2026年10月28日、ONE Championshipのチャトリ・シットヨートンCEOが、公式タイ語ページで大規模なFacebookライブを行った配信でチャトリCEOは「秋元皓貴vs.ジョナサン・ハガティー裁定の見解」「ナンバーシリーズの再開」「野杁正明vs.グレゴリアンの決勝の日程」などについて語った。
12月に『ONE 174』開催、ジョナサン・ディベラがONEストロー級キックボクシング世界王座防衛戦
ビッグニュースのひとつはナンバーシリーズの『ONE 174』(U-NEXT配信)が12月に開催されること。そこでジョナサン・ディベラ(カナダ)がONEストロー級キックボクシング世界王座の防衛戦を行うことを発表。対戦相手と開催地はまだ発表されていないが、東京での『ONE 173』以来となるナンバーシリーズの復活大会で行われる。
すでにONEは2027年3月26日に『ONE: Qatar』(ドーハ アスパイア・ドーム)を発表済みだが、今回の『ONE 174』は「タイ、日本、カタール、米国以外の地域」で行われる予定。これらの国以外で行われるナンバーカードは、2024年9月のデンバーでの『ONE 168』以来となる。コロナ前は、中国、マレーシア、インドネシア、シンガポール等で定期的に大会が開催されており、これらが開催地候補となるか。
イタリアとカナダにルーツを持つジョナサン・ディベラは、幼少期から格闘技と共に育ったサラブレッド。
2歳のとき、カナダ・ケベック州にある家族のジムでトレーニングを開始。指導にあたったのは、2度のキックボクシング世界王者である父アンジェロ・ディベラ。極真空手の黒帯を取得し、10歳で初試合を経験し、19歳でプロ転向を果たした。
北米各地でキャリアを重ね、マディソン・スクエア・ガーデンの舞台にも出場。アマチュアキックボクシングで20勝(17KO)無敗、アマチュアボクシング6勝無敗の戦績を収めてキックボクシングのプロに転向するとISKA北米王座やISKAインターコンチネンタル王座を獲得。GLORYにも出場した。
2022年10月『ONE 162』で中国のスター、ジャン・ペイメンと空位のONEストロー級キックボクシング世界王座を争い、激闘の末に判定勝ち。デビュー戦で王座を戴冠し、ディベラ家の名に新たな歴史を刻んだ。
2023年10月にはダニエル・ウイリアムスを判定で破り初防衛に成功。しかし2024年4月、2度目の防衛戦を前に計量当日に体調を崩し、王座剥奪。2024年6月、プラジャンチャイとの同王座決定戦で復帰したが、判定3-0で人生初黒星。
しかし、2025年3月の日本大会でサムエーを破り暫定世界王座に就くと、10月の正規王者プラジャンチャイとの王座統一戦で判定勝ち。正規王座に就くと共に初防衛に成功した。26年7月の前戦では、ジャン・ペイメンとの再戦を5R 判定3-0勝利し、ONE世界ストロー級キックボクシング王座の2度目の防衛に成功。戦績を16勝1敗に伸ばしている。
ストロー級キックボクシングでは、10月にワン・ジュングァン(中国)が、1年ぶり復帰の現ONEストロー級ムエタイ世界王者プラジャンチャイ・PK・センチャイ(タイ)にスプリット判定勝ち。挑戦者として浮上している。
ジュングァンは『武林風』で活躍し、2017年7月のKrushに初来日。里見柚己に判定勝ちし、9月には武尊とK-1タイトルマッチで対戦するも接戦の末に敗れた。2019年10月のONE初参戦では那須川天心と対戦したフェデリコ・ローマに1RでTKO勝ちも、その後はサムエー、アスランベック・ジクレーブに連敗。武林風で連勝後、22年8月のK-1フェザー級世界最強決定トーナメントに参戦し、新美貴士に判定勝ち、斗麗に判定負け。2022年12月、軍司泰斗に判定負け。その後、中国武林風、Glory of Heroesで3連勝。26年10月に前述の通り、6年ぶりのONE出場でプラジャンチャイを下している。
