来年ぐらいにはラジャのベルトを獲る

――今回のWBC世界戦が決まって、ジム先輩の伊藤紗弥選手からはどういったアドバイスを受けていますか?
「今回の相手カイケム・シットパナンチューン選手は、紗弥ちゃんが今年5月のムエロークで対戦している選手なんです」
――そうなんですか!? 5月のムエロークに出ているタイ人選手はクワイアンという選手名だったので同一人物だとは分からずでした。
「もともとは現チャンピオンとやる予定だったんですけど、諸事情で変わったみたいで、タイのプロモーターが用意したのが今回の相手で、写真を見たらどこかで見覚えのある選手だなと(笑)。紗弥ちゃんと戦った時は結構下がって戦うフィームータイプで、うまく蹴ってくる印象があります。紗弥ちゃんからは『蹴りと組んだ時の力はあったのでそこに気を付けて』とのアドバイスでした」
――映像などを見て、他にはどういった印象がありますか?
「過去の試合映像が見つからず、紗弥ちゃんの試合の時の記憶しかないんです(笑)」
――伊藤選手は判定勝ちでした。伊藤選手が対戦したことのある選手が相手ということで比較されるかと思うんですけど、意識してますか?
「正直なところ、意識はしてないですけど、周りからは比較されると思うので頑張らないといけないですね」
――3連続KOも狙いますか?
「どの技でKOしようとかはいつもあまり考えていないんですけど、顔面前蹴りで会場を沸かせられたらいいなと思います。ラジャダムナンスタジアムは外国人観光客が多く、前回その大技を見せるとすごく盛り上がっていて、RWSのインスタではその顔面前蹴りのショート動画の再生数が何百万回と表示されていて驚きました。前回の試合を見たファンからも期待されていると思うので、その期待に応えなくちゃと思います」
――ちなみに普段の練習で顔面前蹴りは何回ぐらい蹴っているんですか。
「危ないのでスパーでは禁止ですが、サンドバッグに300~500回ぐらいひたすら蹴っています。小さい頃から顔面前蹴りは何百回とやってきて、昔からやってきたことはやり続けないといけないなと。初心に戻るじゃないですけど、必ずその回数は蹴るようにしています」
――ゆくゆくは顔面前蹴りでKOも狙ってますか?
「えっ? できるんですか? 顔面前蹴りでKOする選手っていますか?」
――2005年2月のK-1 WORLD MAX日本代表決定トーナメント決勝戦で小比類巻貴之さんが新田明臣さんの顎を右上段前蹴りで打ち抜いてKO勝ちしています。
「そういえば、私はアマチュア時代に顔面前蹴りで相手を蹴ったら、そのままひっくり返って痙攣しちゃってKO勝ちしたことがありました! 次も顔面前蹴りでKOできたら一番いいですね」
――世界タイトルを獲ってその先にはどういったことを考えていますか。
「今、ラジャダムナンスタジアムのミニマム級で1位なので、現チャンピオンのモンクットペット選手に挑戦したい気持ちはずっとあります」
――手応えはどうですか?
「2年前のムエロークで対戦して判定で負けているのですが、大差の負けではなく、向こうの方がムエタイテクニックは上手だったことが敗因でした。自分はこの2年で凄く今井会長に鍛えあげられているので、自信はあります!」
――前回の試合で負けた後は、次にやれば勝てるという手応えもありました?
「前回の試合で一番負けたポイントが首相撲の展開でした。あの日から“打倒モンクットペット”の気持ちでずっと練習してきてるので、今は自信があります。次の試合は大事な試合なので簡単に通過点とは言えないんですけど、もちろんWBCの世界タイトルは必ず獲って、来年ぐらいにはラジャダムナンのベルトを獲るという目標があります」
――最後に試合を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
「今回、私の地元横須賀でWBCの世界タイトルマッチに初挑戦することで、たくさんの応援団が来ます。皆さんへの感謝の気持ちを込めて全力で戦うのでぜひ応援してください! 時間とお金を使って私の試合をわざわざ観に来てくださるので期待以上の試合をしないといけないという気持ちでいます」


