MMA
インタビュー

【ONE】再起戦に臨む平田樹(前篇)「ニューヨークで1人でサバイブして、ただ我武者羅に練習する」=8月27日(土)『ONE FIGHT NIGHT 1』

2022/08/11 15:08
 2022年8月27日(土)にシンガポールのインドアスタジアムで開催される『ONE FIGHT NIGHT 1: MORAES VS. JOHNSON II』のリードカードで、平田樹(Krazy Bee)が、MMA15勝3敗1分のリン・ホーチン(中国/Haosheng MMA)と対戦する。  平田は、プロMMA5戦無敗から、2022年3月の『ONE X』で、ジヒン・ラズワン(マレーシア)と対戦し、スプリット判定で敗北。プロ初の黒星後、今回は初めて米国で調整を行い、再起戦に臨む。  ホーチン戦について聞く前に、まずはニューヨークで「毎日サバイブしている」という練習生活について聞いた。 充実しています、練習しかすることが無いので ──平田選手、いま米国で練習をされているそうですが、どこにいますか? 「ニューヨークです。ジムは……いっぱいいっているんですけど、セラロンゴMMA、ネスタ(マルテ=アンデウソン・シウバやヘンゾ・グレイシーの元専属コーチ)先生のムエタイジム(アルティメット・ジム)、セラBJJにも行っています」 ──前回、ABEMA海外武者修行でサンディエゴとニューヨークを回り、今回は2回目の渡航かと思いますが、今はどのくらいニューヨークで練習しているのですか? 「1カ月くらいですね。今回はニューヨークからそのままシンガポール入りします」 ──再びの渡米でニューヨークで練習をしようと思ったのは? 「前回、サンディエゴとニューヨークで2週間ずつ練習したのですが、ニューヨークでの最後の2週間が濃い時間だったので、試合前にもう1回、チャレンジでこっちでファイトキャンプして、そのまま試合入りしようと決めました」 ──今回は、ニューヨークで1人で練習されているのでしょうか。前回はセコンドのアーセン選手やセラロンゴの魅津希選手らがいたと思いますが。 「いまは誰もいなくて、アーセンも魅津希選手も(村田)夏南子選手(※ともにUFC参戦中)も帰っているので、それでもアーセンがニューヨークにいたときに、今回セコンドについていただくネスタ先生と3人で会議をしながら練習方針を決めてきました。ただ、まだ自分は英語がそんなに聞き取れていないので、アーセンがいたときは通訳してもらいながらスパーリングもやっていました。自分がどういう試合をしたいかを伝えて、意見を聞いて、それをアーセンとも共有してプランを立てています」 ──マネージャーさんがニューヨーク在住とはいえ、今回はたった1人で練習に向けての生活を送っていると。食生活はどうしていますか。 「日本に帰国中の魅津希さんが『炊飯器を使っていいよ』と言ってくれたので、こっちに来てからずっとお米を炊いています。今回からご飯のトレーナーさんもついてくれて、『そこの食材でこういったものを食べて』とアドバイスをもらって、なんか、胸肉ばかり食べています(笑)」 ──外食は高そうですね。 「めちゃめちゃ高いです。スーパーでも日本食がめちゃめちゃ高くて、日本で100円の納豆パックが400円くらいします。ただ、野菜がマジで嫌いだったんですけど、前回、こっちに来たときに野菜を食べる習慣がついて、そこから全然、普通に野菜が食べられるようになりました。バランスがだいぶ良くなりました。これが日本に帰ったときに出来るかどうかはちょっと考えちゃうんですけど(苦笑)」 ──しかし、練習面では充実していると。 「充実しています。練習しかすることが無いので、練習以外は充実していないです(笑)」 ──英語のコミュニケーション面など、1人で不安は? 「特に無いですね。練習のときはどうにかなります。ただ、ジムの外に出て買い物のときなどは、“この人たちほんと何を言っているか、分からないな”って(笑)。