キックボクシング
インタビュー

【ONE】秋元皓貴が問題のウェイ・ルイ戦を振り返る「30-27はどう見たらそうなるんだよと。どういう風に見たのかなと不思議に思った」秋の日本大会での再戦へ意欲

2024/05/06 13:05
 2024年5月4日(土)タイ・ルンピニースタジアム『ONE Fight Night 22:Sundell vs. Diachkova』(U-NEXT配信)の第7試合で行われた、バンタム級キックボクシング3分3Rのウェイ・ルイ(中国/初代K-1 WORLD GPライト級王者)vs.秋元皓貴(日本/元ONEバンタム級キックボクシング世界王者)の判定結果がファンや関係者の間で物議を醸している。  この試合について6日(月)、秋元自身がメディアからのインタビューに答えた。  率直な心境を聞かれた秋元は「試合が終わって結果を聞いた時は、実際やってすぐには勝ったと思ったんですが、外から観ているのとやっているのとでは見え方が違うので、自分は勝ったと思ったけれど違ったのかなって、その時は思って納得しようと思いました。でもその後、みんなの意見を聞いたり、自分で映像を見ても悪くなかったというのがあって。ただこの5カ月間、新しい拠点でトレーニングして楽しかったし刺激的だったし、試合自体もウェイ・ルイがいい選手でいい試合が出来て、判定以外は自分の中では満足しているのが一番ですね」とした。  試合映像を確認したうえで1Rから振り返ると、「1Rは正直、自分は捨てていました。1Rは行きすぎてはよくないというのが自分の中であって捨てていたんです。1Rは取られるかもしれないけれど、2・3Rで畳みかけるというイメージでした。試合をしている時もこれでいいと思っていましたし、このRは取られるかなと。ただ、映像を見たら自分が思っていた以上に行っていた、もっと抑えめだと思っていたんですが、行ってる方なのかなという感想です。  2Rは、1Rでルイの攻撃にも慣れてきていたので攻めて行こうと。自分の思ったように攻撃をして行けたと映像を見ても思いました。トレーニングキャンプでやってきたことが出せなかった攻撃もあったんですが、内容的にはよかったと思います。  3Rは引き続き行きたいと、プレッシャーをかけていきました。なので1~3Rを思い通りに戦えたのはあったし、2・3Rは自分の感覚では取っていた」と自分の思い通りに戦えていたという。  空振りが多かったことには「距離感が遠かったですね、自分が思っていたよりも。そこでカウンターを返してくるかなと思ったんですが、ルイは下がる場面が多かったので空振りが増えました。でもよけた後にカウンターが来たわけでもなく、狙っているわけでもなさそうでした」と、空振りしたことがマイナスにつながる要素はなかったとする。  また、ルイが軽く当てるような攻撃を出していたのは「それは自分の中で一番気を付けていた部分です。前足の蹴り、右足のロー、外足ロー、横蹴り、触るようなジャブとフックを使って相手を嫌がらせるスタイルなので、それは分かっていたので気にせずに出来ました」と想定内だったという。  ONEのジャッジがムエタイ寄りになっていることは「感じていました」とするが、「ただ、この試合はキックボクシングなので分けてもらわないといけないと自分では思っています」と、ムエタイルールのジャッジをキックボクシングルールでするのは違うと主張。 「1Rは五分ですが、ONEはマストなので取られたかもしれませんが2・3Rは自分が取っているので29-28で勝っていたというのが自分の意見です」というのが、改めて映像を見返しての判断だとする。  公開されたジャッジペーパーを見ても「30-27は、どう見たらそうなるんだよと(笑)。ルイのどこを取ったのか想像も出来ないくらいですよね。ジャッジ全員がルイに付けた3R目も、僕としてはしっかり取ったと思ったし、全くダメージを受けたこともない。相手の触るようなジャブ、前蹴り、ミドルも僕は全部対処していた。2・3Rを向こうに付けているのはどういう風に見たのかなと不思議に思いました」と納得がいかないとした。  そのうえで「判定基準を改善して欲しいです。ジャッジに関しては僕も今まで言ったことはなかったんですけれど、一番はダメージというのがありますが、ボディも効かせていたし。2Rにボディが効いてそこから嫌がって下がっていった。ルイはポイントアウトしようとしていたと思いますが、追撃してダウンは取れませんでしたがそういう場面があったので、そこを見たら30-27には絶対にならないと思いますし、しっかりと公平なジャッジをしてもらいたいと思います」と要望する。 [nextpage] 次は倒さないとなっていうのはあります  ルイと戦ってみての感想は「試合をしてみて思ったのはスピードだったりは、自分が想像していた通りあまりなかったのと、前足の使い方が上手い、ステップが上手いと思っていたけれど、そこをまず潰そうと意識していて。そこを潰したので、想像していた以上に相手は何も出来なかったんじゃないかなと思います」と、想像以上のものはなかったとした。  試合後のインタビューで、ルイが「自分が勝者にふさわしいと思う。