2023年12月9日(土)エディオンアリーナ大阪『K-1 ReBIRTH 2』にて、スーパーファイトのK-1スーパー・フェザー級3分3R延長1Rでレミー・パラ(フランス/CARCHARIAS)と対戦するK-1スーパー・フェザー級王者レオナ・ペタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO)。
2022年9月の「K-1 WORLD GP 第5代スーパー・フェザー級王座決定トーナメント」で優勝し、王座に就いて以来の復帰戦となるレオナ。最近では皇治を始めとして他団体の選手へSNSを通じて次々と喧嘩を売ることが話題となっているが、その真意も聞いた。
今は石からダイヤモンドになりました
――約1年3カ月ぶりの復帰戦が近付いてきました。現在の心境は?
「やっとお客さんにお披露目できるなって感じですね」
――そのお披露目というのは、この1年3カ月でやってきたことということですか?
「そういうことになると思います。レオナ・ペタスがどうなったのか、と。ブランクもあって弱くなったかもしれないし、強くなっているかもしれないって幻想があるじゃないですか。その幻想がどっちなのかをお披露目する機会が来たなっていうことですね」
――右拳の手術を終えた後の練習はどのように?
「右手以外を鍛えていました。骨盤から骨を取って移植したので腰も痛かったんですが、腰の方は割と早く治ったので右手以外で出来ることは全部しましたね」
――左手の使い方、蹴りが以前よりもレベルアップしたと?
「間違いなくそうなります」
――右手を使えるようになったのはどれくらいで?
「手術して1カ月くらいは殴ってはダメと言われていて、そこから徐々に殴っていいとは言われたんですけれど痛くて。殴れるどころではなかったです。それでもちょっとずつ回復していって、今はもう完全復帰ですね」
――打つ時に不安はありませんか?
「最初は不安でしたね。でも今は何も考えず、躊躇せずに打つことが出来ます」
――右手を全く使えなかったわけですよね。衰えは感じませんでしたか?
「筋肉が衰えた感じはありました。でも、殴れなかっただけでシャドーとかは出来たので、フォームは以前よりも綺麗になりましたね。そのおかげで今は石からダイヤモンドになりました(※レオナのキャッチフレーズは石の拳)。以前よりも間違いなく威力が上がっています」
――右手以外で練習していたことで、他の技でも倒せる自信はついた?
「本当に当たれば倒せるんじゃないかと思うくらいになりましたね」
――それを見せるのが今回の試合ということですね。
「でも、それがもしかしたら自己満だったのかもしれないし(笑)。その答えが12月9日に分かるので楽しみにしていて欲しいですね」
――対戦するレミー・パラ(フランス/CARCHARIAS)選手の試合映像を見たと思うのですが、改めてどんな印象か教えてください。
「ヘタクソなんですね」
――ヘタクソ!?
「いい意味で本当にヘタクソなんです。自分のやりたいことしかやらない。アマチュアみたいな戦い方をするんですよ。逆にやりにくい相手だと思いますね。でも僕はチャンピオンなので、それをぶっ飛ばさないといけない使命がある」
――変則的なリズムということですね。それでも自分の敵ではないという意識ですか?
「全然、話にならないと思います。それは12月9日に分かります(笑)。いざやってみたら“あれ? 違うぞ”となるかもしれないし、“やっぱりそうだよね”となるかもしれない。その答えを見て欲しいです」
――ブランクは心配じゃないですか? そこで苦しむ選手は多いですよね。
「僕は他の選手とは違うので。一緒にしないでください(笑)」
――相手がサウスポーというのはどうですか?
「右が復活したことによって全然問題なくなりました。中村寛とやった時は右が全然使えなかったので何発かを狙ったところにしか打てなかったんですけれど、今はむやみやたらに打ちまくれるので。元々サウスポーは苦手ではなかったんですよ」
[nextpage]
格闘技というものを教えてやります
――試合が出来ない時期は悶々とした気持ちを抱えていましたか?
「格闘技って代謝が早いじゃないですか。だから忘れられてしまうとか、衰えてしまうとかって心配はありましたね。ウチの松山勇汰がいま駆け上がって来ているじゃないですか。自分は停滞していて追いつかれてしまうんじゃないかなとか、いろいろ心配はありました」
――欠場している間のスーパー・フェザー級戦線はどう見ていましたか?
