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【ONE】アトム級世界GP1回戦で平田樹が判定勝ち、ハム・ソヒとスタンプはスプリット判定制す、フォガットが番狂わせでメン・ボー降す! リザーブマッチで山口Mei敗れる、ジンナンがストロー級王座防衛

2021/09/03 20:09
 2021年9月3日(金)、シンガポール・インドアスタジアムにて「ONE:EMPOWER」が開催された。女子のみの同大会では、メインでONE女子世界ストロー級タイトルマッチのほか、女子アトム級ワールドGP1回戦4試合、さらにキックボクシング界の女王アニッサ・メクセンがONEデビュー戦に臨むなど、全8試合が並んだ。  熱戦続きのアトム級GPは、ハム・ソヒ、平田樹、スタンプ・フェアテックス、リトゥ・フォガットの4選手が準決勝に進出。次戦の組み合わせは、ファン投票で決まることになっており、投票サイトにて投票がスタート。投票期間は9月10日までの1週間で、結果は9月24日の次回大会「ONE: REVOLUTION」で発表される。 ONE: EMPOWER 速報 2021年9月3日(金)シンガポール・インドアスタジアム ▼ONE女子世界ストロー級選手権試合 5分5R〇ション・ジンナン(中国)王者 56.7kg, 1.0027[判定3-0]×ミッシェル・ニコリニ(ブラジル)挑戦者 56.35kg, 1.0083※ジンナンが王座防衛  1R、ともにオーソドックス構え。ジンナンの右足にシングルレッグに入り、鉄槌をもらいながらもしつこく組んで引き込むニコリニ。しかし、体を離し立ち上がるジンナン。ジンナンの左の蹴りを掴んで判定側の金網まで押し込み組むニコリニ。ここも体を離すジンナン。ブレークでスタンドに。  左の蹴りから右ストレートを当てるジンナン! 後方にダウンするニコリニだが、ジンナンは深追いせず。スタンドで右ロー、ニコリニを崩してもスタンド勝負のジンナン。蹴り足を掴んでかかとを上げてバックテイクするニコリニだが、残り10秒の拍子木。ゴング。  2R、右カーフキックを当てるジンナン。ニコリニはワンツーからのタックルは遠い。ワンツー&右ローにダウンするニコリニ。さらに右ロー、右ストレートを突くジンナン。  右を被弾しながら、イマナリロールの形で足関節に入るニコリニ! 左足を掴んで外がけに変えるとストレートフットロックへ! これを上体を立てて脇を差し上げ外したジンナン。スタンドで前に出にくくなるジンナン。ニコリニはチャンスを狙う。  3R、ベタ足で近づくニコリニ。右を振って右ローはジンナン。さらに右ボディストレートをダブルで突く。ワンツーから左ローはローブローに。再開。  ワンツー、左インローはジンナン。詰めるニコリニはバックテイクへ。そこで正対したジンナンにニコリニはジャンピングガードへ。クローズドガードに入れたニコリニに、金網に詰めて細かいパウンドはジンナン。右足を内側の腹下に差し込むニコリニ。嫌ったジンナンが動きを止めると、下からニコリニはゴゴプラッタからフットチョーク、ひっくり返して腕十字へ! しかしゴング。  4R、間合いが若干遠くなるジンナン。ニコリニは低いシングルレッグへ。右ボディストレート、右ローはジンナン。ニコリニの低いタックルは切られる。手を伸ばしてジンナンのパンチを防ぎ、組みを狙うニコリニ。下がるジンナンを追うニコリニ。右ジャブを突くジンナンは安全運転に。詰めるニコリニはジンナンの右フックを肩で受けて詰めるが、ジンナンは右ジャブ。ゴング。  5R、前傾から左右の長い蹴りを見せるジンナン。ジャブ&ストレート。ニコリニは組むことが出来ない。右を振って金網に詰め、ダブルオーバーフックで引き込み、ガードの中に入れ、三角絞め、オモプラッタを狙うニコリニだが、腕を抜くジンナン! ニコリニは最後のチャンスを切られたか。