2026年10月23日(金)東京・後楽園ホール『MAROOMS presents KNOCK OUT.69』(U-NEXT配信)のセミファイナル(第12試合)KNOCK OUT-REDライト級(-62.5kg)3分3Rで対戦する、重森陽太 (KNOCK OUTクロスポイント吉祥寺)とセーンマニー・ノー.プムマリン(タイ)のインタビューが主催者を通じて届いた。
重森は16歳でプロデビューし、10戦目で無敗のまま新日本キックボクシング協会の日本バンタム級王者となり、14戦目で初黒星を喫するまで無敗を保った。20歳で日本フェザー級王者となり二階級制覇を達成。2019年7月にWKBA世界ライト級王座を獲得して三階級制覇。2021年7月にはスアレックから勝利を収め、KNOCK OUT-REDライト級王者にも輝いた。2023年2月、悲願であったラジャダムナンスタジアム王座に挑戦したが、判定負けで奪取ならず。
2023年8月からはKNOCK OUTを主戦場にし、2024年6月にレンタを破り国内最強を証明。9月には『ONE Friday Fights』に初出場、シン・ドンヒョンにKO勝ちした。12月にはUNLIMTEDルールに初挑戦したが倉本一真にTKO負け。2025年6月、ゴンナパーにKO負けを喫し、王座を奪われたが、9月に小林司、12月にロムイーサン、2026年5月にソー・バー・ヘインに3連勝し、8月のWBCムエタイ日本スーパーライト級王座決定戦ではREITO BRAVELYを1RにハイキックでKOし、王座に就いた。戦績は46勝(21KO)11敗6分。
セーンマニーはルンピニースタジアムで2012年にミニフライ級タイトルを獲得し、ラジャダムナンスタジアムでは2012年にライトフライ級王者に輝いて以降、同年にはフライ級王座、2013年にはスーパーフライ級王座を獲得し、2025年にはライト級王座2度目の防衛に成功するなど、紛れもなくムエタイ界を代表するトップファイターの一人といえる。
重森「何か、勝てる気はするんですよね」
──もともとムエタイの強豪ラムナムムーンレック・ティーデッド99選手との対戦が決まっていたところに、カード変更で相手がセーンマニー・ノー.プムマリン選手になりました。重森選手にとっては「まさかの」という感じだったのでは?
「そうですね。まさに、『まさかの』でした。それこそセーンマニーって昔からいる選手だし、階級もすごく軽いところからずっとやり続けていて。去年かな? ラジャダムナンでライト級を獲ったりしてましたけど、何となく、軽い階級の選手というイメージが強かったので。プラス、『ここで交わり合うのか!』といったところで『まさか』という感じはありましたね」
──それこそ、試合映像とかは以前からずっと見てた感じですよね、きっと。
「もちろん見てました。けっこう前に、ONEで健太さんとやった試合の動画が、かなり再生回数が伸びたと思うんですけど、その試合がかなり印象に残ってますね」
──参考にした部分もありますか?
「いや…彼は左ミドルが強すぎるので、日本人は真似しない方がいいと思うんですよ。彼のような蹴りは蹴れないと思うので。それこそ、タイ人特有のミドルキックを持ってるなという感じですね」
──では、憧れたりもしていなかった?
「とてもあんな風には闘えないんですけど、憧れは、何となくあるかもしれないですね、確かに。ムエタイをやってる選手は、たぶんああいう試合をしたいと思うものなんですよ。左ミドル1本で漬けてしまう、みたいな試合を。ある種の理想というか、『アレができたらカッコいいよな』という感じではありますね」
──なるほど。
「私も、右ミドル、左ミドルとどっちも蹴れますけど、ミドルキックだけで試合をコントロールして勝てるようになりたいなと思った時期は、今思い返すと、確かにありました。でもやっぱり、私はセーンマニー選手のようにはできなかったですね」
──その相手と実際闘うことになったわけですが、どうしようと考えていますか?
「やっぱり、彼の左ミドルは世界一じゃないですか。あれは、多分対策はできないと思うんですよね。かといって、気持ちよく蹴らせることはさせないようにしようとは思ってます。一応私もムエタイ歴は長いので、ある程度、そういったミドルキックだったりへの対策は、他の日本人と比べてもかなりできる方だと思うので。そういった、今まで培ってきたムエタイの技術を総動員したいと思っています」
──やれることは全部やると。
「たぶん、一つじゃダメなんですよね。私はディフェンスとか流しの引き出しが多い方だと思ってるので、それを一つに絞らず、こだわらずにやれればと。例えば『カットする』とかって決めちゃうと、カットできなかった時におかしくなっちゃうと思うんですよ。でも相手が彼だと、逆に『そんなカットなんてできねえだろ』って割り切れるので。いろんなことを試しながら闘わないといけないなと思うので、何か、この一戦ですごく成長できるような気がしています」
──ある意味、今までムエタイでやってきたことの答え合わせでもあるし、この先の成長の一歩でもある、みたいな。
「そうですね。全くその通りだと思います」
──今、勝つ自信ってどれぐらいあるんですか?