「そうなんですよ。それが一番心配で、どう変わるのかなと思って見ていたんですけれど、みんな問題なしです(笑)」
――変わらなかったと。
「何も変動せず、僕のぶっちぎりでしたね。実際『対戦した方がいいんじゃない?』って言われるような相手も出てこなかったですよね。僕が休んでいる間に頭角を現わす選手はいなかった」
――今のところ日本に敵はいないというところですか。
「いや、『日本に』ではなく『K-1に』ですね」
――それは記者会見でも名前を出していたRISEスーパーフェザー級王者のチャンヒョン・リーを意識しての言葉ですか?
「そうですね。単純に『THE MATCH 2022』で中村寛に負けたのにってアンチどもに言われるのがウザいんです。中村をKOしたチャンヒョン・リーを倒せばお釣りが返って来るでしょう」
――チャンヒョン・リーを選手としてはどう見ていますか?
「凄くいい選手だと思いますよ。実力もあるし、気持ちも凄く強い」
――コイツと殴り合ったらどうなるのかな、というのが楽しみ?
「殴り合いにはならないと思いますね。気付いたら向こうが沈んでいると思います。それくらいの自信がありますね」
――実現の時期は早ければ早いほどいいですか?
「でも、次が復帰戦でサウスポーなんですよ。だからその前にオーソドックスの相手との試合を挟みたいと思っていて。もし決まるのであれば1月くらいに海外遠征試合をしてこようかなって考えています。3月のK-1の『K’FESTA』かRISEの『ELDORADO』、実現するなら僕はどっちでもいいです」
――そのチャンヒョン・リー戦が実現するのかどうかももちろん楽しみなんですけれど、レオナ選手は最近SNSでいろいろな選手に喧嘩を売りに行っていますよね。あれはなぜ?
「単純に、格闘技の本質を履き違えているヤツが多いんですよね。知名度、稼ぎ…と思っているヤツが多すぎる。違うでしょう、格闘技の本質は“強さ”なので。それを履き違えているヤツらはかかって来いよと、教えてやるよって思っています」
――そういう選手は許せないと?
「そんなので調子に乗るなと、リングの上でやってやるよってことですね。格闘技というものを教えてやります。本当にいつでもやってやりますよ。でも、彼らはやりたくないんでしょうね。僕には絶対に勝てないから。彼らはビビッているので。強さの点においてはレオナ・ペタスが相手では話にならないと分かっているから来れないでしょうね。だから違う部分で喧嘩を売るしかない。でも知名度とかお金を稼いでいるとかが彼らのステータスなら、格闘技じゃなくてもいいじゃないですか。他にもっと稼げる職業がありますよ。格闘技は強さだと思うので、それを履き違えるなよってことを教えてやりたい」
――「知名度が~」とか「やっても話題性が~」というのは逃げであると?
「あ、ビビッてるんだなと(笑)。そういうヤツらって強さについては何も言ってこないじゃないですか。僕が強いから。まず強さについて言って来いよって思いますよ、だって格闘家でしょう? 道具がなくて一番危険なのって格闘家じゃないですか。なんで危険かって、強いからでしょう。じゃあ格闘技イコール何なのって僕は思うんですよね。強さを捨てて、稼いでいるからってそれが何なの? と。他のビジネスをやればもっと稼げるよって話じゃないですか。知名度だって言うのなら芸能人にでもなればいい」
――格闘技をそういう道具に使われるのが許せない?
「そのために使っても別にいいですよ。ただ、それで偉そうにしているのが許せないですね。強くないなら」
――なるほど。では、今一番許せないのは誰ですか?
「いろいろなヤツがいるんですけれどね、皇治。アイツはマジで雑魚なので。華がないとか知名度がないとか稼いでないとか言ってるけれど、強さについては何も言わないじゃないですか。お前、弱いじゃんって。天心と武尊にサンドバッグにされていたけれど、自分とやったら本当のサンドバッグになるよって感じですね」
――でもMMAでやれとか、なかなか乗ってこないですよね。
「ビビってるんですよ。知名度がないって言ってる選手に負けてしまったら本当に終わりじゃないですか。皇治という名前だけで喰っていけなくなってしまうから。皇治という名前で有名な選手とやって知名度を上げているだけです。知名度がない選手に負けることを恐れている。だから男じゃないんですよ。〇〇〇〇付いてないです。付いているなら強いヤツとやるのが男でしょう。雄(オス)なら強いヤツとやるべきじゃないですか」
[nextpage]
武尊選手とはもう1回ぶつかり合いたいと思っている
――K-1王者は一番強くなければいけないって気持ちもあるんですか?
