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【UFC】モイカノが4の字ロックも、レフェリーがまさかの「ブレーク」TKO負け。解説のDC「自分が何をしたか分かっているのか? あんな風に引き剥がすなんて絶対にすべきじゃない」、UFC6連勝のノーラン「僕のアピールはスタンドアップを求めていたわけじゃない」

2026/11/01 16:24
 2026年10月31日(日本時間11月1日)米国ネバダ州ラスベガスのMETA APEXにて『UFC Fight Night: Moicano vs. Nolan』(U-NEXT/UFC Fight Pass配信)が開催された。そのメインイベントで行われたライト級(5分5R)の2R目に起きた、ヘナート・モイカノのバックからのボディトライアングル(4の字ロック)でのレフェリーによる「ブレーク」が物議をかもしている。 ▼ライト級 5分5R〇トム・ノーラン(豪州)12勝1敗(UFC 6勝1敗)※UFC6連勝 155.5lbs/70.53kg[3R 1分28秒 TKO] ※左ヒザ→パウンド・ヒジ×ヘナート・モイカノ(ブラジル)21勝8敗1分(UFC 13勝8敗)156lbs/70.76kg  モイカノは、22年11月からブラッド・リデル戦からドリュー・ドーバー、ジェイリン・ターナー、ブノワ・サン・デニ戦まで4連勝。しかし、25年1月にアルマン・ツァルキャン欠場の代役で緊急参戦したイスラム・マハチェフとの王座戦で1R ダースチョークで一本負けで連勝ストップ。  さらに、6月のベニール・ダリウシュ戦では先にダウンを奪うも、打撃・テイクダウンで劣勢となり判定負けで2連敗。20勝中10の一本勝ちを誇るMMAグラップラーで25年11月にはACAで3連勝中のユサフ・アイゾフと『ACBJJ 19』グラップリング戦でテイクダウンを受けて下になり判定負けも、26年4月のUFCでは、クリス・ダンカンと対戦。ダンカンの右に左を当ててダウンを奪うと、リアネイキドチョークで一本勝ちしている。37歳。  ノーランは、MMA10勝1敗(5KO・1一本勝ち)、UFC5連勝中。ラグビーがバックボーンで、身長188cmの長身で長いリーチを活かした打撃を武器とする。23年のDWCSで1R TKO勝ちで、24年1月にUFCデビュー。ニコラス・モッタに1R TKO負けを喫したが、24年5月のUFCでビクター・マルティネスに1R TKO勝ちすると、アレックス・レイエス、ヴィチェスラフ・ボルシェフに判定勝ち、25年9月にUFC2勝0敗のチャーリー・キャンベルと対戦、1R リアネイキドチョークで極める初の一本勝ちでUFC4連勝に。26年6月の前戦では、UFC6連勝中だったファレス・ジアムに判定勝ちでUFC5連勝をマーク。26歳。  試合は、1Rから打撃で攻めるノーランに対し、モイカノがダブルレッグテイクダウン、ボディトライアングルを組んでリアネイキドチョークを狙い、立ち上がるノーランがモイカノを背負って首を守る展開からスタート。  問題の2R、ノーランの左をかわしたモイカノはボデイロックからバッククリンチで回してテイクダウン。バックからすぐに足を差し入れ、胴に足を4の字ロック=ボディトライアングルを組んだ。  これまでオクタゴンでUFC歴代3位タイの7度のリアネイキドチョークを極めているモイカノにとって、優位な体勢。  日本の平良達郎も得意とするおたつロックでヒザ裏に二重にからめれば向き直りを許さず、無理に正対しようとすれば、第10試合でコディ・ダーデンが勝利の決め手としたツイスター等も狙える形だ。  現代MMAのバックで最も強力なポジションと言われる形から、モイカノはリアネイキドチョークを狙う。ノーランは時折、脇を潜りながら首を守り、モイカノが4の字に組んだ足の太腿にヒジを落とした。モイカノも背後から細かいパンチも、ヒジを腿に突くノーランは何度かレフェリーを見て、何かをアピール。しかし、モイカノも脇下からこつこつパンチ。  場内から時折ブーイングも起きるなか、モイカノは背後から頭、脇腹にパンチを打ち分ける。ノーランがモイカノの腕を掴んで動きが止まったところで、ノーランがまたもレフェリーを見やると、ダン・ミラーリオッタ レフェリーはブレークを命じる。  目を見開いて驚きの表情を浮かべるモイカノ。  スタンドで再開。ノーランは左の蹴りの上下に打ち分け、三日月蹴りを効かせると、モイカノの組みにカウンター左ヒザ! 鼻血を出して倒れたモイカノにパウンド・鉄槌連打。