那須川天心（左）とロッタンが再会。オンライン対談で語り合った
RISE世界フェザー級王者・那須川天心（TARGET/Cygames）とONEフライ級ムエタイ世界王者ロッタン・ジットムアンノン（タイ）が再会した。
那須川とロッタンは2018年6月にRISE世界フェザー級王座決定戦で対戦、3分5R戦っても決着が付かず、延長戦で那須川が振り切って世界王座に就いた。本戦の判定は0-1でロッタン有利となり、那須川がキックボクシング40戦の中で最も敗北に近づいた瞬間に。
その後、両者とも再戦を臨み、那須川がRISEファイナルマッチでロッタンとの再戦を希望したことから実現が期待されたが、契約や入国規制の問題などがあって実現には至らず。代わって那須川は6月の武尊戦へ向けてロッタンとスパーリングをしたいと呼びかけ、ロッタンも「楽しみにしているよ」と答えた。
（写真）「サワディカップ」と再会の挨拶を交わす2人
そんな“戦友”の2人が、3月上旬についに再会を果たした。『ゴング格闘技 5月号 No.319』の企画でオンラインにて対談を行ったのだ。那須川は4月2日(土)東京・国立代々木競技場第一体育館『Cygames presents RISE ELDORADO 2022 ～Tenshin Nasukawa Finalmatch～』で風音（TEAM TEPPEN）と、ロッタンは3月26日（土）シンガポール・インドアスタジアム『ONE X』でデメトリアス・ジョンソン（米国）との対戦を控えての再会となった。
ロッタンは元UFC世界王者を相手に、1Rと3Rはムエタイルール、2Rと4RはMMAルールというMIXルールで戦う。MMAには今回が初挑戦となる。
（写真）MMAスタイルの公開練習を披露したロッタン（C）ONE
那須川は「僕からも期待したいことがあって。今度DJ（デメトリアス・ジョンソン）と戦うじゃないですか。それには絶対に勝って欲しいなって思っています」とエールを送り、ロッタンが「その期待に応えられるように頑張るよ」と答える。
MMAを4試合、MIXルールを1試合経験している那須川に、その経験からアドバイスを求めると「経験があると言っても、DJ選手は世界のトップなので…。1R毎にルールが変わるMIXルールじゃないですか。僕が思うにまずは自分のルールで戦う時は気を抜かないことと、相手のルールの時は組まれる時間を少なくするのが一番のポイントなのかなって思いますね」と、自分の経験からアドバイス。
ロッタンはそれを聞いて「確かに油断しないことは大事だと思うし、出来れば相手に組ませない試合をしたいと思っているよ。1Rは自分の得意なムエタイだから出来るだけ相手にダメージを与えて、2RではDJにあまり攻められないようにしたい。正直に言うと、僕はMMAの練習はそんなに十分ではないんだ。だからMMAの部分に関してはかなりプレッシャーに感じている。ただ、全力で戦っていきたいと思っているんだ」と、相手が那須川だからか“不安”も正直に吐露した。
（写真）RIZINでMMAを4戦経験している那須川
しかし、ロッタンは「今回こういった形の試合をオファーしてもらったわけだけれど、僕はプロなのでどんなオファーでも必ず受ける。そしてファイターだから、どんなルールであってもどんな形であっても戦うこと、それは絶対にやらなければいけないことだと思っているんだ。MMAは初めての経験になるからどうなるか分からないけれども、自分の持てる全てを出していきたい、そう思っているんだよ」と、プロファイターである以上、試合のオファーを受けたら断るわけにはいかない、全力で勝ちに行くと力強く語る。
その言葉を聞いた那須川は「いいですね。これこそまさにチャイスー（タイ語で戦う心、折れない心）ですよね」と言い、「それに挑むと決めたロッタン選手なら勝てると思っているので、絶対に自分を信じて戦って欲しいと思います」とロッタンの勝利を信じていると話した。
この対談では、2人が対戦した時のことはもちろん、互いの今後のこと、一緒に練習する打ち合わせ、ロッタンからは6月の那須川vs武尊戦、那須川からは3・26のロッタンvsデメトリアス・ジョンソン戦へ向けてそれぞれの対策や見解などが約90分にわたって語られている。互いに、ただ対戦したことのある選手というだけではなく特別なものを相手に感じているといい、まさに拳を交えた者同士でしか分からない“友情”で結ばれた2人を知ることが出来る。
