MMA
インタビュー

【UFC】9年ぶりオクタゴン復帰の堀口恭司「自分が倒すんで問題ない」=22日24時~UFCカタール大会

2025/11/22 11:11
 2025年11月22日(日本時間22日24時からUFC Fight Pass/U-NEXT配信)カタールの首都ドーハで開催される『UFC Fight Night: Tsarukyan vs. Hooker』にて、堀口恭司(アメリカン・トップチーム)が、同級11位のタギル・ウランベコフ(ロシア)とフライ級(5分3R)で対戦する。仕切り直しの相手とのUFC再デビュー戦に向け、堀口が本誌のインタビューに応じた。 ▼フライ級 5分3Rタギル・ウランベコフ(ロシア)17勝2敗(UFC6勝1敗)11位 ※UFC4連勝中 125.5lbs/56.93kg堀口恭司(日本)33勝5敗(UFC7勝1敗)※UFC復帰・元RIZINフライ級王者 125.5lbs/56.93kg  当初、両者は25年6月のUFCアゼルバイジャン大会で対戦することが決まっていたが、堀口が練習中の怪我により欠場。ウランベコフは代役のアザト・マクスム(カザフスタン)に接戦の末に判定勝ちしている。  ドーハ入りした堀口は「慣れてるんで、別にどこで試合やろうがもう関係ないですよね。しかもこっち、めっちゃ気候いいんですよ。暖かい」とリラックスした表情。今回のセコンドにはいつものマイク・ブラウンに加え、「別の試合で来ているパルンパも多分セコンドについてくれます」と、ATTでは通常ブラウンと2班体勢で動く柔術コーチのマルコス・パルンピーニャもコーナーに入ると明かした。  現在、ATTには堀口恭司、中村倫也、元谷友貴、牛久絢太郎、金太郎らに加え、野村駿太が「所属選手」として加わった。大晦日には5度のライト級王座を防衛中の“絶対王者”ホベルト・サトシ・ソウザに挑戦する野村は10月末までATTに滞在し、堀口と練習。野村にとって「サトシに勝つためにやるべきことが明確になった」というファイトキャンプだったが、堀口にとっても米国で空手の打ち込みが出来る貴重なトレーニングパートナーになったようだ。 「やっぱり自分にとってもすごい良かったですね。本当だったら、もうちょっと直前まで(打ち込みを)やりたかったですけど。(野村がRIZIN会見など)いろいろ予定が入って帰国して。やっぱり空手家同士がやらないと多分できないことなので」と、これまでにない調整も行えたという。  そして、今回は米国からコディ・ダーデンも帯同。2年前にウランベコフと対戦しているダーデンと対策練習も練ってきた。ウランベコフの長いリーチと懐の深さに、いかに打撃で飛び込むか。そして「レスリングが強い」と言われるウランベコフだが、むしろ組みでは上の組みが脅威で、ダーデン戦では、ウランベコフは四つから小外がけでダーデンを投げてトップを奪っている。そしてクレイトン・カーペンター戦でも見せたやぐら投げも。 「身長でかいんで。170cmって言っていますけど、あいつもっとデカいですよね、たぶん。嘘付いてますよ(笑)。ボディロックしたあれ(やぐら投げ)が得意ですよね。でも、逆に言えばあれくらいしかない。タックルを仕掛けるときは、結構みんなに切られているっていう。だけど、腕を巻かれたら本当にやり辛い。巻かせないように」と、上の組みで簡単にクラッチを巻かせないようにしたいとした。  その局面毎に、コーチと研究してきたという堀口。ATTには“答え”があるというが、それは各選手のスタイルによって最適解が複数パターン用意されている。 「答えはあるし、人にもよります。二択三択ぐらいあって合う形で使う。ウランベコフ戦でもプランはできていますけど、やっぱり試合なんで、相手も取りにくるなかうまく対応しないといけない」という。  紆余曲折を経て、9年ぶりにオクタゴンに復帰する。 「自分を受け入れてくれた部分に関しては本当にUFCや周囲に感謝しかないです。だから、その感謝をやっぱりケージの中で見せたい。しっかり勝たないといけない試合だなって。相手は上位5番以内に入る実力があると思う。ここを落とせば上に行けることもないのかなと思ってますね」と気を引き締める。  堀口の変化と同様に、ダヘスタンのウランベコフにも変化がある。 「ウランベコフは打撃がどんどん増えてきてる。でも立ち合ってくれたら嬉しいですよね。自分にはやりやすいんで。どんどん寝かせてくるだろうけど──まあどっちにしろ、自分が倒すんで問題ない」と語った堀口恭司。カタールから、再び、UFC王座への第一歩を踏み出す。 [nextpage] パントージャとは『お前、俺が行ったらブッ飛ばすから』って。パントージャも『いいよ。いつでも来い』と  堀口は、2010年にプロデビューして以来、KO・TKO勝ち15回、一本勝ち5回を挙げている日本有数のMMAアスリートの一人。  