2021年9月24日(金)シンガポール・インドアスタジアムで開催される「ONE:REVOLUTION」にて、ONEストロー級世界タイトルマッチとして、日本から猿田洋祐(和術慧舟會HEARTS)が王座返り咲きを懸けて参戦。ジョシュア・パシオ(フィリピン)と3度目対決に挑む。
2017年10月に修斗世界ストロー級王者となった猿田は、2018年12月からONEに参戦。いきなり元ONE世界ストロー級王者アレックス・シウバを判定で破ると、2019年1月に王者パシオと初対戦。猿田がスプリット判定で勝利、ONE世界ストロー級王座を獲得した。
しかし、3カ月後の2019年4月のダイレクトリマッチで、パシオに4R KO負けで王座陥落。その後、2019年10月にPANCRASE王者・北方大地に2R TKO勝ち。2020年9月に内藤のび太に判定勝ちで2連勝。パシオとの3度目の対戦に臨む。
今までよりもきつい練習をすることに取り組んできた。5Rのスパーリングを週2回に増やしている
──ファイトウィークに入りました。メンタル面、フィジカル面で調子はいかがでしょうか。
「無事に入国できて安心しています。ファイトキャンプが終わって1週間がすぎて、疲労もだいぶ抜けてきました。体調もメンタルも、すごく良いです」
──試合に向けてのキャンプはどのように過ごしましたか。
「タイトルマッチに向けて1カ半くらい練習してきて、怪我なく良い調子で終えました。細かい怪我とかは練習していれば必ずあるんですけど、試合に支障の出る大きな怪我をしないように、身体をケアしながらやってきました。ここ15年間の中で一番強度の高い練習をしています。新しい挑戦というか、疲労も溜まるしリスクもあるけど、それくらいの練習をしないと勝てないと思うので、新しい挑戦をしています」
──新しい挑戦とは具体的にいうとどんなことでしょうか。
「試合形式のハードなスパーリングで、タイトルマッチに向けた5ラウンドのスパーリングを今までは週に1回やっていたんですけど、それを週2回に増やしています。5ラウンドのスパーリングって怪我のリスクもありますし、MMAだけじゃなくてレスリングやグラップリング、打撃だけのスパーリングなど他の練習もある中でやるのは、体力的にも結構大変なんですよね。その中で、今回初めて週2回やっています」
──タイトル戦に向けての準備で新しい視点などはありましたか。「自分の今回のテーマが“自分で苦しい展開、楽な道を選ばず、苦しい道を選んでいくと最終的にベルトが自分の手に入る”そういうテーマを持ってやっているんで、今までよりもきつい練習をするというのを取り組んでいます。デビューした当時とかは、試合に勝つことだけを考えて、どんな試合内容でも、つまらない試合をしても必ず勝つという気持ちだけで上がってきて、日本で修斗のチャンピオンになって、ONE Championshipと契約して、徐々に自分を知ってくれる人が増えたので、出来れば勝つだけじゃなくて、そういう人たちに何か伝えられるような試合をしたいという思いで、新しいことに挑戦しています」
──今回のパシオ戦についてはどう捉えていますか。
「パシオ選手とは3回目の試合で、今は1勝1敗。1戦目は自分が勝ってチャンピオンになって、2回目は防衛戦で負けてベルトを奪われてしまって。今回3回目ということで、自分の中で決着戦というか、ずっと待ち望んでいた試合がやっと組まれたなという気持ちが強くあります」
──ジョシュア・パシオは少し前のインタビューで猿田選手の名前を挙げて、再戦したいとコメントしていました。それについてどう思いますか。
「ONEストロー級って選手が増えて、強いメンバーがたくさんいる中で僕を指名してくれたことは嬉しいですし、指名したのを後悔させてやろうと思っています。ランキングで自分が1位なので、パシオ選手に負けてからも、日本の団体・パンクラスのチャンピオンである北方大地選手、内藤のび太選手、そういう強い選手を相手に倒してきたので、このマッチアップは当然だなと思います」
──今回のタイトルマッチ、ただのタイトルマッチではなく、1勝1敗で迎える3度目の対戦です。勝った方が勝ち越しとなりますが、その分プレッシャーを感じますか。
「プレッシャーは特にないと思います。どちらかというと、ベルトを取ってその後に自分がやりたいことに意味があるので、3回目というより、この試合で勝って次のステージに行きたいなと思います。自分がパシオ選手と戦いたい理由は、もちろん前回負けたからっていうのもあるんですけど、彼が現チャンピオンだからっていうのもあります。チャンピオンじゃなかったらやりたいとは思っていないです。ONEのベルトをまた奪い取る、奪還するっていう目標があって、それを持っているのがパシオ選手なので、そのパシオ選手と戦いたいっていう気持ちです」
──お互い意識することもあると思いますが、ライバル意識はありますか?