モイカノは何とかケージで立ち上がるもスラムされて大きなダメージを負っている。  流れが変わった2Rのブレーク後のノーランの猛攻撃。  3Rも左ストレート、ヒザを被弾しながらもモイカノは組んでボディロックからテイクダウン。バックに回り、左足を胴に巻くが、右足と4の字で組む際で、今度はノーランが前転でグランビーロール。トップを取り返すとパウンド連打、ハーフでヒジ連打を被弾するモイカノを見て、レフェリーが間に入った。 このボディトライアングルでのブレークは、日本のファンにとっては、2月のLFAで上久保周哉(頂柔術/TRY H Studio)がハファエル・ド・ナシメントと対戦したときにも起きており、物議をかもしたレフェリングだ。  解説のダニエル・コーミエーは、試合後、「何が一番問題かって、僕が(モイカノを)好きだからとかそういう理由じゃなくて、あのポジションにたどり着くことがいかに難しいかってことなんだよ。本当に圧倒的な支配ポジションだよね。それに彼は殴っていなかったかもしれないけど手を伸ばし、ハンドファイトをしてチョークを狙っていた。あれこそがやるべきこと。あれはアクティブと言える状態だ」とブレークに異議を唱えた。  同じく解説のローラ・サンコも、「あのポジションでずっとそこに座って、ずっとパンチを打ち続けるなんてことはできない。そのスポットに到達すること自体が、グラウンドでのポジションを進めているということなんだから」と同意。  続けてコーミエーは「だからこそ、誰もがそのポジションに行けるわけじゃない。たどり着くのがそれほど難しいからさ。(ATT)コーチのパルンパ(パルンピーニャ)が顔を覆ってレフェリーに話しかけているのを見たか。“自分が何をしたか分かっているのか”って感じでね。どんなポジションだって引き離す(ブレークする)ことはできるかもしれないけど、レフェリーがどんな状況であれマウントから選手を引き離すべきじゃないと私は思う。バックからあんな風に引き剥がすなんて絶対にすべきじゃない。あんなタイプのポジションをそのまま変えさせてしまうべきじゃない。あまりに支配的すぎる」と語った。  試合後、右腕をアイシングして会見に現われた26歳のノーランは、この場面について「ちろんモイカノが背中に張り付いている時はめちゃくちゃ重要だ。彼が花道に出てくる時、スクリーンに彼のスタッツが表示されているのを読んでいたんだ。UFC史上3番目に多いリアネイキドチョークで極めている記録だったと思う。だからもちろん、彼が僕の背中に乗ってきたとき、最初のゲームプランはボディトライアングルをエスケープすることだった。でも第2のゲームプランは、そこで賢く立ち回ること、自分には25分間(5分5R)の持ち時間があるということを知っておくことだったんだ。  それに、彼は相手のミスにつけ込むのが上手い。本当にベテランだからね。あそこで彼は人々を捕まえるんだ、例えば脱出しようと必死になりすぎたりとか、あるいは前回の彼の試合みたいに、ダンカンがあのようなヒジ打ちを放って捕まってしまったようにね。だから、ただ25分あるということ、毎ラウンドがまたスタンドから始まるということを分かっていたんだ。あのパンチをヒットさせる場所が必ず見つかると分かっていた。だから、そう、そこで冷静さを保ち、安全を維持し、あまりダメージを受けないようにした。それに、ヒザへのヒジ打ちを活用したんだ。スタンドにいない時は、彼の足を攻めたいと思っていた。下から彼の足をズタズタにしてやりたかったんだ。  もちろんスタンドにいる時は前足を蹴って、彼の足を機能させなくしてやろうとしていた。でもね、チャンスを見つけたんだ。本当はゲームプランの一部じゃなかったんだけど、彼の足が見えて、“おっ、これはローキックと同じだな? この足をメチャクチャにしてやろう”と思ってね。そして、かなり深刻なダメージを与えることができた。正直、彼がよくあのボディトライアングルをキープし続けられたなと驚いているよ。彼の太ももにあのヒジをガンガン打ち込んでいたからね」と、自身の対応を説明。  さらに、「まあ……はっきりさせておくと、レフェリーと話していたとき、僕はスタンドアップを求めていたわけじゃないんだ。彼は僕の後頭部を殴っていたんだよ。僕はただレフェリーに伝えていただけなんだ、彼は僕の頭を前に固定して左手を振り上げ、後頭部を殴ってきているってね。だからダンにこう伝えていたんだ、『おい、ルールでは後頭部への打撃は禁止だろ?』ってね。それがルールじゃなければ構わないけど、ルールなんだからさ。だから、何とかしてくれよって。