SMILE SOL Presents札幌から世界へ GRABS祭り2026年10月4日(日)北海道・琴似コンカリーニョ
スモークがあれば、VIP席にはレッドカーペットもあり。リングはフルサイズの4本ロープのリング。試合の合間にはダンスユニットによるダンス・パフォーマンスも。10月4日、札幌・琴似コンカリーニョで3年ぶりに開催されたGRABSの自主興行『GRABS祭り』は祭りの名に相応しい豪華なキックイベントに。肝心の試合の方も好試合が続出した。
▼メインイベント(第5試合)WMA世界フェザー級王座決定戦 2分5R(インターバル2分)◯谷岡菜穂子(GRABS)TKO 2R 1分58秒 ※左フック×サリンダ・ラッタナナン(タイ)※谷岡がWMA世界フェザー級王座に就く。
札幌から世界へ。2017年には新極真の全世界ウエイト制空手道選手権・重量級で第3位に輝いた谷岡菜穂子がムエタイの世界で快挙を成し遂げた。
10月4日、地元札幌の琴似コンカリーニョで行われたSMILE SOL Presents『GRABS祭り』のメインイベントとして組まれたサリンダ・ラッタナナンとのWMA(Women Muaythai Association=女子ムエタイ協会)認定世界フェザー級王座決定戦で、2R1分58秒、左フックでサリンダをTKO。同王座を奪取した。
電光石火のKO劇だった。
2R、自分の距離を掴んだ谷岡はリズムよく左フックを当てていく。サリンダはタイ人らしくきれいな左ミドルで対応しようとするが、劣勢は否めない。そうした最中、谷岡は左フックで先制のダウンを奪う。なんとか立ち上がってきたサリンダだったが、明らかに効いている。
谷岡は「このチャンスを逃すか」とばかりに再び「左」をクリーンヒットさせ、24歳のタイ人に引導を渡した。リング上でWMAの世界チャンピオンベルトを腰に巻いた谷岡は次のように涙声で語った。
「自分はずっと空手をやっていて。キックボクシングに転向してからうまくいかないこともたくさんあったんですけど(涙声)。プロデビュー戦で大ケガをしたけど、会長の『絶対ベルトを巻かせるから』という一言を信じてここまで頑張れました」
谷岡は空位の王座を争ったサリンダは今年になってから無敗の快進撃を続けるタイのホープ。現地での試合映像を見たNJKFの関係者は「判定までもつれ込むような試合になったら間違いなくサリンダの勝ちになる」と予想していた。
谷岡を指導するGRABSの佐藤友則会長も「ムエタイのリズムで戦ったら勝ち目はない。離れてパンチで勝負するしかない」と読んでいたが、その作戦がズバリはまった格好だ。 試合後、谷岡は「このベルトがスタートライン」と力強く語った。「さらに高みを目指して戦っていきたい」
今後、国内ではNJKFミネルヴァの王座を狙いつつ、ONE Championshipでのオープンフィンガーグローブマッチ出場を目指す。
[nextpage]
▼セミファイナル(第4試合)NJKF-聖域交流戦 ウェルター級 3分3R ※ヒジあり○璃久(GRABS/NJKFウェルター級1位)KO 1R 1分23秒 ※右カーフキック×上杉謙信公(PK連闘会/聖域東北スーパーライト級5位)
セミファイナルにはGRABS期待の璃久が登場し、聖域東北スーパーライト級5位で48歳のベテラン・上杉謙信公(PCK連闘会)とウェルター級交流戦を行った。デビュー以来4戦全勝と璃久はNJKF期待の若手として注目されていたが、今年4月のBOMで与儀竜也に初のKO負け。続く6月にはNJKF後楽園大会で亜維二が保持するNJKFウェルター級王座に挑戦するも、キャリアの差は如何ともしがたく、初の連敗を喫してしまった。