そのプラジャンチャイは、12月の『ONE Friday Fights 183&The Inner Circle 43』で、ONEストロー級(-56.7kg)ムエタイ世界王者として、暫定王者のアリーフ・ソー・デチャパンとの「ONEストロー級ムエタイ世界王座統一戦」が発表されたばかり。
ジョナサン・ディベラは、10月の『ONE SAMURAI4』で階級を上げてONEフライ級キックボクシング世界王者スーパーレックに挑戦予定だったが、スーパーレックの前十字靭帯断裂によって白紙となっていた。
ディベラは現地メディアにジュングァンとの対戦の可能性について問われ、「この試合が行われば誰かがノックアウトされると思うが、それは俺ではない」と語っている。ディベラの「ONEストロー級キックボクシング世界王座防衛戦」はどこで誰と行われるか。
また、ほか候補としては、25年9月にジャン・ペイメンにスプリット判定勝ちしたルイ・ボテーリョも挙げられが、ボテーリョは2連勝後、26年7月にディベラに判定負けしており、11月18日の『ONE SAMURAI 5』で礼司との対戦が決定済みで、12月大会の挑戦は厳しいか。
[nextpage]
チャトリCEO「ヒザがヒットした瞬間、ハガティーの手は秋元の頭から外れていた」
また、10月17日の『ONE SAMURAI 4』での「ONE世界バンタム級(-65.8kg)キックボクシングタイトルマッチ」で、王者ジョナサン・ハガティー(英国)に3R TKO負けした秋元皓貴(EVOLVE MMA/POD)陣営が、ハガティーのフィニッシュに繋がる複数のヒザ蹴りがONEのキックボクシングルールにある「相手の身体を手で押さえ、引き込んで膝蹴りを行う行為は禁止」に該当するとして、異議を申し立ててしていた件について、チャトリCEOはFacebookライブであらためて「反則はなかった」との見解を示した。
チャトリCEOは、大会後の記者会見でそのフィニッシュについて「まだ映像を確認する時間はないが、クリーンなノックアウトだと思った」と述べていたが、今回の配信で、「ハガティーは片手(左手)を使用しており、ヒザがヒットした瞬間には、その手はすでに秋元の頭から外れていた」と主張した。
なお、クリスマス休暇に入るハガティーの復帰は27年になる予定。チャトリCEOは、ヨッドIQ・オー・ピモンスリとの対戦に興味を示しているが、「ヨッドIQの足の負傷がトレーニングの妨げになっている」とも語っており、両者のムエタイルールでの対戦は、確定はしていない。
[nextpage]
野杁正明vs.グレゴリアンは27年2月以降か。スーパーボンの年内復帰は無い
10月17日の『ONE SAMURAI 4』の「ONE SAMURAIフェザー級(-70.3kg)キックボクシングトーナメント」準決勝で、モハメド・シアサラニに判定2-1で勝利して決勝へ進出した野杁正明(team VASILEUS)は、試合前からの怪我もあり、チャトリCEOが打診した12月の『ONE SAMURAI 6』(横浜BUNTAI)でのマラット・グレゴリアン(※ルオ・チャオの計量失敗で不戦勝)との決勝を「正直に言うと、12月はちょっと無理ですね」と申し出ていたが、
Facebookライブの中でチャトリは、「決勝戦は約2カ月後になるだろう」と見積もった。27年2月が決勝戦となれば、そこが『ONE SAMURAI 8』になるか。
また、野杁正明、タワンチャイに勝利したリウ・メンヤン(中国)の挑戦を5月に受けることが決まっていたONE世界フェザー級キックボクシング王者スーパーボン(タイ)は、今年中には復帰せず、チャトリCEOは「2027年の復帰を予想している」と述べた。もし「野杁vs.グレゴリアン」の決勝が2月に開催されることになれば、タイトルマッチは夏頃に組まれることになるか。