残り1分。右フックを受けながら崩れないニコリニだが、ゴング。  判定は徹底してニコリニの組みを切ったジンナンが勝利。ストロー級王座の防衛に成功した。 [nextpage] ▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3R〇ハム・ソヒ(韓国)MMA24勝8敗 52.2kg, 1.0164[判定2-1]×デニス・ザンボアンガ(フィリピン)MMA8勝1敗 51.4kg, 1.0070  第2代RIZIN女子スーパーアトム級王者のハム・ソヒ(韓国)が、ONEアトム級ランキング1位のデニス・ザンボアンガ(フィリピン)との対戦でONEデビュー戦を迎える。  MMA8勝無敗、現王者のアンジェラ・リーが妊娠前に挑戦権を得ていたザンボアンガは、かつてタイトルに2度挑戦した実績のあるV.V Mei(山口芽生)に2020年2月の前戦で判定勝利しており、東南アジア随一のウェルラウンダーといえる。  上り調子の24歳をぶつけられた34歳のハムは浜崎朱加戦に続く7連勝を飾ることが出来るか。ONEアトム級は水抜き禁止の52.2kg。ハムにとって初の減量システムでコンディションをどう作るか。RIZIN女子スーパーアトム級は49kgで、ROAD FCでは47.6kgで戦っていたハムにとって、UFCストロー級(※前日計量)以来の52.2kgでいつも通りのパフォーマンスを見せられるかにも注目だ。  1R、サウスポー構えのハム・ソヒが左ストレートを打つ。オーソドックス構えのサンボアンガは左の前手争い。左で差して押し込むザンボアンガ。2度の崩しも戻すハム・ソヒ。右で小手に巻くと首相撲に切り替え。なおも押し込みシングルレッグに入るザンボアンガ。スイッチで片手を股に入れて、防ぐハム・ソヒ。長いケージレスリングの攻防。ハム・ソヒは左手で耳を叩く。最後の最後で尻を着かせてゴング。ハム・ソヒは笑顔を見せる。両者の2Rの体力はいかに。  2R、右を振るザンボアンガに対し、右ジャブ、左ストレートを打つハム・ソヒ。右ハイをかわすハム・ソヒは圧力をかける。喧嘩四つの前手争い。左回りのザンボアンガ。その右は遠い。最初のダブルレッグは足を後方に飛ばしてを切るハム・ソヒ。  しかし遠間から走ってダブルレッグはザンボアンガ! しかし金網背に上体を立てるハム・ソヒ。ザンボアンガは徹底した押し込み。ブレークがかかるまで長い時間がかかる。圧力をかけ左ミドルを打つハム・ソヒ。ゴング。イーブンか。  3R、いきなり圧力をかけるハム・ソヒ。左ストレートを入れて、さらにワンツーの左! 外足取り争いから右ミドルを打つザンボアンガ。追うハム・ソヒは頭を下げて左ストレート! ザンボアンガの右をかわすハム・ソヒ。ザンボアンガは頭を下げて前に出るが、そこにハム・ソヒも前へ。バッティングでザンボアンガの右額が割れて出血、中断。   カットマンが血を止めて再開。インターバルを入れたザンボアンガは体力を使い、一気に詰めて尻下でクラッチしてダブルレッグで持ち上げテイクダウン! クローズドガードに入れるハム・ソヒに上のザンボアンガの血が流れる。金網まで押し込みパウンドを打つザンボアンガ。下からハム・ソヒもパンチを返すが、そのままゴング。ケージまで詰めテイクダウンを奪ったザンボアンガ、ハム・ソヒの打撃はどこまで有効打となっているか。  判定は2-1で割れ、ハム・ソヒが勝利。ケージレスリングを挑んだザンボアンガは接戦を落とした。ハム・ソヒは苦しみながらもONE初勝利、GP準決勝進出を決めた。  これで準決勝は、ハム・ソヒ、平田樹、スタンプ・フェアテックス、リトゥ・フォガットの4選手に決定。勝ち上がった誰もが盤石の強さではなく課題を抱える中、どんな組みあわせとなるか。  GP準決勝のマッチアップは、ファン投票で決まることになっており、投票サイトにて投票がスタートした。