今回は再起戦となったが、1R開始早々、右のローやカーフで上杉の下半身にダメージを蓄積させ、縦ヒジで先制のダウンを奪う。とどめは右のカーフキック。上杉は立ち上がってきたものの、レフェリーは試合を止めた。そのダメージからして懸命な判断だろう。1R1分23秒、璃久のKO勝ちだ。
試合後、マイクを握った璃久は元気に「今年に入って4月、6月と試合をしたけど、なかなかいい結果を出せなかった。それから練習への取り組み方を変え、今回いい結果を残すことができた」とマイクアピール。NJKFウェルター級戦線で再浮上することを誓った。
[nextpage]
▼第3試合 引退エキシビションマッチ 2分2R―白岩昭人(GRABS)勝敗なし―瀬戸良平(GRABS)
高身長から繰り出す右ストレートを武器に会場を湧かせた白岩昭人が同門の瀬戸良平を相手に引退エキシビション2分2Rを行った。
佐藤会長からの「バチバチに」という指示通り、試合開始からフレンドリーのフの字も感じさせないほど激しくやり合う。瀬戸は右で早くも先輩の白岩からダウンを奪うが、試合形式はエキシビションのためか、レフェリーは「ノーダウン」の裁定を下す。
瀬戸は得意の右を武器に白岩から何度もダウンを奪い、引退する先輩に現役の強さを見せつけた。
その後は引退セレモニー。白岩は涙ながらに現役生活を振り返った。
「思い起こせばアマチュア4年、プロ10年というキックボクシング人生でした。アマチュアの時も、プロになってからも、上手くなりたい、強くなりたいっていう一心で頑張ってきました。面白いことに。プロでもアマでも自分は(国内で)イタリア、カンボジア、中国、ドイツと外国人と戦う機会も多かった。そのたびに妻にも子供にも心配をかけてきました」
惜別の10カウント後には家族をリング上に呼び寄せ、記念写真に収まっていた。
今後はGRABSで選手育成に励む傍ら、この日も前座で行われたアマチュア大会「G-ROUND」の運営に携わっていくという。
[nextpage]
▼第2試合 56kg契約 3分3R ※ヒジあり×がんばれ!ふるかわくん(GRABS)判定3-0 ※29-30 28-29 28-30○鰤鰤左衛門(CORE)
RIZIN札幌大会にも出場しSNSでもトレンド入りを果たしたがんばれ!ふるかわくんも参戦。美幌町出身で札幌育ちの鰤鰤左衛門を迎え撃った。札幌でキックを始め上京した鰤鰤左衛門に指導したのは何を隠そうGRABSの佐藤友則会長なので、この一戦は″新旧TOMONORIの遺伝子対決″という見方もできた。
キャリアは鰤鰤左衛門の方が遥かに上ながら年齢的なことを考えると、ふるかわくんの方が有利という予想の方が多かった。
しかも、鰤鰤左衛門は久々の試合でブランクも心配されたが、試合が始まると元気なのは全身入れ墨だらけの鰤鰤左衛門の方だった。左のミドルとヒザ蹴りを軸に、どんどんふるかわくんを追い込んでいく。
とりわけ首相撲からのヒザ蹴りの攻防になると、ふるかわくんを圧倒。途中からふるかわ君は防戦を余儀なくされ、そのまま試合終了のゴングを聞いた。3-0、鰤鰤左衛門は判定で故郷に錦を飾った。リングネーム通りにふるかわくんは頑張ることができなかった。
[nextpage]
▼第1試合 58kg契約 2分3R○柚羽(GRABS)判定3-0 ※30-29×2、29-28×横尾佳織(誠至会)
第1試合にはGRABS所属の高校生キックボクサー柚羽(ゆずは)がリングイン。至誠会の横尾佳織を迎え撃った。ともにプロデビュー戦。1Rから柚羽は軽快なワンツーを見せる。対する横尾は首相撲からのヒザ蹴りを軸に連打で勝負をかける。
適正打なら柚羽、手数なら横尾という試合内容だったが、2名のタイ人を含むジャッジは3-0で柚羽の勝利を支持した。今後フィジカルを鍛えれば、面白い存在になっていくかもしれない。
(文・布施鋼治)