[nextpage]
タワンチャイ、スーパーレックの負傷状況について
また、ONEフェザー級ムエタイ世界王座を返上したタワンチャイ・PKセンチャイ(タイ)について、チャトリCEOは「おおよそ2027年4月頃に復帰と聞いているが、確信はない」と語っており、その復帰戦はタワンチャイが望むキックボクシングマッチになる可能性がある。
正規王者へと昇格したニコ・カリロ(スコットランド)は既報通り、12月18日の『ONE Friday Fights 183 & The Inner Circle 43』でナビル・アナン(アルジェリア・タイ/Team Mehdi Zatout)の挑戦を受ける。もしアナンが勝てば、タワンチャイとの友人対決となるか。
また、26年8月のアブドゥラ・ダヤカエフ戦で右ヒザを負傷しTKO負け、ONEフライ級キックボクシング世界王座を返上したスーパーレック・キアトモー9(タイ)は、右膝の前十字靭帯断裂からの回復に、「さらに約9カ月かかるかもしれない」との見込みで、復帰は2027年の後半にずれ込む可能性がある。
また、チャトリCEOは2027年の「バンタム級GP」開催の可能性にも言及。「真剣に検討中である」と述べた。
11月13日からは『ONE Friday Fights 178&The Inner Circle 38』で「ONEフライ級(-61.2kg)ムエタイグランプリ」トーナメントが開幕するが、「バンタム級GP」でもムエタイになるか。
チャトリCEOは現時点でのフライ級GP決勝の予想は、アサドゥーラ・イマンガザリエフ(ロシア/Team Chingiz Allazov/Team Mehdi Zatout/ONEフライ級ムエタイ世界王者)と、ロッタン・ジットムアンノン(タイ/Jitmuangnon Gym/元ONEフライ級ムエタイ王者)としている。しかし、ロッタンはノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ/Evolve MMA)と、20日に登場のイマンガザリエフはアスラムジョン・オルチコフ(ウズベキスタン)との厳しい初戦が待っており、両者は1回戦を突破できるか。
チャトリCEOは、ロッタンが武尊戦でのTKO負け後、自信をいかに立て直しているか。ノンオーはその打たれ強さや、再びダメージの大きい敗戦を喫することへの懸念を示している。
なお、1回戦でウベイド・フセイン(パキスタン/英国/Kiatphontip UK)と対戦するブラック・パンサー(タイ/Team Mehdi Zatout)は、イマンガザリエフと同門であり、互いに勝ち進めばどうなるか。
また、1回戦では、日本から士門(=吉成士門/エイワスポーツジム)が参戦、ラマダン・オンダッシュ(レバノン/Tiger Muay Thai)との対戦が決まっている。
チャトリCEOは、世界タイトル戦が5R制で行われること、その他のトーナメントマッチは3R制になることを語った。
さらにチャトリCEOは、『ONE SAMURAI 4』で松倉信太郎にKO勝ちしたシンサムット・クリンミー(タイ)について、レギン・アーセル(オランダ)との3度目の対戦に興味を示し、「シンサムットはアーセルとの2度目の対戦でも、ボディショットで倒されるまでは優勢に試合を進めていた。自信が回復している」と言及。しかし、アーセルは現在、腕を骨折中だ。
また、10月9日の『ONE:The Inner Circle 34』でスリヤンレック(タイ)に判定勝ち、無敗の戦績を18戦18勝に伸ばしたフライ級ムエタイのルスタム・ユヌソフ(ロシア)についてその才能を称賛したものの、「メインロースターの契約を与える前に、もっとフィニッシュを狙う姿勢を見せてほしい」と望んだ。
[nextpage]
