MMA
インタビュー

【RIZIN】桜庭和志がPRIDEでニュートンをヒザ十字で極めた1998年生まれの大世が、同じヒザ十字で宇佐美を極めた“MMAじゃんけん論”。宇佐美は序盤のサクラバロックでパンチ打てず

2025/11/05 14:11
 2025年11月3日(月・祝)兵庫・GLION ARENA KOBEで開催された『RIZIN LANDMARK 12 in KOBE』にて、ライト級(71kg)で宇佐美正パトリック(Battle-Box)に3R 1分33秒、ヒザ十字を極めて勝利した桜庭大世(サクラバファミリア)が試合後、独自のMMAじゃんけん論を公開。  また、序盤のサクラバロックで宇佐美が「ヒジがポキポキ鳴っちゃって。それからパンチを全く出せなくなった」と、アームロックで腕を壊されていたことを明かした。 アキレス腱固めから内ヒール、ヒザ十字へ  試合は、ボクシングが武器の宇佐美に、桜庭は序盤から飛び込んでの右、ローシングルの組み、ヒザ蹴りと上下・左右に攻撃を散らして、距離が近づけば、得意のアームロックからグラウンドに持ち込むなど、父譲りのファンタジスタぶりを発揮。  試合が決したのは最終回。サウスポー構えの桜庭は左ミドルの連打から、さらに左のスーパーマンパンチで飛び込み、ワンツーの左。さらに踏み込みに宇佐美は右ボディ打ちを返すが、桜庭がこれまでのローシングルから一転、ダブルレッグでテイクダウン。  これをギロチンスイープで跳ね上げて返そうとした宇佐美だが、頭を抜いた桜庭はトップに。下の宇佐美の三角絞め狙いをかわしてサッカーキック。さらにパウンドに三角を狙おうとした宇佐美の足をかつぎパス狙いから、一転、自ら座り込んで宇佐美の右足を左脇に挟んでストレートフットロック(アキレス腱固め)へ。宇佐美の足が抜けると、桜庭は右足を右脇に抱え直して、左足で外がけ4の字のサドルロックへ。  ヒザ上でがっちり組んで内ヒールのセットアップの体勢だが、宇佐美のかかとが抜けると、桜庭は右足を両手で胸に抱えて4の字を解除した股下で右足を挟んでヒザ十字へ! 宇佐美は桜庭の腕を掴んで緩めようとするが、それを左手ではがした桜庭は踵を掴んで両足を絞めてファールカップの上にヒザを乗せて腹を出してテコの原理でヒザを伸ばすと、宇佐美は「あー!」っ悲鳴を上げて仰向けに。すぐさまレフェリーが間に入った。  試合後、桜庭は序盤からオーソでパンチの上手い宇佐美に対して、それより長い左の蹴りから入ることを決めていたという。 「(宇佐美は)やっぱパンチとかすごくて、ウワーッ! っていう感じにはなりましたね。普通に1回入って、グラーってなって“やべー!”って思いながらやりました。ただ、そこで引いたら絶対詰めてくるだろうし、“ここで来てもやってやるぞ”って気持ちでとりあえずいました。それに、『大世はキックが強い』って、打撃の先生に言ってもらえるので、自分の得意なことを出すっていうことのひとつで、どんどん蹴っていこうと思ってました。打撃もどんどん出せば、その分、寝技もより入りやすくなると元々思ってたんで。それで多分、うまく組みにいけたかなとも思います」  しかし、ヒザ着きのローシングルでなかなかテイクダウンが奪えず、最後はダブルレッグでテイクダウン。スクランブルの際で選択したのは、UWFスタイルともいうべきアキレス腱固めから反対の脇に持ち替えて内ヒールフック狙い、最後はヒザ十字固めに切り替えて、極めた。  そのサドルロックについて「ポジションの名前はよく分からないですけど、多分あの形からはよく入ってると思います。ヒールは苦手でできなくて。先週ぐらいにQUINTETでヒールで負けちゃったんで“おおヒールやりてえ!”って思ってヒール狙ったんですけど入らなくて“もう十字でいいや”って感じでしたね」と、足関節のコンビネーションを語る。  ちなみにアキレス腱固めは、父・桜庭和志が15年前の『PRIDE.11』でシャノン・"ザ・キャノン"・リッチをリングで極めた技。そして最後のヒザ十字固めは、1998年の『PRIDE.3』で父がカーロス・ニュートンを極めた技だった。その後、和志は2009年のDREAMで初導入となるケージのなかでもゼルグ・"弁慶"・ガレシックをヒザ十字で極めている。  父がニュートンをヒザ十字に極めた98年にこの世に生を受けた大世は、ヘキサゴンからオクタゴンに変わったケージのなかで息子ならではの“MMA”で宇佐美に一本勝ちしたという。 「寝技来られるのビビってたら寝技フェイントかけて打撃が当たるだろうし、もっと細かく言ったら、パンチの人にはパンチのフリしたらパンチ合わせてくるだろうから蹴りは当たるだろうし。“相手がチョキ出してきたらグー出す”みたいなことじゃないですけど。