「いや、それはないですね。僕が強いってだけなので。僕は言うだけのことはやっているし、強さに自負がある。K-1のチャンピオンがみんな一番強いかって言ったら分からないし、ラッキーでチャンピオンになれた人もいるかもしれないし。だからK-1チャンピオンだから強いってわけではないですね。僕は雄として強いってだけです」
――強い自分だからK-1のベルトを持っていて当然だということですね。
「そうなんですよ。僕のためにベルトがあるってことなんです。ベルトに価値があるのではなく、僕に価値があるんです。僕が持っているベルトだから価値がある。文句があるなら倒しに来いよって感じです。でも、彼らは去勢されてしまっているので。(ペットの)トリミングの学校に行っているので去勢とか言ってしまうんですけれど(笑)。去勢されているので雄じゃないんですよ。雄じゃないから同じところにいないのかなって思います」
――去勢されたヤツらには用はない、と。
「彼らは強さに対して証明したい気持ちがないんですよ」
――そうなると日本では相手がいない。vs.世界というのを考えていますか?
「まず国内1位ではないヤツが、世界に行っても何が世界だって言われてしまうので、まずは国内で1位になってから世界に挑戦したいと思っています。そのために遠回りをしたんですけれど、国内の団体で言えばあとはチャンヒョン・リーしかいないので、彼を倒せば国内で一番強いと証明できると思っています。そういう段階を踏んでいきたいですね」
――武尊選手を追ってONEに行くことは考えていますか?
「それは全く考えていません。僕はK-1でずっと王の座に君臨しようと考えています。それで武尊選手もONEでチャンピオンになって、『この2人がまたやったらいいんじゃない・ 今やったらどっちが強いんだろう』って声が高まってきた時にもう1回ぶつかり合いたいと思っています」
――それは大きな夢ですね。やはり武尊選手に敗れたことは胸の中に残っていますか?
「ありますね。強かったし、それは認めます。でも僕は一番強くなりたいので。あの時は負けたけれど、再びリングの上で出会う時は僕が一番かもしれないし。それこそ僕は雄なので、去勢軍とは違います(笑)」
――K-1の王として自分はK-1の中でどんな存在でありたいと思っていますか?
「在り方としては今までと変わりはないです。背負う気持ちはないですが、雑に扱う気持ちもない。お互いwin-winの関係でいられるのがいいかな。僕が負けたからといってK-1が弱いわけではないし、僕より強い選手もいるし。K-1の強さの象徴というわけではないけれど、僕が一番になった時にK-1の名前が一番に出てくるような存在になりたいと思います」
――新体制のK-1では最初に無差別級トーナメントがあったように、重量級がクローズアップされることが多くなるかと思いますが、それに対しての対抗意識は?
「それはないですね。世界って言ってるから重量級になるのは当然です。僕の階級になると欧米はほとんどいないじゃないですか。女子の階級になってしまうんですよね。そうなるとアジア圏内になってしまうので。100kg前後になればいろいろな国から出てこれるので、世界ってなるよなって納得はしています。でも、ヘビー級でもKO出来ない試合はあるじゃないですか。そういうのはヘビー級なのに、って思いますね。軽量級がお手本を見せてやるよって感じです」
――計量の時にいつも減量がキツそうですけれど、階級を上げることは考えていませんか?
「一度上げようとしたんですけれど、増やす方が大変で。全然増えなかったんですよ。だから60kgでいいやって思いました。減量はキツいですけれど、もっとキツい選手はいっぱいいるなと思って。何でも仕事はキツいじゃないですか。男はキツい想いをしないとダメです。そこで弱音をはいているようでは雄ではないです。そこも含めて試合なのでそれを楽しもうと思っています」
――2023年を締めくくる一戦、そういう意味ではどういう試合にしたいですか?
「まずは僕の復帰戦ということで、ファンの方たちが凄く楽しみにしてくれていると思っていて。健全になったよ、健全になったらやっぱり強かったよってところを見せたいです。トーナメントの時よりも確実に強くなっています。だからトーナメントに出場した7人は、あそこで僕に勝っていればラッキーだったなって思いますね」
――そして2024年はレオナ選手にとってどんな年になりそうですか?
「行っちゃいますよ。行けるところまで行っちゃいます。まずはチャンヒョン・リーを倒して、他団体で強いって言われているヤツがいるならそいつも倒して全国制覇。2023年は足踏みしてしまった年だったので、2024年は挽回します。やれるところは全部やって、もういないなと思ったら世界に行っちゃいます」
――凄い自信ですね!
「でもまあ、試合をしてみないと分からないですけれどね(笑)。これが虚勢だったのかもしれないし、それとも確信だったのかもしれない。どっちかはまだ分からないので」
――その答えは…?
「12月9日ですよ。だから見逃さないでください」