僕が後頭部を殴られているのをただ見つめているんじゃなくてさ。意味わかるだろ? だから僕はレフェリーにそう言っていたんだ。『レフェリー、彼は僕の後頭部を殴っている。正面からの攻撃なら問題ない、どんどんやってくれ。でも後頭部を殴らせるな』ってね。――あそこを打つのが危険な場所なのには理由があるんだ。あそこを殴ったら人を殺しかねない。だから僕はその話をしていたんだ。スタンドアップを求めていたわけじゃない。さっきも言ったように、僕には戦うための5ラウンドがあった。もし彼が背中に乗っていたという理由でそのラウンドを落としていたとしても、僕は完全に納得していたさ。レフェリーが試合を立たせたことなんて僕には関係ない。僕のせいじゃないんだからさ。 (過去のケースを見ると、レフェリーはもう少し様子を見ることが多かったような気がしますが、あんなに早く起きたことには驚きましたか?)いや、僕は試合の真っ最中だからね。そんなことすら……ただ言われた通りにしただけだよ。『立て』と言われたから立ったんだ。『嫌だ、マットの上に残ろうぜ』なんて考えて座り込んでいたわけじゃない……。それに、個人的な意図なんて何もないよ。言われた通りにしただけだ。レフェリーが立てと言ったから、立ったんだ」と、試合中のレフェリーのアピールは後頭部打撃についてのものとし、ブレークについては、当然、自身の問題とは関係ないと語っている。 「膠着」をどうとらえるか。多くのフィニッシュは、そこに持ち込む位置取り、動きのセットアップの末にKOや一本がある。絶対的なドミネートポジションからのブレークは、少なくともレフェリーから事前に「動きがなければ止める」と注意があってしかるべきだ。  UFCでも起きたボディトライアングルからのブレークで議論が起きたことは、今後のMMAのレフェリングに影響を及ぼしそうだ。 [nextpage] 新世代の台頭について、トム・ノーラン「ジムの若い選手を見るたびに『くそっ、俺が彼らの年齢の頃に彼らほどのスキルがあったらよかったのに』って思うよ」 ──今夜の大きな勝利、おめでとうございます。率直な今の気持ちはいかがですか? 「いやあ、最高に嬉しいよ、マジで。自分のパフォーマンスには、本当に、本当に満足している。子供の頃からの夢だったんだ、モイカノのようなレジェンドと戦って勝つことがね。だから今、夢の中にいる気分だよ。本当に、最高だね」 ──右腕にアイスパックが巻かれているのが見えますが、バックステージでは何て言われましたか? 「ええと、単なる血腫というか、ちょっとした腫れだと思う。多分、あのボディキックのどれかをもらったせいかな。何が原因かは実際には分からないけど、痛みは感じていたんだ。全体的に腫れているけど、まあ、大丈夫さ」 ──不利な状況でも冷静さと忍耐力を保ち、微調整を加えてあのような形で状況を逆転させたことは、あなたにとってどれほど大きな意味がありましたか? 「そうだね、もちろんモイカノが背中に張り付いている時はめちゃくちゃ重要だ。彼が花道に出てくる時、スクリーンに彼のスタッツが表示されているのを読んでいたんだ。UFC史上3番目に多いリアネイキドチョークで極めている記録だったと思う。だからもちろん、彼が僕の背中に乗ってきたとき、最初のゲームプランはボディトライアングルをエスケープすることだった。でも第2のゲームプランは、そこで賢く立ち回ること、自分には25分間(5分5R)の持ち時間があるということを知っておくことだったんだ。  それに、彼は相手のミスにつけ込むのが上手い。本当にベテランだからね。あそこで彼は人々を捕まえるんだ、例えば脱出しようと必死になりすぎたりとか、あるいは前回の彼の試合みたいに、ダンカンがあのようなヒジ打ちを放って捕まってしまったようにね。だから、ただ25分あるということ、毎ラウンドがまたスタンドから始まるということを分かっていたんだ。あのパンチをヒットさせる場所が必ず見つかると分かっていた。だから、そう、そこで冷静さを保ち、安全を維持し、あまりダメージを受けないようにした。それに、ヒザへのヒジ打ちを活用したんだ。スタンドにいない時は、彼の足を攻めたいと思っていた。下から彼の足をズタズタにしてやりたかったんだ。  もちろんスタンドにいる時は前足を蹴って、彼の足を機能させなくしてやろうとしていた。でもね、チャンスを見つけたんだ。本当はゲームプランの一部じゃなかったんだけど、彼の足が見えて、“おっ、これはローキックと同じだな? この足をメチャクチャにしてやろう”と思ってね。そして、かなり深刻なダメージを与えることができた。