2023年4月29日(日本時間30日)米国ネバダ州ラスヴェガスのUFC APEXにて『UFC Fight Night: Song vs.Simon』が開催された。
試合リポートの通り、メインのバンタム級戦(5分5R)では、チーム・アルファメールに所属する中国のソン・ヤドンが、UFC5連勝中だったリッキー・シモン(米国)のテイクダウンを切って、カウンターの左でTKO勝ち。ユライア・フェイバーと熱いハグをかわした。
コメインのミドル級では、カイオ・ボハーリョ(ブラジル)が、ここまで2試合連続1RKO勝ちのミハル・オレクシェイチュク(ポーランド)に2R、リアネイキドチョークで一本勝ち。UFC4連勝を決めている。
また、第9試合のミドル級戦では、ADCC&柔術世界王者のホドウフォ・ヴィエラが、レスリング出身のUFC2勝2敗のコーディ・ブランデージと対戦。
2Rにヴィエラのダブルレッグをギロチンでとらえるブランデージに対し、首を抜いたヴィエラがハーフから肩固めでタップを奪い、UFC戦績を4勝2敗とした。
第8試合のフェザー級戦は、フェルナンド・パディーヤがジュリアン・エローサをパンチラッシュで1R TKO。UFCデビュー戦で金星を掴んだ。
第4試合の注目のフライ級では、コーディ・ダーデンがチャールズ・ジョンソンを組みで削ってバックテイクで判定勝ち。UFC3連勝を決めている。
なお、第6試合は、ブライアン・ケレハーが負傷によりバンタム級戦から除外。ケレハーの代役をUFCニューカマーのマーカス・マクギーが務め、ジャーニー・ニューソンと対戦した。これまでMMA6勝1敗で、勝利のすべてをノックアウトで決めているマクギーは140ポンドのキャッチウェイト戦を左ストレートでのダウンを奪ってのリアネイキドチョークで一本勝ち。緊急参戦のデビュー戦を勝利している。
また、アンジュ・ルーサの負傷で、代役としてコンテンダーシリーズ出身のトレイ・ウォーターズがUFCデビュー。2週間前にLFAウェルター級タイトルマッチを制したばかりのウォーターズはジョシュ・クインランとのウェルター級戦を長いリーチを活かした打撃で、フルマークの判定勝利している。なお、ピート・ロドリゲスが体調不良で、ナタン・レビーとのライト級戦はキャンセルされた。
女子バンタム級のイリーナ・アレクシーワ(ロシア)はステファニー・エッガー(スイス)に1R ヒザ十字で一本勝ち。
[nextpage]
▼バンタム級 5分5R〇ソン・ヤドン(中国)20勝7敗1分(UFC9勝2敗)[5R 1分10秒 TKO]×リッキー・シモン(米国)20勝4敗(UFC8勝3敗)
バンタム級8位のヤドンと、10位のシモンによる5分5R。
ヤドンは、WLF、Kunlun Fightで活躍後、2017年11月のUFCデビューから6戦目でマルロン・ヴェラに判定勝ちするなど5勝1分け後、2021年3月にカイラー・フィリップスに判定負けでUFC初黒星。
そこからケイシー・ケニーにスプリット判定勝ちし、フリオ・アルセ、マルロン・モラエスをTKOに下して再び3連勝。2022年9月には上位ランカーのコーリー・サンドヘイゲンと対戦し、4R終了後にカットによるドクターストップでTKO負けしており、今回は再起戦となる。
対するシモンはUFC5連勝中。デビューから3連勝後、現在のヤドンの師匠であるユライア・フェイバーに1R TKO負け。続けてロブ・フォントにも判定負けしたが、そこからレイ・ボーグ、ガエターノ・ピレロ、ブライアン・ケレハー、ハファエル・アスンサオ、ジャック・ショア相手に5連勝。強いテイクダウンを武器とする。
1R、ともにオーソドックス構え。中央を取るシモンは左ハイ。ブロックするヤドンはじりじりと圧力をかける。そこに右ローはシモン。遠間からシングルレッグに入るが切るヤドンに深追いはせず。
左ミドルを腹に当てるシモン。ヤドンの右の蹴り。シモンのワンツーをかわすがシモンのワンツーから右オーバーハンド。それをブロッキングしたヤドンが右を振って詰め。金網際で組もうとするがシモンは離れて右ロー。右ダブルをブロック上に突く。ヤドンは右ローを当て、右ハイをかわされるとそのまま後ろ廻し蹴りも空振り。
2R、詰めて右ローはヤドン。左右から左を被弾したかに見えたシモンはバッティングで右目を押さえて崩れるが、詰めて来たヤドンにダブルレッグテイクダウン。金網使い立つヤドンは、シモンを追って右オーバーハンド。ブロックするシモンに右から左ボディを狙う。右ボディから左フックのヤドンに、下がるシモンは左ジャブのダブルで押し返し。