投票期間は9月10日までの1週間で、結果は9月24日の次回大会「ONE: REVOLUTION」で発表される。 [nextpage] ▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3R〇スタンプ・フェアテックス(タイ)MMA6勝1敗 51.95kg, 1.0044[判定2-1]×アリヨナ・ラソヒナ(ウクライナ)MMA13勝5敗 52.0kg, 1.0074  元キック&ムエタイ二冠女王のスタンプ・フェアテックスと、そのスタンプを2月大会のMMA戦で残り7秒でギロチンチョークで極めたウクライナのアリヨナ・ラソヒナが対戦。その際、スタンプは「タップをしていない」と主張しており、因縁のダイレクトリマッチとなる。  セーラー服のコスプレで入場したスタンプはツインテールに髪を編む。対するラソヒナは長髪のコーンヘッドを後ろで束ねてケージイン。  1R、ともにオーソドックス構え。大きく構えるスタンプ。左の前蹴り、ジャブ! 左インロー、左ミドル。ラソヒナも遠間で左を振ってボディロックからシングルレッグへ。  頭を押し込むスタンプだが、シングルレッグテイクダウンはラソヒナ! 立ち際にノーアームギロチンを仕掛けるラソヒナ!    首を抜いたスタンプを首投げ、袈裟固めに行くラソヒナ。バック狙いから立ち上がるスタンプにまたもギロチンチョークはラソヒナ! しかし首を抜いたスタンプは首相撲ヒザ! さらにバックテイクからリアネイキドチョーク! 後ろ手を剥がしたラソヒナが凌いでゴング。  2R、左ジャブを突くスタンプ。左ボディを打つラソヒナ。スタンプは左ミドルも。右ローを突くラソヒナ。いったん間合いを外したところに右ミドルハイはスタンプ! 右ローを返すラソヒナ。右から左ストレートを突く。マウスピースを忘れていたスタンプ。  中断後、口に入れ再開。スタンプのヒザ蹴りにテイクダウンを合わせたラソヒナ。スタンプの三角狙いにパスガードを合わせに行ったラソヒナは内ヒールへ。しかし足を外したスタンプが上になり下のラソヒナを蹴る。  ブレークでスタンドへ。スタンドでゆっくり詰めるスタンプ。左ミドルも突くとラソヒナのダブルレッグを切って上に! ラソヒナは下からスタンプをガードの中に入れることを選ぶ。  3R、近くなるとスタンプは縦ヒジ、パンチを振ってシングルレッグに入るラソヒナだが、ここも切ったスタンプが上に! ハーフから右で脇差し、固めたままにせずヒジを打つスタンプだが、その腕をとらえて腕十字はラソヒナ!   いったん伸びるが万歳をしてまたいで腕を抜くスタンプ! ハーフのラソヒナに鉄槌を連打! 離れて足を蹴る。  ブレーク。スタンド再開。じっくり構え逃げ切り体勢のスタンプ。ラソヒナのバックフィストをかわすと、ラソヒナはシングルレッグに入ったところでゴング。前半は前戦と同じ形になりながらも、そこからの受けの強さを見せたスタンプ。自ら寝技を仕掛ける場面も見せた判定は2-1で割れ、スタンプが勝利。コールにスタンプは絶叫。勝利のダンスを見せた。 [nextpage] ▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3R〇リトゥ・フォガット(インド)MMA6勝1敗 52.05kg, 1.0103[判定3-0]×メン・ボー(中国)MMA17勝6敗 52.2kg, 1.0053  メン・ボー(中国)とリトゥ・フォガット(インド)が対戦。MMAデビュー戦で現UFC世界ストロー級王者のジャン・ウェイリーに勝利している中国のボーは、ONEでも強いフィジカルと右の強打を武器に3連勝中。  対するフォガットはインド映画『ダンガル きっと、つよくなる』で描かれた伝説のコーチを父に持つレスラーで、4連勝中。インドの星は、優勝候補ハムの対抗馬ボーにアップセットを起こせるか。  1R、一回り大きなメン・ボー。