2023年9月8日(日本時間9日)、米国フロリダのVyスターヴェテランズメモリアルアリーナで開催される、ベアナックルのMMA団体『Gamebred Bareknuckle MMA』でジュニオール・ドス・サントスvs.ファブリシオ・ヴェウドゥムのブラジル対決が行われることが発表された。両者は2008年10月以来、15年ぶりの再戦。UFCでの初対決時はドス・サントスが1R 右アッパーからのパウンドでヴェウドゥムにTKO勝ちしている。
素手でMMAを戦う、初期UFCを彷彿とさせるベアナックルMMAは、元UFCファイターのホルヘ・マスヴィダルが起ち上げた「Gamebred Promotions」が主催。
マスヴィダルはこのベアナックルMMAのほかに、若手育成を中心としたMMA『iKON FC』、ボクシングマッチを行う『Gamebred Boxing』などもプロモートしている。
素手のMMAながら、アスレチックコミッションに認可されており、MMAのユニファイドルールを用いた5分3R制で戦う。
初期UFCで許された頭突きやサッカーキックは禁止。しかし、素手のボクシングのみならず、握った拳によるグラウンドでの打撃が、MMAでどう影響するか、第1回大会から注目されていた。
5月5日にフロリダで開催された前回大会では、元UFCファイターのロイ・ネルソンと、ベアナックルファイト(BKFC)で活躍するディロン・クレックラーが対戦。手首だけをバンテージで固めた素手の拳で戦った。
サークルケージのなか、両者ともにアゴヒゲをたくわえたヘビー級戦は、的確なジャブを突くクレックラーに、ネルソンはシングルレッグを仕掛けるもテイクダウンを取れず。クレックラーの右クロスを浴びてバランスも崩したネルソンだが、1R 3分24秒、ワンツーの右でダウンを奪い、クレックラーをパウンドアウトしている。
素手ゆえに頭部の箇所によっては打った方が拳や手首を痛める可能性もあり、より精緻なボクシング技術が必要とされるなか、1発の殺傷能力も素手ならでは。またグラップリングの感覚も異なるだろう。
これに遠間の蹴りや組んでも戦えるムエタイ技術が加わり、テイクダウンが加わるレスリング、グラップリング巧者が戦った場合、素手のMMAはどうなるか。近間でオープンフィンガーグローブとの差はあるのか、ガードポジションに変化はあるのかなども、注目されるなか、次回大会のメインカードが発表された。
それが、ハイレベルのボクシングテクニックを有するドスサントスと、グラップラーでありながらMMA流ムエタイの使い手でもあるヴェウドゥムの一戦となる。
UFCからEagle FCでも負傷TKO負けしたドスサントスは2019年3月のデリック・ルイス戦以来、4年半ぶりの白星を掴めるか。
対するヴェウドゥムは2021年5月のPFLでの前戦がパウンドでのTKO負けから、フィニッシュ直前に仕掛けた三角絞めでヘナン・フェレイラがタップの仕草をしていたことでノーコンテストに変更されている。
2002年にMMAデビューしたヴェウドゥムと、2006年にMMAデビューしたドスサントスは、いずれもヴァーリトゥード世代ではないものの、そのルーツにブラジリアン柔術を持つ両者が、ユニファイドMMAを経てベアナックルMMAを戦うのは興味深い。
MMAが素手になることでどんな違いが表れるか。注目の『Gamebred Bareknuckle MMA』だ。