朝倉海(右)との練習を重ねている昇侍が一緒に公開練習。鈴木千裕との激闘を改めて誓った(C)RIZIN FF
2021年9月19日(日)さいたまスーパーアリーナ『Yogibo presents RIZIN.30』にて、フェザー級(66kg契約)5分3RでKNOCK OUT-BLACK スーパーライト級王者・鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)と戦う昇侍(KIBAマーシャルアーツクラブ)が、8月31日(火)都内ジムにて公開練習を行った。
昇侍は朝倉海をパートナーに、ケージを使った2分間のマススパーリングを披露。打撃とタックルを織り交ぜたスピーディーな攻防を展開し、途中には朝倉のバックを奪うシーンも。
「いつも海選手とは朝の練習で、こちらで週2~3回やらせていただいています。より実戦的な金網リングでの実戦スパーを中心にやらせてもらっています。あとはフィジカルトレーニング、ボクシング、キックボクシングをそれぞれやりながら総合の実戦的な練習をやっていますね」
今回は通常のバンタム級ではなく一つ上のフェザー級に上げるため「減量もあまりないので、いつもよりコンディションがよく体調はいいです」と調子が良さそう。
vs鈴木用の練習に関しては「そちらは何をしているか具体的なことは言えないですが、対策の練習は実戦も含めて想定しながら反復をやって、ここで本番を想定してやっています」という。
MMA時代の鈴木の試合映像は「まだ見れていない」と言うが、「想定はしています。タックルに来ることはないと思っているので、そういった中で自分の強さ、MMAの打撃を見せていきたいと思います。あとは総合の奥深さですよね」と、2005年にプロデビューし、30戦以上のキャリアを持つアドバンテージを活かしたいとする。
「フィジカルの強さ、体の強さ、若さや勢いを含めて物凄いものを持っているのは当然の上で挑みます。そこを外すわけじゃないですが戦略を立てて戦っていきたいと思います。いろいろなものを混ぜながら勝負していきたいと思っています。早期のKOもあると思うし、一本もあると思っています」と、あくまでも“総合格闘技”で戦うつもりだ。
記者会見では「ストライカーとして激闘を見せたい」と打ち合いを示唆するコメントを残したが、「ざっくり言えば、打ち合うかどうかは分かりませんが、深い部分で言うと一般の方には打ち合っているように見えるかもしれないし、そうじゃない展開だったり、会場が沸いて見ているお客さんが本当に見てよかったなと思える展開にする前提で戦っていこうと思います」と、単なる打ち合いではなさそう。
鈴木のキックボクシングで5連続KO(戦績は10勝8KO1敗)という脅威のパンチ力に関しては、「僕もパンチ力が強い選手とはたくさんやってきていますし、世界の強豪と言える選手ともやってきた自負がある。そこは恐れない気持ちと、とにかく根性と気合い、勇気と不屈の精神ですよね。そこは精神的な部分の方が大事だと思うので、自分の勝利を信じて試合に臨みたいと思います」とし、「(朝倉海の)いつも強いパンチを喰らっているので打たれ強さには自信があります」とした。
朝倉と練習を重ねていることには「朝倉海選手と言えば総合を代表をするトップファイター。彼といることで彼の考え方、メンタルの強さ、トップでいるからこその苦労やプレッシャーも大きい中で、例え試合で結果が出なくてもすぐに立ちあがって前へ向かって突き進む。その姿を見て、自分くらいが負けたくらいで落ち込んでいる姿をしていられないなと。表に出ると批判の声とかたくさん出てくるけれど、何ら気にせず前を向いて目標へ向かっていく姿を間近で見ているので、その姿に奮い立たせられます。ついていくようなつもりで肉体は年齢と共に衰えていきますが、精神力の部分で勉強させてもらっています」と、トップに立つ朝倉の苦しみも見ていることで奮い立たせられると答えた。
これには朝倉も「感動しますね」と笑顔を見せ、「僕は技術もそうですが、普段からお兄さんみたいな感じで楽しませてもらっています。良き相談相手だし、試合へ向けてのコンディション面などで助けられています。昇侍さんは優しいですし、裏表がなくて、皆さんが見ている通りの人。頼れるし、いい意味で気を遣わなくていいので楽しいです」と、いい関係を築けているようだ。
その言葉を受けて昇侍も「海選手はYouTubeの時も練習の時も変わらずですが、酔っぱらった時の海選手が面白くて。それを楽しみに禁酒をして試合へ向けて一緒に頑張って、オンオフの姿を見るのが自分は凄く楽しい。辛い時も楽しい時も共有し合えるのが楽しいです」と話した。
また、日本航空高等学校時代は野球部に所属し、3年生時には甲子園に出場経験もある(自身はベンチ入りでメンバーには入れず)ことから、甲子園について聞かれると「見ました。母校の山梨県日本航空高校が出場して2試合勝ちまして勇気をいただきました。後輩たちの頑張る姿を見て勇気をいただいたので、あとを次いで自分が格闘技のリングで勇気を与えるような戦いをしたいと思います」と、刺激を受けたようだ。
「個人競技と団体競技の違いはあるんですけれど、同じ練習をしている仲間と声を掛け合ったりとか、励まし合いながら戦っていくのは共通する部分があるので、同じスポーツの素晴らしさを感じながらやらせていただいています。ボールを投げたり、バッティングもタイミングが大事なので、そういった部分では野球と格闘技は近いところがあるのかなと思っています」と、格闘技と野球の関連性について語っている。
パートナーの朝倉海は昇侍について「昇侍さんはパンチ力と引き出しが多い。試合で見たことがないようないろいろな技術、立ち技も寝技も技術を持っています。いろいろな引き出しを使って勝つと思います」と、引き出しの多さで今回がMMA復帰戦となる鈴木に勝つと予想した。