修斗で世界王者に輝いた後、2013年10月にUFCデビューすると4連勝で当時の王者デメトリアス・ジョンソンと対戦。5R残り1分で腕十字で敗れ、UFCフライ級王座戴冠ならず。しかしその後も3連勝。2016年11月にアリ・バガウティノフに判定勝ち後、当時のUFCフライ級戦線縮小に伴い、オクタゴンを離れ、2017年4月からRIZINに参戦していた。  この間、20試合を戦い、RIZINとBellatorでバンタム級王座を戴冠。現在5連勝中で、24年大晦日の前戦でエンカジムーロ・ズールーに判定勝ちで王座防衛後、RIZINフライ級のベルトを返上。今回、11カ月ぶりの試合で9年ぶりのオクタゴンカムバックとなる。  対するウランベコフはMMA戦績17勝2敗、UFC6勝1敗の強豪。元UFC世界ライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフに師事し、一本勝ち8回を記録しているダゲスタンレスリングのエースで、イーグルスMMA/AKAで練習。2020年10月にUFCに初参戦するとブルーノ・シウバに判定勝ち。22年11月にネイト・マネスをギロチンチョークで下すと、23年12月にコーディ・ダーデンにもリアネイキドチョークで一本勝ち。25年1月にキャリア8戦全勝だったクレイトン・カーペンターに判定勝ち、そして前述の通り、6月にマクスムに判定勝ちで現在、UFC4連勝中。  UFC唯一の黒星の相手は、朝倉海に一本勝ちしたティム・エリオット。22年3月にエリオットと対戦したウランベコフは、初回にエリオットの左オーバーハンドでダウンを喫し、テイクダウンも奪われ判定負け。  また、堀口負傷により対戦相手変更となった6月のアゼルバイジャン大会でウランベコフはマクマンのテイクダウンディフェンスに手を焼き、打撃で上回るも最終回には逆にテイクダウンを奪われるなど苦戦。復帰2戦のデータを得たことで、ATT堀口陣営はどんなプランで臨むか。  本誌の取材でもUFCランカーを語っていた堀口は、ウランベコフを「俺的にはベスト10に全然入っていて、もしかしたら5位以内の実力なんじゃないかなと思っています。身長高くて打撃も寝技もできる。グラップリングが強い」と高く評価。自身のYouTubeでは「怪我は全然ないんで、全然大丈夫。ここでしっかり勝って、ベルトを獲れるように突っ走る。『復帰戦は大事』と言われますが、全部の試合が絶対に落とせないので、同じ気持ちでしっかり勝ちに行こうと思っています」と意気込みを語っている。  ウランベコフは、身長170cmでリーチ178cm、幼少時からレスリングを学び、2014年の世界コンバットサンボ選手権57kg級で優勝。オーソから懐の深い打撃と四つ組みからの強いテイクダウンを武器に、ギロチンチョークなど9つの一本勝ちを誇る。フライ級ランカー内で対戦を嫌がられる選手の一人で、近年MMAグラップリングの比率を増やしている堀口にとって、その力を見せる試合になりそうだ。 (C)evertonvvoliveira  堀口の目標は、アジア人初のUFC世界王座獲得。その頂に現在立っているのは、アレッシャンドレ・パントージャで、12月6日(日本時間7日)の『UFC 323: Dvalishvili vs. Yan 2』でジョシュア・ヴァンを挑戦者に迎え、5R戦を戦うことが決定している。堀口はそのパントージャとの同門対決の可能性について、本誌の取材に「チャンピオンとすごい仲いいんですけど、『お前、俺が行ったらブッ飛ばすから』なんて、すごい言ってます。で(パントージャも)『いいよ。いつでも来い』みたいな感じで」と、勝ち進んでいった場合の同門対決が、ATT内で織り込み済みであることを語っていた。その再出発の第一歩が、堀口にとってはアウェイのドーハで刻まれることになる。  現在、UFCフライ級には、堀口を含め3人の日本人選手が名を連ねており、5位の平良達郎(THE BLACKBELT JAPAN)が12月7日に2位のブランドン・モレノ(メキシコ)と対戦。UFC1勝1敗の鶴屋怜(THE BLACKBELT JAPAN)は8月の試合を負傷欠場し、3月のジョシュア・ヴァン戦以来の再起を目指している(※2連敗の朝倉海はバンタム級転向を表明)。  同階級には、元RIZINのマネル・ケイプ(6位 ※12月13日にブランドン・ロイヴァルと対戦)、ラマザン・ テミロフ(※禁止薬物検出で26年7月まで出場停止中。14位からランク落ち)がランキング入りしており、堀口恭司の加入により、さらにフライ級戦線が激化することは間違いない。
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