フォガットと対峙すると体格差が際立つ。ともにオーソドックス構え。左ジャブで圧力をかけるメン・ボー。フォガットは低いシングルレッグで片足をつかむが足を抜くメン・ボー。フォガットのバッティングで中断もすぐ再開。  左インローを突くメン・ボー。さらに右で詰めるが左で差したフォガットが外足を取ってシングルレッグをかけるが股下で持ち上げられず。体を離し、右ストレートはメン・ボー。それを掻い潜ってシングルレッグはフォガットもヒザを着きテイクダウン出来ず。  組みを切るメン・ボーは、右で飛び込み。さらに右に回ってワンツー。組んで来るフォガットを切って、左右! マウントから腕十字へ。しかし、ヒザの絞まらないうちにフォガットはシングルレッグで手繰り、テイクダウンを奪い返してゴング。  2R、最初のダブルレッグは切られたフォガットだが、シングルレッグでテイクダウンを奪うフォガット。メン・ボーは背中を着いて腕十字も、捌いてレッグドラッグからサイドを奪ったフォガットはパウンド! 亀になるメン・ボーをボディクラッチからコントロールし、ヒザを突くフォガット!  メン・ボーはハーフに戻すが、背中は着いたまま。息を吹き返したフォガットは脇差しヒザ! しかしここでメン・ボーもヒザを立てて立ち上がる。残り1分30秒。右を振るのはフォガット。さらに詰めて右を当てるがメン・ボーも崩れず。右ストレートを返す。  3R、勝負のラウンド。メン・ボーの右の蹴りの打ち終わりを掴みに行くフォガット。しかし蹴りに引き込みに。この立ち上がり際を詰めに行くメン・ボーだが、近くなったことでフォガットは組むことが可能に。シングルレッグのハイクロッチで持ち上げテイクダウン! サイドを奪い脇腹にヒジ、右ヒザも突く。  ブリッジから返そうとするメン・ボーだが、抑え込むフォガット。メン・ボーは脇を差し返せない。金網際でハーフから左で顔面にパウンドを放つフォガット。ゴングに右手を高く挙げ、セコンドのシアー・バハドゥルザダとハグした。  判定は3-0でフォガットが勝利。ランキング2位のメン・ボーを降す番狂わせを起こした。 [nextpage] ▼女子アトム級ワールドGP1回戦 5分3R〇平田 樹(日本)MMA5勝0敗 52.2kg, 1.0036[判定3-0]×アリース・アンダーソン(米国)MMA5勝2敗 52.15kg, 1.0176 前日に行われた計量&ハイドレーション・テストでは、日本から女子アトム級(※52.2kg)ワールドGP1回戦に出場する平田樹(日本)がリミットジャストの52.2kg、ハイドレーションも1.0036でパス。初のハイドレーション・テストに臨んだアリース・アンダーソン(米国)も52.15kg(1.0176)でパスした。  フェイスオフでは、平田とアンダーソンはともにマスクを着用し、平田は金髪のコーンロウに編み上げ、日の丸を背に登壇。アンダーソンは星条旗カラーに髪を編んで平田と向かい合った。  身長157cm・リーチ159cmの平田に対し、身長166cm・リーチ168cmのアンダーソン、ともにスニーカーを履いてのフェイスオフだが、向かい合うと数字ほどの身長差は見られないものの、左手を挙げたアンダーソンのリーチの長さが際立っている。  フェイスオフ後、平田は「俺は強い そしてかっこいい」「誰もなれない どこにもいない存在」と投稿。試合に向け、集中力を高めている。  22歳の平田は、講道館・春日柔道クラブで柔道を始め、名門・創志学園柔道部でインターハイに出場。高校卒業後にMMA(総合格闘技)に転向し、2018年9月の、AbemaTV『格闘代理戦争』3rdシーズンで優勝し、いきなりONE Championship本戦のプロ契約を勝ち取った。  その後、ONEでアンジェリー・サバナル、リカ・イシゲ、ナイリン・クローリーを相手に3連勝。2021年2月22日の「Road to ONE:4th Young Guns」では中村未来にTKO勝ち。