正直、彼がよくあのボディトライアングルをキープし続けられたなと驚いているよ。彼の太ももにあのヒジをガンガン打ち込んでいたからね」 ──背中をマットにつけていた状況について少しお伺いしますが、まだリラックスしてSNSをチェックする時間はなかったかもしれませんが、多くの人々がダン・ミラリオッタがあなたたちを立たせたブレークのシークエンスに疑問を呈しています。タフな状況だったのは分かります。いつそれが起きるか自分で選べるわけではないですしね。でも、ブレークが実際に起きたとき、あなたはどう思いましたか? 「まあ……はっきりさせておくと、レフェリーと話していたとき、僕はスタンドアップを求めていたわけじゃないんだ。彼は僕の後頭部を殴っていたんだよ。僕はただレフェリーに伝えていただけなんだ、彼は僕の頭を前に固定して左手を振り上げ、後頭部を殴ってきているってね。だからダンにこう伝えていたんだ、『おい、ルールでは後頭部への打撃は禁止だろ?』ってね。それがルールじゃなければ構わないけど、ルールなんだからさ。だから、何とかしてくれよって。僕が後頭部を殴られているのをただ見つめているんじゃなくてさ。意味わかるだろ? だから僕はレフェリーにそう言っていたんだ。『レフェリー、彼は僕の後頭部を殴っている。正面からの攻撃なら問題ない、どんどんやってくれ。でも後頭部を殴らせるな』ってね。――あそこを打つのが危険な場所なのには理由があるんだ。あそこを殴ったら人を殺しかねない。だから僕はその話をしていたんだ。スタンドアップを求めていたわけじゃない。さっきも言ったように、僕には戦うための5ラウンドがあった。もし彼が背中に乗っていたという理由でそのラウンドを落としていたとしても、僕は完全に納得していたさ。レフェリーが試合を立たせたことなんて僕には関係ない。僕のせいじゃないんだからさ」 ──過去のケースを見ると、レフェリーはもう少し様子を見ることが多かったような気がしますが、あんなに早く起きたことには驚きましたか? 「いや、僕は試合の真っ最中だからね。そんなことすら……ただ言われた通りにしただけだよ。『立て』と言われたから立ったんだ。『嫌だ、マットの上に残ろうぜ』なんて考えて座り込んでいたわけじゃない……。それに、個人的な意図なんて何もないよ。言われた通りにしただけだ。レフェリーが立てと言ったから、立ったんだ」 ──なるほど。モイカノがSNSであなたを祝福していたのはご覧になったか分かりませんが、それについてどう思いましたか? あと、この試合に向けてお互いに深いリスペクトがあったとおっしゃっていましたよね。 「ああ、本当にモイカノのことは大好きだよ、僕は……子供の頃、夜中にYouTubeでモイカノのオモシロハイライトやインタビューを見ていたんだ。彼は僕の子供の頃からのロールモデルなんだよ。今週ずっとそう言ってきた。彼には敬意しか抱いていないし、たとえ彼が僕に無礼な態度をとったとしても、僕は僕自身のままでいるつもりだ。それに、彼は僕がリスペクトしている人物さ。  今夜ケージの中で対峙したとき、彼の姿は見えなかった。ただ目の前にいるシルエットと、倒さなければならない相手として見ていたんだ。終わってみれば、“あぁ、ヒーローを倒したんだ”という誇らしさはあるけれど、同時に彼に対してはリスペクトしかない。あの男が本当に好きなんだ。彼が無事で、また立ち直って再び戦い続けることを願っているよ」 ──試合の一部だったかもしれませんが、彼があなたの発言――あなたが彼のヒーローの一人だと言ったことに対して、あまり良い反応を示さなかったのを見ましたか? 「ああ、そのことについては聞かされたよ。僕は試合週に入るとSNSとは距離を置くようにしているんだ。あまり多くのものを見ないようにしている。でも、何人かの仲間が教えてくれたよ。『おい、お前がそう言ったのを彼は気に入らなかったみたいだぞ』ってね。僕は『ああ、そうなんだ』って感じだった。まあ、誰かと戦うために特定のメンタルや感情を持ち込まなきゃいけない人たちもいるからね。僕も以前はそういう人間だった。怒りを持たなきゃいけないし、誰かをボコボコにしたいと思うためには特定の感情に浸らなければならなかった。でも、このスポーツを通じて僕は成熟したんだ。勝ったり負けたりも経験したし、世界中を旅してこれをやってきた。そして今やキャリアの中で、対戦相手に対して特別な感情を抱かないところまで来ているんだ、特に実際に目の前に対峙しているときはね。昔はすごく感情的になっていたけれど、今の僕にとって、あの中は氷のように冷徹な場所なんだ。