2023年6月3日(土)神奈川・横浜武道館『K-1 WORLD GP 2023』にて、「初代ミドル級(-75kg)王座決定トーナメント」に出場するダニロ・ザノリニ(ブラジル/ブラジリアンタイ)が公開練習を行った。
ザノリニは1999年にブラジルから日本に移住。スーパー・ウェルター級戦線で活躍し、4団体のベルトを巻いた。近年ではブラジリアンタイの代表・指導者としてK-1に多数選手を送り込んでいたが、2022年2月に現役ファイターとしてK-1に参戦。今回、初代ミドル級王座決定トーナメントへの出場が決まった。
そのザノリニがトレーニングパートナーとして声をかけたのが、同じ愛知県在住で過去にK-1 WORLD MAXで拳を交えている佐藤嘉洋さんだった。長年ザノリニのトレーナーを務めていたトーマス・スタンレーが昨年10月に他界。ザノリニは「トーマスが亡くなって、愛知で一番強い佐藤さんに練習を見てもらいたかった。佐藤さんはK-1MAXで日本チャンピオンになっているし、私が今まで戦ってきたなかで一番強かった。その佐藤さんと練習出来たら、自分もチャンピオンなれると思った」と佐藤さんにコンタクトをとり、二人の練習がスタートした。
トーナメントに向けた公開練習も佐藤さんが代表を務める名古屋JKF池下で行われ、ザノリニは佐藤さんとマススパーリングを披露した。
トーナメント一回戦で対戦するハッサン・トイは佐藤と同じ長身で、ヒザ蹴りをはじめ長い手足を駆使した攻撃を得意にしている。ザノリニにとって佐藤はまさに仮想ハッサン・トイであり「ハッサンと佐藤さんは身長も一緒で、ファイトスタイルも似ている。佐藤さんと練習していたら(対策は)大丈夫だと思っている」と語る。
またK-1MAXのトップで戦ってきた佐藤さんと拳を交えることで「佐藤さんはブアカーオや魔裟斗さんともすごい試合をしてきて、昔のK-1のことがよみがえるし、練習していてモチベーションもあがる」と精神面にもいい影響があるようだ。
佐藤さんはザノリニの仕上がりについて「階級も上げて、体の圧力は今の方があると思います。練習を始めた頃は反応の鈍さもあったんですけど、練習をやるたびに動きは良くなっているし、上手く相手の技にも反応出来るようになりました。対策している技があって、それもいいタイミングで当たるようになってきています」と太鼓判。
「どうしても20代のハッサンとギリギリのところで戦うと敵わないので、そこを経験や老獪さでどうぼやかすか」とハッサン・トイを分析した上で「ダニロさんのラッシュと勢いにはいいものがある。今回は年齢的にも最後の挑戦になると思うので、今までだったら1発2発で終わったところで、3発4発打って欲しいです」とエールを送った。
改めてトーナメントに挑む気持ちを聞くと「K-1でベルトを巻くタイミングをずっと待っていました。今回チャンスもらったんで、ベルトを獲るしかないし、最後まで行って優勝します」とザノリニ。「私は昔TVでK-1を見て、ずっとK-1のリングに上がりたかった。2010年にK-1 MAXに出て佐藤さんに負けて、それから他のリングにあがって世界タイトルも獲ったけど、やっぱり私はK-1のベルトを獲りたい」とK-1王座にかける想いは強い。
また日系ブラジル人として、長年日本に住んでいるザノリニは日本人としての気持ちも持ってリングに立つつもりだ。
「僕はブラジル人だけど、仕事のために日本に来て、日本で格闘技を続けてきた。だからこそK-1で戦う大きいチャンスをもらったと思うし、日系ブラジル人としてブラジル人がK-1に出られるチャンスを作りたい。ブラジルと日本の選手みんなが集まって、K-1の世界大会としてがんばりたいです。(トーナメントには同門のヴィニシウス・ディオニツィオも出ているが?)1番強いのは松倉(信太郎)選手だと思っているので松倉選手とやりたいし、ヴィ二シスが松倉選手に勝って決勝でブラジル人対決になってもうれしい。日本もブラジルもどちらも強い、という印象を残したい」
最後にザノリニは「いつも応援してくれる人、仲間、スポンサーのみなさん、本当にありがとうございます。ブラジリアンタイ全員で力を合わせてK-1ベルトのベルトを獲りにいくので、応援よろしくお願いします!」とメッセージを送った。