そこで、“めっちゃ強いチョキを持っててもあんま強くないグーには負ける”じゃないですか。合ってるか分かんないですけど、なんかそんなイメージっていうか。別にひとつで戦わなくてもいいと思ってるんで」と、柔道では神奈川県でベスト8止まりだった桜庭ジュニアは説明した。 [nextpage] 宇佐美「キムラをエスケープした時に腕がポキポキ鳴っちゃって」 ──桜庭戦を終えた、率直な感想をお聞かせいただけますか。 「うーん……なんか言葉、出ないですね。ホンマになんか。この2カ月間、韓国戦(キム・シウォンに判定勝ち)が終わってから自分の弱いところばっか練習していたんですけど、まあその成果が出ず。ちょっと悔しいなって、そういう感じです」 ──成果について、本来は違った作戦だったとか、途中から作戦が変わってしまったというようなことはありましたか。 「いやもう、なんか全般的にこうグラウンドでも、セコンド陣営の人にはもうこの、なんですかね『グラウンドでも負けてなかったから、勝負してもよかったと思う』って言われたんですけど、僕がこう引き気味になりすぎたせいで極められたと思うんで。ちょっとそこは反省ですね」 ──試合を終えたばかりですが、今後の展望・目標を教えてください。 「そうですね。もうとりあえずなんか、もう、やり続けないと。今ここで腐ってもねえ、ダサいだけなんで、しっかりちょっと、這い上がります、以上です」 ──気持ちはもう整理できて、さっぱりした気持ちでもありますか。 「さっぱりっていうかまあ、練習で、まあ今日例えば、キムラを取られた時も、エスケープとかできたんですけど、まあ結果的に最後極められたんで。なんやろ? なんなんすかね。もうとりあえず悔しいっス」 ──ストライカー対グラップラーという見え方だったと思いますが、打撃でもう少し追い込む展開を作りたかったとか、そういう部分はありますか。 「もちろんあったんですけど、ちょっと試合中に自分がエスケープした時に、なんかアクシデントが起こって、自分の中で。それでパンチも出なくなっちゃいましたね。はい」 ──それはどのようなアクシデントですか? 「ヒジがなんか、キムラかかったときかな? エスケープした時になんかポキポキ鳴っちゃって。ヒザは大丈夫やったんですけど。あれ、何ラウンド目でしたっけ、キムラ。1R目ですよね。たぶん、1Rか2R。それからもう、パンチを全く出せなくなりましたね。でも桜庭君がやっぱり思いきりが良かったんで、やりにくかったのはあります」 ──試合序盤でローブローが入る場面もありました。 「アクシデントなんで、それはもうなんか、それに関しては文句とかも何もないです。でもちょっと痛かったです」 ──ああいうことがあることで、相手の左のローキックを必要以上に警戒するようなことが? 「いや正直、蹴りとかは別にそんなに意識もしてなかったですし。でも実際試合したら“あっ、いい蹴りしてんな”って感じる部分もありましたし、まあでもこの試合に関しては、ストライカー対グラップラーとおっしゃったように、みんなそう思ってたと思うんですけど、僕がMMAをやって勝ちたかったんで。まあ桜庭君の方が強かったってだけですね、今回」 ──そこはもうそう受け取って、また次に向けて? 「もちろん。だって、ここで僕が辞めるとか言ったらダサすぎでしょ。だからもうそれやったら別にまた下から這い上がる。這い上がって、みんながまた見たいって思う時に帰ってきて、バッと会場沸かせれたらいいなって。その時はグラウンドでももっと勝負できたらなって思います」 ──そのヒジっていうのは具体的に何か骨に影響があるような? 「いや、それはないと思うんですけど、今ちょっとなんか打撲みたいな感じで何かなってるんで、曲がんないですよね、あんま、これ以上は。とりあえずこれしっかり治して、まあ左手は動くんで、左で練習しながら、ちょっといろいろ考えていこうかなって思ってます」 ──桜庭選手相手に、桜庭選手の打撃のおかげで、パンチが使えなかったっていうこともありながら結構入り込めなかったっていうのがあると思いますが、桜庭選手の打撃の評価について、MMAファイターとして、打撃とテイクダウンのミックスが進歩しているという感想を持ちましたか。 「桜庭選手に関しては、ホンマにたぶんMMAをするために、こういろんな工夫されていると思うんですけど。そうですね、蹴りもパンチも思いきりがよくて、すごくよかったんじゃないか、と思います。ただ、特別強いか、強くないかっていうのは、やっぱり各選手が向き合った時に感じることなんで。僕は、そうですね、桜庭選手の思いっきりのパンチ、蹴りはすごいよかったと思ってます」
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