対戦相手を求めて様々な格闘技に挑戦して“北の女武芸者”と呼ばれる熊谷がMMAに本格参戦する
KINGレイナとの2番勝負で名を挙げた“北の女武芸者”熊谷麻理奈(WSR札幌)が、今後はキックボクシングとMMAの“二刀流”で活動していくことが分かった。
熊谷は“北の女武芸者”と呼ばれるマルチファイターで、元々はアマチュアボクシングで活躍しキックボクシングに転身。さらに2018年5月にはMMAにも挑戦(Road FC 47の女子バンタム級でジン・インチャオに判定負け)、同年9月には素手にバンテージのみを巻いて戦う超過激格闘技ラウェイにも出場し、4R判定無しのドローとなっている。
8月23日の『DEEP』に参戦し、KINGレイナとキックボクシングルールで対戦。試合は判定2-1でKINGレイナが辛勝したが、的確な打撃を当てたと見られた熊谷の敗北に、関係者、現場観戦者、ネット生配信の視聴者から様々な意見が上がるなど、物議をかもす判定に。
そのため9月20日の『DEEP』ですぐに再戦が組まれたが、KINGレイナは計量オーバーのため減点2とイエローカード2枚提示で試合開始。今度は判定3-0(30-26×2、30-25)の大差で熊谷がリベンジを果たした。
「まさかKINGレイナ選手と2連戦をやるとは思ってもいませんでした。反響も凄く大きくて、やってもらえてよかったなと思っています」と熊谷。
「イメージ通りパワー全開系でけっこう攻撃も痛くて。最初の試合前はもらっても我慢できるだろうと思っていたんですけれど、ローキックをもらって正直ちょっと効いたってところがあったので、かなりパワー持ってるなって。みんな『打撃は…』と言うけれど、やっぱり強いし打撃も上手だなと思いました」と、1度目の対戦でKINGレイナの強さを体感。
「2度目は最初に考えていた作戦と違ったんです。3日前くらいにジムの会長とマススパーをやった時に全然圧を感じないって言われて。それで左で圧をかけて右を入れようって作戦に変えたんですね。それでその通りにやったらKINGレイナ選手は凄く嫌がって。上手く戦えました。今まであんなに作戦がハマったことはないってくらいハマりましたね。だから2回目の方がラクでした。ダメージも全然なくて」と2度目の対戦は作戦がハマってラクに戦えることができたと振り返る。
KINGレイナの体重オーバーに関しては「あの時は計量会場に到着が遅れてしまって、計量が終わった後に計量オーバーのことを聞きました。まあ、ガックリしましたね。でも試合がなくなるのは嫌だったので、オーバーでも絶対にやりたいって思っていました。そこで試合をやらないという選択肢はなかったですね」と言い、「ネットで凄い話題になっていましたが、試合が終わってしまえば戦ってくれてありがとうという気持ちしかありません。今は自分の名前をたくさんの人に知ってもらえるいい機会になったと思っています」と、KINGレイナに対して怒りの感情はないという。
今後に関しては「東京でどんどん試合をしていければと思っています。MMAもやってみようかなって。一度だけ出たことはあるんですが、今回は真剣に練習してやってみたいなって思っています。ROAD FCの時はオファーをもらってから練習期間が1カ月しかなかったので、寝かされた時に逃げる方法だけを練習していました。自分がやる攻撃は首をつかんでぎゅっと絞める技だけ覚えて行きました。何もできなかったです(苦笑)」と、MMAでも試合をやっていきたいとする。
「DEEPさんの方から『MMAもどう?』と言われたのがきっかけです。それから北海道に帰ってグラップリングの練習をやってみたんですが、楽しいなって思うようになったんです。ROAD FCの時は楽しさがよく分からなかったんですが、今回はグラップリングの先生に教わって『寝技って楽しいな』と思えるようになって。それで試合もやってみたいなって思えるようになったんです」と、すでに練習もしている。
「MMAの練習をするのが2回目なので、前回少し齧った分、勝手が少し分かるようになりました。教えてもらった時に“あ、あれか”と理解できるようになったので楽しいですね。手応えはあります。勝てるように、名前も売れるように頑張りたいです」と意欲を燃やす。
「まだ練習を始めたばかりですが、自分の持っている打撃を活かしながら寝技も覚えたらいけるんじゃないかなって思っています」と自信もある。
不安はないのかと聞くと「ラウェイを経験したらもう怖いものはないです。あれは最強です、頭突きもありで、手にはバンテージのみだったので。あれ以上に怖いものはないです」と笑った。
今後はキックボクシングとMMAの“二刀流”で活動していきたいとのことで「キックボクシングの目標はチャンピオンを全員倒すことです。ベルトを持っている人全員とやりたいですね。自分は57kgから65kgまでOKなので試合オファーお待ちしております」と、幅広い階級で試合をやっていきたいとする。
「MMAではDEEP JEWELSで頑張って、自分もMMAが出来るんだぞってところを見せて来年末にはRIZINに出るのが目標です。日本で強いと言われている選手とはやってみたいなって思うので、それこそ中井りん選手とやってみたいです。自分には中井選手が持っていない武器を絶対に持っていると思うのでやってみたいですね」と、経験を積んだら中井りんと戦いたいとの目標をぶち上げる。
その前に、いま最も対戦相手として考えているのは、10月のDEEP JEWELSでデビューし、大きな話題を呼んだ神戸の美女ファイター、ケイト・ロータス(KING GYM KOBE)だという。
「会場でデビュー戦を見ていました。けっこう打撃が強い、上手だなって思って。自分も打撃の選手で体重も同じくらいなので、やってみたい選手の一人です。自分もまだMMA初心者なので。KINGレイナ選手に続いて話題性のある相手ですし、喰っちゃいたいですね(笑)」と、MMA2戦目同士でやってみたいとした。
「北海道には女子の選手がいなくて、毎日男の先生と練習しています。プロの格闘家もほとんどいないので、北海道の女子格闘技を背負って立てるくらいにならないとなって思っています」と、熊谷は北海道にも女子格闘技の熱を広めていきたいと語った。