでテイクダウン、バックを奪ったブデグズダム。モンドールも下からの横三角絞めを狙うなどグランドゲームに。  2R、先に前に出るブデグズダムにダブルレッグテイクダウンはモンドール。両足掴んだままそのサイドに前転して戻してパスするモンドールに下から左差して立つブデグズダム。  再びダブルレッグのモンドールだが、今度はクローズドのギロチンチョークで引き込んだブデグズダムが、アームインギロチンを極めた。  AFCでバンタム級コンテンダーだった柔術黒帯のブデグズダムが、紫帯のモンドールに一本勝ちでPFL MENAプレーオフ進出を決めた。 [nextpage] ▼アマチュア女子アトム級 3分3R〇ハッタン・アルセイフ(サウジアラビア)[2R 0分41秒 KO]  ※ヘッドキック×ナダ・ファフィマル(エジプト)  女子MMAサウジアラビア選手として初めてPFLと契約したハッタン・アルセイフが出場。エジプトで散打王者のナダ・ファフィマルと対戦し、鮮烈左ハイキックでのKOデビューを飾った。  サウジアラビア政府が初めて、オリンピックへの女性選手の参加を認めたのは2012年。2015年以降、複数のスポーツ連盟が設立されて以降、女性のスポーツ参加が大きく進んでいる。  イスラム教の発祥地サウジアラビアは、イスラム諸国の中でも戒律順守の風潮が強く、全身黒い衣装(アバーヤ、スカーフのヒジャブ、目元以外を隠ニカブなど)を着た女性が多いが、近年は服装の規制は事実上撤廃されている。  今回のPFL MENAでは、アマチュア女子アトム級戦として、アルセイフとファフィマルは両者、肌を露出しない長袖ラッシュガードとロングスパッツで、MMAの試合に臨んだ。  アルサイフは10歳で孤児となったが、高校でボクシングを始め、ムエタイも習得。国際ムエタイ協会連盟世界選手権(IFMA)で2度優勝の実績を持つ。試合では、頭を覆うヒジャブを着けて試合をすることもあった。MMAの練習は、メインを戦うアブドーラ・アルカタニのもとでトレーニングを積んできた。22歳。  対する20歳のファフィマルは、散打エジプト王者。アマチュアMMA1勝をマークしている。  1R、ともにサウスポー構え。先に中央に出るアルセイフに、左前蹴りのファフィマル。そこに組んだアルセイフと四つに右足をかけて首投げ気味に投げたアルセイフに横回転で上を取り返すファフィマル。  ハーフから右を差すファフィマルに下からパンチはアルセイフ。左で差してブリッジで上を取り返すとマウントに。  金網に向かうファフィマルが亀になるとバックテイク。4の字ロックでリアネイキドチョークを狙う。しかし後ろ手を剥がしたファフィマル。アルセイフがバックからパウンドでゴング。  2R、左前蹴りのファフィマル。しかし詰めるアルセイフは左ハイ。嫌ったか組んだファフィマルをがぶるアルセイフ。首を抜き離れたのは組んだファフィマル。  金網背にするファフィマルはオーソドックス構えで肩で息をしてガードが下に。そこにアルセイフは左ハイ! 下からすくいあげようとしたファフィマルの上、顔面にヒットし、ファフィマルは横に崩れ落ちた。  うつ伏せにダウンするファフィマルに、アルセイフは鞘から刀を抜き出す仕草で左右に刃を振り下ろした。  勝利したアルセイフはサウジアラビア出身の女子選手として初めてメジャーMMAプロモーションのPFLと契約を結び、歴史に名を刻んだ。  得意のムエタイを武器に、寝技でもピンチを切り返すなど、MMAに対応したアルセイフは、狙いすました左ハイでKO勝ち。  まだアマチュアMMA1戦のルーキーが、今後プロとしていかに活躍するか。Bellatorを買収するなどメジャー2番手となったPFLは、今後も世界の地域リーグとして、中東&北アフリカ地域のMENA(Middle East & North Africa)大会を開催していく。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇イスラム・レダ(エジプト)11勝1敗[判定3-0] ※30-27, 29-28, 29-28×アダム・メスキニ(フランス)8勝3敗  5連勝のレダがフェザー級準決勝進出。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇メラウン・ベラグーイット(モロッコ)5勝0敗[3R 4分12秒 TKO] ※左フック×ミド・モハマッド(エジプト)6勝2敗1分  フェザー級でモロッコのベラグーイットが、3Rに強烈な左フックでエジプトのミド・モハマッドをTKO。準進出を決めた。ベラグーイットは無敗をキープし、キャリアを5勝0敗としている。 [nextpage] ▼フェザー級 5分3R〇アブダルラフマン・アリヤサット(ヨルダン)4勝0敗[判定3-0] ※29-28, 30-27, 29-27×アフマッド・タレック(エジプト)4勝1敗  アリヤサットがフェザー級準決勝進出。 [nextpage] ▼アマチュア フライ級 3分3R〇マリク・バサへル(サウジアラビア)[判定3-0] ※29-28, 30-27, 29-28×ハーシュ・パンディア(インド)  フライ級アマチュア・ショーケースで、サウジアラビアのマリク・バサヘルがインドのハーシュ・パンディアを判定で破り、アマチュアキャリアを19勝2敗1分に伸ばした。パンディアはアマチュア3勝2敗に。
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