「勝つ自信か…今回に関しては難しいな。自信というか…勝つ気は100%です。『自信』って言われると分かんないんですけど、『何か、勝つんだろうな』って思ってます」
──「何か」。
「はい。やっぱりメチャメチャ強い選手だし、テクニックもあるし、もう覚えられないぐらい、いろんなタイトルを獲ってるじゃないですか。MVPも何度も獲ってるし。でも、何か、勝てる気はするんですよね。だから、自信あるのかもしれない(笑)。たぶん、勝つと思います」
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心を動かされるのは本物を超える瞬間
──勝つところまでの過程については、どういうビジョンを持っているんですか?
「それこそ、私が倒されなくて、意識が飛んでない限りは、常に諦めずに闘おうと決めてるんです。そうしたら勝つんじゃないかという感じはしてますね。それこそ格上でありすぎてくれたおかげで、私も行くしかないので。ここまで実績が離れてくれると、やりやすくてしょうがないですね。勝てると思います」
──潔く行ける、みたいな?
「そうですね。どんどんチャレンジできるし、たぶん、相手に攻撃を当てられても1ミリも焦らないし。だって、そんなキレイにディフェンスできるわけないですから。だからそこは、泥臭く頑張れるんじゃないかなと思うし、気持ちの面でしっかりと闘っていければ勝てんじゃないかと。はい。私はたぶん、あんまり心が折れるタイプじゃないので、ここまで吹っ切れられたら、全然いけるんじゃないかなと思ってます」
──もちろん、「記念対戦」みたいなことでは全くないと。
「全くないですね。というか、5歳からムエタイを始めて、ずっと毎日練習してきたのは、このためだったんだなという感じすらしてますから。このキャリアの中で越えておきたい壁だなと思っているので、ちょっと覚悟が違うかもしれないです。腹が決まりすぎて、自信とかいうレベルじゃないですね、もう。そもそも勝つ以外の選択肢がないというか」
──それだけの心境なんですね。
「そうですね、ここで1回ゴールが切れる気がしています。今までやってきたことが間違ってなかったというか、ここにたどり着くために頑張ってこれたんだなと思うと、今までの努力が報われるような感じがしますね。私はずっとムエタイをやっていて、夏休みの記憶っていうのがほとんどないんですよ。ずっとタイのジムにいたので。『友達と遊びに行きたいな』とか思う時期もあったし、毎日、夜の6時から9時ぐらいまでトレーニングしていたから、夜のTV番組も見たことがないんです。当時は録画もできなくて。そういうのも全部我慢して、ここまで練習してきたんですよ。そういうことを全部ひっくるめて、セーンマニー選手を倒したら、何か、納得できる気がします」
──それほどの相手との対戦が、カード変更でいきなり決まるというのが、また…。
「いやあ、ドラマチックですよね(笑)。しかもKNOCK OUTのリングで。これがラジャナムナンだったら、絶対勝てないんですよ。でも、KNOCK OUTのリングなら勝てると思うんですよね。それこそ、オープンフィンガーグローブというのもあるし。あと、やっぱりKNOCK OUTの雰囲気というか、文化というか、お客さんの求めてるものだったりっていうのが全てマッチして、勝てる環境が整っているような気がしています」
──自分の土俵ということですね。そして今大会は、UNLIMITEDでも話題のカードが多く組まれてるじゃないですか。そこにも負けられないみたいな意識はあったりしますか?