ランキング外から一気にGP出場を果たしていた。  対する米国のアリース・アンダーソン(26)は、伝統派空手出身でMMA5勝1敗。Invicta FCで2連勝中で、唯一の黒星は2017年の紫乃ヴァンフース戦でのスプリット判定負け。フロリダでコロナ病棟の看護師を務めながらMMAトレーニングに励んでいたが、今回のONEとの契約を機にフルタイムファイターとなった。  アグレッシブな打撃と柔道ベースの強い投げ&パウンド・極めで勝ち星を積み上げてきた平田。長い手足を活かして前蹴り、前手で距離を支配し、柔術ベースの組み技でコントロールするアンダーソン。  柔道経験者のコーチのもと、平田の投げを徹底研究。投げに入る前のスタンド、組んでから、投げられてからの動きもシミュレーションし、対策を練ってきたという。スタンドでは、素手ボクシングの「BKFC」で元UFCのペイジ・ヴァンザントを降したレイチェル・オストビッチとともトレーニングしてきた。  平田は、前戦のフィニッシュまで封印していた柔道技を今回は全面的に解禁。打撃練習と並行してグラップリングに力を入れてきたことを明かしており、組むための打撃、そしてアンダーソンが柔道を研究していることを知った上で、その想定を上回る、と語っている。  先に入場は星条旗を背にしたアンダーソン。続いて平田が日の丸を背に登場。パートナーでセコンドの山本アーセンと同じ入場曲で花道を進む。「イツキ・アンドロイド18・ヒラタ」とコールを受ける。  1R、ともにオーソドックス構え。詰める平田。右ローにアンダーソンは左ストレートを合わせる。平田の組みを切るアンダーソン。左の蹴りを打つが、アンダーソンも右の蹴り返し。ワンツーから右で押し込むアンダーソン。左で差して四つに組む平田にアンダーソンはバックテイク狙い。  首投げにいかずボディロック&足技で前に崩して上を取る平田! フルガードの中に入れるアンダーソン。平田は金網まで詰めて右でパウンド。ハイガードに持っていくアンダーソン。三角絞めを狙う。潰して右を振る平田に下から三角を組んでエルボーを打つアンダーソン! 平田は離れて上になって足を蹴る。蹴り上げを狙うアンダーソン。下のままゴング。  2R、詰める平田。ワンツーの右はアンダーソン! 互いに右ロー。ジャブからワンツーのアンダーソン。右ローには左。しかし頭を下げて右フックは平田。右で差して組む平田。脇を差したまま払い腰テイクダウン! サイドを奪うが、下のアンダーソンは両足で頭を挟み、後方回転で亀に、それをがぶってヒザを突く平田! 再び抑え込んでサイドからキムラを狙う平田の頭に長い足をかけるアンダーソン。ガードに足を戻すのではなく、長い足を使ったスイープ狙いも頭を抜く平田はサイドで上からヒザ蹴り。右脇を差したまま抑え込みパウンドでコントロール。  3R、圧力をかける平田。ともに右ロー。平田は詰め返すアンダーソンにダブルレッグも切るアンダーソンはワンツーの右を当てると背中を向ける。詰めるアンダーソンは左右。右のバックフィストをかすらせるアンダーソン! 平田が下がりながら右を打ったところに、アンダーソンは一瞬頭を下げての右のオーバーハンドでダウンを奪う! すぐに立つ平田はシングルレッグから立ち上がり、詰めて首投げにするが、すぐに頭に両足をかけて体を入れ蹴るアンダーソン! 詰めるのはアンダーソン。平田の投げを凌ぎ、左で脇を差す。  両脇を差したアンダーソン。ヒザを入れるが、体を入れ替えた平田が最後に払い腰テイクダウン! サイドを奪うと左手で細かいパウンド、ヒザでゴング。  全ラウンドを通したトータルジャッジのONEだが、1、2Rを支配したのは平田。最終ラウンドのダウンがニアフィニッシュと取られれば、危ういスコアだが……。  判定は3-0で平田が勝利。テイクダウン&コントロールの平田が、危うい場面を乗り越え、勝利を掴むも笑顔は見せなかった。 [nextpage] ▼キックボクシング アトム級〇アニッサ・メクセン(フランス)52.15kg, 1.0103[2R KO] ※左フック×クリスティーナ・モラレス(スペイン)51.55kg, 1.0049  メクセンはこれまでISKA世界K-1ルールバンタム級王座、WAKO世界K-1ルール同級王座、GLORYスーパーバンタム級王座(2度)、WPMF世界フライ級王座など合計16本のベルトを獲得し、戦績は驚異の100勝(32KO)5敗という女子キックボクシングの生ける伝説(現在33歳)。サバットでもフランス王者、ヨーロッパ王者、世界王者になっている。ONEとは2020年8月に契約し、今回が念願の初登場となった。  モラレスはISKA世界K-1ルールアトム級王座、Enfusion -52kg世界選手権を獲得。2019年12月にはK-1に来日し、「初代女子フライ級王座決定トーナメント」に出場。1回戦でKANAに判定負けを喫した。2011年6月に神村エリカとRISEで対戦した、シルビア・ラノッテにも2019年5月に黒星を付けられている。前戦はイタリアの選手に判定勝ち。戦績は47勝(9KO)7敗。  1R、モラレスは気合いの声を発しながら左右フックを繰り出し、メクセンは落ち着いた表情でジャブ、右ストレート、左ローを返す。モラレスを踏み込みながらのジャブで迎え撃つメクセン。アグレッシブな姿勢でパンチを打つモラレスに対し、メクセンはコツコツと左ローを蹴っていく。  2R、メクセンは左ローを軸に、右ロー、左ミドル、そしてワンツー。モラレスは声を発しながらの打ち合いを仕掛ける。メクセンがバッティングをアピールして中断となった直後、メクセンの右ハイがクリーンヒット。メクセンは一気にワンツー、そして左フックの連打。前に出ながらのワンツーにモラレスのアゴが跳ね上がり、左フック2連打でダウンを奪う。  何とか立ち上がったモラレスだが、レフェリーが様子を見てストップ。メクセンがONEデビュー戦をKOで飾った。 [nextpage] ▼ムエタイ ストロー級 3分3R〇ジャッキー・ブンタン(米国)56.45kg, 1.0191[判定3-0]×ダニエラ・ロペス(アルゼンチン)56.7kg, 1.0241  ブンタンは米国・カリフォルニア州ロサンゼルス出身で、20勝5敗という戦績を引っ提げてONEとの契約を獲得。ジュニア時代には国際アマチュアムエタイ連盟(IAMTF)フェザー級王者などのタイトルを獲得し、シニアではカリフォルニア州のムエタイ王者にも輝いた。また、『SHEfights』など、1日で優勝者を決める形式のワンナイト・イベントも何度も制覇している。  アトム級キックボクシング世界王者のジャネット・トッドの練習パートナーで、2021年2月にはスタンプ・フェアテックスと同門のワンダーガールと対戦し、左フックでダウンを奪って勝利。4月のシンガポール大会でもエカテリーナ・バンダリーヴァに判定勝ちして連勝中。  ロペスはアルゼンチンのムエタイファイターで、Muay Thai Super Champやハードコアムエタイ(オープンフィンガーグローブ着用試合)の常連選手で現在4連勝中。得意技はヒザ蹴り。2020年にスーパーガールと対戦したミラグロス・ロペスは双子の妹。  1R、ブンタンの右ローからスタート。ロペスがジャブを出すとブンタンは左右ミドルを蹴る。ロペスの右縦ヒジをかわしながらブンタンが右フックからの左フック。ロペスの頭が大きく揺れる。しかし、ブンタンは距離を取る慎重ぶり。ロペスは再び前へ出ていくとブンタンはジャブ、右フックを繰り出す。  2Rも前に出るのはロペスでブンタンのジャブに縦ヒジを合わせようとする。ブンタンはワンツー、ワンツー・スリーと攻撃をまとめては一度離れる。1Rとは違い、ブンタンはステップを使って右へ回り込む。そしてロー、ジャブ、前蹴りと削るような攻撃。