Rajadamnern World Series(RWS)2023年12月23日(土)タイ・ラジャダムナンスタジアム※U-NEXTにて見逃し配信中▼ラジャダムナンスタジアム認定女子バンタム級王座決定戦 2分5R〇ソムラサムミー・マノップムエタイジム(タイ/同級1位)判定3-0 ※49-46、50-45×2×セブギ・ヴェナムムエタイ(トルコ/同級2位)
1945年に創立され、コロナ禍前までは女性がリングに上がることもリングに触れることさえも許されなかったムエタイの聖地ラジャダムナンスタジアム。しかし、時代は変わって女人禁制が解け、今回遂に78年の歴史上初となる女子王座が認定されることに。この試合は名高・エイワスポーツジム(=吉成名高/エイワスポーツジム)のラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級暫定王座決定戦の後に行われた。
ラジャダムナンスタジアム初の女子王座を争うのは、どちらも長いアマチュア経験からプロに転向したソムラサムミーとセブギ。
ソムラサムミーは44勝6敗の戦績を持ち、RWS世界リーグ戦で史上初の2度優勝を達成。日本のリングでも活躍したザ・スターに勝利している。その栄光とは裏腹に、コロナ禍では試合が組まれず収入がなかったため皿洗いのアルバイトや工場勤務で生活費を稼いでいたという苦労人である。
対するセブギは国際的なアマチュア大会で数々の金メダルを獲得しており、プロ戦績はなんと174戦153勝21敗と、何かの間違いではと思うほどのキャリアを持っているという。
1R、両者サウスポー。ソムラサムミーの左ミドルをキャッチしたセブギは左ストレートを見舞ってからリングに叩きつけるかのように転倒させる。セブギの左ストレートをかわしたソムラサムミーが左ストレートを入れると、セブギがすぐに左ストレートでお返し。ソムラサムミーの左右ミドルに左右フックを合わせ、前に出てくるソムラサムミーにも左フックをヒットさせるセブギ。パンチを当てていったのはセブギだが、蹴りを当てていったソムラサムミーが支持される。
2R、前に出て左ミドルを蹴るソムラサムミーは組むと首相撲からのヒザ。これを嫌がるセブギは組まれる前に左右フックの連打を繰り出すが、組まれてヒザを蹴られる。ソムラサムミーの左ミドルにパンチを合わせるセブギだがソムラサムミーは組み付き、セブギをコカす。セブギはパンチのラッシュをかけるが、ソムラサムミーは両腕を伸ばして距離を作りパンチを空振りさせる。
3R、セブギは前に来るソムラサムミーに右ミドル、左右フックで組まれるのを阻止していくが、やはり首相撲に捕まってヒザをもらってしまう。たびたび蹴り足キャッチからのストレートを見せるセブギ。しかし、逆にそこから組まれてしまう展開に。セブギは表情から消耗が見え始めた。
4Rも同じように前へ来るソムラサムミーに前蹴り、左右フック連打で組ませまいとするセブギ。ソムラサムミーは左ミドルから組んでのヒザと徹底した組みの展開。ソムラサムミーの左ミドルにワンツーを合わせるセブギだが、ソムラサムミーの優勢は変わらない。
5R、もはや勝つためにはKOしかないセブギ。ワンツーを繰り出すがソムラサムミーは距離で外す。左ミドルと前蹴りはソムラサムミーで、セブギのミドルはスネでカット。ソムラサムミーが首相撲からのヒザでくると左右フックでなぎ払うセブギ。左フックの一発を狙うセブギだが、やはり距離で外される。セブギが首投げして両者が倒れ、立ち上がるところで試合終了。
判定が読み上げられる間、勝利を確信して笑顔で判定結果を聞くソムラサムミー。セブギも負けを確信していたか、笑顔なくソムラサムミーに拍手を送った。
史上初の女子ラジャダムナン王者となったソムラサムミーは「RWSで2度目の優勝をした1年後にラジャダムナンの王者になれて嬉しい。私はまだまだ、もっと強くなっていきます」と笑顔で語った。
ラジャダムナンスタジアムの女子王座はまだこのバンタム級だけだが、今後は男子と同じように各階級で王座決定戦が行われていくことが予想される。前日の22日に2度目のラジャダムナンスタジアムでの試合で初勝利をあげた伊藤紗弥(尚武会)は、最後の目標としてラジャダムナンスタジアム王座を目指すとしており、2024年2月12日に東京・後楽園ホールにて開催される『Rajadamnern World Series in JAPAN』で初代王座決定戦が行われればベストだが、伊藤の階級の新設にランキング入りと課題は山積みだ。