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【UFC】ゴムゴムの銃、カニ挟み、二段蹴り──リアル“ルフィ”が鮮烈デビュー! ダナ代表「この男はまさにビーストだ」

2024/05/05 21:05
 2024年5月4日(日本時間5日朝7時~)ブラジル・リオデジャネイロのジュネス・アリーナにて、『UFC 301: Pantoja vs. Erceg』(U-NEXT見逃し配信)が開催された。  現地ではマウリシオ・ショーグンの殿堂入りが発表されるなか、もうひとりのマウリシオ、そして『ONE PIECE』の主人公“ルフィ”の異名を持つ男が、鮮烈オクタゴンデビューを果たした。 ▼ライト級 5分3R〇マウリシオ・ルフィ(ブラジル)10勝1敗(UFC1勝0敗)[1R 4分42秒 TKO]×ジェイミー・ムラーキー(豪州)17勝8敗(UFC5勝6敗)  マウリシオ・ルフィはなんと本名ではなく漫画『ONE PIECE』のルフィから自身がつけたという。 「俺の人生はずっとアニメの『ONE PIECE』とその主人公に繋がっている。『ONE PIECE』の主人公からその名を取った」というルフィは、その人生もユニーク。 「仕事はたくさんやっていたけど、最後にやったのは中国の大金持ちのボディガードだ。ここに来るまでに様々なことがあったけど、ようやく辿り着けた。UFCは俺の夢の実現。この瞬間のために人生のほとんどを懸けてきた」と、公式インタビューで語っている。  2016年9月にブラジル・サンパウロのローカル団体「Premium Fight Championship」でプロデビューしたルフィは、MMA9勝1敗。その白星はすべてKO・TKO勝ちという27歳(※30歳という説もある)だ。  唯一の黒星は現PFLのマノエル・ソウザとの2019年の試合で2R TKO負けだったが、そのソウザは11戦無敗で3月のBellatorとの対抗戦でもティム・ワイルドを初回KOしている強豪だった。  ソウザ戦後も4連続KO勝ちしたルフィは、20年10月のUFC登竜門「ダナ・ホワイト コンテンダーシリーズ」で現UFC世界ライト級王者のイスラム・マカチェフのスパーリングパートナーのレイモンド・マゴメダリエフに3R KO勝ち。UFCとの契約を果たしている。  今回、そのルフィが対するのは、MMA17勝8敗・UFC5勝5敗のベテラン、ジエイミー・ムラーキー。17勝中13フィニッシュ(10KO・3一本勝ち)を誇るフィニッシャーで、ライト級 (70.3kg)で身長が183cmで、リーチは188cmもあるが、なんとルフィは身長が180cmながら、リーチは191cmとムラーキーを上回る。 ダナ・ホワイト代表「この男はまさにビーストだ!」  オクタゴンデビュー戦から、ルフィはルフィだった。  コールに胸を張って「覇気」をまとい仁王立ちしたルフィは、グローブタッチ後、片手をマットに着いてのスライディングカーフキック(水面蹴り)を、まるで「ゴムゴムの鞭」のように打ち込んだ。  さらに、手の位置が低い、独特の構えでじりじりと圧力をかけると、ムラーキーの打ち返しをスウェイでかわし、前足を入れ替えてスイッチ。  ムラーキーの長い右を、パンチが伸びる方向と同じ方向に顔を背けるようにして受け流す「スリッピング・アウェー」でかわすと、ムラーキーの入りにカウンターの右、さらに遠間から右の「後ろ廻し蹴り」を側頭部に叩き込む。  押し戻すムラーキーの左右の連打を半身で肩を前に顔を傾けてことごとくかわすルフィーは、今度は反撃。まるで「ゴムゴムの銃」のごとく、長い右ストレートを叩き込んでムラーキーを後退させると、カポエイラのジンガのステップのように一瞬背中を向けながら近づき「カニ挟み」でテイクダウン!  足関節を狙うも、ムラーキーが立ち上がると、ムラーキーの右に右のクロス! これでムラーキーの身体が流れると、すぐに右のゴム手が顔面を貫き、続けて右から左の「二段の跳びヒザ」!  ムラーキーがマットに両手をついてダウンし、立ち上がったところに右ストレート、右アッパー、さらに右ストレートで再度ダウンを奪い、両手を広げ、レフェリーがまだ止めないと、パウンド1発。レフェリーが間に入った。  U-NEXT解説の元修斗王者の岡田遼は、「これは『海賊王に俺はなる』と言ってもいいいい試合をしましたね」と、鮮烈デビューに驚きのコメント。  さらに、UFCのダナ・ホワイト代表は、「この男はまさにビーストだ! マウリシオ・ルフィの史上最高の、UFCデビュー作のひとつだ」と賞賛し、「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」のボーナスを決めた。 [nextpage] アストロボーイは王者にあと1歩、及ばず  この日のメインでは、このライト級戦と同じ「ブラジルvs.豪州」対決が行われ、王者アレクサンドル・パントーハ(ブラジル)に、“アストロボーイ”=鉄腕アトムのニックネームを持つスティーブ・エルセグ(豪州)が挑戦。  5Rに渡る戦いで、5連勝中の王者パントーハを、UFCまだ3戦(3連勝)のエルセグが、ヒジ打ちで流血させるなど打撃で攻勢に立ち、組み技でも相手の得意なスクランブル戦を挑むなど、死闘を繰り広げた。 ▼UFC世界フライ級選手権試合 5分5R〇アレクサンドル・パントーハ(ブラジル)王者・28勝5敗(UFC12勝3敗)※UFC6連勝[判定3-0] ※48-47×2, 49-46×スティーブ・エルセグ(豪州)挑戦者・12勝2敗(UFC3勝1敗)※パントーハが王座防衛  判定は王者に軍配が上がったものの、2者が1ポイント差の接戦で“アストロボーイ”の今後に、大いに期待を抱かせる王座戦となった。  ちなみにアストロボーイのニックネームの由来を本誌の取材時に、「コーチと当時の彼女がつけたニックネームなんだ。もう少し若い時は似てるところもあったと思う(笑)。彼は控えめな(Unassuming)ヒーローだろ? だから、うん、やっぱり少し似てるんじゃないかな」と語っていたエルセグ。  今回の惜敗後、「パントーハはスクランブルが強かった。スクランブルには自信があるのに。判定でも目があると思ったけど覆った。5R、頑張れば行けると思ったけど、出来なかった」とアトムのように謙虚に語ったが、得意の打撃のみならず、王者の土俵の寝技でも勝負したところに、末恐ろしさを感じさせる、UFC4戦目だった。  UFCの同階級には、日本からUFC5連勝中の平良達郎と、MMA9戦無敗の鶴屋怜が参戦しており、平良は『NARUTO』の大ファン。また、両者が頂きを目指すためには何が必要かが見えてくる、エルセグの挑戦だった。  漫画・アニメの戦士の心技体をモデルに、格闘技の世界最高峰の舞台でも主人公となって頂点に立つファイターは、もう現実のものとなっている。
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