「自分がONEのベルトを巻いた時も、パシオ選手が持っていて、それを自分が勝って巻いたベルト。それをまた取られてしまったという気持ち、悔しい気持ちはあります。その後も、彼は防衛して実力を示しているので、現ストロー級ではナンバーワンの実力だと思っていうるので、その選手を倒してチャンピオンになりたいと思います」
──ジョシュア・パシオ選手は、2020年1月に最後に戦って、約2年のブランクがあります。猿田選手は、昨年「Road to ONE」で内藤のび太選手と対戦しました。このブランクの差は試合に影響すると思いますか。
「彼の得意な蹴り、回転系の蹴り技は1発でKOする威力があるので気をつけなければなとは思いますが、ほかは特にないです」
──この試合はどういう試合にしたいですか。
「前回は、自分が思っているようにアグレッシブには攻められなかったので、そこをパシオ選手が思っている以上に前に詰めて、アグレッシブに攻めたいですね。自分はいつも“深海に引き摺り込む”というんですけど、苦しいところに相手を引き摺り込んで、そこで我慢比べというか我慢勝負で、最後は自分が競り勝ちたいと思っています」
──試合はどのように終わると予想しますか。
「バックチョークです。バックチョークでタップアウトを狙います。イメージでは、4ラウンドか、5ラウンドでフィニッシュしたいと思っています。苦しい試合になるし、早いラウンドでフィニッシュはできないと思っていますので、苦しい場面でも何度もトライして、最後は必ず勝つっていうトレーニングをしています。相手の体力を削るために、自分の体力も削られますけど、自分から苦しい場面に持っていく、それで相手がついてくる。自分が楽して相手を削らせるのではなくて、自分が苦しいことをして相手についてこさせて削っていくイメージです」
──次の対戦に勝ったら、ベルトを手にするということですね。日本にベルトを持って帰る絶好のチャンスですが、そのことはご自身にとってどれだけ重要ですか。
「ベルトを取ることってそんなに難しいことではないと思っていて、今回、普通にベルトを持って帰ることが自分に与えられた最低限の役割だと思っています。自分のやりたい対戦相手とか、次のステージに行くとかすることで日本の格闘技が盛り上がっていく、そういうイメージです」
──ONEには各国からストロー級の強豪が集まっています。その階級で世界一になるということについてはどう捉えていますか。
「メジャー団体でストロー級があるのはONEだけなので、色々な国のストロー級のチャンピオンがここに集まってくる、その中でナンバーワンを決める、本当の世界一が決まる舞台だと思っています。いろんな階級があると思うんですけど、日本のファイターが世界で通用するんだよというのを、このストロー級で見せたいなと思いますね」
──気持ちも身体もベストな状態でしょうか。
「パシオ選手と2回目のタイトルマッチをやってから、自分も15年間やってきて怪我をしたり肘を手術をしたりとか、今年もいろんなことをやってきたのですが。そういう今まで不安な部分を改善して、今は体がベストな状態ですし、気持ちも前を向いていますし、テクニックの部分も前回の試合よりもレベルアップしているので本当に今回の試合が楽しみです。
自分の中でも、自分に期待しています。今までにない気持ちというか、今までは試合に向けて頑張ります、勝ちます、そういう言葉を発してきたのですが、そのレベルにはいないかなと思います。そういうレベルではやっていない、仕事として頑張るとか勝つとかは当たり前の話で、それ以上のことを求められていると思うので、試合を見てさらに応援してくれる人が増えたり、この試合を見て何かを感じてもらえるような、感動してもらえるような、見ている人の感情を揺さぶるような試合をしたいと思っています」
──その強い気持ちの源はなんでしょうか。
「18歳で格闘技を初めて、今34歳で、ずっと同じ気持ちで格闘技をやってきました。始めた頃と同じ気持ちのままやってきました。大人になるとやらなきゃいけないことが増えたり、そういう頃の気持ちを忘れがちなんですけど、周りのサポートや自分の家族にサポートをしてもらったり、本当に感謝しています。自分が試合すること、勝つこと、世界一になることで、周りの人の喜ぶ顔が見たいなって思います」
──最後にファンへメッセージを。
「今回、3度目の戦いでパシオ選手とは最後の試合、最終決着戦だと思っています。注目度も高いと思いますので、この試合でしっかりフィニッシュして世界中の人に感動や希望を与えたいです。多くの人にこの試合を見てもらって、何か感じてもらえたり、心を揺さぶるような試合をできればと思います。楽しみにしていてください」
ONE: REVOLUTION
9月24日(金)午後7時30分(日本時間)ABEMA 格闘チャンネル(日本語解説)ONE公式アプリ(英語解説)【メインカード】
▼ONE世界ライト級(※77.1kg)選手権試合 5分5Rクリスチャン・リー(米国/シンガポール)王者オク・レユン(韓国)挑戦者
▼キックボクシング バンタム級世界選手権試合 3分5Rカピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)王者メディ・ザトゥー(フランス/アルジェリア)挑戦者
▼ONE世界ストロー級(※56.7kg)選手権試合 5分5Rジョシュア・パシオ(フィリピン)王者猿田洋祐(日本)挑戦者
▼ONEフェザー級(※70.3kg)5分3Rマーティン・ニューイェン(豪州/ベトナム)キム・ジェウォン(韓国)
▼ONEヘビー級(※120.2kg)5分3Rアミル・アリアックバリ(イラン)アナトリー・マリキン(ロシア)
▼ONE女子アトム級(※52.2kg)5分3Rビクトリア・リー(米国/シンガポール)ビクトリア・ソウザ(ブラジル)
【リードカード】
▼ONEストロー級(※56.7kg)5分3Rリト・アディワン(フィリピン)ハシガトゥ(中国)
▼ムエタイ フライ級 3分3Rペッダム・ペッティンディーアカデミー(タイ)内藤大樹(日本)
▼ONEヘビー級(※120.2kg)5分3Rマーカス・ ”ブシェシャ”・アルメイダ(ブラジル)トーマス・ナーモ(ノルウェイ)
▼キックボクシング バンタム級 3分3Rペッタノン・ペットファーガス(タイ)ジャン・チェンロン(中国)
▼ONEフェザー級(※70.3kg)5分3Rジェームズ・ヤン(米国)ロエル・ロサウロ(フィリピン)