2023年1月24日から27日の4日間、元ONE世界ライト級王者の青木真也が、フィリピン・バギオを訪問した。
標高1,500mの場所にあるフィリピンの天空都市バギオには、マーク・サンジャオと盟友エドゥアルド・フォラヤンが率いるチーム・ラカイがある。これまで3度対戦している青木とフォラヤンには、MMAの、ONEの歴史のなかで共有しているものがあり、それを確認する旅となったようだ。
チーム・ラカイでの2日目に青木は、グラップリングセミナーを行った。セミナーには、フォラヤンをはじめ、ケビン・ベリンゴン、ジェへ・ユスターキオ、ダニー・キンガッド、ジョシュア・パシオら、ONEで活躍するラカイの選手たちやアマチュアファイターも参加。練習後に青木は、バギオの地元料理を愉しんだり、フォラヤンの誘いで乗馬にも取り組んでいる。
3日目も天候に恵まれ、朝からチームラカイ恒例のトレイルランニングに青木も参加。険しい山道を駆け上がったり、駆け下りたり、高地でのランニングに、ラカイ勢の体力の秘密を感じたという。
その後も、サンジャオコーチやJBトレーナーが持つミットにパンチ・キック、ムエタイのヒジ・ヒザも打ち込んだ青木は、昼食後には、フォラヤンの案内でバギオを一望できる山にも訪れ、雲海の上の絶景を楽しんだという。
最終日にはバギオからマニラ空港まで、フォラヤンも5時間以上のドライブで青木の見送りに駆けつけ、「また東京で会おう!」と約束している。
旅の模様は、後日ONE Championship公式YouTubeと、ABEMAのYouTubeチャンネルにて公開予定だ。
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青木「フォラヤンも何か伝えたい思いがあってやっている」
──東京から遥々バギオまでやってきました。ここまできた理由は?
「特に理由はなくて、ここに来たら何かが生まれると思って来ました。実際に来てみて、すごい力にもなったし、また頑張ろうって、気持ちになりました。ここで起こった感情というのはすごく大切なことだと思います」
──これまで3度戦ったフォラヤン選手とはライバルという感覚なのでしょうか。
「別になんか3試合目やる時くらいからお互いに嫌な感じはなかったですからね。2回目を受けてくれたのが本当にありがとう、という気持ちでした。その時は日本大会だったし、ありがとうという気持ちが強かったです(※1度目は2016年11月、当時王者だった青木の3度目の防衛戦で、フォラヤンが青木をヒザ蹴りからのパウンド連打でTKO勝ちで王座奪取。2度目は2019年3月のONE日本大会で再戦、青木が1Rに肩固めでフォラヤンに一本勝ちで王座を奪還。3度目は2021年4月に青木が腕十字で一本勝ち)。ちゃんと一緒に仕事をしてきた仲間だなって思っています」
──バギオでの2日間を振り返ってみて。
「リフレッシュするつもりで来てなかったんだけど、結果的にリフレッシュになっちゃって、ありがとうという気持ちと、こういう状況になったのはお互い頑張ってきたからだから。それは結果的に自分自身にもギフトになったかなと思います」
──この旅での学びは?
「全て言えないくらいたくさんありますよ。格闘技をやる上での規範というか規律というか。本当にたくさんのことを学びました」
──フォラヤンと実際に話してみて感じたことは?
「彼が言っているのは、試合の勝ち負けは当然あるけれども、試合をすることによって何かを伝えなければいけない。僕でいう思想信念主義主張であって。何か伝えたい思いがあってやっていると。僕もその思いがあって。人々の感情を揺さぶりたい、何かを与えたいという気持ちを持ってやっていて、それは彼も同じでした。
僕とエドゥアルド・フォラヤンって次はないものなんですよね。3回やっていて、決着がついているから。何かお互いが交わることで何かを伝えられるんだったら、やってもおかしくないと思います。あってもおかしくないことなんじゃないかなと思います」
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フォラヤン「シンヤと将来についての約束をしたんだ」
──青木真也選手がバギオに来ると知ったタイミングと、その時どう思いましたか。
「2022年の12月、僕の試合のすぐ後にONEのスタッフから教えてもらいました。彼のようなレジェンドが違う国からこうして僕らの街を訪れてくれることはとても貴重だし、彼が来ると言って、本当に来てくれたのは心から嬉しかった」
──青木選手と過ごしたこの数日間はいかがでしたか。
「色んな場所を一緒に行ったし、彼に僕らの地元のご飯も味わってもらって、僕にとっても彼にとっても良い経験だったと思います」
──一番心に残っていることは?
「最初のランチと、最後のディナーかな。乗馬もそうだし、山を登ってバギオを見下ろしたのも思い出深いね。特に最後のディナーでの彼との会話は心に残っている。なぜなら僕達の将来についての約束をしたから」
──フォラヤン選手にとって青木真也選手とはどんな存在でしょうか?
「僕の格闘家人生、一人の人間としても、彼の存在はとても重要だし、僕の人生の一部です」
──彼ともう一度試合をしたいとも思いますか?
「もしやるとしたら、お互いのラストファイトじゃないかな」
──今度は青木真也選手に会いに日本に行きたいでしょうか。
「もちろん! バギオで一緒に山に登ったから、今度僕が日本に行くならシンヤと富士山に登りたいね。あとは、日本では馬刺しを食べるっていうからそれもトライしてみたいよ」