ヤドンのワンツー、右フックをかわすシモン。詰めるヤドンに左前蹴りもヤドンは前に出て左ボディ! 右回りのシモンを追って右フックも、それを潜ったシモンがカウンターのダブルレッグテイクダウン! ハーフのヤドンに鉄槌を降ろす。
3R、先に中央に詰めるヤドンは右カーフ。シモンはダブルレッグテイクダウン。頭を押さえてすぐに立ち上がるヤドンはシモンの左を頭をさげてかわして左ボディも。パンチがローブローとなり中断、再開。
ヤドンの左ハイをスウェイでかわすシモン。ヤドンは左インローをヒット。シモンのヒザ着きのタックルは切る。ヤドンは左ボディでの飛び込み。ともにジャブを当てると前に出るのはヤドン。シモンの左ジャブの打ち終わりに左フックは空振り。2発目は浅いがテンプルに。近づくシモンに今度は右ボディ。ともにハイキックをかわしてブザー。
4R、ここまでは打撃に置いて全ラウンドでシモンを上回っているヤドン。
右ローを突くヤドン。シモンも右ローを返す。跳びヒザのシモンをかわして右ボディを突いて左アッパーを狙うヤドン。左ジャブの打ち終わりにダブルレッグで飛び込むシモンを切るヤドンになおもダブルレッグのシモンだが、連続のテイクダウン狙いをヤドンがかわす。
右ジャブ、左のシモン。かわして左、右ボディに繋ぐヤドン。詰めるヤドンに右回りのシモン。左から右フック、かわすヤドンのワンツーはブロッキングのシモン。ヤドンの後ろ廻し蹴りをかわしたシモンだが、左を突いたところに、ヤドンのカウンターの左ストレートを被弾しダウン! ブザーに救われる。
5R、シモンの入りに右オーバーハンドを当てるヤドン。下がるシモンだが、右から左を振って反撃。そこにヤドンはまたもカウンターの左でダウンを奪うと、シモンはヒザから崩れ落ちる。背中を見せて立ち上がろうとするシモンを背後からパウンドで追い、再び崩す。レフェリーが間に入った。
試合後、ヤドンは「キツい試合だったけど今日は僕の夜だった。コーチに休まず圧力をかけ続けろ、と言われていたんだ。僕はグッドレスラー、グッドディフェンスを持っている」と語り、コーナーのユライア・フェイバーと熱いハグをかわした。
[nextpage]
▼ミドル級 5分3R〇カイオ・ボハーリョ(ブラジル)14勝1敗(UFC4勝0敗)※UFC4連勝[2R 2分49秒 リアネイキドチョーク]×ミハル・オレクシェイチュク(ポーランド)18勝6敗(UFC6勝4敗)
ミドル級。コンテンダーシリーズ2021出身で、UFC3連勝中のボハーリョ。ガジ・オマルガジエフ、アルメン・ペトロシアン、そして2022年10月の前戦では、UFC3連続KO勝ちだったマフムート・ムラドフに判定勝ちしている。カムザト・チマエフの練習パートナーでもある。
ポーランドのオレクシェイチュクはライトヘビーで4勝3敗1NCでダスティン・ジャコビーに判定負け後、2022年からミドル級に落とし、サム・アルビー、コディ・ブランデージを相手に2試合連続1RKO勝ち。UFC6勝のうち5KOをマークする一方、3敗のうち2敗を一本負けしている。
1R、ともにサウスポー構え。オレクシェイシュクは左ボディ、左オーバーハンド。ボハーリョも頭が近づいたところにギロチン狙いも離れる。シングルレッグのボハーリョを切るオレクシェイチュク。2度目の組みもオレクシェイチュクが切るとボハーリョは首相撲ヒザも浅い。
踏み込んで左オーバーハンドのオレクシェイチュクが前に。金網に詰まるUFC APEXの少し小さなケージに詰まるボハーリョのアゴ下に頭をつけるが、オレクシェイチュクのヒザがローブローに。
再開、オレクシェイチュクの前進に跳びヒザを合わせようとするボハーリョ。なおもシングルレッグも切るオレクシェイチュクだが、脇潜りスタンドバックから崩してオレクシェイチュクに両手をつかせてホーン。
2R、連続1RKOが途切れたオレクシェイチュク。前手の右フックで飛び込むボハーリョは圧力をかけてきたオレクシェイチュクに左カーフキック。さらにダブルレッグをドライブしてテイクダウン。金網背に立とうとするオレクシェイチュクだが、寝かせてニアマウント、ハーフバックから左ヒジ! 背中を見せたオレクシェイチュクに両足をかけるボハーリョが、たすきから左腕を左脇から抜いて喉下に入れてパームトゥパームで絞め上げると、オレクシェイチュクがタップした。
眼鏡をかけて判定コールを受けたボハーリョは、両手をゆりかごで揺らせてから勝ち名乗りを受けると、「1Rの彼は凄かったけど、疲れるのを待っていいた。俺のダブルレッグテイクダウンはUFCで一番だろ?」と語った。
カイオ・ボハーリョはこれでUFC4連勝。オレクシェイチュクはUFC2連勝2KOでストップ。ミドル級で初の敗北を喫した。