写真提供（C）ONE Championship
ONEムエタイフライ級世界王者のロッタン・ジットムアンノン（タイ）が、MMA（総合格闘技）の練習画像をONE公式サイトに公開。将来的なMMA挑戦の可能性についてメディアに語った。
ONEムエタイのベルトを持つロッタンは以前、同キックボクシングの現タイトルホルダーのイリアス・エナッシ（オランダ／モロッコ）に挑戦したいと話したことがあるが、MMAでもトップに立つことを狙っている。
交際中のスタンプ・フェアテックス（タイ）も同様に、ムエタイ、キックボクシング、MMAの3種目に挑戦し、頂点を目指しているが、ロッタンはそのスタンプからMMAについて「やったみたら」と誘われたという。
「まだムエタイに出場するつもりですが、私はMMAを試したいと思っています」と、22歳のロッタンは語る。「ONEフライ級ムエタイ世界タイトルはすでに獲得したから、次のゴールはキックボクシングでベルトを狙うこと。キックボクシングの試合経験はある。その後、MMAにも挑戦したい」
課題は“寝技”だ。首相撲ありのムエタイで組み技に触れているロッタンにとって、ケージレスリングやグラウンドでの絞め・関節技は未知の世界となる。
「すでにムエタイの基礎はあるから、寝技を学ばないといけないし、それにはもっと時間が必要だ。ただ、格闘技の選手として長く歩んできたから、MMAを学ぶのは悪いことじゃないんだ。自分を証明したいし、どこまでできるか知りたい」
これまでもロッタンはこっそりブラジリアン柔術と総合格闘技のトレーニングを始めていたが、この直近の数週間は、より総合力を高めるためにタイ・パタヤにあるジム「フェアテックス・トレーニング・センター」に通っていた。
同ジムを拠点とするスタンプやONE女子アトム級ランキング1位のデニス・ザンボアンガ（フィリピン）のトレーニングパートナーを務めるかたわら、他のアスリートとグラップリングのスキルを磨いていきた。
23歳のザンボアンガはMMAキャリア7戦無敗でONEではまだ2戦目ながら、2020年2月にV.V Meiこと山口芽生を判定で破る金星を挙げたばかり。MMAビギナーのロッタンにとっては、恰好の練習相手となっただろう。
ロッタンのMMAデビューの計画はまだ決まっていないが、立ち技で勝ち星を重ねていけば、MMA挑戦の可能性は高まる。ムエタイ王座を持つロッタンにとって、まずはONEキックのベルトを獲得することが当面の目標だ。王者エナッシ（オランダ／モロッコ）への挑戦をロッタンは望んでいる。
ロッタンとの対戦が望まれるのはエナッシだけではない。これまで2度対戦したジョナサン・ハガティー（英国）との3度目の対戦を望む声もある。
しかし、これまでの対戦でハガティーに対して大きな尊敬の念が生まれ、大ファンにもなったというロッタンは、「ジョナサン・ハガティーは今まで戦った中で最高の外国人ナク・ムエの1人だ。彼はすべてのスキルを備えている」と讃えながら、「私は彼と再び戦っても構わないけど、個人的にはハガティーとペッダムの試合を見たい。非常に僅差の戦いになるだろうし、ファンにとって見ごたえのある試合になるだろう」と、自身ではなく元ONEフライ級キックボクシング世界王者ペッダム・ペッティンディーアカデミー（タイ）との試合を見たいとしている。
さらに2018年6月の初来日で、延長判定の末に敗れた那須川天心（TARGET／Cygames）との再戦については、「私自身は誰とでも戦うことができる。相手を選ぶつもりはありません。決定するのはONE Championship次第です」と、互いの契約の中で可能であれば、と答えている。
「地元タイでのムエタイから、国際的なアスリートになれたなんて信じられない」とロッタンは言う。「今ではタイだけでなく世界中にファンがいます。言葉が出ません。ONEは、ほんとうに私の人生と夢を改善してくれたんです。そのことに感謝して、私は止まりません。これからも最高のパフォーマンスを出せるよう努力していきます」
“止まらない”ロッタンは、キックとMMAのベルトを合わせ三冠獲得なるか。そして、那須川天心との再戦は、もしかしたら、オープンフィンガーグローブを着けた戦いになるのかもしれない。
