2021年9月19日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催される「Yogibo presents RIZIN.30」にて、RIZIN女子スーパーアトム級(-49.0kg)で、藤野恵実(トライフォース赤坂)と対戦する浜崎朱加(AACC)が9月9日、公開練習を行った。
AACCでの公開練習では、同門のアミバを相手に互いにマスクをつけたまま、2分間のグラップリングスパーリングを披露。得意のトップからの攻撃に加え、自ら下を選択し、潜っての足関節、三角絞め、センタク挟みなどを見せた。
「コロナ禍でもAACCには女子選手も多いですし、いい練習が出来ています」という浜崎は、ボトムでの動きを披露したことについて、「試合では上を取ることが多いのですが、練習では下からやることが多くて、まあ、どっちも得意なので、今回は下でやらせていただきました」と語った。
9月19日(日)の試合に向けて、残り10日間。「今週に入って減量も始めて、そんなに減量幅も無く、いい感じで練習できています」とl、順調にコンディションを作れているという。
RIZIN女子スーパーアトム級王者として、ノンタイトルで、一階級上の現PANCRASE女子ストロー級(-52.2kg)王者と対戦する浜崎は、ハイパーリカバリーをしてくる藤野について、「当日の体重差」を問われ、「パワーがある選手で、たぶんかなり戻して来る選手なので、気にならないと言えばウソになりますが、そこまで……まあ、戻せばいいというものじゃないですし、あっちも減量キツかったと思います。お互い様のところもあります」と、階級転向のメリットのみならずデメリットもあることを語った。
その上で、調整に成功し、当日に力を出せる身体であれば、藤野の圧力はこれまで以上のものとなる。先に行われた公開練習で藤野は試合まで19日前の時点で「あと4kgくらいまで落ちています。よほどここから何かが無い限り大丈夫」と、階級転向に自信を見せている。
浜崎は、「基本的に藤野選手のスタイルは変わっていなくて、プレッシャーをかけ続けて、ガンガン攻めて勝つスタイルなんですけど、その頃に比べて技術が向上していますし、打撃もうまくなってきているので、そこはしっかり注意しながら、頭に入れて試合をしたいなと思います。
“藤野さんスタイル”というか、突進してくるスタイルで毎試合見ていて思うんですけど、ペースを掴むのが上手い。やっぱりペースを乱されるし、そこが藤野選手の強みでもあると思うので、相手のペースにつきあわず、しっかり展開を作っていければいいなと思います」と、藤野の圧力を正面から受けることなく、自身の得意な展開にしたい、とした。
その展開とは、「うまくテイクダウンできれば、流れで寝技に行くのもありかなと思います。選択肢はいろいろあるので、練習してきたボクシングも出したいですし、試合ではいつも通り打ち合って行きたいという気持ちもあります」という。
「打ち合う」とは言っても、ペースを掴むためには、自身だけが当てるつもりだ。
「打ち合……これを言っちゃうとアレなんですけど……もちろん打ち合えるところは打ち合いたいですけど、藤野さん対策もしっかりやっているので、ちょっと休んでいた野木(丈司)先生とのボクシング練習を定期的に受けることが出来ているので、練習してきたボクシングを出したい」
2012年12月の「JEWELSライト級タイトルマッチ」で対戦したときは、序盤に藤野の圧力に押されながらも、後半に浜崎がポジショニングを制し、5分3Rを判定3-0で勝利した。「長期戦も視野に?」と問われると、「判定には行きたいない」と浜崎は語る。
「やっぱり削り合いになるのかな、と思っていて、普通にやったらたぶん判定になるくらいの実力だと思うんですけど、“そこはさせないぞ”という思いがあります。判定には行きたくないですね、私は。藤野さんは、今まで一本負けもKO負けも無いですが、しっかりフィニッシュして勝つのが私のスタイルだと思うので、もちろんフィニッシュして勝ちたいです」
2004年に先にMMAデビューした藤野に対し、浜崎は2009年にプロデュー。ともに「女子格闘技」と呼ばれる時代からMMAを戦ってきた。
「女子・男子というくくりではなくて、簡単に言うと、女子でもこういう試合が出来るという試合をしたい。特に気持ちというか、何回も言いますけど、“私たちにしか見せられない試合”になる。気持ちと気持ちのぶつかり合いを、試合で出せればなと思います」という。
「藤野に伝えたいこと」を問われた浜崎は、「伝えたいこと……特に口で伝えるというよりは、お互いそうだと思いますが、長くやってきているので、ほかの世代の人たちが私たちの試合を見て、何か伝わればいいなと思うところはたくさんありますし、終わったら、また2人で笑って練習できることを楽しみにしています」と、藤野との試合を通して、次世代のファイターたちに向けて、気持ちを見せたいとした。
9月3日のONE女子アトム級ワールドGP1回戦では、第2代RIZIN女子スーパーアトム級王者のハム・ソヒ(韓国)が、デニス・ザンボアンガ(フィリピン)にスプリット判定で辛勝。新鋭の突き上げに苦戦する場面を見た。
「あの試合は途中からしか見ていないですけど、負けたと思いました。ONEの判定基準が分からないので何とも言えないですけど、パッと見はもしかして負けたのかなと。でも、(ハム・ソヒが)勝って単純に嬉しかったですし、Instagramでもやりとりはしました」という。
RIZINの“絶対王者”として君臨する浜崎は、練習仲間との厳しい同世代対決も含め、「強い選手と戦いたい」という。10月23日には、「DEEP 104 IMPACT」でデビューから3戦でDEEP JEWELSストロー級(52.2kg)王座を獲得した超新星・伊澤星花が、韓国の強豪パク・シウと、RIZIN女子スーパーアトム級の49kg契約に落として対戦する。伊澤も含め、新世代の突き上げを浜崎は待っている。
「もちろんハム・ソヒ選手にもリヴェンジはしたいんですけど、簡単に言うと強い選手と戦いたい、というのがあって、誰でもいいんですけど、日本人で若手で強い選手が出てきてくれるのが一番嬉しいです」
「ほかの世代の人たちに届けたい」という浜崎は、藤野戦でどんな試合を見せるか。