でもパフォーマンスは10点満点で7点」と話していたことを伝え聞くと、「自分は10点満点なら7~8点になるのかなと思います」とし、「下がったのは秋元にコンビネーションを出させないため」と話していたことには「それをさせないように下がっているんだと思ったけれど、その分カウンターも怖くなかったし、下がって何かしてきたかと言うと何もしてきてないので。それでコントロールしていたというのはよく分からないですね」との意見を述べた。  解説で野杁正明も言っていたが、倒さないといけないとの意識を持ったかと聞かれると「倒す練習をしたし、倒したかったので、再戦になれば自分は完封することを第一に置いているんですが、次は倒さないとなっていうのはあります。ただ、倒さないといけないのはもちろんあるけれど、格闘技ってひとつのゲームじゃないけれどルールがあってそういう判定基準もあっての中で戦っているので、そこを抜きにして何としても倒しに行く練習をするのは自分の考えに反します。そこは今まで通り試合をコントロールする、完封して、プラスアルファで倒すことをしていかないといけない」と、再戦となればより倒すことを意識して戦うと答える。  その完封は出来たと思っているかとの質問には「とは思ってないです。ただ、試合をコントロールして戦うことは出来たし、やりたいことは出来たと思います」と、完ぺきではないがある程度は出来たと感じているようだ。  練習環境を変えてパワーオブドリームで練習してきた成果については、「PODでアドバイスをいただいて準備して話し合って、会長からもアドバイスをいただいて準備してきたんですけれど、言われていたことを意識して出来たし、潰しに行くことを徹底してやったことで自分が思った以上に思い通りに試合が出来たと思うのでそこはよかったと思うし、自分の成長につながった。これからもPODでやっていきます」とした。  セコンドに就いた江川優生、中島千博とは「2Rが終わってコーナーへ戻って、完全に取ったねって話はしましたし、相手が下がっていくからもっとフェイントを入れて行こうねって話をして。相手が下がっていくところでどうしようかとなって、3Rはより前に行きました」と的確なアドバイスをもらっていた。 「ルイの良さを消す、それを徹底して練習してきたので、そこを本番でやれたのは良かったと思います。前足を潰す、普段の動きをやらせないことをやってきました。攻撃面をいろいろ出せたけれど、もう一歩のところがありました。ルイは攻撃に行った時にカウンターを打ち返して来ると想定していたところで下がるところが多くて、行ききれないところがあったので。次は打ち返してくるかもしれないし、同じかもしれないけれど、リマッチが決まったらそこを詰めていきたいと思います」と、対策は間違いではなくより精度を高めていきたいという。  加えて、試合を見返したうえで「こうしておけばよかったというのはたくさんあります。練習してきたことで出来ていない部分はたくさんあるので。でも、この期間でやってきたことで試合のクオリティはある程度満足できるものでした」と思う部分はあるとした。 [nextpage] リマッチしないと先に行けないよ  チャトリONE CEOも「秋元が勝利したと思っている」と発言し、「再戦を秋の日本大会で組みたい」としたことには「それを見て間違ってなかったんだなと。やってきたこともそうだし、格闘技を見る目線も間違ってないと思いました。日本大会でリマッチが組まれれば試合を見てくださった方は盛り上がると思うし、準備期間もあるので今回以上のいい試合をして勝ちたいと思いますね」と意欲を燃やす。  ルイ自身が「自分は後ろを向かず前へ行きたい。リマッチをするなら秋元が王者になって自分が挑戦するか、自分が王者になって秋元の挑戦を受けるタイトルマッチでやりたい」と話したことには、「まあ、みんな早く行きたいですからね。そういった意見が出るのはしょうがないと思います。すぐに『そうだな、もう一回やってやるよ』とは思えないだろうし、ルイはすぐそうならないのは分かります。でも僕も1回リマッチをしているから分かりますが、リマッチしないと先に行けないよってのが僕からの意見です」との意見を述べた。  今後は「しばらく休みたいというのはない。足が腫れていたりするけれど、それが治ったら練習を再開して準備していきたい」とすぐにでも再戦へ向けて動くという。  判定の見直しについては「今そういうのをやっていこうかなと動いているところです。僕も詳しくなかったので、どうすればいいかを聞いています」と異議申し立てはするつもり。ONE関係者によれば「前に第三者委員会をなくしたとの発表があったので、どうすればいいのか正式なルートを確認します。ただ、オク・レユンとクリスチャン・リーの試合も第三者機関がなくなった後で、リマッチがすぐにあったので」とリマッチが組まれる可能性は高いとしている。  最後に秋元は「復帰戦としてはいいパフォーマンスが出来たと考えています。残念な結果になってしまいましたが、しっかり練習してしっかり作り上げてリマッチしたいと思っています。しっかり作り上げて今回の悔しさを晴らしたいと思っています」とリベンジへ向けて燃えていると語った。
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