自分がどうアジャストして動ければいけるか

――ちなみにキックの試合に向けての練習というのは12年ぶりになりますか?
「12年ぶりです。ちょっとだけ夏にやりましたけど」
――ボクシングの試合に向けて追い込むのとは違いますか?
「全く違いますね。新入りのつもりでやっています(笑)」
――具体的にはどの辺りに違いを感じますか?
「間合と重心が全く違うので、正直もっとボクシングのテクニックを使いたいんだけど、そうするとローキックでやられちゃうし。今度は蹴りを重視するとボクサーがキックで対抗したところでっていう感じなので、その上手い塩梅を狙いつつ、元々やっていた経験があるので、そこの感覚をちょっとずつ取り戻しています。ニューヨークはムエタイが流行っていてキックボクサーがほぼいないので、向こうで練習してきたんですけどテンポが全然違うので、一気に今週2回スパーリングをしました。昼夜昼夜みたいな(笑)」
――いろんな所に行って練習していますよね。
「行ってます。同じ階級とか少し小さい階級の選手とかもいるんですけど、テンポの速い選手たちとバンバンやって慣らしていってます」
――まだ残り1週間くらいありますが、いつぐらいまでスパーリングをするんですか?
「ガチのスパーリングはとりあえず金曜日(24日)が最後になっているんですけど、軽く慣らしでエリカちゃん(神村)とか芽依(宮本)が付き合ってくれるので、ずっと対人練習はして感覚だけはしっかりやっておけば問題ないかなと思っています。スタミナも問題ないので」

【写真】シュートボクサーとして2011年8月に神村エリカと対戦している吉田
――心強いメンバーがサポートしてくださっていますね。
「だから最初にRISEに出ようってなった時も1回聞きましたね。『大丈夫かな? いけますかね?』みたいな。エリカちゃんとは20歳から1番付き合いが長いので『ぶっちゃけどう思う?』って相談して、『やる気があるなら上目指しましょう』って感じで言ってもらえて。彼女に言われるとちょっといけそうな気がするんですよね(笑)。何が足りなくてどうなのかっていうのもあったので、日本に帰るまではキックボクサーとスパーリングができていなかったので心配な部分があったんですけど、アジャストできてきました」
――ファイトスタイルはボクシングで培ってきたパンチを主体としたスタイルになりますか?
「どっちもできるようにという感じで、3つぐらいパターンを用意しています。手数が多くて乱打戦になると思うんですけど、セコンドの指示は経験上聞けるし相手のセコンドからの指示も入ってくるので、その中で3パターンくらい用意していて、それに1番あったものを選んで1ラウンド目もしっかり取れれば、2・3ラウンドは自分の動きができるのかなっていう。3ラウンドしかないのでそこの判断ですよね」
――ラウンド数の違いは戦術的な部分で変わってきますか?
「そうですね。5・6年くらい10ラウンドでしか戦っていないので。でも逆に試合感も戻るし良い経験になるかなと思います。3ラウンドしかないっていう中で決め切るとかもそうですし、逆に2分しかないと動きが雑になってしまうから3分はあった方が良いし、自分のスタミナは圧力とかフィジカルもある方なので、逆に相手が削れてくれて良いかなと思います」
――相手の美斬帝選手の印象はありますか?
「長くずっとやっているのが分かりますね。映像を見させてもらったんですけど、調子良く乗せないようにしたいです。波に乗ると長いリーチでパンチを打ってきて、6オンスなので当たれば効くだろうし、警戒しなければいけないところはあります。でも色んな人が映像を見て分析してくれたり、自分も映像を見たりして、あとは自分と照らし合わせながらやっていこうと思っています。相手がどうなっているかよりも、今回は自分がどういう風にキックボクシングにアジャストして動ければいけるかっていうのを考えています」
――自分の動きができればという感じですね。
「12年ぶりというのもあるので、やってみないと分からないところもあるんですけど、すごく良いファイトキャンプもできているし体調もすごく良いです。久しぶりに52.5kgに体重を落とすんですけど、52kgでも落とせそうな感じがしていて、適正は52kgかもしれないなと感じています」
――ボクシングでランキング1位に入っている状況ですけど、今後も定期的にRISEに参戦していきたいという気持ちはありますか?
「その気持ちはありますね。やってもいないのに大口も叩けないんですけど(笑)。やっぱりテッサ選手が王者で今日本にベルトがないという事で、愛三(小林)ともこの間会って喋っていたんですけど、出るからには盛り上げたいなと思うので、自分がしっかりアジャストできればそこも狙っていきたいです」
――今回初めて吉田選手の試合を生で見るお客様もいらっしゃると思うのですが、吉田選手のどんな部分を見て試合を楽しんだらいいですか?
「打ち合いはガンガンいって引かないという部分と、17年のキャリアと、ずっとやってきたボクシングのテクニックも見せられたらいいなと思っています」
――最後にいつも応援してくれているファンの皆様にメッセージをお願いします。
「本当にいつも応援してくださっているファンの皆様には感謝しかないです。どんどん挑戦して進化していっているんですけど、それでも進みたい道に『悔いなく頑張れ』っていってくれているファンの皆様ばかりで、その人たちや娘にも背中を押してもらいながらここまで来れた17年です。このまま走り切りたいなと思っています。また応援よろしくお願いします」


