(C)RIZIN FF
2022年3月6日(日)都内某所(※場所非公開)にて開催される『+WEED presents RIZIN LANDMARK vol.2』で、フェザー級(66.0kg)5分3Rで、鈴木博昭(BELLWOOD FIGHT TEAM)と対戦する昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ)がインタビューに応じた。
昇侍は日本航空高校三年生時に甲子園に出場した経験を持つ元高校球児で、卒業後にシュートボクセ・アカデミー・ジャパンでMMAのキャリアをスタート。2006年にプロデビューしている。跳びヒザ蹴りによる3秒KO勝利のストライカーとして名を馳せ、パンクラスとDEEPで活躍。2020年9月にRIZINに初参戦するも朝倉海にTKO負け。2021年2月に元谷友貴に一本負けも、2021年9月にKNOCK OUT王者の鈴木千裕を1R、20秒でKOに沈めた。前戦は11月に萩原京平に2R TKO負けを喫している。MMA19勝15敗1分。
“怪物くん”の異名を持つ鈴木は2008年5月にシュートボクシングでプロデビュー。2012年2月にSB日本ライト級王座を獲得し、2013年11月にはS-cup2013 65kg日本トーナメント優勝、2014年11月にはS-cup65kg世界トーナメント優勝を果たしてSBのエースとして君臨。近年はONE Championshipを主戦場としていたが、契約更新に伴い、次の舞台にMMAを選択。2021年11月の『RIZIN TRIGGER 1st』で奥田啓介を相手にMMAデビューを果たし、ヒザ蹴りからのパウンドでTKO勝ちしたが、大晦日の2戦目では萩原京平に判定3-0で敗れた。MMA1勝1敗で今回が3戦目となる。
すごい──つまらない試合になっちゃうかな、と思います
4日の試合前インタビューで昇侍は、「楽しみです。滅茶苦茶ワクワクしています。やってきた練習の成果を出せるのが楽しみです」と、試合への意気込みを語り始めた。
入場も「会場の作り、花道など当日の会場を見ながら入場を決めたい。より盛り上がるような入場からやっていきたいなと思います」と、準備は万端。
互いにベテランで試合でのスイッチを入れることにも慣れており、「あんまり試合前の煽りは得意ではないですけど、試合中は俺の方が“ガンギマっているよ”というのを見せたいなと思っています」と“ガンギマリ”具合でも負けないとした。
対戦相手の鈴木博昭については、「打撃がうまくて上手なので、まともにやりあったらかなり危険だなと思っています」という昇侍は、今回は期待される殴り合いではなく、相手を組み技でドミネートする、という。
「もう寝技でがっちり“塩試合”をしたいなと。ファンの方には申し訳ないのですが。今回は“秒殺侍”を封印しようと思っています。すごい……つまらない試合になっちゃうかな、と思います。申し訳ないのですが、“怪物くん”打撃が強いですからね。今回ばかりは、すみません!」と、寝技に勝機を見出すことを宣言した。
しかし“盛り上げたい病”を持つ昇侍は、試合で己をコントロールできるか。
試合前に「ボクシング歴代殴り合いベストバウト集」を見返し、「見ると怖くなくなる」と気持ちを決めて打撃戦に臨んでいた昇侍について、練習仲間の朝倉海は、「練習の昇侍さんはテクニカル、でも試合になると殴り合っちゃう」と危惧している。
激闘派の昇侍は、「“盛り上げたい病”がつい出てしまうので、今回はお客さんも少ないということで、お客さんがいるとお客さんのことを考えてしまうのですが、そのへんは気にせず“漬けられる”と思っています」と、限定観客のLANDMARKの舞台を活かして、あらためて塩漬けをしたいと語った。
「鈴木選手は寝技もしっかり出来るけど、極めはそこまで強くないかなと。まだキャリアは浅いので。ただ打撃に関しては、ものすごく目が良くて、テクニックもタイミングも非常にいいので、そこだけは本当に気を付けていきたいなと思っています」と、MMAのなかで、ワンパンチだけでなく、ワンテイク(ダウン)でも沸かせたいとする。
その塩漬け宣言には、フェザー級での今後の目標がかかわっている。
鈴木千裕をマットに沈めた試合以降、バンタム級からフェザー級に転向している昇侍は、「今年はフェザー級でしっかり戦っていきたいなと思います」という。
もともとフェザー級の鈴木は、12月の前戦・萩原京平戦の反省も活かして、体格とフィジカル差を利して、昇侍にペースを組み立てさせない戦い方も予想されるが、昇侍は、「体格差はもうあるのは承知の上で、この階級で勝負しているので、たとえ体格に差があろうとも、格闘技技術やMMAの経験を活かして、しっかりと戦えるんだよという部分を、ファンの方々に見せたいという思いがあります」と、フェザーでもMMA経験の差を見せたいと語る。
それは、2022年のフェザー級トーナメント出場を賭けた「生き残り戦」だと昇侍はいう。
2006年のclub DEEPから、シュートボクシングを主戦場にONE Championshipでも活躍するなど立ち技からMMAに転向した37歳の鈴木に対し、現在38歳の昇侍は、MMAで17年目の戦いになる。
「怪物君は年齢も近いし、格闘技界で生き残ってきたレジェンド同士の戦いになる、絶対に負けられない」という昇侍は、インタビュー会場のスポンサーのリキュールを眺め、「早く終わってガブ飲みしたいなと」と勝利の美酒を誓った。