だから、それが今の僕のスタイルさ」 ──僕らがヘナートに「君はトムのヒーローの一人だ」と伝えたところ、彼の返答は「クソくらえだ、トム・ノーラン。俺が欲しいのは金であって、お世辞じゃない」というものだったんだ。モイカノのおもしろミームの歴史に君が加わったことを知ったら、君も嬉しいんじゃないかと思ってね。 「ハハハ、、そうだな。確かにそれはかなりイケてるね。後で見に行かないといけないな。まだ何も見てないけどさ。最高だね」 ──試合の流れがガラリと変わったとき、彼はかなりのダメージを負っていたように感じます。何かその変化を引き起こした決定的なシークエンスがあったと思いますか? あの強烈なヒザ蹴りなのか、あるいは別の何かか、それともただの流れでしょうか? 「試合の中には大きな瞬間がたくさんあったよ。一つは、誰か気づいたか分からないけど、彼が僕を背中から叩きつけようとしたときのことだ。僕らは――実際、僕は彼の頭の上に落ちる形になったんだ。ものすごい衝撃を感じて、彼が“うっ”と小さな悲鳴を上げるのが聞こえた。だから、あれが彼がダメージを負っていることに気づいた最初の瞬間だったと思う。  そして2つ目の瞬間は、ジャブからのハイキックを放ったときだ。頭のてっぺんをかすめる程度だったけど、あれはゲームプラン通りだったんだ。彼が僕の左側に引き気味に外れて、右側の僕の腰あたりに再び入り込もうとすることに対して対策を立てていたからね。だから、左のフェイントを見せてハイキックを出し、彼の頭部をとらえた。彼の目が少しトロンとするのが見えて、“よし、あれが試合を決める一撃になるかもしれない”と思ったんだ。そしてその後、中央からの突き上げるようなヒザ蹴りだ。ジャブをヒットさせたら彼が下を向くのが見えたので“よし、今から真ん中にヒザを合わせよう”と思った。確かそれを2回やったと思う。クロスからの流れでヒザを2回ヒットさせたんだ」 ──この試合に臨むにあたって、とにかくどんな手を使ってでも勝利をもぎ取りたかったでしょうけど、今こうしてここに座って話している中で、ヘナート・モイカノのようなタフなファイターを相手にフィニッシュを奪う自分を想像していましたか? それとも、彼の豊富な経験を考慮して、5ラウンドまでもつれ込むことをメンタル的に覚悟していましたか? 「いや、見ての通り、僕の目標は必ずしも“勝つこと”ではなかったんだ。もうそういう目標の持ち方はしていない。最近の僕の格闘技における目標は、そこに行って自分の最高のバージョンを解き放つことなんだ。格闘技ってクレイジーなものだと思うんだよね。多くの場面で、試合の勝敗は“運”で決まることもある。運は格闘技においてかなり大きな要素を占めていると思う。僕にとって重要なのは、たとえ負けたとしても、試合が終わった後に自分自身を誇れるかどうかだ。もしそこに座って鏡を見たとき、委縮していなかったか、やりたいことをやるのにビビって臆病になっていなかったか――そう自問自答できるなら、すべてを出し切って戦い抜いたなら、それは僕にとって“勝利”なんだ。  そして試合に勝つというのは、その副産物に過ぎない。ただ、質問に答えるとすれば、もう少し長引くと思っていた。4ラウンドか5ラウンドでのフィニッシュを想像していたんだ。でも、展開としては今夜起きたことにかなり似たものになるだろうとは思っていた。頭の中に2つのバージョンがあったんだ。1つは、すべてのテイクダウンを完全にディフェンスし切る展開。そしてもう1つは、今夜起きたことと非常によく似た展開で、彼にバックを取られても冷静を保ち、自分の打撃を選んでスタミナを信じ、彼を仕留めるための25分間があることを信頼するというものだ」 ──これでランキングの数字も良くなりますね。ここからどうしたいですか? この階級はめちゃくちゃ層が厚いし、あなたにとって面白い試合がたくさん待っています。特に気になる相手や、目標に近づくためにやりたいことはありますか? 「そうだね、(マテウス)ガムロットとは面白い試合になるんじゃないかな。僕のキャンプで最高の自分を引き出してくれる相手だと思うんだ。スタイル的にも面白い戦いになると思う。でも同時に、UFCが指示してくれるさ。彼らにはプランがあって、何かを考えてくれるはずだ。今のところ、この試合に臨むにあたって“よし、あいつの名前を叫んで挑発してやる”とか“あれをやってやる”みたいに固執しすぎてはいなかったんだ。僕にとってはこの試合こそがすべてだった。パフォーマンスを発揮し、若い頃の自分に対して“外に出て巨人を倒せるんだ”と証明するための試合だったんだ。そしてそれをやり遂げた。