「いや、別物だし、別に比較対象にならないですね、そもそも。もちろんUNLIMITEDもメッチャ面白いんですけど、やっぱりお客さんが心を動かされるのは何かというと、本物を超える瞬間だと思うんですよ。それが一番、人が感動する瞬間なんじゃないかと。このノンフィクションの感動っていうのは、この試合でしか出せないんじゃないかなと思ってるので。もちろん、これは私が勝たないと成立しない話ではあるんですけどね。私が勝って、それを見せることができればいいなと思ってますね」
──それほどの試合だということですね。
「でも、両方必要だと思うんですよ。今回のUNLIMITEDの試合も、メチャメチャ面白いじゃないですか。みんな見たいだろうと思うし、実際、記者会見もメチャメチャ面白かったですよね。でも、それだけじゃダメだと思うんです。私とセーンマニー選手みたいな試合も絶対面白いと思うんですけど、それだけじゃダメで。そういう塩梅がちゃんと取れてるKNOCK OUTって、1大会全体としてすごく楽しめるだろうなとは思ってます。この試合順とマッチメイクで、10月23日は、神興行になるんじゃないかなと思ってます。欲を言えば、メインでやらせてほしかったですけどね」
──それはありますよね。
「私がメインになって、しっかりと締める自信もあったし。メインは新田(宗一朗)君と軍司泰斗選手になりましたけど、これも軍司選手が普通に勝っちゃうと面白くないんですよ。この一戦をメインに持ってきたんだったら、新田くん、勝ってよ! って感じはしますよね。じゃないと、私がメインをやった方が絶対面白くなってたと思います」
──それだけのものを見せてくれよ、と。
「安定を取るんだったら、メインは私だと思うんですよ。私は今回、頑張って勝ちますし。でも、メチャクチャ盛り上がって大爆発するのは、新田君次第なんじゃないかと思ってて。だからね実は、今回のKNOCK OUTはけっこう賭けに出たのかなと思いますね。なのでメインは任せて、いいバトンをしっかりと渡せるように会場を盛り上げて、メインにつなげられたらいいなと思ってます」
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「やっぱり、この世界のトップどころを連れてきました、というところですよね。たぶんセーンマニーって、KNOCK OUT史上一番の選手だと思いますよ。今まで旧体制のKNOCK OUTを含めていろんなタイ人が来ましたけど、このセーンマニーを超える選手はいなかったと思います。あとはセーンチャイとかブアカーオぐらいしかいないでしょう。そのレベルの選手を呼んでいただけたので、長く続けてきたムエタイの総仕上げとして、ちょっと超えておきたい壁だなっていうふうに思ってます。格闘技って、満足してやめることはできないものだと思ってたんですよ」
──そうなんですか?
「何かしら、ちょっとモヤモヤが残ったまま『引退か…』となると思ってたんです。でも、ここで勝ったら満足してやめることができる気がしてるんです。いや、『36歳までやる』って決めてるので、すぐにやめるようなことはないですけど。でも何か、いい現役生活の終わりを迎えられる第一歩になるなと思ってるので、ここは確実に獲って、KNOCK OUTのレベルの高さも世界に示したいなと。面白いカード、注目カードが多い中で、玄人が喜ぶような試合をしたいなと思ってますので、ぜひご注目ください、という感じですね」
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セーンマニー「私の試合ぶりを見てもらうお披露目」
──セーンマニー選手は日本での試合は今回が初めてですよね。日本の格闘技についてはどんな認識がありますか?
「過去に日本人選手とはONEで闘って勝っています(2020年1月、健太戦)。あとはセミナーで日本に来たことがあるので、2回目の来日になりますが、試合をするのは初めてです。日本の大会で試合できることをうれしく思っています。そしてドキドキしています」
──今回、KNOCK OUTというイベントに出場することになって、どんな思いがありますか?
「KNOCK OUTに出場することをうれしく思っています。そして光栄に思います。この試合のためにしっかりと仕上げてきました。KNOCK OUTのリング、日本のファンの前で自分の技を披露できることをうれしく思っています」
──対戦相手の重森陽太選手の印象は? 特に警戒すべきと思う点はどこですか?
「動画を見ましたが、ヨウタは強くて巧い選手だと思います。彼は背が高いし、ヒジやパンチに気をつけたいと思います。グローブもオープンフィンガーグローブ(OFG)で小さいので、危険ですね。ただ今回きっちりと準備してきていますので、油断することはありません」
──重森選手は幼少の頃からムエタイの練習に励み、日本のムエタイ選手ではトップクラスと言われています。セーンマニー選手から見て、重森選手のムエタイの実力をどう感じますか?
「巧くて強いです。技術的にも高い選手です。あとは23日のリング上を見てくれればどうなるか分かるでしょう。今回100%の準備をしてきていて、これが日本のファンの方々に私の試合ぶりを見てもらうお披露目になりますので、楽しみにしています」
──今回、どういう試合をして、どう勝ちたいと思っていますか?
「チャンスがあればできるだけKOで終わらせたいと考えています。特にプレッシャーは感じてないです。いろいろな意味で日本での初試合ということで、少しだけ緊張している感じです」
──この試合に勝利した後はどうしたいですか?
「今の目標は、KNOCK OUTに定期的に呼んでもらえるようにすることです。今回いい試合をして勝ち、連続参戦していきたいと思います」
──今回の試合で、観客に一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
「ファンのみなさんが待ち望んでいると思うので、互いにベストを尽くした激しい試合になるよう精一杯闘います。対戦相手にもそれを望みます。日本のファンの方々から応援してもらえればうれしいです」