でも、今回、アーセンを帰らせたのもそうですけど、いつも減量のときとかも誰かが助けてくれていたので、1回、1人でサバイブして、どれだけできたかというのを見せたいですし、チャレンジ精神でやっています。話せない環境のなかで、ただ我武者羅に練習するっていう。それは絶対に何かに繋がると思っています」 【写真提供=平田樹】 ──現地で大変なことは? 「身体のケアとかマッサージとか、ちょっとした怪我したときとかも、いつも見てくれている先生がいないので、こっちで探していくのが大変でしたね。出稽古のコーチが紹介してくれたところに行っているんですけど、ちょっと住んでいるところから遠くて、ニュージャージーの方で、電車で2時間くらいかけて行っています。日本なら30分ほどで行けるところが往復4時間かかり、言葉もうまく伝わらないので、シュウ(ヒラタ)さんがいないときは、結構大変ですね」 [nextpage] 女子選手が多く、すべてのタイプの選手がいる。スパーでは1Rごとに入れ替わり向かってくる ──アメリカで練習するメリットは? 「女子選手がたくさんいるということ、偏らないですべてのタイプの選手がいることもそうです。ボクシングが強い選手、キック、寝技が強い選手とそれぞれいて、すべてのタイプの選手をスパーリングのときに呼んでもらっていて、1Rごとにいろんな選手が立ち代わり入って来るという練習をやっています。そういった練習は、日本では出来なかったことだなと考えています」 ──フレッシュな相手とのかけ稽古も様々なタイプがいると。それを毎週行うのですか。 「スパーリングは週に1、2回で5分か6分を7Rほどやります。相手は2分半か5分のタイミングで変わります。相手は100%で向かって来るので、そのプレッシャーに負けないためのスタミナ、メンタルの強化にもなっています」 ──そのスパーリングは、ロンゴ&ワイドマンMMAでのことでしょうか。 「いえ、ニュージャージーにあるケージのジムで、ネスタ先生が一緒にそこまで来てくれて、先方のジムの先生にリクエストして呼んでくれた選手とスパーリングしています」 ──佐々木憂流迦選手のときもネスタコーチがニュージャージーまで付き添ってくれていましたが、平田選手にも……。 「はい。ボクシングの強い選手、レスリングの強い選手といろいろな選手を集めてくれて、試合が近いとケージで練習出来るのもいいです」 ──サンディエゴコンバットアカデミーでのスパーリングでは、体重を合わせてセコンドをつけて、ギャラリーもいての試合形式のスパーリングをやっていたと聞きました。それはニューヨークでも? 「セラロンゴで、5分3Rそれをやってましたね。試合が近い選手を週に1回、その形でやって。どちらのスパーリングも、その日は緊張しますね。キツいと分かっているので。それが結構、『うー』っなりますね。でもそれが出来ないときは『もっとやんなきゃ』って思います」 ──フィジカル面の強化についてはいかがですか。 「フィジカルは週1で1時間なんですけど、どこに行ってもフィジカルが強いと言われるんですが、打撃のスタミナが足りないから、フィジカルを鍛えるより、打撃のスタミナをつけようと。心拍数を上げるなど、ミット、サンドバッグをやっています」 ──打撃のスタミナをつける。身体的に鍛えている部位もありますか。 「こっちの練習でボールを投げたりすることが多いのですが、マジで球技できなくて、超、大変でした(苦笑)」 ──格闘家あるあるですね。強いのに球技が苦手な人、少なくないです。 「左右で投げるんですけど、右はまあまあなんですが、左は大変なことになっていて(笑)、左右のバランスを良くするのに効果的かなと」 ──それはスタンドでも組み技でも寝技でもそうですよね。左右どちらからでも攻撃・防御が出来ると。 「はい。どんな選手もどっちが得意とかあるんですけど、左右どちらも出来ないとダメだなって思いながらやっています」 <後篇に続く>
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