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インタビュー

【K-1】須藤元気・新プロデューサーの“K-1改革”とは?(中編)「一般層にも届かせるためには、飛び道具的なマッチメイクは必要。逆にニッチなカードを狙っていくことも重要」[特別掲載]

2025/09/23 12:09
 2025年9月3日、新K-1プロデューサーに就任した須藤元気。プロデューサーとして迎えた最初の大会である9月7日に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された『K-1 WORLD MAX 2025~-70kg世界最強決定トーナメント・開幕戦~』を終え、何を思ったか。プロデューサーとしてこれからやろうとしていることとは? 『ゴング格闘技 No.340 2025年11月号』に掲載されたインタビューを前編・中編・後編の3回に分けて特別掲載! ライト層を意識しつつもコアなファンを大切に 【写真】海外展開を意識し、外国人同士のマッチメイクも増えた──K-1のブランド力の高め方は? 「海外展開が鍵ですね。これまでも海外展開を掲げてきましたが、より明確に海外を意識した戦略とマッチメイクが必要になります。券売を目的にした日本国内向けのマッチメイクだと、どうしても海外とのニーズの違いが出てきてしまいます。海外の視聴者に、名前も知らない日本人選手の試合をPPVで購入してくれるように訴求してしても、さすがに難しいことでしょう」 ──自国の選手か有名なファイターが出ていないと、有料どころか無料でも視聴する人は少ないでしょうね。 「それはやる前から分かるじゃないですか。でも、『K-1のレベル自体が面白くて見逃せないよね』と思ってもらえるような見せ方を意識した映像、PRが確立していけば、僕は可能だと思っています。K-1は世界的に有名ですし、僕たちがワクワクしたような世界観を作り上げることができれば、巻き返すことができると信じています」 ──ちなみに海外放送は、どの試合までを想定していますか? 「これも同じ理屈で、7時間流していても長いと思われてしまいます。好きな方は最初から最後まで見ていただけるでしょうが、いわゆるライトユーザー層に長時間視聴はハードルが高い。厳選して10試合にするとか、これがK-1だと思われる試合のみ放送することが必要になってきます」 ──例えば大会だと3部から海外放送開始とか、そういうことですね。 「それが現実的だと思います。11月は70㎏の世界トーナメント決勝がありますので、それが中心になってくるでしょうけど、これからは海外放送に入るための熾烈な争いが見られるのではないでしょうか。海外で名前を売ることができれば、試合オファーを受けたり、いろいろな可能性も広がってくるはずです。日本人選手は、これをチャンスだと思って、どんどんアピールしていってほしいと僕は願っています」 ──マッチメイクはいかがでしょうか。 「一般層にも届かせるためには、飛び道具的なマッチメイクは必要になって来るでしょうね」 ──いわゆる話題性のあるカードですね。 「あとは逆にニッチなカードを狙っていくことも重要だと考えています。僕も知らない声優のグループが、東京ドームを満員にするという話も実際にあります。あれは独自世界を築き上げて拡大しているから可能で、ライト層を意識しつつもコアなファンを大切にしていくべきだと僕は思います」 [nextpage] あまり選手の個性が伝わってこない ──アンチも含めて、声をあげるコアなファンの声もたしかに重要ですね。 「バランスですよね。どちらかに偏ってはいけないし、目標を見失わないことが成功するためには大切なことです。あと今はスマホ格闘技の時代なので、もっとショート動画を活用した方がいいと思っています。ショート動画のアルゴリズムに出てくるのは、UFC、ブレイキングダウン、RIZINとかなんです。K-1が出てこない。スマホで見る時代なのに、特化された動画に出てこないのはもったいないと思います」 ──たしかに長い動画は見なくても、ショート動画での訴求は効果ありそうです。 「あと感じるのは、あまり選手の個性が伝わってこないことですね」 ──K-1を離れた選手が個性を発揮することも多いので、不思議な現象です。 「それは単純に試合数が多いからだと思います。K-1の解説をした時に思ったのは、20試合くらいあって40人の選手が出ていて、誰が推しなのか分からないことでした。試合を見て、いい選手だなと思っても、その後の試合に上書きされてしまい、結局記憶に残らなくなってしまうという現象を体験しました。せっかくいい選手が多いのに、もったいないなと思いました」 ──試合数が多い影響で没個性のデメリットが発生していると。 「そう思います。7時間興行で、なおかつ格闘技の宿命ともいえる塩試合も必ず出てしまうわけですから、人間の集中力には限界があります。そうした弊害が個性を消しているように思います」 【写真】須藤Pが「華があるので可能性を感じた」という大久保琉唯──ここまでは、その中で生き残った選手がスターという手法のように思いますが、運に頼る感じでした。 「先日、大久保琉唯選手と直接会って話をしましたが、彼はダイヤモンドの原石だなと感じました。スター性はあるし、K-1だけではない活動で認知してもらうこともできる。練習をしっかりやれる環境さえ担保できれば、彼のような選手をもっとスターに推すべきだなと思いました」 ──大久保選手をK-1のエースに? 「彼は華があるので可能性を感じました。でも同じ階級の選手、また違う階級の選手でも『なにくそ!』と腹を立ててくれたら、それによって全体が活性化してくるので、とてもいい流れになると思っています」 (次回に続く)
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