だから今はただ、この余韻に浸って楽しみ、それからどうなるか見ていくつもりさ」 ──ケージの片側にオーストラリア人の応援団がかなり集まっていたのにお気づきか分かりませんが、試合中彼らの声援は聞こえましたか? 「ああ、観客の中に何人か聞こえたよ。『イージーマネー』って叫んでいる声とか、色んなチャントや掛け声が聞こえたね。入場するときも、ハイタッチをしてくれる人たちがたくさんいたんだ。本当に何もかもがクレイジーだったよ。みんな最高だった。ぶっ飛んでるね」 ──今週初めに、ライト級で起きている世代交代について話していたんだ。あの階級は頑なに長い間トップに君臨し続けていたからね。そして今、君やクイラン・サルキルド、さらにはサラディン・パルナスのような選手たちが取って代わり始めている。君たちが属するこの世代の選手たちが、ついにブレークスルーを果たせた理由は何だと思う? 「僕たちは、幼い頃からMMAの練習をしてきているからだと思う。面白いことに、ジムには僕が目を見張るような若い選手たちが何人か台頭してきているんだ。彼らを見るたびに、“くそっ、俺が彼らの年齢の頃に彼らほどのスキルがあったらよかったのに”って思うんだよね。それに、似たようなものなんだろうね。僕が始めた頃は、MMAはまだ……。僕は2014年に始めたんだ。最初は柔術から入って、それから打撃を単体で学び、そしてMMAに進んだ。ヘナートのような人たちにとっては、もっと遅かったはずだ。彼らは何年も何年も柔術をやり、その後にボクシングを学び、キックボクシングを学び、そして最終的にMMAが独自のベースになったわけだからね。でも僕たちのジムには今、20歳で色々なことをこなしている連中がいるんだ。見るたびに“うわ、こいつらが歳を取ったらとんでもないモンスターになるぞ”って思う。だからそれは、スポーツの自然な進化なんだと思う。MMAは比較的若いスポーツだし、今やジムの環境もスーパージムが当たり前になっている。10年前や20年前には、こんなの本当に存在しなかったからね。だから、このスポーツはこれからも進化し続けるだろうし、今の僕たちの世代は、古い世代の選手たちよりも早く単一の武道からミックスド・マーシャル・アーツへと移行できたグループなのだと思う」 ──今回の道のりがどれほど個人的なものであるかについて話してくれましたが、世間の反応があなたを悩ませることは一切ないと思います。ただ、あなたが素晴らしいレベルで仕事をやり遂げたにもかかわらず、レフェリーのダン・ミラリオッタがブレークで早く止めすぎたかどうかという点に世間の焦点が移ってしまっている――あるいはそれに影を薄められているかもしれないことについて、どう感じますか? 「うーん、別に気にしてないよ。だって……君はどう思う? もし彼が僕の背中に乗ったままだったら、展開は何か変わっていたと思うかい?」 ──3ラウンドに入って、そこからどうなるかを見てみたかったとは思います。 「で、どうなったと思う?」 ──それはもう永遠に分からないでしょう。もしヘナートが2ラウンドでダメージを負っていなかったとしたら、フレッシュな3ラウンドでどうなったかは分からないけど、2ラウンドで彼にテイクダウンされる前に、あなたがヘッドキックを当てていたという事実に基づけば、君のペースに傾きつつあったようには見えました。 「左手とヒザもね。それと、僕が腰をガードに戻して、ガードの中から彼の顔にヒジを叩き込み始めたときのことについてはどう? 彼は……スタンドアップの後にもう一回僕をテイクダウンしなかったっけ?」 ──下を向いてタイピングして、顔を上げたり下げたりしているから、あなたの方が詳しく覚えているかと。 「確か彼はテイクダウンを奪ったはずで、それから僕は腰を反転させて、そして確実にフィニッシュしたんだ。だから、試合の流れは完全にそっちに向いていたと思う。認められなくないかもしれないけど、真実はそういう風に進んでいたはずさ。彼はスタンドでボディへのキック以外、まともな打撃を当ててすらいなかったと思う。スタンドで僕の肌にグローブが触れたかすら怪しいね。間違っているかもしれないけど、全部外れていたはずだ。それに、マットの上での僕のディフェンスはしっかりしていた。彼はチョークにすら近づいていなかったよ。僕は自分の仕事をやり遂げた。身体を反転させて、試合を終わらせたんだ。それ以上、言いようがないね」 ──明確にしておくと、流れが変わりつつあったことには完全に同意します。ただ、もしも話をここに持ち出して『こうなっていただろう』とは言いたくなくて。ただ、何が起きたかは分かっているつもりです。 