11月18日『ONE SAMURAI 5』追加3カード発表
▼ONEフェザー級(※70.3kg)MMA 5分3R木下尚祐(リバーサルジム横浜グランドスラム)シヴァエフ(リバーサルジム新宿・MeWe)
木下は、2017年のデビューからZST、DEEP、PANCRASEで活躍。26年6月の前戦では「PANCRASEフェザー級暫定王座決定戦」で王者オタベク・ラジャボフに三角絞めで敗れたが、3Rに渡り粘り強さを見せた。
無尽蔵のスタミナに裏打ちされたスクランブル能力を武器に、相手のスタイルに合わせて距離・展開を変えることができる、総合力が高いオールラウンダーだ。
対するシヴァエフは、2024年度修斗ライト級新人王。大学院卒のサラリーマンファイターとしてMMA6勝1敗。修斗で5連勝後、26年2月の『Lemino修斗3』で後藤亮に1R TKO負けで初黒星も、26年2月の前戦『RIZIN LANDMARK 15 in HIROSHIMA』のオープニングファイトでベンジャミンにスプリット判定勝ちで再起を遂げている。
木下の経験値と技術が勝るか、バスケットボール出身のシヴァエフの身体能力と勢いが勝るか。
◆木下尚祐「こんにちは。リバーサルジム横浜グランドスラムの木下です。今回、ONE SAMURAIに参戦させていただきます。地元の太田総合体育館です。僕らが成人式をやった場所でもあるので、しっかり ONE と地元を盛り上げられるように頑張ります。対戦相手の印象は、最初オファーが来た時、映像を見たらアグレッシブでフィジカルも強くて、勢いもあるすごい良い選手なので、僕とだったら噛み合う試合になると思うんですけど、しっかりレベルの違いというか、やってきたことの違いを見せる試合ができるように僕も頑張ります。まあ僕とシヴァエフの名前を ONE のファンの方々に覚えてもらう日になると思うので、11月18日 『ONE SAMURAI 5』応援よろしくお願いします」
◆シヴァエフ「リバーサルジム新宿 Me,We シヴァエフこと柴村拓弥です。相手選手はちょっと入れ墨がバチバチに入っていて顔が怖くて、色の入ってないサングラスをつけていてすごい怖いんですけど、まあ根は真面目で頑張るところは頑張る選手だと思います。でも僕が全部潰してあげたいなと思ってます。期待していてください」
▼ONEストロー級(※56.7kg)ムエタイ 3分3R加藤有吾(RIKIX)石井寿来(エクシンディコンジム)
加藤有吾は、アグレッシブに前進し、強烈な左ボディと右ストレートで対戦相手を粉砕する生粋のハードパンチャー。WMC日本スーパーバンタム級王座を獲得するなど、確かな実力と実績を誇る。
対する石井寿来は、幼少期から本場タイのルンピニースタジアムでも激闘を重ね、ONE Friday Fightsを主戦場に7戦5勝1敗ノーコンテスト(3KO)と着実に力をつけている若きムエタイファイター。
加藤選手が一撃必倒の剛腕でリングを制圧するか、それとも石井の卓越した防御と鋭い蹴りで剛腕を空転させるか。
▼ONEフェザー級(※70.3kg)キックボクシング 3分3R麻火佑太郎(PHOENIX)ペッタノン・ペットファーガス(タイ)
麻火佑太郎は、「信州の妖刀」の異名を持つ日本人ストライカー。長いリーチから繰り出すテコンドー・空手仕込みの多彩な足技と鋭い膝蹴りを最大の武器とし、2024年にはムエタイの生ける伝説であるセクサンを下す大金星を挙げて、世界にその名を轟かせた。
対するペッタノンは、元ONEバンタム級キックボクシング世界王者のタイトル歴を持つタイのベテランファイター。圧倒的な試合経験を誇り、サウスポーから繰り出される強烈な左ミドルキックと、相手の長所を消す卓越したディフェンス技術を併せ持つ。
ペッタノンの熟練の防御と重いミドルキックに対し、麻火は変幻自在な足技でいかにして突破口を開くか。