ロペスは大きな右フックを放ち、左でも縦ヒジを合わせようとするがブンタンを捉えることができない。終了間際、ブンタンは顔面前蹴りを命中させた。  3R、ブンタンは今度は左へ回り、パンチからミドル、ローへとつなぐ。右ローが的確に入る。右ミドルから右ストレートを放ち、左へ回り込みながらの左ヒジ。ロペスは左ミドルを蹴るが、すぐにブンタンが右ミドルを蹴り返す。ロペスの右ストレートを払いながら右ストレート、続けての左フックにロペスは大きく後退。左ミドルを蹴って接近したブンタンはバックスピンエルボーを放つ。  顔を腫らせたロペスとは対照的に、奇麗な顔のブンタンは判定3-0で勝利し、手を上げられると笑顔を輝かせた。 [nextpage] ▼女子アトム級ワールドGP(交替試合)5分3R〇ジュリー・メザバルバ(ブラジル)MMA9勝2敗1分 51.55kg, 1.0027[判定3-0] ×山口芽生(日本)MMA21勝13敗1分 52.15kg, 1.0057  日本からV.V Meiこと山口芽生が参戦。アトム級ワールドグランプリの「交替試合」としてジュリー・メザバルバ(ブラジル)と対戦する。このリザーブマッチの勝者は、GP1回戦の勝者が何らかの理由で次戦に出られない場合、代わりにGP準決勝に出場する。  山口は2019年10月の日本大会でジェニー・ファン(台湾)に判定勝利し4連勝。王者アンジェラ・リーとの3度目の対戦での王座奪取を目指していたが、2020年2月にフィリピンのデニス・ザンボアンガに判定負け。当初は中国の強豪メン・ボーと対戦予定だった試合だが、欠場により6連勝中のザンボアンガと対戦していた。失意のGP落選後、自身のバックボーンである伝統派空手とボクシングの融合を試み、今回のリザーブマッチに臨む。  対するブラジルのメザバルバはONEデビュー戦。MMA8勝2敗1分けで、アグレッシブな動きで近距離での打撃戦も見せる、好戦的なタイプだ。  1R、コールに胸を叩いた山口。先に中央を取ったのは山口より7cm長身のメザバルバ。ともにオーソドックス構え。右ショートアッパーを当てるメザバルバ! さらに山口のガード上に右を突く。右にステップした山口。メザバルバは右アッパー。山口はヒザを触りに行くが切られる。山口の入り際に左フックを当てるメザバルバ。山口は詰めて右ストレートを返す。  打ち下ろしの右はメザバルバ。左はダックしてかわす山口。左から右のメザバルバ。角度をつけてクリーンヒットをかわす山口は左右、右を当てて詰めるが、1R終了間際にメザバルバが左右で押し返してゴング。  2R、左ジャブを突くメザバルバ。遠間からダブルレッグに入るが、メザバルバは差し上げる。右ストレートを返す山口だが単発。なおも左前足を取りに行くが、切るメザバルバはヒザも突く。  ギアを変えた山口。右を振って前に出る山口。しかし圧力をかけ直したメザバルバ。山口も押し返すが、メザバルバの左を被弾する。右を差して金網まで押し込んだ山口。メザバルバは左でオーバーフックに巻き、右上腕を顔に押し当て剥がそうとする。山口は左腕での差し上げに変更。しかしメザバルバは体を入れ替えてヒザ! ゴング。  3R、右を当てる山口。その打ち終わりに左を狙うメザバルバ。右で差して組んだ山口。ここも左で小手に巻くメザバルバ。山口は左手で顔面を狙うが、金網背からメザバルバは体を入れ替え、右ヒザ!離れても右ローを突くメザバルバ。山口は左右を連打で振って金網まで詰める。今度は左で差して押し込むが、メザバルバは右で小手に巻く。  体を入れ替えて左ヒジを突くメザバルバ。離れ際にヒジも突くが、ここは山口もかわす。左右を振って前に出る山口だがゴング。判定は3-0でメザバルバがONE初陣で勝利。山口は2016年以来のONE連敗となった。
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