「でも、君は僕にそう言わせたいんだろ」 ──いや、ただ……僕が知りたかったのは、このレフェリーの判定に関する議論が、君の素晴らしい仕事に水を差しているように見えることについて、君自身は気にしていないのかってことだけさ。 「あぁ、どうでもいいよ、そんなの。僕に何ができるって言うんだ? 気にしたところで何の意味もない。だから、誰がそんなの気にするんだよ?」 ──ボトムポジションからのヒジ打ちだけど、彼の足に野球のボールくらいの大きさの腫れを作っていたよね。あのポジションでどうやってサバイブしたのか、そしてあのヒジ打ちがどれほど強力な武器になったのかについて少し教えてもらえるかい? もちろん、あの後スタンドアップになって試合をフィニッシュするまでの話も含めてね。 「ああ、彼のバックにいるとき、自分が安全なポジションにいることが感覚として分かっていたんだ。自分の利き手がディフェンスのポジションにしっかり入っていて、チョークでそこまで脅かされていないと感じていた。1ラウンドでは彼は何度か極めようとしてきたけど、“大丈夫、これならディフェンスできる”と感じられたんだ。何ラウンドから足へのヒジ打ちを始めたか覚えていないけど、ふと下を見たら視界に入ったんだ。“よし、このまま動きがないなら、こっちからダメージを与えていかないとな”って。そこにあるのは僕のヒジ、そして彼の足。だからガンガン打ち込み始めたんだ。彼はそれを手放さないようにするために素晴らしい仕事をしたよ、ものすごい勢いで打ち込んでいたからね。それに僕は、骨が尖っていてガリガリなタイプだろ? あんなの絶対痛いはずなのに、彼はそれを全部食らっていた。だから“クソっ、マジかよ、早く離せよ”って思いながらやってたね」 ──あのとき、例えば別の試合で同じようなポジションに追い込まれた経験から引き出したものとかはあった? もちろん、すべてのことが一瞬の出来事で起きているのは分かっているけれど、“よし、あの瞬間にやったのはこれだ、今ならこれができる”みたいに思ったのかどうか。 「ああ、マットの上でガードポジションに入っているとき、僕はボトムからのエルボーゲームを展開するのが好きなんだ。あれにはいくつかの効果がある。相手に“ずっとこのガードの中にいたくない”と思わせることができるし、実際にダメージを与えることもできる。UFCでボトムからのヒジ打ちで3人の相手をカットさせてきたと思う。だから、自然とそのスタイルに頼ったんだと思う。まあ、“ここでは身動きが取れないし、彼が優勢ポジションにいるから離してはくれないだろうな”ってね。レッグウィーブを仕掛けたり、身体を反転させようとしてはいたけれど、同時にすごく警戒もしていたんだ。  今週のインタビューでもずっと言っていたように、BSD(ブノワ・サン・デニ)戦での彼は腰を完全に反転させてマウントに移行し、ダメージを与えるという素晴らしい仕事をやり遂げた。だから僕はそれを意識していた。もし僕が足のコントロールを無理やり外しに行こうとして彼に身体を反転されたら、今度は深刻なダメージを許してしまうことになる。彼の頭に自分の顔面をボコボコにされるくらいなら、背中に乗られたままそのラウンドを落とした方がマシだと思ったんだよね」 ──彼はリアネイキッドチョークの達人だとおっしゃっていましたが、ファンでさえもグラウンドの展開になることは目に見えて分かっていました。どれくらいその対策を練習してきたのですか? 背中を取られたときもショックを受けていないように見えましたし、あえて言うなら、むしろリラックスしているようにすら見えましたが。 「ああ、つまり、エスケープの練習は死ぬほどやったよ。3ラウンドで一度綺麗に反転できたのは最高だったけど、色々なシチュエーションを想定して練習してきたんだ。彼はインサイドフックを伴うボディトライアングル(おたつロック)が好きだからね。当然、ボディトライアングルの状態からインサイドフック側へ無理に回ろうとするとスコティッシュ・ツイストに捕まる危険がある。それに、マウントに移行してBSD戦でしたようなことをされる可能性もある。彼はその特定のポジションにおいて世界最高峰の一人だ。だからプランAはエスケープすることだったけれど、プランBは致命的なミスを犯して首を差し出さないことだった。そして実際、エスケープしようと試みたし、レッグウィーブも試みたんだ。ただ、背中で彼が疲れてきているのが感覚として分かったし、あそこで無理に押しすぎると逆にマウントを奪われるという状況判断をしたんだ。マウントを取られたら厄介な相手だからね。それに比べてバックにいる方が心地よかった。彼に極められる気はしなかったよ」 ──なるほど。ところで、あの勝利のダンスについて教えてほしい。フェイクの札束をばら撒く仕草(メイク・イット・レイン)をしてから、キャンバスにダイブしたよね。 「ああ、あのアイリッシュジグね。ジムでスパーリング中に相手の足を綺麗に刈ったことがあって、その時にノリでちょっとしたアイリッシュジグを踊ったら、それが面白い動画になったんだ。そしたらチームメイトのドムが『この試合に勝ったら、絶対アイリッシュジグをかましてくれよ』って言ってきてさ。僕は『そんなの絶対忘れちゃうよ、お前が叫んで教えてくれよ』って返してたんだ。そしたら試合で彼の『アイリッシュジグ!』って叫ぶ声が聞こえてきたから、『よし、やるか!』ってなってね。それから……フロントフリップ(前宙)は、単純に最高にハイになっていたからやっただけだよ。何も計画してなくて、突然飛び出したんだ」 ──これほどの大勝利だ、アイリッシュジグを踊りながら帰る以外に、キャリア最大の勝利をどうやってお祝いするんだい? 「うーん、おそらく……今夜は間違いなくカジノのテーブルゲームを少しプレイしに行くよ、間違いないね。それに、美味いものを食べて、家族やチームメイトと一緒に過ごす。それだけさ。結果が良くても悪くても、一喜一憂しすぎないようにしているんだ。もし今夜負けていたとしても、同じように過ごしていたはずだよ。だから僕にとっては、さっきも言ったように、もう結果だけに囚われているわけじゃないんだ。自分の夢の人生を生きさせてもらっている。だから負けていようが勝っていようが、『あの男と戦うことができた』という事実が残る。最悪のシナリオだってそこまで悪くない。そして今回勝てたから、最高のシナリオも手に入った。まあ、勝利に自分の価値を左右されすぎないように心がけているよ」 ──試合後の恒例パフォーマンスとして、今後もアイリッシュジグをずっと続ける確率はどれくらい? 「ドムにもそう言ったんだ。『よし、こうなったからには、もう毎回これをやるしかないな』ってね」 ──フロントフリップも合わせれば、これからは『オージー・ジグ』にできるかもしれませんね。 「ああ、そうだね、最高だ。組み合わせちゃおうかな」 ──試合が発表される前から、モイカノについての研究――特にバックマウントやボディトライアングルからのマウント移行などをずっと研究していたことが、あの安心感にどれほど役立った? 試合前からすでに準備を進めていたわけだからね。 「ああ、本当にその通りだ。試合の途中でふと頭に浮かんだ瞬間があったよ。一度、僕が四つんばいになって、彼がボディトライアングルを組んだまま背中に乗ってきたときがあって、確か彼はそこから左フックか何かを僕の頭上に落としてきたんだ。その瞬間に気づいたんだよ、“あ、これBSD戦のやつだ”ってね。だからすぐローリングした。セコンドが叫んで『ローリングし続けろ』と指示してくれたのも聞こえた気がする。だから回転して逃れたんだ。その瞬間に“よし、これにはもう少し警戒しないといけないぞ”と理解した。そして気づいたんだ、“彼が僕の背中に乗っているときよりも、お互いの腰がフロアを向いている状態のときの方が脅威としてははるかに低いんだ”ってね。まあ、彼は……UFCで何試合戦っているんだっけ? もう20試合以上だよね? すごいよね。あんなファイターから学べること、研究すべきことが山ほどあるんだ。いつの日か世界チャンピオンになりたいし、この人生をそこに捧げている。だから、彼のような選手からはこれからも研究し、学び続けていくつもりさ」 ──ボーナスを獲得したわけだけど、カジノのテーブルでの祝勝会がさらに豪華になるね、それともお金は貯金するのかい? 「うーん、ボーナスが振り込まれるのは、まだ少し先なんだ。でも、そうだな、賢く使いくつもりさ。ニュージーランドでの生活基盤を整える足しにしようかな。僕らはまだ仮住まいの状態なんだ。今月中には今の家を出なきゃいけないからね。だから、その資金を使って生活をしっかり整えようと思っているよ」 ──今夜はハロウィンだし、何か仮装とかするの? 「まあ、僕が着ているこのエンゲージ(Engage)のキットがたまたまDr.ドゥームのスーツっぽく見えるからね。これでも着ておくよ。これ最高にイカしてるだろ」
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ゴング格闘技 NO.345
2026年7月23日発売
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